2020/04/28 のログ
リス > 「―――だめね。」

 しばらく掲示板を眺めていたものの、明るい空気にしてくれるような、そんな記事はなさそうだ、はぁ、とため息をもう一度零す少女。
 大通りとは言え、知り合いはいないみたいだし、気を引くような女の子もいない様だ。

 其れなら、ここに居続けても、意味はないというか、危険な事があるような気もする。
 此処だけではない、どこもかしこも怖い所なのだ、自分が人竜だとしても、怖い場所には変わりない、誰かに誘拐されてしまうかもしれない。
 多分そろそろ家令当たりが護衛の人を差し向けてくれるとは思うのだけれども。あまり遅くなって家の人を不安にさせてもいけない。

「帰りましょうか。」

 少女は軽く呟いて、踵を返す。
 掲示板に、新たに何か紙を張りに来る人もいないし、自分が張るようなことも今はない。
 そういえば、と思う所も無くはないが、それは別に急ぎでもない。
 家に帰りましょう、気が向けば温泉宿でお風呂に入りましょう。

 そう考えながら去っていく―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区王都掲示板前広場」からリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」にメグさんが現れました。
メグ > 「さてさて。ぱぱっと買い物を済ませてしまいましょう」

平日の買い物にごった返す市場の片隅に、大きな籠をぶら下げた少女がやってきた。
どちらかと言えば生鮮食品や調味料などの露店が賑わう中をするりと通り抜け、足は素材の類が多く並べられた一角へと向かう。
本日の目当ては革や仕立てに必要な諸々。仕事の仕入れだ。

「まずは鋲をいくつか、膠、紐、それに強そうな革……ううん。どういうものがいいのかしら」

顧客の顔を思い浮かべつつ、指先を揺らして思索を巡らせる。防刃、耐衝撃、水濡れなどにも強いもの。並ぶ品々に目を配り、首を傾げた。あまり得意分野とは言えないため、珍しく思案顔である。

メグ > 「………これなんか凄そうだけれど、知らないものは駄目」

一角で見つけたそれには嘘か本当か『魔獣の革』なんて銘打たれている。本当?と眉を顰めて触れたものの、肩を竦めてそこはすぐに離れた。商売の信用に関わる以上よく分からないものは使えない。
牛革、蛇革、中には猫や兎なんてものも。目まぐるしく視界に飛び込む情報の数々を頭の中で整理しながら、とりあえず間違いのないものだけ仕入れてしまおうと店主に声をかける。

「ご機嫌よう、おばさま。そちらの牛革の紐を五本、あと真鍮の鋲を二十ほど………あとは兎の膠を一袋、と、えーと………ああ、そう、ミモザの鞣し剤も一袋包んで下さる?」

店主はなじみのようだ。『珍しい買い物だね』と告げられると、少女は腰に手を当てて、小さく吐息をこぼした。

「ええ、普段は軽い衣服ばかりだもの。今回はなんと、防具の類の発注なのですよ。すごいでしょう?」

そう言って、包みを受け取って笑う。硬貨を渡しながら、『勝手がわからなくて』と肩を竦めた。

メグ > 「……おばさま、それ、もしかしてコードバン?えっ、どうしてそんなにお安いの?」

そんな遣り取りの最中、露店の端を不意に見遣ると、ひと際目を引く美しい革の照り。思わず食い入るように見遣ると、店主がそれに呼応して小さく頷いた。
曰く、『流行り病で死んだ馬のものだから』との事で、一般的なブル革などに比べても値がぐんと落ちている。
もはや縁起の問題という感じのそれを聞くと、少女はぽんと諸手を打った。笑顔が眩しく輝く。

「それを下さいな! どうせ鞣してしまうのだから関係ないない、大丈夫!安くて強いのが一番に決まってます!」

でも、客には黙っておこう。少女は悪戯っぽく微笑んで、心にそう誓った。ちょっと悪い顔だ。

メグ > 一通り包んでもらった諸々を籠に放り込むと、今度はせっかくだからと、別のものに視界を向ける。
店の在庫をぼんやりと頭の中で思い浮かべながら、うーん、と首をひねって、露店の陳列棚を指さし。

「あとはその絹糸を一巻き、綿を二袋ほど。以上でお願いします」

ぱっぱっと手際よく詰められた品を受け取ると、一歩下がって、スカートの片端をつまんで小さくお辞儀をしてみせた。
これにて仕入れは完了だ。
あとは何か美味しいものでも軽く食べて帰ろうと、少し離れた食品露店の居並ぶ方へと足が向く。

メグ > その後少女は適当な露店で、ハムとチーズのサンドウイッチ、それとグラスワインを頼んでしばらく楽しんだ後、ほんのり桜色になった肌を冷ましながら帰途へと着いた、
春先の楽しい散歩を兼ねた買い出しはおしまい。家に帰れば地味で若干の重労働な手仕事が待っている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/市場」からメグさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にレザンさんが現れました。
レザン > ふわふわと、日の当たらない路地にドーナツが浮いている……
のではなくて、ドーナツを抱えた小さな妖精が飛んでいる。
この妖精は人間の作るお菓子が結構好きなので、たまに菓子屋に忍び込んではお菓子をくすねていくのだ。

「あま~」

ぽろぽろと食べるそばから食べかすが落ちていく。
飛びながらそうするものだからそこかのおとぎ話よろしく食べかすが道標のように落ちていく……

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からレザンさんが去りました。