2019/10/18 のログ
■クレス・ローベルク > 女の子を驚かせたら、女の子の方に謝られた。
最早居たたまれないというより、普通に罪悪感を感じる男。
しかも、すごく必死に謝って貰えている。悪いのは10000%こちらなのに。
「いや俺の方こそ驚かせてごめんね?いや、ほんと、まさかこんなに驚くとは思わなくて、うん」
小さな背丈の彼女に合わせる様に腰を落とし、悪かったと手を合わせて謝る男。
流石に頭を下げる程ではなかったが、しかし相手が頭を下げ続けられるとこちらも恐縮の様な気持ちが働いてしまう。
暫く、ぺこぺこと頭を下げる少女と、その対面で申し訳なさそうに手を合わせるシュールな光景が暫く続いたのであるが、
「……と、所で、さっきから隠れてたようだけど、何かあったのかな?」
と、先に謝罪合戦を打ち切って、男が聞いた。
不毛な言い争いをしていてもしょうがない、と思ったのもあるが、何より先ほど無用に怯えさせてしまった罪悪感(と衛兵に告げ口されないかという恐怖)もあり。
彼女が何か困っているなら、手伝っておこうという気持ちが働いたのだった。
■ミンティ > ぼーっと考え事をしながら歩いているせいで、後ろから来た人に注意をされる事がときどきあったから、今回もそんな状況だろうと考えて疑いもしない。
先ほどまで追いかけまわされていたのもあって、いつも以上に臆病になっている部分もあって、何度か頭を下げたあと、その姿勢から上半身を起こせなくなってしまう。
けれど、相手の方からも申し訳なさそうな謝罪を受けて、まばたきをした。道を塞いでいたとか、そんな理由じゃなかったのかと思って、ようやく、おそるおそる顔を上げて。
「……ええと、その…驚かせ?あ、いえ、あの、だいじょうぶ……です……」
自分に非があるものとばかり考えていたせいで、謝罪の理由を聞いても、どうして謝られているのか理解が及ばず、何度もまばたきを繰り返す。
とりあえず、怒声を浴びせられたり、暴力を振るわれるような状況ではないのだろうと判断できてくると、胸の鼓動もすこしずつ落ち着いてきて。深呼吸をして緊張を解くと、まだすこし猫背がちだった姿勢を直し。
「……ぁ、その…、……遊びのお誘いを受けて……いて、
断ったのですが……、ええと…、どこかへ、連れていかれそうになったので…隠れて、て」
すこし落ち着いたくらいでは、いつもの口下手さまでは改善しない。しどろもどろになりながらも、なんとか事情を伝えるのが精いっぱいだった。それさえ、言葉数が足りている自信がなかったから、ちゃんと伝わるかはわからないけれど。
■クレス・ローベルク > どうやら、大丈夫らしい。正確に言うと、大丈夫という言質はとれたらしい。
そうなれば、後は彼女に恩を売って事を有耶無耶にするだけである。
相手が話す準備が出来るまで、こちらは待つ。
せかしたりするのは逆効果だと、経験で知っている。
そして、彼女がぽつぽつと話してくれたなら、
「……うん、うん。なるほど?」
微妙に足りてない言葉の一つ一つに頷いてみせる。
ちゃんと聞いているというアピールと、意味は通っているという安心感を与えるためだ。
「遊びの誘い……連れていかれ……ああ、ああ。遊びってそういう……。
要するに、誘拐未遂食らいそうになって慌てて逃げてきたんだ」
理由を聞いて、納得するように、今度は大きく頷いて見せる男。
恐らく、これが正解であろう、と、うかがう様に彼女の顔色を確認する。
■ミンティ > 簡単な事を伝えようとするだけでも、しどろもどろになる。それで相手の気を悪くしてしまう事もあったから、嫌な顔をせず、こちらの言葉を待ってくれる様子に安心して。
なんとか事情を伝えたあと、こちらが言葉足らずだった部分を補ってもらうと、そうですと頷きかけて、あわてて首を横に振る。
「い、え、いえ、あの、誘拐…という、ほど、大袈裟な話では、なかったと思います。
わたしが、はっきりお断りできなかったので、それで…、なので……」
立ち去ろうとしているのに追いかけまわしてくるような人たちを庇う必要もないのかもしれない。けれど、自分もきちんとした意思表示が苦手な自覚はあるから、こちらの視点だけで彼らを犯罪者のように言うのも気が引けて。
そう大騒ぎする必要もない、ちょっとしたトラブルなんだと、両手をぱたぱた振りながら主張する。
「それに、もう、どこかへ行ってくれたみたい、ですし…、本当にだいじょうぶです」
あらためて裏通りを見回してみるけれど、彼らがふたたび顔を見せる気配も今のところはない。これなら無事に表通りまで出られるだろうと考えて。
走って逃げた時にすこし乱れた髪を直しながら、もうだいじょうぶだと頷いてみせる。
■クレス・ローベルク > 「うん?そうなのかい?
はっきりであるが曖昧であろうが、嫌がってる人を連れていくならそれは誘拐だと思うんだけど……。ま、君が言うならそういう事なんだろう」
別に、どちらにしても問題はない話だ。
相手が大げさな話ではないと言っているのだし。
恐らく、罪悪感を感じやすい子なんだろうなあ、生きにくいだろうなあ、と同情の様な物を感じてしまうが、それもこちらの傲慢であろうし。
故に、念押しの様に付け加えられた大丈夫にも、うんと頷き、
「でも、それはそれとして、さっきの隠れながら歩くのは頂けないな。
あれじゃ、『襲ってください』と看板つけて歩いてる様な物だよ」
俺みたいに、と口まで出かかった言葉を飲み込む。
まあ、何というか、別にこの娘を庇護する必要性も、今となっては疑問だが。
これも乗りかかった舟。折角なら最後までやっとかないと夢見が悪い。
「君が良ければ、表通りまでついていこうか?」
勿論、断られてしまえばそれまで。
あくまでも、ただの提案として、彼女に聞いてみる。
■ミンティ > 目立つのが得意じゃないから、自分が関わる事で大事になるのも落ち着かない。追いかけてきた人たちを庇うというより、そんな思考の方が強かったかもしれない。
現在進行形で危機が迫っているわけでもないから、こちらの主張を聞き入れてもらえたようで、ほっとする。問題ないと、こくこく頷き、そのまま、また動きが固まってしまった。
「……そんなに、おかしかったでしょうか。
…見つからないように、していたつもり……なのですが……」
自分としては精いっぱいの隠密行動を取ったつもり、けれどそれが傍目に獲物のようにしか見えていなかったと聞くと、かくんと肩を下げた。
目立たないようにしていたのに、悪いように目立ってしまっていたのだとしたら、また同じような事があった時には、もっと慎重に動かなければいけないのだろうか。小首をかしげて考えこみながらも、答えは出てこず。
「…ぁ、いえ、…いえ、ええと…では、お願いします……」
とっさに遠慮しかけて、横に振りかけた首の動きをぎりぎりで止めた。彼も人さらいを目論むような人だと、一緒に行動するのはまずいのかもしれないけれど、短い会話を交わす中で、そんな警戒もいらないだろうと思えた。自分がいきなり驚かされて心臓が止まりそうな思いをした事は、すっかり失念していて。
お願いしますと頭を下げ直し、のろのろ歩きはじめる。付き添ってくれる人がいるおかげで、臆病に周囲を見回したりはせず、すこし進むだけで無事に表通りへ出られたはずで…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
■クレス・ローベルク > 「うん。それじゃあ」
先導するように前を歩きはじめる。
結果として、無事に二人は表通りを抜けられたのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。