2020/08/07 のログ
ノウブル > 「――――――ノウブルだ。」

(向こうも、如何やら覚えは在った様だ。 流石に名までは知らぬだろうが。
言葉に困って居る様子に、先んじて一言、名乗って置こう
――其の刹那、僅かに歓声が高まる。 丁度、投石の一つが罪人の頭に当たったらしい。
とは言え、残念ながら其れが、救いには為らなかったようだが。
未だ繰り返される投石は、まだ彼の罪人が生きて居る事を示す
まだ――終わる様子は、感じ取れない。)

「――――見物にしては、愉しんで居る顔でも無かったからな。
……これが、この街での理の様だ。 確かに、趣味が良いとは言えんがな。」

(――趣味は、確かに悪い。
だが、其れは相手の事を指すのではなく、この光景其の物に向けての言葉だ。
その成行には然程興味を示さずに、道の向こうを顎で示す
冒険者ギルド、用事が在るのは向こうだと暗に伝えながら
僅かに首を、横に振り。)

「―――精々、食える程度で十分だ。
其れに、個人で受けられる依頼には、如何やら限度が在る様だからな。」

(――儲かって居るかと言われれば、恐らく否だ。
狩人故に、日々の糧を確保する事には困らぬ身では有るが
ギルドからの依頼を受ける、と言う点に関しては、未だ新参である事と
特定の相方も居らず、何れかの集団に属しても居ないが故に
宛がわれる依頼に制限が有る――らしいと
其れは、つい先日、他の「親切な」酔っ払い冒険者から
揶揄交じりに教えられた話では有るが)。

シンディ・オーネ > 「シンディオーネ。」

 名乗ってくれたので、名を返す。
 歓声が上がればつられて舞台を見てしまい、口のへの字が深くなった。

「…ああ、そう、それだ。
 愉しんでいる、ように見えるのが、何か嫌なのね。
 …いやどうかな、憎しみ一杯でもそれはそれで見れたものじゃないのかもしれないけど。
 私達が、市民じゃないという事かもね。」

 この見世物に、遊び半分で参加する者があるのが不快感の正体かと言って…
 さてどうだろうと首を傾げながら、ノウブルが行く先を示せばとりあえずそちらで良いと、グイグイ人を掻き分けはじめた。
 相手がどかないのだから遠慮しないというスタンスは争いの元かもしれないが、舞台が盛り上がっていればお互い様なタイミング。

「――ええっ!?そうなの!?」

 個人向けの依頼に限度があると聞くと、分かってはいた事だが、喧騒の中だからというだけでなく声が大きくなる。
 お話は人混みを抜けてから。

「…私は、相棒と一緒なんだけど。
 駆け出し二人で、一人なら拾ってくれるって冒険団があったから、そっちに取られちゃった。
 そっちの方がいいんでしょうけど、そっか。」

 改めて言われると、自分の稼ぎをどうしようと少し焦る。
 恋仲とはいえ長年姉貴分?気分だった事もあり、男を立てようという気持ちに反してまだ自分の方が稼いでみせたいみたいな見栄があり。
 とはいえそこまで口にせず、今はこの目新しい色合いの相手に興味を持とう。

「そのカラダなら一緒にやる人には困らなさそうだけど、何か、民族?的な問題?
 物を知らなかったらごめんなさい。
 でも、ノーブルか。」

 その名前「高貴」と読んで良いのだろうかと由来など考えながら、気になった事を知らなくて何が悪いとずけずけと。

ノウブル > 「シンディオーネ。 ……悪いが、区切る位置は何処だ?」

(名乗り返されれば、そうか、と頷いた。
――其の後で、シンディオーネ、と言う名なのか、フルネームなのか
己が出自の地とは異なる発音からでは聞き取れず、問い返した。

実際、この場に断罪者として参加して居る人間は、どれだけだろう
罪人の罪に関係して居ない人間が、ただ、娯楽めいて石を投げている
そして、其の騒ぎを愉しみ見物して居る人間は、果たして。
女が不機嫌であった理由が、そうなのだと告げられれば、僅か肩を竦めて見せ
そして――進行方向、突然構わず道を掻き分け始めたのを見れば

一寸瞳を瞬かせ、其れから、ちゃっかりと其の後に続いて。)

「――――聞いた話だ、今まで気にして居なかったが…。
信頼や実績が低い新入りは、後ろ盾か、其れなりの説得力が必要だとな。
徒党を組むものが多いのは、其れが理由だろう。
そう言う意味では、仲間が多いに越した事は無いのだろうがな。」

(相方が居る、と言うよりは、居た、と相手の言葉を捕らえた。
取られて仕舞ったという事は、今は単独なのかと問いながら
相手の、随分と真っすぐな言葉には、ゆるりと首を横に振り。)

「余所者は余り信用されないだろう、其れだけだ。
其れに、良い様に「使われる」気は無い。」

(――声を掛けて来る者が、居なかった訳では無い。
だが、其の目論見は大抵の場合、碌な物では無かったと言う事だ。
物を知らぬと見えるのか、或いは騙し易い相手と見えるのか
己を所詮、都合の良い駒としか見ない連中に背中を預ける心算は無く
其れが、只今も続いて居ると言うだけの事だ、と)。

シンディ・オーネ > 「シンディ。家名ってわけでもないの。
 とりあえず名乗っておけば少しはちゃんとした人に見えるんじゃないのってくらいで。」

 家名はあまり意味のあるものではないのだとさらりと。
 続く冒険者の信頼やら実績だのの話は、あまり目を向けても仕方がないと諦めてしまうところだが、改めて話題にすると重かった。

「…そうでしょうね。ギルドは依頼を達成させないとはじまらない。
 同じ報酬に多人数で当たってくれるならその方が確実そうだし…
 けど一人頭の取り分は減って、烏合の衆じゃ危険の押し付け合いと利益の奪い合いか。」

 無遠慮に聞いてしまったけれど、気掛かりが一言でとりあえずの解消をみるのだから聞いてみるスタンス。
 「使われる」と聞けば、積極的に捨て駒にしようなんて手合いもあるのかと、
用心しているつもりだがそこまで悪質なところには意識が及んでおらず、気を付けようと顔を顰めた。

「価値観違ったりするとコワイものね。
 でも、そうか… 安易な誘いには乗らない方が――
 ――アニー大丈夫でしょうね。」

 相棒であるアーネストの女子めいた愛称を思わず呟いて、
あれ、熟練パーティが新参者を拾ってくれるって肉盾じゃあるまいかと眉根を寄せる。

「…いや、でも悪い話は聞かないし、有名どころなら平気でしょう、うん… うん。
 ――気を付ける、と言っても、私にはそもそもオファーが無いから、まあ。
 ご縁があればよろしくノーブル。私は魔術師。」

 この話の流れで相手を信頼なんて出来ないので、ほとんど戯れの言葉だが、もしも何かあればと言っておく。
 そんな話をしているうちに、やがて冒険者ギルドか。

ノウブル > 「そうか…俺も家名は無い。
初めから同じ事をして居れば、少し違ったのかも知れんな。」

(適当でも、家名を付けて置く、と言う発想は全く無かった。
なるほど、と、今更では有るが、そう言った方法が在る事に思い至り
主に信用、と言う点では変わっただろうかと、呟いた。
次第に冒険者ギルドの建物が見えてくる中で、交わす言葉

狩人として、ではなく、冒険者としての活動を鑑みれば
新参がすぐに実績を作り、活躍できる機会が多いとは言えないだろう
それに、冒険者同士のいさかいになぞ、誰も好んで介入はしない
カモにされた新米が、其の儘盗賊に崩れても不思議なぞ無い。)

「良く考えるのは必要だろうな。 ……俺は何も保証出来んが。
依頼か…、……仕事が欲しいのか、御前は。」

(相棒か、と、一つ問いながら。 先刻から、稼ぎや仕事について
比較的、後ろ向きな言葉を連ねる相手に、ギルドの門前にて、声を掛けては
扉に手を掛け、ゆっくりと押し開けながら、女へと振り向き。)

「―――試して見るか? ……二人組で、受けられる依頼が増えるのか。」

(――其れは、オファー、と言う物だろう。
とは言え、良く考えろと言う今の話の流れで、即断即決が出来る物でも在るまいが。
魔術師だと言う相手に頷いたなら。 己も、背に背負った獲物の柄を、軽く握り、離して。)

「ノウブル、だ。 魔法は扱えん、だが、前には立てる。」

(――ノーブル、と言う発音に、ほんの少しだけ訂正を入れる事で
貴族、と言うこの国の言葉とは違うと言う事が知れようか
半開きの扉の前で、相手が如何答えるかを待つ様に一度、足を止めた)。

シンディ・オーネ > 「さあ?
 冒険者なんてしてる根無し草の家名なんて、よほど有名でもないと。」

 意に介されないのではないかなと。
 少なくとも自分は、自分でやっておいてなんだけどそのクチだと、あっけらかんと。
 仕事が欲しいのかと問われると、私を何だと思っているのかと不思議そうに見つめる。

「そうね、ちょっと贅沢して良い宿とっちゃったら先行き不安でもちろん。
 駆け出し冒険者よ? 分かってると思うけど、欲しいでしょう。
 何でも良いとは言わないけどまだ受けた事があるの小間使いだけってくらいには仕事を選んでもいられない。」

 魔術師なのよ? ホントよ? けっこうスゴイと思うんだけど… と眉根を寄せ腕組みして鼻息ふんす。
 辿り着いたギルドでそれじゃあお別れねと思っていたら、振り向く相手からのオファー。
 ふむ、と腕組みして佇む。

「…私はあなたを良いように使う。
 そう、か弱い魔術師だから前に立って守ってもらう。
 それで、一仕事終えるとなったらドサクサに紛れてまとめてドカン不慮の事故。
 そうしないと、どうして思った?」

 この相手を容易く葬れるとは思わないが、今していたのはそういう話。
 お互いを何も知らないでしょうと天邪鬼な事を言うが、
この相手ほど極端でなくとも自分の容貌には目下戦争中の敵国フレイバー。
 村八分というか周囲に馴染めない感覚には親近感を覚えており、相手のこれまでの口振りを考えれば当座は信じて良いような気もする。
 素直になれないのはそういう人間関係を築いた事がほぼ無いからか。
 挑むように言ってしまって『しまったかな』という顔になった。

「…私に悪い話ではないからな。
 試してみてもいいけど。」

 ぼそぼそと。

ノウブル > 「確かに、其れもそうか。
まぁ、考えろと言っても、この名以外に思いつく物なぞ無さそうだ。」

(今も、少しばかり考えてみて、思いつく其れっぽい家名なぞ無かった
そも、己が故郷には家名と言う物自体が存在しなかったが故、だろうが
扉の前、女の反応を待てば、帰ってきた言葉に、一度戸から手を離した
振り返り、女へと向き直りながら、其の瞳を真っすぐに見遣れば

――僅かな間を置いて。)

「―――――……"あれ"を見て、あんな顔をする奴が、其処まで姑息になるとは思わん。
其れに、躊躇無く其れが出来るのなら…仕事と金には、困って居ないだろう。」

(――稼ぐ、と言う目的に対して、本当に過程や手段を択ばないのならば。
だが、目の前の女に、そう言った気配は生憎乍ら感じない、と
声を掛けた理由を告げ、信用する理由を教えよう。
其の上で、相手が己を信用するか否か、だ。

急かす訳でも無く、拒むのも、時間を掛けるのも相手の自由だ
考える暇くらいは与えるだろう。 待てと言うなら、この場でも待つ。)

「……其れに今、俺を陥れた所で、御前が余分に得られる金なぞ大した事は無い。
逆も然り、だ。」

シンディ・オーネ > 「知らないぞ、自分に関係無い見世物を見て哀れむポーズをとるのと、
 目の前にくすねても良い金が転がってるのをどうするかは話が違う。」

 ふん、と向けられる信用の話にはいささか頑なな態度を取り始めるが、少し顔が赤いので照れているのかもしれない。
 良く評価される事には、慣れていないのだ。
 面と向かって肯定してくれるたった一人さえ居ればいいという感覚だけれど、別にそこは一人だけがいいってわけじゃなくて。

 何より、うだつの上がらない冒険者が二人になって仕事を貰ったところで、そんなに良い稼ぎになんかならないだろう。
 余分に得られる金がどれほどのものか。
 少なくとも、相手を敵に回したりギルドから目をつけられるかもしれないリスクを負うほどではないに違いないと、構えた自分を思わず笑った。

「――はは、確かに。
 じゃあ、ええ、よろしくお願いします。
 二人でも受けられるんだけどって探してみて、何か紹介してもらえたら連絡しましょうか。」

 宿はどこよと連絡先を交換し、二人限定で仕事を求めるわけではないが、あればよろしくと軽く言い今日は別れる。

ノウブル > 「落ちている金を拾うのと比べて、数段面倒で厄介だろうがな。
……構わん、少なくとも、表情にすら悪意を隠せん連中とは比べるべくも無い。」

(張り付いたような笑顔で、人を騙そうと近付いて来るような輩を相手取るよりは
遥かに信用出来る、と。 ――其れは、珍しく戯言めいた声音では有ったが。
二人組になって実際、受けられる依頼が増えるのかは、話しかけて見なければ分かるまい
其れこそ、初めは実績を得られるまで、然したる依頼は回されぬだろう、が

己はともかく、女にとって、其れが足掛かりとなるなら、決して無駄ではあるまい。
結論、女が零した笑い声と共に、オファーは締結される。
連絡先と宿の情報を交換した後、今宵は一度別れ、本来の報告へとギルドへ入り

さて、其の結果は、果たして――)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシンディ・オーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノウブルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――夜間でも人通りの絶えない賑やかな飲食店街。そこら辺の屋台で売っていたワッフルなどを食べ歩きながら、暢気に鼻歌など口ずさんで相当気を緩めて平和な様相を呈していた。
 すると、進行方向の脇道から不意打ちで野良犬が飛び出してきて一声吠え。

 ワン! 
「きゃあぁあぁ!?」

 完全に油断していた故、秒で恐慌状態に陥り悲鳴を上げて飛び上がり、咄嗟にずざざざざ!と道の脇に物凄い勢いで後ずさり。

 べきばきどきゃッ

 その先にあった積み上げられていた木箱に飛び込んで。あまつさえ木箱の中に腰が丸ごとすっぽり嵌って両足と肩を出した体勢で抜けられなくなった上。

 がごんっ

 その脇に立てかけられていた角材が頭にクリーンなヒット。

 べしゃっ

 さらに持っていた食べかけのワッフルが手の中からすっぽ抜けて跳ね上がり顔面に直撃してクリーム塗れになった。

 連続した騒音の後、しーん、と静まり返る周囲。元凶の野良犬の動きも凍り付いたように停止していた。

 喜劇でもそうそう見ないようなベタ過ぎる三段落ちがリアルに展開中。

ティアフェル >  顔面クリームまみれになって腰をU字型に折った体勢で狭い木箱にジャストフィットしたTHE喜劇な女。
 静まり返った空気と痛い程刺さる視線を感じ、目をワッフルに塞がれたまま。

 い っ そ 殺 し て

 過去最強な厭世感に陥っていた。
 やらかした、わたしに生きる価値などありゃしない。
 このまま、すーっと世の中から霧のように消え去ってしまいたい。
 ぷくーっと角材のぶち当たった側頭部に見事なタンコブを膨らませながら、生まれて初めて死にたいという感情を知った。
 できればこんな間抜け一直線なトリプルコンボで知りたくなかった。

ティアフェル >  ……ところで、いつ脱出しよう。……いや、むしろこれ、出れない。
 今自分がすべきことは、速やかに木箱から脱出して、この場から一刻も早く走り去ることだと。
 至急恥の現場から消えることだと。

 そこまでは判断したものの。

「ふぐ、ん、んっ……んんぅ…ッ」

 じたばたじたばた。木箱からの脱出を試みてみるが、どうやっても腰が持ち上がらない。

 やばい、木箱に嵌って出れない。
 ちょっと太った?お尻大きくなった?

 ジャストサイズ過ぎて抜け出せない打ちのめされる現実。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティアフェルさんが去りました。