2020/07/05 のログ
■ジーゴ(番号215642) > 「それもそっか。オレも売られたくないし、こいつも売られたくない」
想像力や客観性に乏しい少年はそこまで説明されてようやく、納得したように頷いて。
「おねえさん、こいつの親みなかった?こいつどこの子供かわかる?なんかこの人に似てるらしいんだけど」
迷子の子供を指さしては、立ち並ぶ商店の一つ一つに声をかけて。ただ、商店の店員も忙しく働きまわっているものだから、子供の親を見たという人にはなかなか行きあたらない。
1本タバコを吸い終わってしまうと、地面で火を消して、そのままに。次の一本には手を伸ばさないのは、一応「バカになる」というのを気にしてのこと。
「なあ、こいつの親見なかった?青い服着てると思うんだけど」
ふと目にした街角の物乞いの老婆の目の前にしゃがみ込むと、座る地面に置かれた小さな椀に小銭を入れながら問いかける。
老婆の小さな声を聴き洩らさぬようにすることしばらく。
立ち上がって2人の方に手を振って。
「お前のかあさん、あっちに歩いて行ったってよ」
少しは有益な情報が得られたようだ。
■エリア > 今理解するのか、と額を抑えた。
説明すれば判るのは素直なのか。まあ、分かったのならそれでいいと小さく肯いて。
それから、それらしい人物がいないか少し辺りを探していると、聞き込みを続けていた少年がようやく情報をつかんで。
物乞いの老婆からの証言を頼りに、手を振る彼に近づき。あっち、と示された方向を向いて。
「それなら早く向かいましょうか。向こうも移動なさっているでしょうから……」
そろそろ迷子の親探しも終着点が見えてきたか。母親に逢えるかも知れないと察した子と足を速めて情報を得た方向に向かい。
やがて、近づいていくと遠く、名前を呼ぶ女性の声が響いてくる。その声を耳にして子供が反応した。最初は小さかった声も近づくにつれてはっきりと響いてきて、そうかと思うとその方向へと不意に駆け出す子ども。人波を掻き分けて声の響く方へ走りながら母を呼べばやがて、それに向こうも気づいて視線の先で金髪の女性に子供が抱き着いていた。
■ジーゴ(番号215642) > ずっと動かずに市場を行きかう人を眺めているだろう、ということで市場の方に向かって座り込んでいる老婆に声をかけたのは十分に当たりだったようだ。
少し先に向かうと、親が子供を探す必死な声を聞こえてきて。「チッ…」獣の少年が小さな舌打ちを零す。
なぜか不愉快だ。苛々して指の爪を歯で噛んで。
直に駆けていく子供。その到着点で親子が再開し、親が子供を抱きしめるのを見ると、わかりやすく視線をそらした。目つきは苛立ちを隠しきれないし、耳もピンと立っている。「親子の愛」みたいなものを見せられると腹が立つ。
「100ゴルドちょうだい」
去っていった子供には興味がない、とばかりに踵を返そうとしながら、臨時の雇い主に、手を出しながら賃金を要求した。
■エリア > 一時はどうなる事かと思ったが、手掛かりを得てからは展開が早かった。
首尾よく見つかって安堵して、こちらに手を振る子どもと、頭を下げる母親に会釈していれば。何故か苛立っている気配に小首を傾げながら少年を見やり。
ぽん、と緩く宥める様にその背中を叩いてから。
「ええ。お待ちなさいな」
報酬を渡そうと手を出す彼に財布を取り出し、硬貨を確認して手渡し。それから少額ではあるが少し謝礼を弾んで。
「これが謝礼の100ゴルドと……後はご褒美ですわ。しっかり働いて早く買い戻しとやらをなさいね」
硬貨をその手に載せてやるとほんのりと笑みを投げかけ。そしてそろそろ帰宅しようと歩き出した所で道が良く分からない場所である事に気づき――、
「以前行った屋敷の場所を覚えてらっしゃるならわたくしを送って下さるかしら? 着いたらまたお小遣いを差し上げますわ」
本日の依頼その2が発動した。報酬を盾にしてそう言いやり、受注されるようなら屋敷まで。無事につけばいくらかの報酬とちょっとした菓子類でもオマケに差し上げるだろう。
■ジーゴ(番号215642) > 無意識に爪をかじっていたが、背中を触られると、
きょとんとして爪を口から離して。
「やった!」
もらえたお金には素直に喜ぶ。言っていた金額よりも多く
一気にご機嫌になって。
自分を買い戻すにはまだまだ微々たるお金でしかないが、少しは足しになるだろう。
受け取った小銭はそそくさとズボンのポケットにしまって。
「ねえさま、もちろん」
無意識に手を相手の手の方に伸ばして、許されば本当の弟であるかのように手をつないでしまおうと。
迷子の対応をしていたはずの目の前の貴族が迷子になっているだなんて思いもしないから、護衛替わりだろうかなんて思って、その依頼は受注される。
獣の能力からか、方向感覚の鋭い少年はまだ人の多い街中を抜けて、貴族の屋敷まで、スムーズにたどり着き。
報酬とお菓子のオマケにホクホク顔で帰路に就く。
少し寄り道の多い買い物であっただろうか。
■エリア > 渡した報酬により、すぐに上機嫌になり、もう一つの依頼も受けると手を繋いでくるので、小さく笑いながら小さく感じる手を繋ぎ。
道々、一体いくら稼がなければならないのか、などと質問しながら屋敷まで。
道案内をさせて無事に辿り着くと、屋敷で作られた焼き菓子と小遣い程度の報酬を手に去る背中を窓の向こうから見送った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジーゴ(番号215642)さんが去りました。