2020/03/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からパティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にサチさんが現れました。
サチ > ――すっかり暖かくなった午後のうららかな日差しの下、賑やかな表通りを一本奥へ入った細い路地を歩いていると――、
「あらっ……」
ふと、建物と建物の狭い隙間から、キラリと小さく陽光を反射させる光を感じて目を瞬いた。
「もーしーや……」
わくわくと期待しながら覗き込んでいれば、小さなコインが一枚。1ゴルド硬貨のようだ。見つけると、ぱ、と眸を輝かせては、思わずきょろきょろと周囲を見回してから屈みこんだ。
「えっへへ」
ほくほくとした笑顔を浮かべ、硬貨を拾おうと壁と壁の間に手を突っ込み。伸ばした手でぺた、ぺた、と地面を叩き、その掌が硬質な感触に触れると、よし、ともう片手で小さくガッツポーズして硬貨を握り締め、さて腕を抜こうと引いたら――、
「えっ……?」
ぐいっ
「あれっ?」
ぐいぃぃっ
「う゛ー!」
ぐいいいいぃぃぃっ
「う、腕が……っ」
がっちり建物と建物の壁の隙間に嵌り込んしまい……、
「腕が抜ーけーなーいー!」

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 山賊街道を旅し、幾日かを経た長閑な旅にて、騎士はようやく王都へと辿り着いた。呑気で長閑なその旅を、春のうららかな日差しと共に楽しんで、城門をくぐった騎士が辿り着いたのは、冒険者ギルドのあるという区画。
そこへと至る道すがら。騎士は、妙な光景を目にしてぱちくり、とその蒼い瞳を瞬かせた。
「卒爾ながら…ご婦人。いかがなされたろうか??」
何やら、建物と建物その隙間に。細腕を突っ込んだままにどうやら難儀しているらしい様子を馬上から、騎士はさも不思議そうに覗き込んでは問いかけて…。

サチ > 「くぅぅぅぅ~っ」
絶妙な感じで嵌ってしまって、腕がどう引っ張っても壁の間から抜けない。顔を赤くしてもう片手を添えて、地面に踏ん張って苦戦していたが……、
「えっ?」
そんな最中に背後から声を掛けられて、びく!と肩が震える。驚いたように双眸を見開いて振り返れば、立派な身なりの騎士姿の青年が見え。
「えっ、あ、いや、あの、えっと……」
何となくあたふたと焦ってしまう。なんせ小銭をネコババ現場である。慌てない訳がない。
「う、腕が……ですね、ここ、この隙間ーから……抜けなくなってしまっておりましてございまして……うふふ……」
不器用に愛想笑いを浮かべて、どうにか現状だけを伝えた。

アルヴィン > 「なんと、それは難儀なことだろう」
そう言うや、騎士は鎧を涼やかに鳴らし、街路の上へと降り立った。一方、騎士が騎乗してきた黒鹿毛の軍馬のほうは、娘の愛想笑いが気になったのか、まるで胡散臭いものでも見るかのように、不機嫌にブルルル、と鼻を鳴らしてみせる。
そんな愛馬の鬣を、宥めるように撫でた後に。騎士はゆるりと歩を進めると、娘の傍ら、躊躇うことなく膝をついた。
「どれ…」
白い鎧や青いマントが汚れるのも、気にした様子はないらしい。そのまま、娘の頭のその上から、同じように細い隙間を覗き込む…。そして…。
「ご婦人。握っている手を、開いてごらんあれ」
なんとも可笑しそうに微笑みながら。騎士は娘へとそう告げる。

サチ > 「わ、私ったら本当にドジで……」
誤魔化すように笑いながら小さく首を傾けていたが、馬の方が何かに気づいた様で、冷や汗をかいた。
(……なんて勘がいい馬なの……ウウム……できる……)
そして、馬から降りたその人が隣に膝を屈していると、軽く引き攣った笑みを浮かべつつ。
「あらぁ……すみませんねえ、ご面倒かけまして……」
土埃で衣服が汚れてしまいそうなので、マントくらいは引き上げといた方が……洗濯代とか請求されないかしら…と心配になりつつ。
「無理です」
手を開けと云われて食い気味に即答した。

アルヴィン > 聡い軍馬とは裏腹に、この騎士はどうやら底抜けに人が好いようだ。白い鎧と鎖帷子、そしてマントが汚れるのもかわまぬ気配で微笑みかけていたものの。娘から返された言葉にまた、ぱちくり、とその瞳を瞬かせる。
「…ご無理、とは是非もないが。そのままではご婦人、その腕を抜かれること、かなわぬが…?」
若い男女が至近にて見つめあっているのだ。
時と場合がこうでなければ、吟遊詩人の歌にでも出てきそうな場面である。が、その背後にある事情が非常に即物的なことこの上ないことを、どうやら当事者の娘と呆れたような軍馬だけが察しているらしい。

サチ > 騙され易そうな騎士さんだな……と第一印象。あ~ぁ……汚れちゃって……と白い部分に目立つ土埃に思わず空いた手で額を抑え。
「いや、そんな物理ないですよ、大丈夫行けますよ。頑張れば。努力は実らせるためにある。せーぇの…!」
どちらかと言えば肩まで思い切り突っ込んでしまたのでな問題もある。
ここで小銭を手放してしまったら何も意味がない。ので、ふんぬーと全力で腕を引き。綱引き宜しく顔を赤くして引っ張ってた。

アルヴィン > 「…頑張ればなんとかなる、というのはなんともおれの好みの理屈ではあるが…」
そして、そのまま何かを言いかけた騎士は、何を思ったか顔を真っ赤にしてその「努力」を始めた娘を見て、困ったようにぽりぽりと口許をかきつつ、言いかけた言葉をとどめたのだ。
腕は見事に肩まで入っている。
そして、隙間の中で掌は握られている。
もともと、随分とぎりぎりの隙間に無理をして腕を入れたのではないかと、呑気に騎士は娘を見つつ思っているが…。
人の腕は、拳つくると若干太くなるのだ。況してや、騎士自身は知らぬ事情にて、娘は手にしたものを決して手放したくあるまい。
その無意識にて力が入ればなおのこと、である。
これは…抜くのは相当厄介だろうなあ、と。騎士は呑気に口許かきつつ、それでも娘を見守っており…。

サチ > 「ですよねー。根性努力勝利でいきましょうよ。物理に勝っていきましょ」
無茶苦茶だが、信念を持った声を狭い路地に響かせて。そして、壁の隙間との戦いに勤しんでいた。
「…ふくくくくっ…!」
このまま小銭を手放してなるもんか。絶対いける、入ったんだから抜ける、はず、そのはず……と必死にぐいぐい引っ張っていたが。
「っはー…」
疲れた。がく、と肩を落として、それから、ただ黙って見てる様子をじとっと見て。
「……すいません、見世物でもないんですけど……?」
見てるだけかい、と湿っぽい視線を向けた。

アルヴィン > 「努力根性はよいが…。…それだけでは『道理』には勝てぬと思うがなあ…」
湿っぽい視線に返されたのは、なんともイタズラっ子めいた微笑みだった。人が好いのは、間違いない。間違いないが、随分と稚気にも溢れていると見える。娘のその状況を、騎士は騎士なりに楽しんでいたらしい。
「どれ。まずは…掌をお開きあってはいかがだろう?見れば、何か大事なものでも落とされたご様子だ。…それが、拾えればよいのだろう?」
そうなのだ。何も、突っ込むのは腕と手でなくてもよいはずなのだと、騎士はにっこりと微笑んでみせ。

サチ > 「むー?」
良く分かりません。学もないので首を捻ってどこか怪訝そーな視線を向けて。それから、悪戯めかした顔はどこか意地悪にも見えて、むむう、と余計に不穏な眼差しとなり。
「せっかく取れたのに、また元に戻すなんてヤですー!
こんな薄暗い路地に置き去りなんて可哀そうです!」
ぶん、ぶん、と断固お手々開きたくないと主張していたが、拾えればいいという結論には、
「はあ、まあ……」
それは間違いないので、どこか渋々とした様子で手をグーからパーにして。

アルヴィン > 可愛そう。はて、中にいるのは落とし物ではなくて何やらイキモノだろうかと、今度の表情は随分と怪訝そうなものとなる。
とまれ、ようやく『根性努力』では太刀打ちならぬ『道理』を弁えてくれたらしい娘に、再び騎士は微笑みつつも頷きかけると、さあ、そのまま腕をお引きあれ、と呼びかける。
それなら娘の腕は、その隙間から抜け出る筈だ。が…これでも抜けぬとあれば是非もない。力づくの努力根性とやらに手を貸すのはやぶさかでないと、そう一言言い添えもして。

サチ > ちゃりん、と小銭が一枚、掌から転がり落ちた。それを名残惜しそうな目で「ぁ~」と見やっていたが、とにかく腕を引き抜いてみることが先決。ぐいぃ、とまた力を込めたが……
「んーっ……駄目だ……やっぱり抜けません……肩口で引っ掛かってますね……」
どれほど深く手を突っ込んだんだろうか。やっぱり腕は抜けません。はあっ、と汗をかきつつ吐息して。

アルヴィン > 肩口まで隙間にねじ込み、引き抜こうとして力を籠めたり捻ったりと、それが恐らくはよくなかったのだろう。となれば、やはりここは力づく、という選択肢に頼るほかはないらしい。
「…やれやれ。お助けするにはやぶさかではないのだが、ご無礼の段は、お許しあれ…?」
力を貸すには、貸せるだけの体勢というものが必要だ。つまりは、背後から娘の両腋の下へと腕を回し、抱きしめるような体勢がどうしたとて必須になってしまうのだった。
そんな体勢をとったなら。娘から抵抗される前に、さっさと抜いてしまおうと、騎士は娘の肩口を傷めぬようにとゆっくり、けれどしっかり力を加えつつ、その身体ごと路地のほうへと引っ張って…。

サチ > 「うぅ……。一生抜けなかったらどーしましょ……」
知るか勝手に死ね、的な事を大真面目に零して絶望した様な顔で項垂れていたが、
「すみませんっ……お願い、します…!」
思い切りお願いします、と脇に腕が回ると引っ張ってもらうのに合わせて力を込め、
「っふー! っふんぬぅぅぅ!!」
気合を入れて根性据えて、ぐぐぐぐ、と後ろに傾くように腕を引いていき。
やがて、
す、っぽん……
二人がかりでようやく抜ける腕。重心を後ろに傾けていたので、勢いよく抜けてしまった暁には彼の方へどしん、と傾倒する――

アルヴィン > こんな時でも、己の胸の上に娘の身体を抱き上げて、万が一にも娘が下にならぬようにと心掛けるのは、天晴さすがは騎士の鑑…と言いたいが。騎士としては誰もが最も怪我をしない、安全な受け身を取っただけだった。
そのあたり、この騎士は人が好いだけではなく、随分と騎士らしからぬ朴念仁でもあるらしい。
とまれ、無事に娘の腕は抜け出した。胸に抱いたままの娘を、そのまま抱き起すように立ち上がると、今度は騎士がどれどれと、その隙間を覗き込む…。
「…ご婦人。何を取り出せばいいのだろう?」
薄暗がりの隙間の中。見えるものと言えば、塵芥ばかり。間近に見えるあれは、小銭…?いや、ボトルの蓋、俗に言う王冠というやつにも見えるのだが…?

サチ > 「っは、っふ……いたたたた……た、助かりました。ありがとうございます。大丈夫ですか?」
引き抜いた腕がさすがに少々痛む。
しかし、騎士をクッション代わりにしてしまった為に他は無傷。どさ、とそちらに向かって転倒してたが、抱き起されて立ち上がり、ふいーと額の汗を拭い。
「あ、えーと……サチ、です。
あのですね、そこの1ゴル……ァァァァ?!エェェェェー!!」
1ゴルド硬貨だと思ってたのに違うのか? まさかのフタ?いや、やっぱり1ゴルドだよね?!そうだよね?!違うなんて言わないで神様…!頭を抱えて、また性懲りもなく腕を突っ込もうとする学習能力のなさを披露。

アルヴィン > 「サチ殿か。おれはアルヴィ………、って、ちょ、サチ殿…っっ!?」
ようやく交わされた互いの自己紹介も全うされることはなかった。折角腕が引き抜かれたというのに、またも隙間に吶喊せんばかりに突っ込もうとする娘を、なんとか騎士は背後から羽交い絞めにする。それはもう、抱擁などという甘やかに美しいものではなく、文字通りの羽交い絞め。
それにてなんとか娘を隙間から引き離せば、それまでのやり取りを眺めていた悍馬が、呆れたように前脚で街路をかいてはブルルル、と鼻を鳴らす。
「…お、落ち着かれよ、サチ殿。まずは…」
ぜーはーと珍しいことに息を乱して告げた後に。騎士は騒ぎにならぬよう、マントに隠しつつではあるけれど、涼やかな鍔鳴りの音と共に、左の腰間の長剣を抜き放つ…。

サチ > 「あぁぁーん! 嘘です嘘です嘘ですー! わたしの1ゴルドォォォ!!」
認めたくない現実は積極的に否定したい。まだどっちだか分かんない段階ではいい方を信じていたい。
後ろから羽交い絞めにされて、ぶんぶんと首を振りながら喚いていたが。
「……ぅっぅっ……なんですか……?」
まだ落ち着いてはいないが、抜剣した様子を振り向いて項垂れがちにそちらに目をやり。

アルヴィン > 「何をそのように取り乱されているかは、ともかく。まずはこうして…」
騎士の魂、決して汚してはならぬ筈の長剣を。騎士は躊躇うことなく、娘が突撃しようとしていた隙間へと向ける。
魂だかなんだか知らないが、道具というものは使えばよいのだ。そういう柔軟さがこの騎士にはある。
「…よ、と。あれ? …こうかっ」
剣先が、チャリン、と響く何かに触れて。そのまま、地面を引きずってこれたり弾かれたりと、それはそれで何やら苦労しているらしい。が、やがてほどなく。
「…お求めのものは、コレだろうか、サチ殿?」
ずずず…、と。輝く長剣の切っ先が、薄暗い隙間から引きずり出してきたもの。それは………。

サチ > 「ふえ……まさかとは思いきや……そんな使い方してる騎士の人初めて見ました……」
抜いた時点でもしやとは思ったが、壁の隙間に物取り棒代わりに長剣を突っ込む様子に思わず瞠目。そんな奴おるんや……とどこか感心したように見つめて。
「ぁっ、えっ……うあぁぁんっ!! 瓶の蓋やないけー! なんでやねんー! 私の努力なんやってんー!」
全力で訛りながら、剣先で引き寄せられた代物を見て悲鳴を上げてくずおれた。

アルヴィン > ずず、ずずず、と。見事に磨き上げられた長剣の切っ先が引きずり出してきたもの。それは、そのあたりの酒屋で売られている安酒の、ボトルの蓋であったのだ。
それを見て取り、騎士には聞きなれぬ訛りを全開にしてくずおれる娘に、騎士もなんともかける言葉を見つけられなかったのだろう。
そのまま、ポン、と肩を叩く。
そして、ひとまずは己の姿を見下ろすと、埃にまみれてしまった鎧やマントを、娘にかからぬようにはたいてそして…。
「…どうやら、色々とご苦労なされておられるようだが…サチ殿?」
さて、どう呼びかけようか、と。騎士は騎士で随分と考えたものらしい。そして…こう、のたもうた。
「おれはこれから、王都の冒険者ギルドにゆこうと思っていたのだが…。叶うならば、案内を頼み入りたい。お願いができるならば…」
その場にて、粗餐を進ぜるにやぶさかではないのだが、と。そう、躊躇いがちに切り出してみせた。
ギルドが酒場を併設しているのはどの街でも定番のこと。案内のせめてもの礼に、食事でもというのは、この場合間違っても女色のためでないのは、誰が見ても悲しいほどに明らかだった…。

サチ > 「うせやん……こんなんあっていい筈ないやん……」
ネコババしようとした分際の癖に被害者のごとく嘆きっぷり。バチがあたっただけなのだろうが。悲しみに打ちひしがれて路上に膝をついてさめざめと顔を覆っていたが。
「なんですか、アルヴィ君……」
小銭ショックがまだ癒えぬまま、声を掛けられて非常に力ない声で応じて、のそり、と生気のない顔を向けた。
「……案内……? えーと、つまり、ガイドしたらごはん奢ってくれるってことですか?」
ようやくそこで立ち上がって、っぱっぱ、とスカートの汚れを払い。
「受けましょおぉ。近道……は騎馬で行くなら無理だな……。正規ルートで冒険者ギルドまで行こうじゃありませんか」
任せろと拳を握って請け合い。
「王都に来たばかりなんですね。でも、冒険者ギルドですか? 騎士団本部じゃなくて?」

アルヴィン > こほん、とまずは咳払い。先ほど全うされなかった自己紹介のために、まずは自分の名を改めねばならぬ。そのことに、騎士はありありと口許苦笑を過らせた。
「痛み入る。それと、おれの名はアルヴィンだ。アルヴィン・アルヴァーハードという。見知りおかれたい」
そんな言葉で改めての名乗りを交わすと、騎士は利口極まりないことに律義に待っていてくれた軍馬のもとへとまずは向かった。そして、軍馬の口を取ると、正規ルートで、という娘に付き従うように歩を進める。
「おれは…別の大陸から渡ってきたばかりなのだ、サチ殿。この国の騎士団に面識はなくて…」
それに、剣の修行の旅でもあるのだ、と。そんなことを告げていれば、騎士が武者修行の遍歴の旅のその傍ら、路銀稼ぎも兼ねての冒険を志しているのだということが伝わろう。

サチ > 「アルヴィン君? アル君って呼んでもいいですか? 私はサチュリュア・カーネリです。サチって呼ばれてます」
同じくらいの歳ごろか若干下にも見えたのでそんな風に呼んでみて。ついでにご丁寧に名乗られたのでぺこり、と頭を下げて。歩き出しながら、隣に顔を向け。
「あー。そうなのですか。じゃあここでは冒険者をするんです?
えーと、今お馬さんいるから通れないですけど、冒険者ギルドはそこの路地を抜けるとすぐですよ」
まず大通りに向けて進路を取り、ついでに脇の細い路地を指差して近道を教え。
大通りを進んで一度広場に出ると、
「あっちの道を行くと王城になります。それで逆の方の道を進むと貧民街……治安は最悪ですので用がなければ不用意に行かない方がいいです。騎士様となると余計な因縁吹っ掛けられるでしょうから。――で、こっちの道が冒険者ギルドになります。右折して突き当りを真っ直ぐ行けば到着です」
広場からいくつか繋がる道の案内をして、そして最後に教えた道を選んでギルドへと進み。

アルヴィン > 問われた言葉に、どうぞと微笑むその様子は、貴族や騎士の階級意識とは程遠い。事実、幼い頃から親元を離れての修行の旅が続き、このほど師の許から独り立ちしたばかり。この融通無碍な様はそのためだった。
「なるほど…」
いちいち、娘の案内に頷きつつ。騎士は愛馬の口を取ってゆっくりと進む。街の地図も見ていない今、実際に歩いて道を覚え込むというのが一番だと、旅暮らしの長い騎士は弁えている。
やがて、ギルドが眼の前に。
騎士はギルドの厩に愛馬を預ける間だけ娘に待ってもらえたなら、そのまま娘を伴いギルドの建物へと入ってゆく。
まだ、込み合う時間には間があろう。
併設された酒場も人は少ない。
壁際のテーブルへと進めば、娘のために椅子を引き、娘が腰かけるのを待つ様子…。

サチ > 騎士にしては気さく、とは思ったが他国の人間のせいかとあまり深くは考えず。ギルドへ行く道すがらに簡単に街の案内をして、冒険者ギルドへ到着すると、馬を預けて先に酒場に入る彼について歩きつつ。
「先に登録とかご用事済ませなくて大丈夫です?」
受付閉まっちゃわないかな。と席に着く前に少し心配して酒場から見える受付の方を振り返り。

アルヴィン > 「…受付より、食事が先の方が、サチ殿にはよろしかろう?」
そんな問いかけをしてみせる様子は、やはりなんとも悪戯小僧めいている。そしてまた、おれも腹がぺこぺこなのだと告げるのは、施しでもなんでもなく、相伴してもらいたいだけなのだ、と告げるよう。
「今日、受付をして依頼を果たさねばならぬほど、懐が窮してはいない、幸いに。さあ、お好きなものを好きなように召しあがられ」
おれにも、この国の美味いものを教えてほしい、と。騎士はそう言い添える。
その言葉はまんざら方便というわけでもないらしく、どんな食べ物が出てくるかと、実に楽しみにしている気配がそこにはあり…。
娘が頼んだ料理に、騎士自身も一杯の酒を頼み。
なんとも賑々しく知り合った二人の、早めの夕食が始まってゆく…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルヴィンさんが去りました。
サチ > 「んー。じゃ、お言葉に甘えて」
少々悪いような気もしたが、空腹を聴いて肩を揺らしそういうことならと頷いて着席すると、せっかくだから、シェアしましょう。と色々味わえた方が良かろうと考え。分けられそうな料理をいくつか注文して。遅すぎる昼食か早すぎる夕食か。
並んだ料理を食べながら、この国の事や他国のことなどあれこれと会話を続けていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からサチさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にレザンさんが現れました。
レザン > 「~♪」

王都の道具屋をあちこち巡っては、その品揃えを自分の腕に自分サイズのペンで記していく妖精が一匹。
小鳥サイズの彼は客や店員の注意を引くこともない。

「ゴシュジンサマのいいつけだからやってるけど、
 こんなの簡単な仕事で退屈だな~。」

あくびをして周囲を見渡す。なにかからかいがいのある相手でもいないだろうか。
女の子でも通りがかったら風の魔法でスカートでもめくってやろうかと考えている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からレザンさんが去りました。