2020/01/14 のログ
テルミドール > 夜、というのもそろそろ似つかわしくなる位に遅い刻限。
けれども、露店通りはまだ賑わっていた。
遅めの夕餉を買い込む人々、夜の見回りをさぼって冷やかす衛士達、あるいは酒場から繰り出した酔客。
そして、武器や魔法道具を求める冒険者や、もっと後ろ暗い者達。
彼らが求めるような――普通の市民が気にもかけないような――武器や防具や道具を扱う店が並ぶ場所。
そこを、ゆっくり歩いている。黒い視線を眼鏡越しに右に、左に彷徨わせながら。

「ほう――流石に、色々あるもんだな。」

感心したような声とは裏腹に、その視線は露店の品物を大して見てはいない。
時折、これは――と思うような掘り出し物があれば足を止めるが
結局は、何も買わない侭に程よいところで店先を離れている。
代わりに、視線が巡るのは、品物を求める、あるいは売っている人々の姿。
どんな人間が、どんなものを売っているのか、買っているのか。
――人間観察、というのとはまた違う。
最も近い感情に喩えるならば、夕餉を求める客たちが露店に並ぶ品物を物色する視線。
黒い瞳の奥に丁寧に隠されているのは、そういう感情だった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/露店通り」にトモエさんが現れました。
トモエ > 露店の一角で、店主と女がやりとりをしている。
店主の方が客の女より強い立場にあるらしく、女は拒むような口調で何かを告げているが、店主は気に留めたそぶりもない。

「この店で作られた品だということは分かっているんです、だからどうか、これを外してくださいませんか」

そう頼む女の、胸の先。
服に隠されてはいるが、快楽を増幅する魔具が付けられてしまっていた。
見た目はピアスのようなものだが、その性奴隷にほどこすべき呪いによって、かつての奴隷商の面影は跡形もなくなってしまっている。

現に、面白がった店主が女の胸へ乱暴に手を伸ばした。

「っ、なにを…!」

止める間も無く、男の手が女の胸をまさぐる。途端、まるで陰核を擦られたような強烈な快感が女を貫いて。

ちゃんと見せなきゃ外せないだろうとうそぶく男の腕の中で、意図したものではない、甘い悲鳴が漏れ

——もしかすると、往来を行くものの耳に、届いたかもしれず。

テルミドール > 露店の一角で交わされるやり取り。
客と店主のトラブル。この程度は日常茶飯事といって良いだろう。
多くのものが気にも留めずに通り過ぎるのが常。
正義漢を買って出るものの方が馬鹿を見ることが多い。そういう場所だ。
けれども――……

「まあまあ、何があったか知らないが、止めてやれよ。」

女の手に伸びる店主の手を、白い手指が捕えた。
「何を……」と鼻白む店主が、けれども一瞬後には大人しく女の胸から手を放す。
店主に向けた男の黒い瞳が、紅く、紅く染まったのが見えたのは女と店主自身だけだろう。
それは、ほんの刹那だけの変化。

「―――大丈夫か?」

そう、彼女の方へと視線を戻したときには、眼鏡の奥の瞳は再び黒に戻っている。
何かを面白がるかのような淡い笑みを含んだ黒に。

トモエ > 人前で凌辱されかけたところをすんでのところで助けられたと思ったのも束の間。
自分を救ってくれた品の良い男の方を振り向いたが、瞬時に、彼が人間ではないことを知る。
あるいは、わざと自分にも見せたのかもしれない。

このような場所で騒ぎに首を突っ込む部類の人々にあるのは、正義感ではなく、言うなれば漁夫の利を見出すしたたかな心だと、元来商人であった女は考えていた。

だが、人間を軽く超越しているであろう目前の美男が、何を利と見込んで自分を助けてくれたのかは、皆目検討がつかず。

打算めいた考えはおくびにもださず、しおらしい女然として

「助けてくださってありがとうございました」

と深く頭を下げる。
半端に触れられたせいで魔具はまだじわじわと身体に快楽の残滓を残していた。
あるいは店主が、意趣返しにと別れ際呪力を高めたのかも知れず。
目の前の気品ある男を警戒する心地と、呪いに抗う理性とが身体を我知らず強張らせている。

テルミドール > 女の瞳に触れた黒い瞳。一瞬染まっていた紅が嘘であったかのように今は黒。
けれども、充分知らしめることはできただろうか。
――いや、どちらでも構わないんだろう。気付かれたか、気付かれていないか。
大切なのは、目の前の女が咄嗟のトラブルに対処してくれるような連れがいないことと
そして何より、熟れた美貌の持ち主だということ。

「何、困ってるようだったからな。お節介を焼いてみただけさ。」

深く頭を下げる所作。それに返す言葉は軽い響きのそれ。
何を利としてか――そんなものは問うまでもないことで、問われる必要のないことだ。
例えば、店先で肉を買う時にそんなことを考える者がいるだろうか。
所以なんて、“美味そうだ”だけで十分だろう。

「――ああ、でも、礼をくれるというなら喜んで。」

強張る彼女にも構わずに、冗談めかして笑った声音。
薄く割れた唇の隙間から零れる笑みと、眼鏡の奥の瞳――また、熾火のように紅く、赤く。
同時に、滑らかに指先が伸びる。無遠慮で、けれども極めて自然な所作。
一歩踏み出すと同時に伸びる指先にあるのは彼女の左胸。
店主のそれよりは幾分か洗練されているが、違いは大してない。
――そこに隠された装身具へ、指先が爪弾くように触れようとしてしく。

トモエ > 正面から見れば見るほど、惚れ惚れするような男だった。
細身に見えて鍛えてあるのが伝わる身のこなしに、自信に満ちた立ち振る舞い。
だが、不意に伸ばされた指が直接的に女の理性を剥がしそうになる。

「——ん、ッ……、ァ!」

声を押し殺したはずが、甘美の響きは喉奥から漏れて。
ぴくりと背中が跳ね、腰から力が抜けそうになる。
下肢はすでに、目も当てられないほどとろとろに溶け切ってしまっていただろう。
衣服の上からでは分からないことを幸いとし、「お戯れを、……」と、逃れるような言葉を吐く。

食われる先が変わっただけで、女の置かれた現状に大差はないのかもしれない。
胸の先が、下着を剥ぎ取られたせいではっきりと服を押し上げるのが見える。
それを隠すように添えた指が、悩ましく胸の形を歪める。触れずとも、その柔らかさを知るには十分だろう。

じくじくと下肢と胸の先が疼く。腹の奥では、このまま喰われたいと思うくせ、理性がまだそれを許さずに。

テルミドール > 互いの身体の狭間で甘く零れ落ちる声音。
夜気に混じった女の声音。それを奏でるように胸の先を男の指先が摘まむ。
下着に隠されていなければ、その魔具の形を確かめるよう、人差し指と親指で挟んで――

「――そうだよ。戯れだ。嫌いかい?戯れるのは。」

そして、逃れる言葉へ嘯いた声。
それを乗せて、肢体を撫でる紅の眼差しが尖った胸の先端へと触れる。
そのまま、下肢へ一瞬流れ落ちたそれが、ヴェールの奥の女の唇をなぞって
――瞳へと吸い寄せられていく。赤い、紅い眼差し。
ゆるりと滑らかな笑みを浮かべたそれが、もう一言、唇を開いて言葉を紡ぐ。

「さあ、行こうか――。
 ここは少し人が多いし、寒いだろう?」

女の理性が許さない。女の矜持が拒んでいる――知ったことじゃない。
そのまま、摘まんだ胸の先を引き寄せるように男の腕が彼女を引き寄せる。
熟した果実は、手折られて貪られる。それ以外に無いというような迷いのない所作。
女の手を取ること叶えば、収穫者はその身を連れて、その場を後にしようとしていって――。

トモエ >
トモエ > すでに逆らおうという気持ちは、根から崩れかけていた。
自分の抵抗が無意味に思えるほどに、女の体を知った指付きはたやすく快楽を引き摺り出す。
優しく誘うようでいて拒む隙のない所作に、もう逆らえない。

「…、は、い」

彼の赤い目が品定めするように自分の体を眺める。
その視線に、まるで肌を舐められるような心地良ささえ覚えていた。
おぼつかない足取りで、男の促すまま、どこかへと連れ立ってゆき——。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/露店通り」からテルミドールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露店通り」からトモエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトモエさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からトモエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイルルゥさんが現れました。
イルルゥ > 日々、様々な依頼が掲示板に張り出される冒険者ギルド。
数々の冒険者が、自分の実力に見合ったもの、あるいは成長のため背伸びして難しい依頼を掲示板から取り、受付へ持っていくことで依頼を受注していく。

そんな掲示板の前に、小柄なフード姿が。
屈強な戦士や、明らかに魔術師とわかる存在が多い冒険者ギルド内で少し目を引くその小柄な姿は、フードを引っ張りつつ、依頼を眺めていて。

「ううん。何にしようかな…今日はまだお誘いもないし」

主に魔獣討伐依頼や、荷物配送依頼に眼をやり、独り言を呟く。
いつもはパーティの誘いを受けることが多いが、今日はまだ誘われてはいないようで。
このまま単独で依頼を受けるか、もう少し待つか、雑多に張り付けられた依頼を見ながら、悩んでいる。

イルルゥ > 「緊急依頼は…なし。討伐は…アンガーウルフ、ゴブリン、オーク…。オークの群れは一人じゃちょっと辛いかな」

そちらを見ていないにも関わらず、器用に掲示板を見ながら他人に当たることを避ける。
時折、何故かその小柄な姿に狙って当たろうとする冒険者も居るが、悉く躱されて。

(はぁ…。…懲りないなあ…)

にやにやしながら去っていく一部の冒険者を見ながら、内心でため息を吐き。
再び掲示板に眼を戻す。

「ドガ村の警邏、う…報酬が…」

王都近くの村周辺の安全調査の依頼を手に取り、報酬額を見て戻す。
宿代も馬鹿にならないため、できるだけ簡単で報酬が良いものを選びたいが、中々そんな美味しい依頼が見つかるわけもなく。
どれかに妥協して決めなければならないが、今はまだ悩んでいる。

イルルゥ > 特に何も起こらず、依頼の一つを手に取り…
彼女の普通の一日が過ぎていく――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイルルゥさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > ああちくしょう、寒い、と悪態をついた。
夜に近づくにつれて、吹く風は冷たくなっていた。

「ンー……暖炉、しっかりと焼いた肉…。」

ぶえっくし、くしゃみをひとつ。ええい、思い出すじゃあ暖まらない。
足早に、とっとと馴染みの店の前まで着いた、が。

「なん、———……だとう。」

がんと扉の前の、”臨時休業”って書いてある札に衝撃を受けた。
これじゃあ、どうにもならないじゃあないか。
さりとてさっさと別の店にいくにしても、ぐうと腹が減って力が出ない。
ああくそう、って店の前で項垂れて、…もう一回くしゃみ。
体格に沿って大きく、ぶえくし、と。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミューラさんが現れました。
ミューラ > 「相変わらず、デカいわね。…邪魔なのよ」

そんな姿に近寄ってくる、小柄な存在。
暖かそうなコートを着て、店の前に立っている男に声をかける。
男は大して道を塞いでいるわけでもないのに、邪魔だというのは相変わらずの生意気ぶり。

「計画性もないから、そんなところで立ち往生してるのねー、カワイソ」

言葉で煽りながらも、近くに立ち。
にやにやと、相手を見つめる。

イグナス > 「あン?」

声に視線を向ける。ああ、誰かと思ったら。
にぃとつい、口元が笑みに歪んだ。
以前のことがあっても、こうして立ち直って、偉そうな怠惰お。
煽る言葉にこっちだって、のそりと身体を向けた。

「誰かと思いやァ、クソ雑魚の天使さんじゃあねェか。
 ……――あァ、ちょうどいい。お前このあたりで、メシか、まあ、あったまれりゃイイ。知らンか。」

相手の言葉や態度に一切ひるむことなく、というか気にしてない。
むしろ見下すように上から、じっと見つめて問う。