2019/06/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > さて――濃紺の服を初夏だというのに着込んだ、天使の少年は平民地区の片隅の公園へと舞い降りる。手には小さな紙袋
少年が降りると同時に、茂みがガサガサとうごき、大きなでっぷりとした黒猫が顔をだす。
少年の方へ、ゆっくりと歩き寄るのを、少年は無視するようにベンチへ。黒猫はそれに続いてベンチへと
何も言わない、撫でるわけでもなく、少年は紙袋から魚のアラを出して地面に放り投げる。黒猫も、媚びる様子もなく、ただ黙々と魚のアラを噛んでしゃぶって舐め取って
「…うまいか」
黒猫は返事もしない。しっぽがピンと立ってるだけ。愛想がないのはお互い様、少年はベンチにごろりと寝転がる
■グラスシエル > すっかり、魚のアラを平らげた黒猫は、ひょいっと、横になった少年のお腹へと飛び乗る。下を向くように、少年は黒猫を睨む
「重い、うぜぇ、乗るな、寝るな」
黒猫のほうは一切無視、媚びたりするわけでもなくただ、身体をくるんと丸めて少年をベッド代わり。
まあ、いつものこの公園の光景である
■グラスシエル > まあ、しょうがねえな、と少年は満天を仰ぐ
そのままゆっくりと瞳を閉じて、少年と黒猫は夢の中へと
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグラスシエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセーデさんが現れました。
■セーデ > 陽が傾き、東の空にはすでに星が輝き出す頃。
とはいえ時刻で言えば18時を回ったあたりである。今は丁度夏至にあたる時期、暮れるのが遅い。
常夜灯が灯らず、すでに闇の陰が深く穿たれている閑静な通りを、ローブ姿の女性が歩いている。
右手の肘に革製のバッグの取手を通し、左手にはランタンを持っているが、まだ火はつけていない。
「はぁ~……。今日の卸しはあまり芳しくなかったわね。2着も売れ残ったわ……」
歩みを進めながら、暮れゆく空を見上げてぽつりと力なく独り言。
今日のセーデは『魔装具』を街に卸す仕事。己の足で店舗や商会をまわり、付呪済みのアイテムを売り込むのだ。
しかし、いくら冒険者に重宝されるエンチャント済み装備といえど、常に引く手数多というわけでもない。
バッグいっぱいに詰めた装備品が、1日歩きまわって何点も残ることなんて、よくあること。
「……あーもう、蒸し暑いなか歩きまわってベタベタだわぁ。早く帰ってお風呂入らなきゃ……」
そうぼやきつつ、人通りの少ない路地を歩く。
この区画は古い建物が多い。つまり、区画整備も過去の計画のとおりのままで、大変に無秩序。
狭く、暗く、そして曲がり角が多い。ゆえに治安も悪く、多くの人はこういった小路を避けて大通りを選ぶものだ。
しかしセーデはそんな薄ら寂しい通りを、マイペースな歩調で焦ることもなく通り抜けていく。
家への近道なのだから仕方ない。通り慣れてもいる。
■セーデ > 歩いていれば、たまに整備された区画にも出る。
石畳が敷かれ、ゴミもそれほど散らかってもおらず、点々と常夜灯がともり、人通りもある。
場所的には治安の良い地区のはずれに当たるため、これでも街の中心部や高級住宅街と比べれば遥かに閑散としている。
セーデは石畳の道を横切りつつも、再びまた砂利道に足を進め、路地の暗がりに身を沈めていく。
「………さすがに暗くなってきたわね。夏が近いとはいえ、ここまで遅くなったら暗くもなるかぁ」
西には未だ僅かに夕焼けが残っているものの、今やほとんど夜。加えて薄暗い路地にいれば、周囲はほとんど暗闇である。
とても明かりなしには歩けない環境だが、セーデは未だランタンをつけていない。
魔族の血が半分混ざっているセーデの赤い瞳は、少しだが夜目が利くのだ。
とはいえ道を間違えない程度の視力しか発揮できない。真に注意力を払う局面ではやはり明かりが必要である。
セーデの住居は、ここからさらに治安の悪くなる地域、スラム街のさらにさらに奥まった場所。
とても女ひとりで住むような場所ではないが、さまざまな理由によりセーデはあえてそんな場所に住居と工房を構えている。
王都で一番汚れた地域に戻る途中なのだ、平民地区の裏路地を横切るなんて、怖くもなんともない。