2020/05/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にマルズヴェインさんが現れました。
マルズヴェイン > 巨大な、見上げるばかりに漆黒のユニコーン。本来、純白の毛並みである筈の…そして、乙女のみに背を許すはずの漆黒の一角獣に、その男は跨って、王都の城門をくぐったのだ。
身に纏うは、漆黒の明光鎧と呼ばれる甲冑。
シェンヤンでも名のある将軍でなければ身に纏えぬような、それは豪奢な甲冑である。
が、見る者が見れば一目にして瞭然。ただ豪奢なだけでなく、実用に富んだ拵えであるというのがよくわかる。
ただ、重い。
そしてまた、その男もまた、巨漢である。
漆黒の一角獣は、そんな男を軽々と背にして、ぬ…、と城門をくぐったのだ。

「ほほう…!」

王都の活気に、男は楽し気にそう声を出す。
好奇心溢れんばかりという具合だ。
港街の娼館に随分と流連したが、やはり退屈こそがこの男にとっては最大の敵であるらしい。
王都にはさて、どのような出逢いがあるものか。
一角獣の背、鞍の上に片胡坐のような姿でのんびりと座し、巨大な槍を肩に担いで男はゆるりと一角獣の蹄を鳴らして街をゆく…。

マルズヴェイン > 見るもの聞くもの、届いてくる食べ物の匂い。その全てが物珍しい。
童子のように瞳輝かせて、男は王都の様子に目を凝らす。
往来の真ん中をゆく巨大な一角獣はひどく人目を引いた。
その巨体に巨漢と言ってよい男が乗り、さらには大振りの槍までかついでいるのだ、目立たぬ方がおかしい。
そしてまた、男はそうして目立っているということを、やはり童子のように楽しんでいる風であった。

異風を好み、奇抜であることを好む。

そうして誰にも縛られぬ。そういう雲のような佇まいで男は、王都の往来に一角獣を闊歩させ…。

マルズヴェイン > 眼に入るもの全てに好奇心を刺激され、この男はそれはもう、楽しそうではあるが。
文字通り、風の吹くまま気の向くまま、雲のような男である。
こうして王都へと至ったはよいが、今宵の宿とてあてがあるというわけではない。
このままでは、またいずれかの娼館にでもふらりと立ち寄り、そのまま流連、などということとなっておかしくはなかった。
王都まで至れば、なにやら戦乱の兆しもあるとか。

また陣場を借りられれば、面白い闘いのひとつやふたつ、できうるかもしれぬと、男にあるのはそのような思いであるが、呑気に往来に巨大な一角獣をゆかせる姿には、そのような苛烈さをにおわせるものは微塵もない…。

風とも雲つかぬこの男、はてさて、王都では文字通りどのような風雲に、巻き込まれてゆくものか…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からマルズヴェインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にサチさんが現れました。
サチ > 繁華街から少しばかり逸れた通り。遊興施設は少ないが商店や食堂、宿屋など実直な店が軒を連ねており、そこそこ人通りはあるがさして騒がしくない、なんの変哲もない一角だった。
夜のこの時間でも混雑する訳でもないが人気は途絶えるでもなく、今も数人の通行人に混じって女が一人、少々頼りなげな足取りで歩いていた、のだが。
「………ぁ、れ……?なんだか……」
ふらり、と揺らぐ足取り。目が眩んでその内立っていられなくなり、今はもう閉まっているとある商店の前で蹲った。
ぐぎゅるるる~…… 大きな音がその腹の辺りから響き渡り。つまりは。
「エネルギー……切れ……」
呻いた声。空腹の余り動けなくなってしまい、決して身なりがいいと言えないその女はふらふらとそのまま動けずしゃがみこんで俯いて、立ち眩みが収まるのをただ待つしかなく。
傍を行き交う人の足は、今の所止まる事もなく、気にされるでもなく通常通りに流れていた。

サチ > 勝手に暗転してしまいそうになる目を一度ぎゅっと閉じて、額に手を当てて深呼吸を繰り返し、そのまま落ち着くのを待ちながら、いくつもいくつも脇を通り過ぎていく靴音を聴いていた。
軽快なピンヒールの音、かぽ、かぽ、と独特の音を立てる木靴の音、少し擦れた様な響きの布靴の音、たまに混じる、カツ、コツ、と微かに硬質で高級な革靴の立てる、どこか自信ありげな音。
それぞれが履いている靴の材質と、その人のテンポが奏でる足音。一つ一つ、違う音。
聞き入るように目を閉じて、道の隅っこで耳を傾ける音。それは、ひょっとすると一つくらい、自分の前で止まったり、するのだろうか。
どうしたのか、尋ねてくれて、少し心配してくれる、そんな――
都合のいいだけの妄想で無理矢理心を温めて見る。
我に返ると虚しいだけに過ぎないのだけれど。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロゴスさんが現れました。
ロゴス > 「お姉さん、大丈夫?」

空腹のあまり幻覚でも見えたのだろうか。
目の前で立ち止まって、心配の声をかけてくれる人影。

「大丈夫? 顔色、悪いよ?」

いや、幻覚ではない。
はっきりと、確固とした質量を持つ一人の人間。
空腹の女性が思い描いた通りの行動を取ってくれる人物が、目の前に居た。
それは猫の耳と尻尾を持つ、高価そうな金縁の鎧、剣と盾で武装した、冒険者のような風貌の少年であった。

サチ > 「……え……?」
頭の中で、響いていた声が妙に生々しく聞こえた気がした。
大丈夫かと問う声。少し心配して掛けてくれる声音。
妄想の中で聴いていた声が、現実に響く。
「………ぇ…へへ……」
思わず、ぽかぁ、と胸中が暖かくなって、ゆっくりと開いて向けた眼の先に確かに映る、幻ではなさそうな一人の少年の姿に思わず込み上げるように破顔して。
「顔色、悪いです、か?病気じゃないので、平気ですよ。
少しばかり、空腹なだけなのです」
蒼っ白い顔色の割には、力ない声の割には、どこか嬉しそうに答えて、にこー、と笑みを形作った。

ロゴス > 「大丈夫そうには見えないけど……そう、お腹が減ってるんだ」

目の前にいる人物は、いわゆるミレー族と呼ばれる種族だ。
差別的に扱われるのは日常茶飯事であるにも関わらず、この少年にはどこか余裕というか、ゆとりがあった。
それは面倒事に巻き込まれるまいと、足早に通り過ぎる他の者達とは違うことで伝わるだろう。

「ライ麦パンならあるけど、食べる?」

眠たげな薄目の少年は、手持ちの袋の中から黒パンを取り出した。
作られてから時間が経っているのか、少し硬くなっているようだ。
決して上等な食事とは言い難い。

サチ > 「ぁはは……情けない事に。少し休めば多分、なんとか……。
ご親切に有難う御座います」
貧民街でもないのに行き倒れならぬ行き蹲り。事情を話す間にも、ぐぎゅるーと空っぽの胃が泣いていた。
声を掛けてくれた相手の頭に特徴的な耳や尻尾は確かに見えていたけれど、だからと言って調子を変える事は微塵もなく。
しかし、パンを取り出して勧めてくれる声には、少し驚いたように目を開いて。
「ぇ、あ…嬉しい、ですが……その…今は持ち合わせがないのです……」
家に戻れば少しはあっただろうか。しかし今は一銭も持っていない。パンの代わりに差し上げる品物もない。差し出された善意を見つめて、やはり情けなさそうな表情でやや俯いて。

ロゴス > 「…………」

多分、なんとか。
女性の頼りのない言葉に、少年は少し眉を下げた。

「お金は要らないよ。顔、真っ青だよ? 何日も食べてないんでしょ?
 困った時はお互い様。いいから早く、口にして。目の前で倒れられたら、それこそ夢見が悪くなるよ」

ずい、と黒パンを持った手を突き出す。
いいから受け取れ、と言わんばかりに。

サチ > 「いえいえ、ほんの丸二日です。ちょっと食べるのを……忘れてしまいまして」
苦笑いしながら語る内容は些か嘘くさい。事実半分虚偽半分といった所。忙しさにかまけて忘れていたのもあるが財布が厳しいのも無論あったのだ。
だが、言い訳がましい声を封じるように突き出されたパン。毅然とした様な少年の言葉に、反射的に頷いて受け取り。
「い、頂き、ます……」
パンを手に蹲る女はさすがにこのままかぶりつくのは如何なもの、と案外理性は残っていて、取り敢えずよろ、と立ち上がって店舗の壁に背を預け。そのまま、ぱくっと頬張った。
堅いが素朴で旨味のあるパンの味。はぐ、はぐ、と続けて噛み締めていくと。善意と味が身に染みて、じわあ、と双眸が潤む。
「お、おいひいです……」
大層情けない貧乏人の図。

ロゴス > 「よく今まで保ってたね。僕もここがスラムなら一人一人に施しなんてしないけど。
 お姉さん、何か理由があるんでしょ?」

少年も女性に続いて通路の脇、壁際に移動して。
女性が涙目でパンを頬張る様を見ても表情を変えずに、そう尋ねた。

「話しにくい理由なら、無理に話さなくてもいいけど」

少年は食料を譲ったばかりか、女性の境遇について案じている。
見た目こそ少し古着ではあるものの、ボロ布を纏っているような極貧の貧民より余程キチッとした身なり。
そんな女性が何故、何日も食べられずにいたのか、理由を知りたがっているようだ。

サチ > 「まあ……慣れっこですから。そうですよね、貧民街では私みたいなのは珍しくありませんから……でもここだからって声を掛けて貰えるのも中々ないです。大した訳じゃありません、けど……」
うるうるしながら。はぐはぐとパンを咀嚼していく女。訳ありに見えるかも知れないが、その理由は隠しておく様な物でもないが情けないのは間違いない。
随分身なりのいいミレー族、と言う少々変わり種なそちらを見て、口の中のパンの欠片を飲み込むと、ごくん、と音を立ててから。
「実は借金まみれで……返済で生活が苦しくって、つまり――貧乏なのです」
借金苦の貧乏人。頬を掻きつつ語って。半分ほど食べたパンをまた頬張ると、口の中がいい加減乾いて来ていてごほごほ咳き込んで胸を叩いた。

ロゴス > 「貧乏だけれど、貧民街にはいない。ふむ」

少年は事情を聞き、顎に手を当てて少し考え込むような仕草をした。
女性がこうなるに至った原因を推測している様子。

「借金まみれだけど堕ちるところまで堕ちたくはない。
 何とか返済しきって平民として生を全うしてやる……って意地かな? 当て推量だけど。はい、水」

少年はそう結論付けたようだ、もちろん確証は全くないが。
そして、腹が減っているなら喉も乾いているだろう、そんな状態でパンを食べれば。
そう見越していたかのように、咳き込む女性に水筒を差し出した。

サチ > 「貧民街もテリトリーですけど」
平民地区~貧民街をテリトリーにあちこちで仕事をしている暇なし貧乏。一応注釈をした。
そして手短な説明だけで、何だか推測されてて、ごっほえっほやっている間にいただいた水筒を、ずびばぜん…と受け取り、ごくごく、と喉を鳴らして飲み込み。っはぁぁ、と大きな息を吐いた。
「重ね重ねかたじけないです……。
うぅん、そうですねぇ……あんまり深く考えてませんけど、借りた物は返す、それだけですかねえ……でも中々先は長そうで」
右手にパン、左手に水筒、とピクニックかとツッコミたくなるような体勢で食べて飲んで大分落ち着き、徐々に顔色も戻って来ると改めて隣に立つ少年を眺め。
「そういうあなたはミレーの男の子、ですね?
冒険者さんか何かですか?失礼ですが、そんな風に隠さず堂々となさっているの……少し珍しいかも知れません」
差別や偏見が付きまとう弊害から、奴隷の様に晒す事を余儀なくされていなければ、街では隠して生活しているパターンが多い。こうもオープンなタイプは余り見ないもの。

ロゴス > 「んー? でも、娼婦はやってないんでしょ?」

貧民街もテリトリーと聞いて、物凄くストレートに疑問点をぶつけてきた。
少年の嗅覚は通常の人間よりも遥かに上、多くの男性と交わっているならすぐにそうと分かるのだ。

「うん、ミレー族だよ。僕はそれを隠さずに、冒険者をやっているというのも当たり。
 それだけで僕の実力の証明になるから、今となってはかえって楽なんだ。僕、強いから」

差別や偏見を全て歯牙にも掛けずに生きることを、少年は選んだということらしい。
確かに、あまりにも堂々とミレー族ということを隠さない様は、ある種の威容を感じるかもしれない。
にわかには信じがたい話ではあるが、彼の装備は確かに生半可な実力で手に入るようなものには見えず。

サチ > 「ええ、何だかそれは悔しいので。後、私絶対肉体労働の方が向いてるんですよね」
力強い調子で断言した。彼の率直さはまあ、当然と言えば当然の質問なので、特に引っ掛かった様子はなく。見破られた、とまでは気づきはしないが。
「わあぁ……凄いんですねえ。強さがあると言うのもちょっと羨ましい気がします。強いし、親切なんですねえー」
のほほん、と目を細めて、三分の一くらいになったパンを半分程頬張って。こく、とまた水を含んで飲み込み。ふえぇ……と気の抜けた表情を浮かべる女は……彼より結構年上だとは思えないヌケ作だった。
やがては一つパンを食べ終わると、お腹を擦って中身の減ってしまった水筒を丁重にお返しし。
「大変ごちそうになりました……。何かお礼をしたい所なのですが……労働でお返し出来れば…!何か御用はありませんか?」
食べ終わると流しの御用聞きに早変わりした。至極真面目な表情でそちらを覗き込むように、左右色の違う瞳を見つめ。

ロゴス > 「悔しい、か。うん、僕は好きだよ、そういうの。安易な道に流されないで、苦難の道を征くのは」

ふにゃ、とした笑顔を見せる。
笑顔は見た目相応の幼いもので。

「何を指して強さと呼ぶかにもよるけれど……僕は何より、僕自身に負けたくないんだ。
 そうやってがむしゃらに進んでいたら、こうなっていただけ」

どうにも、求道者のような側面があるらしい。
生まれた時から奴隷ではなかったものの、隠れ潜むのも良しとはしなかったようだ。

「お粗末様でした。お礼、か……んー。お姉さん、剣の研磨ってできる?」

ぐ、と肩のベルトに引っ掛けて運んでいる剣の鞘に手をかけてみせる。
西洋の剣は東洋の刀とは異なり、切れ味はそこまで重視していない。
そのため、砥石でゴリゴリと削って血や脂、錆をこそぎ落とすだけで十分であり、あまり専門的な技術は必要ない。
だが、彼の剣は片手半剣、いわゆるバスタードソードと呼ばれるタイプの、片手剣にしては長大なもの。
これを研ぐのは体力と力が必要になる仕事であり、彼女の肉体労働が向いているという弁を鑑みての提案であった。

サチ > 「苦難の道を選んでると言うより自分に向いた方を選んでるだけですが……有難う御座います。あなたも素敵ですよ。隠さないでいるのは、きっとこの国では一筋縄では行かない事多いはずです」
ほにゃ、とその顔に釣られた様に崩した笑みを返しつつ、意思の硬い性格に感心したように首肯して。
「偉いんですね。まだ、お若いのに。よく頑張りました」
自分より年若い少年のストイックで毅然とした態度に浮かく頷きを見せて賞賛した。自然と年上めいた口調にはなってしまったけれど。
「とっても美味しく頂きました。――あ、私、サチと言います。申し遅れまして。
えっと研磨…ですか……? う、うううん…包丁研ぎ、でしたら……」
様々な職場を渡り歩き経験はそこそこ詰んでいる物の……武器屋での経験は販売くらいしかない。本格的な武器の研磨はやったことがない。業務用包丁がせいぜいだ。うぅんと少々困った様に腕組みして眉根を寄せ。

ロゴス > 「でも、たった今死にそうになってたよ。お姉さんは酷薄な選択肢の中から選んだってだけなんだと思う」

人生に無限の可能性があるとは良く言うが、それは優位な環境や境遇があってこそのもの。
自分達のような者にとっては選択肢が無い時すらあり、あっても大抵は酷薄な上に制限時間付き。
そんな中で懸命に生きる者同士として、少年は女性に一種の共感を感じていた。
そして、素敵ですとか、よく頑張りましたと言われると、「えへへ」と照れたように笑い。

「なら、やり方を教えるよ。僕ね……ふあ、ぁ……眠いんだ。一眠りしている間に、剣を研いでおいてくれない?
 出来栄えによっては、少しだけど賃金も出すよ。ボーナスってヤツかな」

そう言って、欠伸をした後に首を傾げてみせる。
これ以外には特に頼めるような仕事を持ち合わせてはおらず。

サチ > 「身体を売る事だってリスクはかなり高いですからねえ……」
空腹で行き倒れるか病気で行き倒れるか。一概にどちらが楽とは言えないだろうと、遠い目で呟いた。
誰もが恵まれた境遇で生まれて来れるものではなく、ここでは一般的な立場の人間で有る筈だが、借金のせいで割と社会の底辺な女。
ミレー族と見れば「苦労してるんですねえ…」と何となく親近感は湧くもので。照れ笑いをする表情に微笑まし気な視線を投げかけて、思わずその頭に手が伸びる。よしよしと撫でようとする動き。
「えっ、で、でも……大、丈夫……ですかね……?
い、いえ、お金頂く訳に行きません、私そんなつもりでは……」
仕上がりには全く自信もないし、出来るかどうかがそもそも怪しい。やってみて駄目になったらどうしよう、と気が気ではないが……やってみもせずに出来ない、と言うのは余りにも申し訳なく。
「がん、ばります……!」
若干引き攣ったかも知れない懸命さを湛えた表情で請け合って。取り敢えずやり方を聴いて挑戦はしてみようと決意。

ロゴス > 「うん、それはそうだと思う。でも、大抵の人はそこに流れるよ。この国で一番需要のある仕事だから」

手が伸びてくると、ピンと尻尾を立てるものの抵抗はせず。
髪は毎日洗っているのかべとついておらず、耳に至っては絹のような手触り。
耳に手が触れると、くるくると耳が猫のように動き回るだろう。実際猫なのだが。

「大丈夫大丈夫、そんなに難しいことはないから。ちょっと力と体力が必要だけど」

できるかどうかはわからないけどやってみる、という姿勢には好感を覚える。
だからこそ、彼も剣士の命たる剣を預ける気になったのであって。
実際にどの程度の出来栄えになるかは、彼女の頑張り次第となることだろう。

「そう言えば、自己紹介すらしてなかったね。僕はロゴス、お姉さんは?」

そんなことを言いながら、ゆっくりと歩き出して。

サチ > 「流れたら戻れませんから、ね。私にはそちらの道の方が余程、茨に見えるのです……」
微苦笑気味にそう口にしては、避けられないならそのまま。少年の頭を撫でては、手触りのいい猫耳の感触に目を細めた。動きも猫らしくって可愛いと感じながら。
「ですか?では、全力で頑張ってみます。キレッキレにしてみせますよー!」
なんだか勝手に気合を入れて拳を握り。自己紹介……一応一度名乗っていたのだが、聞こえていなかったらしい。一度小首を傾げたが、余り気にせずに、初めて名乗り合う様に、
「ロゴス君、私はサチです。宜しくお願いしますね」
にこにこと愛想よく告げてはついて歩きつつに、剣の整備方法等を伺っておくのだろう。上手く出来たかどうかは……今はまだ判らない。また別の話になる事で――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からサチさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロゴスさんが去りました。