2020/07/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > 夜が深まっても、あまりの悪天候でもなければ賑わいは続く、大通りから続く道の数々は今日も賑やかな喧騒で溢れている。
寛ぐためであったり、よからぬことを考えていたりと、行き交う人々の思惑は様々だろう。
けれどもそんな通りから少し裏道へと踏み込めば、喧騒は鳴りを潜める様に静まり返り。
平民地区であっても油断してはいけないことを再認識させるかのように、人気はあっという間になくなっていくのである。
そんな人気のない路地を抜けた先に、ポツンと灯りを零す雑貨店は、周りの静けさと相まって少し目立つかもしれないが。
店の中で蠢く影は少年のもの一つであった。

「天気が良くても…相変わらずですね」

配達から流れる様に続く店番も、既に数時間といった所のようである。
その間も特にお客が来店するような事はなく。
店長への持ち込みすらなかったようであれば、閑古鳥が鳴いていても可笑しくないかもしれず。
すっかりとお店の整理も終わってしまっていれば、流石に暇を持て余しているのだろう。
何気なく、カウンターの机の引き出しを開けたり。
棚の陳列へと改めて視線を動かしていくが、気を抜けば直ぐに零そうになる欠伸を、手で時折隠すようにして、少年は噛み殺していく。

「何か変化でも生かして…お客さん増やす方法ないかな」

店内に並ぶのは、特に珍しくもない雑貨の数々である。
持ち込まれて棚に並べられた、細工の細かいランプなどは多少目を引くかもしれないが、そのくらいであり。
安売りのチラシもいまいちであり、魔道具は基本店長への持ち込みであれば、少年ができる売り上げ貢献といったことは、あまりないのだろう。
自らの特技を生かして、そんなことを思案していけば、少々ぼーっとした様子で、何気なく静まり返った店内に視線を揺らめかせ。
少々不用心な様子で、カウンターの椅子に腰を下ろしたままぼんやりとしているようだが。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 「~♪ いやぁ、良い月見だったね、良い場所見つけたわぁ。」
とある人と遭遇して見つけた月見の穴場できれいな月を堪能した帰り…平民地区はすでに暗く、人気も失せた次第…適当にほろ酔い気分に任せて散歩していた隻腕の男は、ぽつん、と…その先にある雑貨屋の明かりを見つけて。

「…へぇ、こんなとこに雑貨屋なんてあったのか。…ちょっと覗いてみるか?」
知らぬ看板に好奇心をそそられ、まだ開いてるかはわからないが、明かりがついているのだからと…店のドアに手をかけ、そっと開き、中を覗く……途端、男から漂う甘い香りがふわりと…店内に吹き込んだ。

「どうも…まだ開いてるかい?」
ニィ、と笑いながらも、遠慮がちに問いかける男の人懐っこい笑みが…店員を探して店の中をぐるりと視線を回し。

フィル > 「ふぁっ…え、あ、はい!
い、いらっしゃいませ!まだ開いてます…!」

どんな姿にも化けられる、かといってそれに合ったふるまいを完全にこなせるかは少年の技量次第である。
何かに影響されたものや、元があるものに化けるのであれば、ある程度やり易いとはいえ、そこはまだまだ修行が必要であり。
いつの間にかボーっとしたまま、多少船をこぎかけてしまっていた少年は、眠りのふちまで来てしまっていたようだ。
大きな音での入店でなかったからこそ、店内へと夜分遅くの来訪者が踏み込むまで気づけることはなく。
響く声に予想以上に大げさな声で体をビクリと震わせ。
椅子から落ちそうな様子で、向き直るままに挨拶を送るのだから、少々滑稽にもみえてしまうかもしれず。

「す、すみません…。
何をお探しでしょうか…。
それとも、別件で何か御用でも…?」

ふわりと漂う香りに、普段なら気づけていたかもしれない。
けれども寝起きにも近い少年は、慌てたことでその嗅覚の良さを生かすこともできず。
体を落ち着かせる様に何度も深呼吸を行い、息を整えてから、改めて口を開くことになったのだ。
そもそも人が少ない路地裏にある雑貨店であり。
深夜にお客が訪れることなど、それ自体が稀である。
雑貨店の店主への魔道具の持ち込みという、知る人ぞ知る用事のためか。
普通にたまたま見つけた雑貨店に興味をもって来ただけなのか。
それとなく反応を伺う様に、少年はカウンターの椅子から腰を上げ。
夜分遅くの来訪者である彼へと、歩み寄りながらぺこりと一つ頭を改めて下げるだろう。
店内は基本的に視界に入るものは、表の雑貨屋でも目に付くようなものばかりであり。
深夜に店番が少年一人、という様子は少し不思議に映るかもしれないが。

ヴェルソート > 「おや、居眠りかい? まあ、こんな時間だからねぇ…入っても良いかい?」
店番とは偉いなぁ、なんてケラケラ笑いながらもドアを開けて入ってくるのは、片方の袖をだらんと垂らした小柄な男。
熟れた果実めいた甘い香りをまとった男はそんな店番だと思っている少年を見ては楽しげに笑みを零しつつ、店内へ……。

「へぇ…結構色々あるんだな。路地にあるからもうちょいアレかと…っとごめんな?」
思わずぽつりと感想めいた言葉を零しつつも、内装や品揃えに意外だと言ってしまったので慌てて謝罪をしたりしながら、ふと…聞き慣れない言葉。

「別件?雑貨屋以外にもなにかやってるのかい?」
そう言って、男は完全にドアを締めて…店内へと入っていった……。

フィル > 「いえ、その…少し考え事を…してましたから、えと。
ど、どうぞ!」

ここで寝てました、とは流石に言えないのだろう。
咎められることはない、来店してきた彼の態度に少しは安著の吐息も零れそうになったようだが。
まだちょっと慌てた様子が抜けないのは、少年の性質と寝かけていたところを見られたことご愛敬かもしれない。

「いえ、実際に…そこまで特筆したような品物は、ないですから。
たまに弱い魔道具くらいは並ぶことはあるんですけど」

店主が問題なし、そして売り物には大した価値がない。
そう判断されたものくらいは、この売り場に卸されてくるのである。
実際に雑貨店で見れば、こんな場所でなぜやっているのかと、問われても不思議ではない普通の雑貨店なのだから、仕方がなく。
彼の言葉を特に気にすることもなければ、むしろ少年は同意するようにうなずくのだから、その苦労はにじみ出ているといえるかもしれない。

「ああ、いえ。
店主さんへの持ち込みをされる方もいますので…」

そして今更になって妙に甘いような香りが、どこからか零れていることに気づいたのだろう。
鼻を軽く利かせる様にしていくが。
問われたことに対しては、細かい説明とまではいかず。
知らないのならそれとなく、当たり障りない答えを零すようにしていき。
店内へとたまたま雑貨店を見つけて入った。
と思しきお客である彼の話を伺っていったであろうか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 表の喧騒から離れた路地で、太った男が、革鎧を着た冒険者風の男の頭を鷲掴みにしていた。
掴まれた男は、恐怖の形相で、歯の根をかちかちと合わせているが、それを行っている男はそれをゴミを見るような眼で見ていた。

「ふむ。私とした事が、つい大人げない事をしてしまったな。
暇だったとはいえ、あの様な安い挑発に乗ってしまうとは……悪魔の名が泣くというものだ」

元々は、肩と肩がぶつかった程度のトラブルだった。
ロブームの方は、特に関わり合いなど持つつもりなどなかったのだが。
酒に酔っていたのか、向こうから喧嘩を売ってきたのだ。
丁度暇潰しを探していたロブームは、遠慮なく乗らせて貰った、のだが。
――相手が悪かった。弱すぎた。

「さて、どうするか。一端とは言え、私の呪術を見せた以上、このまま返す訳にもいかぬな。
……丁度、私のメイドが肉が足りぬと言っていたな。一人分で足りるだろうか」

最後の呟きに、悲鳴を上げて更に激しく抵抗をしようとする男。
だが、身体は全く動いていない。ロブームの呪術が、彼に一切の動作を許さないのだ。

「(フン、誰がお前のような弱輩の肉なぞ食うか。臓腑が腐るわ)」

内心吐き捨てながら、下郎を脅す男。
その真の理由は、悲鳴。この悲鳴を聞きつけ、助けに来る誰かを待っているのだ。
それが男ならば、手の中の男もろとも魔族の国に連れて売り飛ばすだけ。
だが、女ならば……彼女はもしかしたら、ロブームの趣味に合う誰かかも知れない故に。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にリムリアさんが現れました。
リムリア > ギルドでの仕事を終えて、裏口から出てきた少女
いつもは一度表通りに出てから下宿先へと帰るのだけれど、何か物音が聞こえた気がして。
裏通りの、その奥のほうへと足を向ける。

夜の帳が、一層濃く重なったような暗がり。
手にした灯りがなければ、足元さえも危ういそんな中で、人影が二人分浮かび上がる。
ただの喧嘩を下手に仲裁しようものなら、巻き込まれて自分の方が怪我をしてしまう。
けれども、見たところ酔っ払いの喧嘩にしては一方的で。

「ちょっ……や、やり過ぎです! お、落ち着いてくださいッ!」

危険を顧みず、というよりも、絡まれている男に見覚えがあったら、深く考える前に声が出てしまった。
最近、ようやくランクアップしたばかりの冒険者の男性。
つい先日も、実入りの良いクエストを成功させたと喜んでいたはず。

そんな覚えがあったから、事情もよく分からないままに、止めに入ってしまったのだけれど――