2018/09/27 のログ
ルル > 言葉を濁し自分を受けからしたとみる少年。
何か付いているのだろうかと歩く速度を落として自分を見下ろすが何もついていないように見え。

「そうだよ……ここからだと。やっぱり遠い…?」

少年の言いたそうなことは先ほど浮かんだ事と恐らくは同じ。
歩く速度をどんどんと落としていき、やがて立ち止まって。

「その服で…そう思ったけど合ってたみたい。キミ、冒険者なんだ」

子供っぽく見え、胸を張る姿は可愛く見えてしまい。
然し背中に背負くリュックは子供が持つには大げさなもので言葉を信じて。

「何でも屋さんなんだ……」

笑顔で返す少年に微笑み返し、赤い瞳が綺麗だなとつい見つめてしまい。

リル > 「うん。遠いー。 ……女の子の独り歩きには遠いかなあ……」

ううーん、と首をひねる。
二人の歩速がどんどん遅くなって、どんどん普通に、そして、どんどんと立ち止まる。

「うん。冒険者してるよー。 こういうちょっと荒れ気味だと、お仕事たくさんで大変だよー」

あはは、と冗談めかしたような笑顔。後頭をぽりぽりとかくような。
しかし蚤や虱につかれたようなかかれ方でないのは、おそらく清潔な貴族ならわかるだろう。
この少年も、その身を清潔に保っている。つまりその辺りの意識がとても高い。

「うん。何でも屋さん。絵物語みたいな山賊退治もするし、地味ーーーーーな、畑守ったりとかもするよ」

そう話しているうちに、赤色とはちがう朱色の瞳も、また夕日のようできれいだなと。

「んーーーーー。ね、お姉さん」

何かを提案したげに、少年が切り出そうとした。

ルル > 「やっぱり……遅いよね」

言い切られるとやっぱりと肩を落とし。
立ち止まれば少年のほうを向いて話し始めて。

「その年で冒険者…凄いね。最近……凄く荒れてるから…儲け時なんだ」

冗談めかしたような笑顔の言葉に眠そうな目をした笑顔を見せ。
頭を掻くしぐさにしても蚤や虱はないようで、清潔にしているのがよくわかり。

「そうなんだ……。君はいい冒険者なんだ…ね」

話に聞いていた冒険者は仕事を選んだり偉そう、そう聞いていたが少年を見るとそうは見えず。
視線が合えば、どうしたの?というように首をかしげて。

「……どうしたの…キミ?
…あ、私は……ルル、キミは?」

何かを切り出そうとする少年の姿に、言って良いよ、というように先を促し。
そう言えば名前を聞いてないと思い返せば、タイミングは変だが自己紹介をする。

リル > 「うん。一人でバイバイしたら、ちょっと僕今夜眠れない感じ」

濁した言葉ではあるけれど、一人で貴族の区画までは、このまま背を見送れないと。
振り向いて話を始めるお姉さんを、きょとっと見つめて。

「あ、あはー。ま、まあね。他に食べていくのわかんないし……。うん。お仕事たくさん!……無いほうがいいんだろけどね」

冗談めかした苦笑。ぽやっとした顔のお姉さん。貴族なら魔法の心得のある人もいるが……。路地の近間ではどうか、と考える。
金色の髪がさらりさらり。貴族からすれば見慣れたものだろうが、冒険者の酒場では、ちょっと目立つ。ちょっとだけ自慢。

「んん? いいのかな? いい、のかなー?」

結局は命のやり取りをしているし、なにをしても結局血なまぐさいんだよなあ、と顎に手を当ててかんがえる。

「えっ。 …………。ルル。お姉さんは、ルルっていうんだね。ふふっ。1文字違いだ。僕はね。リルっていうんだ」

優しげに微笑んで、まるで道化役者のようにうやうやしくその場で一礼する。

「んーっとね。この区画で一番安全な宿屋までいくか。貴族さんたちの区画まで送ってくか……。 どうしよっか?」

ちょっとそこまで買い物に、ていどの気軽さで、リルは提案した。

ルル > 「…そんなに……心配に見える…?」

少年の言葉が直ぐに心配しているのだと判り。
そんなに頼りなく見えるのかなと自分の容姿について考えて。

「キミなら色々できそうな気がする…けど…。危ない事はない方が…いいけど、冒険者は…そうも言えないもんね」

苦笑を見せて冗談めかして話す少年、これだけ元気がいいのだから腕前も見かけに騙されないほど良いのだと考え。
赤い瞳も綺麗だが、金色の髪も冒険者に思えないほどさらさら、知らずにいれば貴族と言っても信じたかもしれず。

「私は…そう思うよ。だって……親切に話しかけてくれてるから…」

もし危ない冒険者なら今頃は襲われている。
だから良い冒険者だよと笑みを見せて。

「そう、ルル。ルル・ピカップ。ルルって呼んでいいよ。
リル君だね……いい名前」

一文字違いの名前を優しい微笑みで教えてもらい、道化役者の様な一礼に合わせるようにスカートを摘まんで礼を返し。

「え……それって……護衛の売り込み……?あまりお金…ないけど……いいの?」

少年の提案に驚きを見せて。
どっちにしようか悩んでいたことだけに渡りに船。
ただ少々高い買い物をした後なので手持ちが心ともなく、素直に持ち金を告げてどちらが大丈夫かと問いかけることに。

リル > 「んー。武装してない女の子が一人ってだけで心配……魔法のブースターも見えないし」

頼りないのではない。この街では、女性が一人でいるという事実それだけで危険なのだ。
鎧でゴテゴテだったり、見るからに魔法で殺しますだったりしない限り、少年の目からみれば頼りない。

「んー。細工物なら多少はできるけれど、そっちは色々事情があってねー。うんうん。難儀なお仕事だよー」

こまったー、と柔らかく困った笑顔。腕前は、山賊を相手取ったというのは誇張ではなく……早期錬成程度の農民兵なら複数相手にできる。
ルルお姉さんの見る目が、なんだか褒めてくれているようでちょっとだけ恥ずかしい。この宵では見えないだろうが、すこしだけ頬が赤い。

「あ、うー。 その……ありがと……」

荒んだ家業でもあるため、真っ直ぐで純粋なお礼なんて、いつぐらいぶりだろう。
ちょっとだけ顔が下る。恥ずかしい。

「ふんふん。ルル・ピカップ。 うんっ。ルルってよぶね!
えへへ。僕もこの名前すき。リル。ふふー」

まるで舞台の1場面のようなお礼、お辞儀。

「えっ!? あ、そうだよね。冒険者で何でも屋っていっちゃったもんね
大丈夫だよ。こういうことでお金は取らない。知ってるところまで歩いていくだけだもん
これで商売が成立しちゃうなら、その辺に帰り遅れまちの冒険者ばっかりだよ。 大丈夫」

果たして、あったばかりの人間をどこまで信じろというのか。それでも、赤色を朱色に一直線に合わせるようにして……。
リルは、ルルへと「僕を信じて」という視線を向けた。

ルル > 「……あ……」

少年の言葉に普段から魔法の行使に使う杖を持っていない事をようやく思い出し。
杖がなくても使えなくはないが威力も精度も頼りなく、今の自分はこの街ではただのカモだとようやく気が付く。

「作れるんだ。……そっちの方が似合いそう…だけど理由があるなら……。
私には……真似…できないよ、本当に…」

困ったように笑う笑顔に大変なんだと少年を見てしまい。
山賊を相手にしたという言葉は疑ってはいないが、仲間と共にと勘違いをしてしまい。
自分より年下に見えるのに本当に凄いと見つめてしまい、周囲の暗さで頬に赤みがさしたのは気が付かないで。

「お礼……いうのは私だから…ね」

もし少年が声をかけてくれていなければおそらく家にはたどり着けず襲われ路地裏に捨てられるか広場に晒された可能性は高く。
それを思えば本当にありがとうと頭を下げるのは当たり前。

「いいよ……よろしく、リル君…」

くすくすと楽しそうに笑って少年の名前を何度も小さく言葉にして。

「冒険者…にタダでお願いできない……よ。
そう……それなら……好意に甘える…ね。
えっと……このお金で泊まれる宿……お願い」

少年の信じてという視線を信じて小さく頷き。
富裕地区ではなく手持ちで宿泊できる宿への案内をお願いする。
この時間では家に帰れば説教が待っているので、それならば一泊したほうがいいと考えて。

リル > 「……………………」

じっとルルの体を見る目は、そういう物を持っていないでしょう?という目。
疑いでもなんでもない、証明と、自覚のための目。短剣型や腕輪型。いろいろとあるが、わざわざ隠す理由が見当たらない。

「うん。半人前のちょっと上、って自惚れたいかなあ? うん。ちょっと恥ずかしい理由だから言えないー
うん。ルルには、ルルの道があるから。それ言ったら、僕はルルのこと全然真似できないからっ」

互いに違う道。街を歩く人、すれ違う人が全てそういう人々のはず。けれど、こうして向き合うことは……。
本当は、仲間を募ったほうが良いんだけれど。悪癖だ。名がそう簡単に上がるはずでもないのに。

「ん……じゃあ、ふたりで言い合おうかっ」

ぱっと、この宵を吹き飛ばすような明るい笑顔。
女の子を一人にして、ひどい目に合わせた。そんなの、この少年の感性のなかでは許せないことだ。
それが仮令、この街のどこででも起こっていたとしても。

「うんっ。よろしく、ルルっ!」

心の中で何度もつぶやく。音楽みたいだ、と。酒場でよく歌うこの少年は思った。

「む。ぐ。そ、そういわれちゃあ……
うん!甘えられるものには甘えるのが一番だよっ!
えーと、このお金だとー……」

ふんふんふん、と貨幣をかぞえて。連れ込みの要素もなく、上質なサービスを提供してくれる宿を頭のマップからピックアップ。

「うん!あそこだ! じゃあ、行こうルルっ。明かりの魔法つかってくれる? 僕普段、あんまし魔法つかえなくてさー」

にゃは、と苦笑をして「こっちだよ!」と指をさす。

ルル > 「………持ってない…です」

少年の視線は体を向いてはいるが、いやらしい意味ではなくそういう道具がないという目。
完全に街中という油断で持ち歩いていない事を小さな声で白状して。

「そうは……見えないけど…リルが言うなら…そうなんだ。理由は聞かない…安心して。
人の真似は出来ても……同じ道は無理だし…ね。私もリルの真似…できない…よ」

本当ならすれ違うだけの関係、こうして向き合い話すのはきっと運命があったのかなとふと考えて。

「それも……いいかも…でも…言い過ぎた…ありがたみがなくなるから…おしまい」

少年の明るい笑顔に沸き上がった不安も消えてしまい。
もしかすれば今日に起きた悲劇、それが少年に出会えたことで起きなくなった。
この街ではどこでも起きえる酷い目に合わなかった事にもう一度だけ感謝をして。

少年の名前は憶えやすいが何度も口にして忘れないようにしようと。
何度も繰り返してはいい名前と思ってしまい。

「でしょ……でも…今日はリルの好意に……甘える。
良い所……ある…?」

今日はと、次はきちんと支払うと小さく告げて。
告げた金額で宿を考えてくれる少年をじっと見守る。

「いい宿……あった?うん…任せて。得意……不得意は…あるから」

少年の言葉に小さく呪文を唱え魔法の明かりを生み出して浮かべ。
宿の宝庫を指さす手をそっと包み込むように掴んで「案内お願い」と笑みを見せる。

リル > 「やっぱりー。不用心は駄目だよ? 女の子なんだもん」

なんの他意もなく。「犯されるから」なんて含みもなく「女の子は用心しようね」と、するりと。

「あ、あはははー。助かるよー。そこはほんとにー
そうだねえ……出来ても真似っこだけだもん。同じことは誰にも出来ない。頑張ろうねっ」

本当なら、そう、すれ違っていただけだ。それでも、こうすることができたのだから……互いの前途に祝福を。

「あは。それもそうだね。 ここぞっていうときに、ちょっとだけ。スパイスだ」

少女の顔に見える、安堵のような顔色。
ああ、僕のようなチビでも、女の子一人、安心させることが出来るんだ。
それは、とてもとても、純粋に嬉しい。さっき言われたけれど、ありがとうと、心の中でもう一度。

ああ、ああ、音のようないい名前。今夜はちょっと久しぶりに歌ってみようか。
明るくて、とっても跳ねたくなるような歌を。

「うんっ。ちょーっとそこまで歩くだけだからね!
んっとねー。このエリアの角かな。だからこそ、ばーんって彫像も壁に立ててる高級宿
貴族さんのところとそう変わらないかな。急だし、そこのちょっと等級下のところに入らせてもらえるかな」

といっっても、十分貴族の私室と変わらないレベル。そこはきっちりと保証したうえでのこと。

「ありがと。うん、ちょっとふとくいでねえ」

すっと息を吸って

「じゃあ、いこ! ルル!」

少女を半歩先導するように、歩を進める少年であった。

ルル > 「その…次は気を付ける……ね」

完全に自分の不手際な事。
少年の指摘には頭を下げるしかなく、でも次は忘れないようにしようと教訓にもなって。

「だって…誰にでも……言い難い事はある…から。
真似は出来ても…完全には…無理だから……ね、がんばろ…」

色々な運命はあるが、こういう良き出会いの運命は歓迎できるもの。
だからこうして少年と楽しく話せることがより楽しく感じてしまって。

「それに……またお世話になる…気もするから…」

もし声をかけてきたのがいかにも冒険者という男性でも、逆に女性でもこんな時間では怖いもの。
リル君だからこそこうして安心できている事には気が付かず。
出会って少ししかたっていないのに信用をしているというように警戒真はなく。

「このエリアの角……あそこ…?うん、あそこは知ってる…。
私は使ったこと……ないから……その…受付…お願い…ね」

何度か前は通ったので一応は知っている宿。
少年の説明にそんなにいい宿だったのかと知り。
しかし部屋の選別などは分からないのでお願いをして。

「魔法…得意だから……任せて。
うん……いこう、リル」

半歩誘導してくれる少年について歩く少女であった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリルさんが去りました。