2019/11/09 のログ
キルド・ニッヒト >  
「ならいいんですが……ではなぜ、熱いんです?」

首を傾げて、家具屋の中に足を踏み入れる。

「どんなのがほしいですかね? なにかこだわりあります?」

フィリオソリス >  
「まずは丈夫さじゃな」

そういう足下では床材が既にミシミシと悲鳴を上げていた

魔力で体重を軽減できるとはいえ、ふとした拍子に壊してしまってはたまらない
壊すたびに買いに出るというのも不便であろう

安っぽい見た目の家具などは、彼女がそっと手で押さえるだけでもう耐えられないといわんばかりにたわんでいた

キルド・ニッヒト >  
「これは普通にうってるのではだめかもしれないですね」

呟いて、店主に声をかける。

「頑丈なベッドがほしいんですが」

少し、待っていてくださいねと。手を握ったり離したりして、遊びつつ――

「――~~~というのとか」

店主と話はしているが、彼女が退屈しないように

フィリオソリス >   
端から見れば単にイチャイチャしているようにしか見えないであろう

そして実際にそうである

「~❤」

楽しくなってきたのか、店主とニッヒトが話している横で手をにぎにぎしたり頬に擦り付けたりと次第にエスカレートしていく

キルド・ニッヒト >  
店主は当然、変な顔をしてはいるが
それでも客は客――しっかりと対応し――

「であるなら、要求金額は」

エスカレートするのも、仕方がないので。
目線や喋りは店主に。

てだけは、彼女にと意識の使い分けをしながら話を進めていく

フィリオソリス >  
にぎにぎもみもみ――

すりすりはむはむ――

かみかみ――ぱく――ちゅぷちゅぱ――

キルド・ニッヒト >  
「――ではそのように」

はて? 感覚がちょっとおかしい。
音も変だ。

「……フィリオソリス?」

手に視線をやる

フィリオソリス >  
ちゅっちゅ――

「?」

指チュパされていた手からそっと唇が離れる
きょとんと見返す目はなーにー?といっていた

もはや店主も首を捻るようにしてあらぬ方向を向いていた

キルド・ニッヒト > 「……――」

ふむ。こういうふうになるのかと、勉強になった気がした。

「帰りましょう。おやつだけ買って。今日は家具を揃えるのは難しいようです」

頑丈なものには時間がかかる。
ぱぱっと食べられるものだけ買って、帰るのが良しと考えての言葉であった

フィリオソリス >  
「そうか?」

首を傾げて二パッと笑うとあらためて手を取る

「では次じゃ。次ー」

そうして慌ただしく店を後にするのだった

キルド・ニッヒト >  
(手をつなぐことが癖にならないといいけど)

そんなことを思いながら、外に出て

「おやつは何がいいでしょう?」

彼女が好きなものがいいから、訪ねつつ

フィリオソリス >  
「しょーとけーきかのう?」

先ほどまでニッヒトの指を舐めていた舌をちろりと揺らす

「あつい紅茶もつけるがよいぞ」

ケーキ屋がどこにあるかも知らないのにニッヒトの手を引いて笑い、走る

朗らかに上機嫌に

キルド・ニッヒト >  

「わかりました。紅茶の茶葉も買って帰りましょう。――帰りはゆっくり、いかないと。ケーキが壊れてしまうから気をつけてくださいね?」

引っ張られながら。淡くほほえみ――

「フィリオソリス」

声をかけて。

「愛情表現受け取りました。好きですよ」

行為で返すわけには行かないので。言葉で告げることにした

フィリオソリス >  
とつぜんの言葉ににへらとわらう

「うむ」

と短く応えて前だけを向いて走る

顔は見せられないがそれでも手の熱ははっきりとそれを報せてしまっているだろう

ケーキ屋さんがどこにあるかは知らないが、適当に歩いていればたぶん見つかるに違いない

二人なら。きっと

後にはほのかに朱くきらめく髪の残光だけが残っていった

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からキルド・ニッヒトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフィリオソリスさんが去りました。