2020/05/17 のログ
ボブ > (薪の定期購入をしてくれているパン屋や宿に薪を納入し、村に戻る前にちょっと王都を散策しようと大通りを歩いていて)

「はあぁぁ~~、いい天気だなぁ~。
出来る事ならこれだけいい天気の日は王都に出てこないで、村の傍の草原で寝っ転がって惰眠を貪りたかったなぁ~」

(両腕を上にあげ、ちょっとしたダメダメ発言を口から発していった男は上に上げていた腕を下ろし、
肩に手を乗せながら、頭を左右に傾け、肩の辺りに筋肉を解しつつ、大通りの様子を軽く見渡す仕草をしてみせて)

ボブ > (とりあえず大通りに出てぶらついてみたが、主に目的を定めずに出歩いていたせいで
特に目を引かれることにも出会う事もなく、ただただ時間を掛けて、王都内を歩き、
そのまま馬車を停めている停車場へと辿り着けば、村への帰り道へとついていった)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からボブさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヴァル・エイリーさんが現れました。
ヴァル・エイリー > 日の高い時間の平民地区の様々な店や露店が並ぶ通り。
朝早いと合ってまだ人の少ないそこで店を冷やかすように歩く姿。
探し物は特にないのだが運がよければ面白いものを見つけれると勘が囁きこうしている訳で。

「あ、ここは良いかも」

何軒かの道具屋や消耗品を扱う露店を眺め冷やかし、次に足を止めたのは少量の武具を扱う露店。
値段は少々張るが良い物を扱っているのは一目でわかり。

「こういう予備武器の一つはやっぱり必要かな」

並べられた武具の中から刃の厚さのある短剣を手に取り重さや刃を眺めては欲しいなと言う顔で見つめて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアレフさんが現れました。
アレフ > とっとっと、と軽い足音。
装備がカチャカチャなる音もする。少年は、冒険で気が付いた装備の改善点の相談に、朝早くからこうして武具や装具の店が並ぶ一角まで走ってきたらしい。
左右の腰に、短めの剣を一振りずつ佩いていてる。

「こんにちはぁ!」

元気よくそして勢いよく武具店に駆け込んで…そのままぶつかりそうになって慌てて少年は立ち止まろうとするけれど…。
うまく立ち止まって、短剣を見ていた少女にぶつかることは避けられたろうか?

ヴァル・エイリー > 予備武器は確かに欲しいが今の短剣は何気に愛用の剣よりも値段が高いもの。
買えなくはないがその一点でどうしても買うか悩んでしまい。

そんな感じで眺めていると元気のいい声と駆けてくる音。
朝から元気な子が居ると思って視線を短剣からそちらに向けて。

「え…ひゃあ!」

勢いよく向かってくる少年が見え反射的に避けようとしたがその方向が悪く。
止まろうとした少年と盛大にぶつかり尻もちをついてしまい。

「こらー!朝から危ないじゃないか!」

自分も悪いのだがそこは気が付かないでつい少年に声を荒げてしまって。

アレフ > もにゅん、と当たってしまった柔らかい感触は一体どこであったのだろう。
おかげで少年は怪我もなかったのだけれど。

「ご、ごめんなひゃいっ!?」

ついつい舌が回っていないのは、そのあんまり高くない鼻を抑えながらのくぐもった声だから。
少年もまた尻もちをついた状態で謝ると、いたた、と言いつつ身を起こした。

「ごめんなさい、だいじょうぶですか?」

見れば、自分と同じ冒険者だろうか。
少しだけ見上げるところにある相手の眼。まっすぐ見つめて、もう一度、ペコリ。

ヴァル・エイリー > ぶつかった場所ははっきりとは判ららず、それほど打ち付けたお尻が痛く。
ただ恐らくは胸にあたったのかなと思う程度の柔らかさは少年にあったはず。

「もう……朝から元気よすぎ。危ないよ?」

ぶつかった少年にもう一度視線を向けると同じように尻もちをついている。
朝から何なのと思いながらスカートを直して。

「大丈夫だけど……君こそ大丈夫?」

少年は自分と同じ冒険者に見え、これでお互い様などと言えば噛みつくのだが。
素直に謝り心配をされるとそんな気も失せ、先に立ち上がると声をかけて手を差し伸べる。

アレフ > 「ごめんなさい…」

しおしおと謝っていたのも立ち上がるまで。差し伸べてくれた手を、まだまだ子供、という柔い手が握った。
えと、あの、ちょっといいことを思いついたので、と。少年は、にぱ、と微笑んで告げるのだ。

「ぼく、冒険者なんですけど…こないだ武具を新調して。ちょっと、帯の調子を調えたくて」

そしたら、もっとスムーズに剣が抜けるかなって、そう思って。
きっと今、軌道に乗り始めた冒険にわくわくとしているのだろう。そんな様子がダダ漏れだった。

ヴァル・エイリー > 「もう怒ってないよ。でも気を付けないと駄目だよ?」

あまりの素直な様子に新人なのかなと、それなら怒るのは自分が悪いと思い笑い。
自分も新人に近いのだがそこは気にしないで、子供だと思える手を握って立ち上がるのを手伝い。

「それは見ればわかるよ。私もだから。新調したんだみいね。帯を?」

一応一年は冒険者をしてはいるが新調する余裕がない自分と比べれば成功しているなと思い。
少年の様子に今が楽しいのだと判れば自然と笑ってしまう。

アレフ > 自分の冒険の話を聴いてもらえるなんて、滅多にないから、少年はとても嬉しそう。
初めて、新しい武器を買ったこと。
下取りに出そうとした思い出の有る古い剣だったけれど、先輩冒険者がその分を立て替えてくれたこと。
そして、それを機に稽古していた二刀流にしてみたこと。
二刀に合わせて、剣帯の具合を調えたいこと、などなと。
そんなことをつい、勢いよくしゃべってそして、自分ばっかり喋ってることに気づいて少年は、顔を真っ赤にしてしまう。

「ご、ごご、ごめんなさい、つい、嬉しくて…」

そして、少年もまじまじと相手を見た。

「貴女も…武器の新調ですか?」

この店の武器は値段もいいですけど、その分きちんとしてますよ、と。ちょっとお店の営業のお手伝い的コメントも。

ヴァル・エイリー > 少年は話し好きなのか色々と話してくれ。
その話は本当に冒険者を始めた頃を思い出せるような事ばかり。
ただ一つ違うのは少年には優しい先輩との出会いがあったという事。
そして自分なりの新しい戦闘スタイルを得ている事など、
楽しくも羨ましいとこを聞いてれば微笑ましくて。

「大丈夫大丈夫、意味が楽しんでるって凄く判る話だったよ」

聞いている話も話し上手く退屈もなかったと本当に笑顔で。

「私は見てるだけだよ。ちょっと買うには心ともないんだ」

良い武器は値段も高いからと困った笑み。
お金が溜まればここで買いたいなとそんな事を告げて。

アレフ > 「あ…」

自分ぱかりついつい調子に乗ってしまったけれど。
欲しい武器に手が届かない気持ちはとてもとてもよくわかるから。
だから、少年は言ってみた。

「…あの、ぼくなんかだとお手伝いにならないかもしれませんけど…」

よかったら、一緒に冒険しませんか、と。少年は思い切っていってみた。
自分がそうして先輩に声をかけてもらって嬉しかったから。
そして、ソロよりも報酬のいい仕事を、効率よくこなせるようになったから。

「あ、あの、だめだったらいいですからっ!
 ちょっと思いついただけなのでっっ」

もしかしたら、立派なパーティメンバーだっているかもしれない。
勇み足だったかも、と、少年はあたふたあたふた手を振って。

ヴァル・エイリー > 「どうかした?」

自分としては何げない言葉。
それに少年が反応してどうかしたのだろうかと首を傾げて。

「え、えと……いいの?」

まさかの申し出に戸惑いを隠せずに聞き返してしまう。
あまり稼ぎのない冒険者は腕もそういうモノ、そこに組もうと申し出てくれる少年が意外過ぎで。

「そ、そんなことないよ。私で良いなら!
え、えっと……それじゃ……簡単な仕事でもいく?」

そんな事は全くないと首を激しく左右に振り笑みを見せ。
持ったままだった短剣を元に戻せば少年の手をもう一度握り行こうと告げて。

アレフ > 「もちろんっ」

握られた手に、少年からもきゅ、と柔く握り返す感触が伝わる筈。
自分が嬉しかったことを、誰かに届けられるなんて、なんだか嬉しいと、少年はふわぁ、と微笑んだ。

そうして手と手を繋いだ少年と少女は、武具屋の主に会釈して、ギルドへと向かって駆け出してゆく…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアレフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からヴァル・エイリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセリアさんが現れました。
セリア > 普段は多忙な女騎士も、今日は久々の休暇である。
噴水に沿って置かれたベンチに座ってぼうっとしていた。
何かやりたいことがあるかと言うと別にそんなことはなくて、穏やかな1日を自分なりに楽しんでいる。

「はぁ………」

最近は、色々と身の回りが騒がしい。
基本的に対魔族任務を請け負う自身の旅団への影響はさほどでもないが、王都内の空気を受けてかピリピリしている。
ま、気をつけておくに越したことはないかな。
そんなことを頭の片隅で考えていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブルートさんが現れました。
ブルート > 「待って、待って」

そんな間の抜けた言葉は、そよ風に煽られてころころと転がっていく筒に投げかけられたもの。
長い棒を大事そうに抱えているせいか、その10センチ程度の長さと、ひとにぎりほどの太さの、
黒い筒……棒とはまた違う仕事道具……を、
ふとしたアクシデントで取り落としてしまったのだ。

「ご、ごめんなさい。 いいですか……?」

その筒の回転がようやく止まったのは見ず知らずの女性の足元。
はっはっ、と息を切らせつつ、重りにしかなってない胸部の軟さを弾ませながら、
対面にたどり着くと、ぐったりうなだれながら、おそるおそると筒へ指を向けた。
見た感じ、位の高そうなお方に見えたから、若干の及び腰。

セリア > 「………ん?」

ころころ、と足元向けて転がってくる筒に気づいたのは少し遅れてから。
ゆっくりと顔を上げると、そこには眼鏡をかけた女性の姿があった。抱えている長い棒が目立つ。
見た感じ、自分と同じくらいの年頃か…そんなことを考えながら、筒を片手で拾い上げると彼女へ差し出す。

「はい、どうぞ。気をつけてね。
私だったから良かったけど、人のものを平気で盗むろくでなしもこの街には多いから」

微笑みながら、軽い注意喚起。
一応非番でも騎士としての仕事はしておこう。

ブルート > 「あっ……ありがとぉございます。 えへへ……」

優しそうな人だった。陰気げな顔を所在なげにあちこち見てから、
長い棒を抱いて、片手を、失礼します、と言って差し出し、筒を受け取った。
薬瓶やらお財布やらが入ったポーチに筒を丁重におさめていると、続く言葉にぴくりと顔をあげた。

「そう、なんですね……来てあんまり日がながくないんですけど。
 怖い噂は、よく。 ええと、そうすると貴女さまは……?」

怯えたように肩を縮こまらせてから。
どこか力強い色のある警告は、彼女自身はそれをかわすのではなく相反する立場に居るように思えた。
眼鏡ごしに首を傾ぎつつ。初夏の陽気と小走りのせいか、頬が赤く息が少し荒かった。
自分とそう齢の変わらない女性が、何者なのかを問うように、よく観察した。

セリア > どういたしまして、と穏やかな声を返し、背もたれに身体を預ける。
さっきの筒もさほど大きくなかった。ポーチの中にすっぽり入れられるのだろう、と丁重な手つきをなんとなく見つめていた。

「私? 私は王都付きの騎士。ま、今日は非番だけどね」

走ってきたせいか息も荒い、彼女の様を眺めて首を傾いだ。
この国だと騎士も珍しくないが、他からやってきたということはまだよく慣れていないのだろう、と勝手に当たりをつける。
観察されていることには気づいたが、特に何を言うわけでもない。

ブルート > 「騎士さま……?」

少し不思議そうに眼を丸くしてから、くるりと体を翻し、
ベンチの隣……とはいえ少し距離を空けた反対側の端へ座る形。
地面につかないように棒を抱きかかえてから、そちらの方を覗き込む。

「剣を帯びていたりする方はよく見かけていますけど、
 女性の騎士様も、そういえばいらっしゃるんでしたっけ……。
 ……うん、なんかカッコイイですね」

失礼のないようにその顔立ちを見つめてから、はにかむように笑う。
そして名乗る。後半が言い出しにくそうに苦笑したのは、騎士様とは並べないものだから。

「わたしはブルート・ロート、といいます。 お仕事は……まあ、
 お手伝いさん、って感じで……。 騎士さまは、誰かと待ち合わせ、ですか?」

セリア > ベンチの反対側に座る彼女を横目で見、話しやすいように少し身体を傾ける。
地面につかないようにしている様子に、何か理由があるのかな、と何となく考えたりもして。
とはいえ深くは突っ込まない。

「ここだと大して珍しくもないわ。
女冒険者も多いしね。…貴女も、そういうクチ?」

と何気なく問いかけたが、彼女が何者かはすぐ明らかになった。
お手伝いさん、と一度復唱し、軽く頷く。

「ブルートさん、ね。……私はセリア。待ち合わせじゃなくて、一人でぼーっとしてただけよ」

ブルート > 「いいですよね~。危ないところに分け入ったり、魔物を退治したり。
 騎士様も……治安維持とか、内外で戦ったり、するんでしょう?
 わたしにはそういうのは……これもね、護身用!なんですけどっ、脅かすために持ってるようなもので」

視線を向けられた黒い棒を両手で持つと、前方に誰もいないことをたしかめてから、
振ってみる。ひゅっと音を立てて、ぴたっととまる。ぽゆんと乳房が上下する。
遅れておもたげに肩を回す。あまり荒事には慣れていないかのような振る舞い。

「田舎だったもので、知り合いのツテを頼って都会のこちらに……。
 セリアさん。"ろくでなし"のお相手で、おつかれでしたか?……いつもありがとうございます。
 わたしみたいなのが、のんびり過ごせてるのは、騎士さまのお仕事のおかげですから」

あ、そうだ、と思い出したようにポーチを漁る。
小さい紙袋が二つあり、そのうちのひとつを取り出した。
彼女に口をあけて差し出してみる。ころりとした柑橘類の果実が何個か入っている。
疲れに効くすっぱめの奴だ。

セリア > 「私の場合は、魔物退治が主な任務ね。治安維持もするけど…
…あぁ、それって護身用だったのね」

黒い棒を扱う手つきは、慣れてないようにも見えたが…
とはいえ、脅かす用というだけあって剣ほどの殺傷性はないのだろう。
乳房が弛む様が視界の端に入って、ついそちらに視線は吸い寄せられてしまう。

「……うん、まぁ。騎士も多いけど、ろくでなしも同じくらい…それ以上?いるからね。
大変だけど…そう言われるのは嬉しいし、頑張るわ」

そして、ポーチから取り出された紙袋をみる。
中から取り出された果実に瞬き、片手を差し出して掌で受け取ろうとした。
ありがとう、とお礼を言って受け取るつもり。

ブルート > 彼女の語ることには興味深そうに耳を傾ける。一言で騎士と言ってもいろんな仕事があるのだなと。

「たしか、いろんな騎士団とかがあるのですよね、王都つきの、と言っても。
 セリアさんはなんというところに所属していらっしゃるのですか? あ、言えなければ、もちろん!」

失礼なことを聞いてしまったかな、とわずかに慌てた。
棒は谷間の間に収まる感じになっている。視線には気づかない。まだ。
普段はこういう部分では無防備だ。無意識に誘いをかけている……かどうかは判らずとも。

「それを食べると、疲れが癒えますよ。きゅーって酸っぱいんですけどね。
 暑い時にはとくに効きます。お休みですからね。今晩もゆっくり眠れますように……
 って、そ、そんなにいるんですか? 恐いなあ。今まで運が良かったのかも……」

そっと丁寧に、手のひらの上に乗せた。橙色の果物は、みずみずしく実っている。
……しかし手渡した者はというと、ぶるり。平々凡々の身には若干恐い話ではある。
周囲をきょときょとと見渡して、ろくでなしの存在が居ないかどうか確かめるのである。

セリア > 「ん、私? ……まぁ、ちょっとした規模の旅団…とだけ言っておくわね。
言いたくないわけじゃないけど…仕事柄、そういう情報を迂闊に出すのは自重しなきゃ」

特に最近は物騒だから、と付け足し、肩を竦めた。
これで納得してもらえれば良いのだが、と彼女を見つめる。同時に、棒を谷間に押し込むような体勢にも気づいて、双眸を眇めた。

「ん………んん。――確かに。こんな酸っぱいもの、久しぶりに食べたかも」

橙色の果実を、口の中に放り込む。
噛むとじわり…と酸味が口の中に広がった。
周囲をおどおどと見渡す様に、大丈夫よ、と笑って声をかけ宥める。

ブルート > 「………そうですね! いえ、へんなこと聞いちゃってごめんなさい……! ふつうは秘密にすることですから。
 でも、お名前は教えてもらえましたし。 ろくでなしに困らされたら、頼ってもいいのかなぁ、って」

聞き出せなかったことに内心舌打ちをしながらも、おくびにも出さない。
顔を覚えていれば警戒はできる。魔物の掃討が主というから、自分を追っているわけではないだろう。
穏やかな市井の娘の顔の裏でめぐった計算はすぐに飲み込む……眼を眇められた。びくっと肩をすくめる。

「あ、あの、ごめんなさい、気に障っちゃいました……かね……?」

乳房のせいとは思いもよらない。
しかし、美味しそうにあげたものにかぶりつく姿にはちょっと安心。
その唇に視線を向けちゃったりはしたけれども。

「いまが季節、ですからね。 美味しいんですよ、これ。今日もたくさん買っちゃって。
 これでつくったお菓子が絶品で……あ、セリアさん。
 もしご予定がなければ、自宅まで送っていただけませんか。 何か、ごちそういたしますから」

"ろくでなし"に帰途で絡まれたら大変なことになる。
良いことを思い立ったとばかりに指を立てて、提案してみた。
今はないお茶もある。柑橘では補いきれない水分も摂らせてあげることができるだろうと。

セリア > 「ん。全然頼ってくれていいわ。大抵、外征がない時はこの辺の見回りなんかもやってるし。
用もないのに声をかけられるのは困るけどね」

彼女が胸の内で何を考えているのかなんて知るはずもなく、にっこり笑いかけた。
ふと、自身の目の動きに気づかれたならば、首を左右に振って否定する。

「いや……なんでもないわ。気にしないで」

唇に向く視線には気づいていないのか、舌の上で果実を軽く転がして飲み込む。
確かに美味しい。こうして果物を生で食べる、というのも最近していなかった。
そう考えると、つくづく不健康な生活を送ってきたらしい。

「……自宅まで? まぁ、いいけど。ご馳走なんて別にいいのに」

提案にはもちろんとばかり頷く。ごちそう、には少し躊躇ったが、彼女から提案してくれるのだから断るのは失礼か。
いいわ、と頷き、肯定の言葉を付け足した。

ブルート > ほっ、と安堵の溜息を落とす。そもそも怪しまれないことが肝要だ。
それを抜けば、自分は市井の町娘。素敵な騎士様に甘えるのは至極当然のことであり、
日頃のお礼を渡すのもまた、自然な行動であろう。美味しく食べてくれると嬉しいのは確かだ。

「えへへ。だいじょうぶです、いわゆる手作りのあれになりますけど……
 それなりに食べてくれるひとの評判は良いんですよ。
 それにほら、その……騎士様に送っていただけると、安心しますし」

少し素敵なことですから、と微笑みかけると、そっと立ち上がる。
杖に最適な黒い棒は相変わらず地面につけずに、黒い筒の入ったポーチを上から撫でて立ち上がる。
それでは、と深々頭を下げた。おもたげに震えた胸の脂肪。
ろくでなしの前にぶらさげるには些か都合のよろしくないそれだ。

「どうか、よろしくお願い致します。騎士さま。 ちなみに、ケーキが食べられない……ということとかは、ないですよね?」

そう微笑むと、彼女に道をつたえながら、平民地区の少し日陰。
ともすれば、ろくでなしなひとたちが来てもおかしくない地区の住居に案内する。
凛々しい後ろ姿。その細い首筋に、どこか見惚れるようにしながら。

(がまんしなくちゃ。がまんしなくちゃ。がまんしなくちゃ)

眼鏡の下の三日月を、深呼吸とともに隠しつつ…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブルートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセリアさんが去りました。