2020/10/09 のログ
クレス・ローベルク > 「へえ、副業との相乗効果って訳か」

一見、行商で売る意味がないようにも思えるが、安く売れば売るだけ安定して利益が出るし、客も増える。
冒険者的に見ても、多くの人と会えばそれだけ情報やコネが拾える訳で、つまり双方が双方にお得な構図だ。

「全くそのとおり。でも、君も遠慮せず食べなよ?
言っちゃなんだが、自由に使える金なら俺の方が多いと思うしさ」

なにせ、それなりに人気の剣闘士だ。
ファイトマネーで得られる金は不安定だが、その分ユンファの様に計画的に使う必要はない――身体が資本故に、資本金を気にしなくていいからだ。

「って、良いのかい?どういう薬なのかは解らないけど……。
薬って言うなら、それなりに高いんじゃないかい?」

と言いつつ、懐に仕舞っておく。
まさか、麻薬の類ではなかろうし、そうであったなら売ればいいだけである。

「んー、それじゃ、そろそろ俺は行くかな。ユンファちゃんの顔も見れたし、明日早いしね。次は、もう少しゆっくりと話そう」

と言うと、ひらひらと手を振って去っていく。
男が座っていた側に残されたのは、ステーキが数枚。恐らく、後は自由に食えと言ったところだろうか。
そして、その代わりというように、ユンファの側からは彼女が頼んだ分の伝票が無くなっていた――

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ユンファ > 「そそ、お陰で儲かってるね」

商売と冒険者は案外相性がいいかと思いだした最近。
コネや情報、そしてお客も増えるし仕入れも楽になるので今のところはいい事だけ。
失敗しても冒険者で稼げばいいと前向きでもあり。

「食べてるから大丈夫よ。
それは本当にうらやましいね」

剣闘士がそれほど儲かるなら一度ぐらいは…そんな事をつい考え。
しかし直ぐに首を振って断念、それほど強くはないのだからと。

「凄く元気になるのよ、変なのじゃないね。
中毒性もないのよ」

値段に関しては何も言わずに笑うだけ。
ちなみに中身は試しに作ってみた強壮剤、元気になるのは確か。
ただ効果時間は不明という代物…。

「それは残念ね、次はもっとゆっくいと話そうね。
また会いましょうね」

去っていく男を見送り、残っていたステーキを美味しそうに食べてしまう。
そしていざ支払いになったとき、伝票がない事に気が付き。
一つ借りが出来てしまったと頬を膨らませると酒場を後にして…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からユンファさんが去りました。