2018/09/16 のログ
ルシアン > 時には、運が悪いという事もあるわけで。

街への買い出しも久々の事。必要な物も調達し、一緒に来た同僚たちは先に戻った。
その後は一人でのんびり、好きな店でお酒でも。幸い、懐は今日に限ってはほどほどに暖かくて。
…これがまずかったのだろう。先客の質の悪い酔っ払いに絡まれ、逃げ出してきたのが先ほどの事。
どうも、よほど気を悪くしたのか何人も追いかけてくる様子を、何とか撒こうと路地裏の細い道を駆け回って…

「……いい加減、しつこい…っ。 ……っわ…!?」

曲がり角を急な速さで折れようと。まさかそこに、誰かが居るなんて思いもしなくて。
丁度方向転換をした女性へと体当たりをするような勢いで。
…反射神経が良ければ避けられたりもするのだろうけれど、そうでなければ…勢い良く、衝突してしまうだろうか。

アリス > くるり、と方向を変えた途端に暗がりの中で良くはわからないがとにかく己の身体よりも大きな物体が目の前にいるのが分かった。
あなたは…?そう尋ねようと口を開いたのもつかの間、すぐに身体に鈍い衝撃が感じられた直後どしん、と臀部が地面について。

「きゃ……っ……!」

おしりと両手を地面につき何とか身体を支えたために身体全体を地に着けることはなかった。
けれども鍛えるなんて言葉とは無縁のひ弱な女性。痛みにきゅっと瞳を固く閉じて、のどからは息をつめたような音が発せられ。

「痛たた……」

しばしの沈黙ののちに小さく息を吐き出し、身体を起こして衝撃の元凶に視線を向け。

「前をきちんと見て歩かないと危ないわよ?…貴方は大丈夫?」

首を傾げながらパンパン、と黒いドレスに着いた土ぼこりを払い落とし。

ルシアン > この辺りの道は慣れているという程でもないが、それでも人気は少ないはずと高をくくっていたのが不味かった。
まさかの衝突に、ぶつかった相手ともつれるように倒れ込んでしまいつつ。
前のめりにつんのめって…そのまま、女性へ押し倒したような態勢で。

「う、っぅ…。す、すまない。そっちこそ、大丈夫……っ!?」

一瞬、何が何だか分からないまま呆然としていた意識が戻ってくる。
慌てて身を起こし、女性から体を離しつつ立ち上がろうと。
…刹那、足首辺りに鋭い痛み。思わず顔をしかめる。軽く捻りでもしたのかもしれない。

―――――「畜生、待ちやがれ!」「あの野郎ふざけやがって!」

そんな品の無い怒声が遠くから少しずつ近づいてくる。夜遅いのに迷惑な話だが。
そのしつこさに辟易しつつも、巻きこんでしまった女性を見やると渋い顔になって。

「…すまないついでに、もう一つだけ。…今から少しだけ、何も言わず、其処を動かないで欲しい。
 そうしないと面倒な事になる。…頼むよ?」

女性の隣に、足を引きずりながら移動する。屈みこんだらそこで何か「言葉」を小さくつぶやいた。
―――こちら側からは見えないのだけれど、逆から見れば曲がり角の入り口の代わりに、変哲もないレンガの壁が現れる。
まやかしの術。人の目を欺く力。静かに物音さえ立てなければ、恐らく荒くれ者たちはこちらに気付く事も無いだろう、が…。

アリス > 自分と衝突した男性はどうやら彼の言葉の通り無事らしい。
見た目スリムそうに見えるその体が実はしっかりとした筋肉に包まれていることは先ほどの衝突でわかっている。その事実からしても自分に何の被害がなかったのだから彼にあるはずがないと一人で納得したようで、安心したようにため息漏らして。ぱんぱんと粗方の土ぼこりを払い落としたまさにそのとき…聞こえてきたのは己の周りではあまり聞く機会のない口調と怒号。ついついこれが噂の悪者…!と瞳を輝かせ。

「っ…ん…」

如何にもな悪人面を下げた男たちが自分たちに近寄ってくるも、彼らはきょろきょろとあたりを見回して不思議そうな表情を浮かべている。
…私たちが見えていないの…?
そんな疑問を持ちながらも言われたことはきちんと守るよう躾けられている性で、身体を固くして動かず、ぽってりとした赤い唇をきゅっとかみしめて声も出さずに大人しくしていれば悪人面の男たちはその場を立ち去って。

「……」

もう声を発してもいいだろうか、それが分からずに隣にいる男性をじっと見つめて。

ルシアン > 隣へ移動する際に、ちらりと女性の姿に目を向ける。
こんな場所に居るのが場違いに思える様な、小奇麗な格好をしているのが目を引く。
スタイルの良さにも目が行ってしまうのは、男ならやむなしか。
ただ、その顔立ちにほんの少し引っかかるような。一瞬だけ目を細めるのだけど、すぐに術へと意識を向け直した。


――――「クソッタレが!逃げ足だけは早い野郎だな!」「どこ行きやがった臆病者!ネズミみたいにちょろちょろしやがって!」

丁度目の前、あちらからすれば「レンガの壁」の手前で毒づく悪漢どもを冷ややかな目で見つつ。
……ああその通り、それの何処が悪い。その臆病なネズミを追っかけて撒かれてるお前らは何なんだ?
何て内心で舌を出しつつ。そんな聞くに堪えない罵声が通り過ぎ、やがて聞こえなくなったころ、ようやくほっと息を付く。

そろそろ大丈夫だろうか。そんなような目線を送ってくる女性へ、小さく頷いて。

「……ん。大丈夫、行ったみたいだ」
集中していた術も解く。

アリス > 彼の言葉を聞いてほぅ…と大きくため息を漏らしたならば身体中に込められていた力も弛緩して。固まった身体を労わるように右手を左肩に、そして左手を右肩に回して己の身体を抱きしめた。

「あんなに怖そうな人たちに追われていたのなら、周りが見えていなくても仕方ないわね。それにしても…貴方すごい魔力を持っているのね!私なんて何の魔力も持っていないから…すごく憧れちゃう」

両親ともに魔力を持っているのに自分だけは今まで魔力を使ったことがなかった。
だからかもしれないが魔力を持っているということがとても魅力的で、あこがれの眼差しで男性を見つめる。
すると転んだ時の汚れだろうか、頬がうっすら汚れてるのに気づいて。

「待って…。これで……いいわ、きれいになった」

己を抱いていた腕を解放すると、身に着けていた白のストールで彼の頬をそっと撫でる様に拭いていき、満足げに瞳を細め。

「あら…いけない。もうこんな時間!お父様に叱られちゃう。
今日は素敵な経験をさせてくれてありがとうございます。今度どこかでお会いしたらもっとたくさん素敵な技を見せてくださいね」

時を告げる教会の鐘の音に気付けばすでに自分のような非力な存在が一人でふらふらしていてよい時刻ではなくて。
ふわりとした笑みを浮かべながらその場を立ち去り――――――

ルシアン > 「巻き込んでしまってすまない。…この詫びは、いずれ必ずさせてもらう」

怯えた様子の女性へ、立ち上がりながら言葉をかけて。
荒事やらには無縁なのだろう。当たり前ではあるのだけど、慣れた自分にすれば当然の方がおかしいのか。

「ん…ああ、いや。大したものじゃない。…そう言ってもらえるのは嬉しいが、あんまり他所で話はしないでくれると…助かる」

キラキラした瞳でそんな事を言われれば、流石に少し照れくさいのだけど。
頬を拭ってもらえれば感謝するように頭を一つ、ぺこんと下げて。

「…今宵は本当にすまなかった。帰り道、どうか気を付けて」

明るく、奔放な女性を見送りつつ。足の痛みも引いてきたらしい。
さて、此方の帰り道もまたさっきのと会わなければいいのだけど…なんて余計な心配もしつつ。
それでも、今度こそ何事もなく戻っていったはずで。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > マグメールの平民地区の大通りに、目的もなくふらっと出てきた少女がいる。
 その少女の格好は、東洋で好まれるキモノという服装で、蒼を基調としたふんわりとしたものである、ほかの人が切るような洋服ではなかったのだが、少女のことを見れば納得できるのかもしれない。
 その背中には竜の翼、お尻のあたりには竜のしっぽがあり、普通の服装ではいささか不便にも思える。
 人竜と、己を呼称する少女は、てくり、てくり、と石畳の上を進んで行くのは、繁華街。
 様々なお店が立ち並び、客を呼ぶ声、言い争う声、良くも悪くも活気に満ち溢れている場所と言えるだろう。
 手近にある、服を売っている店の入口から中を覗き込んでみたり。
 次には、本屋の入口から、中を見てみたり。武器屋の品揃えを眺めたり。
 のんびり歩く姿は止まることがなく、視界に入ったものをなんとなく眺めてる、という様子であった。

竜胆 > ぷらりぷらりと歩く少女は、本当に暇なのだろう、商店の中を、右から左へ、一件ずつ入って中を眺めて、そして出てくる。
 何かを買う、ということはなさそうで、直ぐに店から出てくる。

 ぽて、ぽて、ぽて。

「………はぁ。」

 目的もなく、面白いものも見つからず、少女は軽くため息を吐き出す。
 こう、憂さ晴らしに暴れる、とかそういう趣味もないし。
 本当に退屈な今はどうしたものでしょうか、と呟いてしまおう。
 母や姉のように店を持って、働いているわけでもない。
 妹のように、誰かに師事して、技能を覚えているわけでもない。
 

 ……あれ?もしかして。Nから始まるあの高等遊民的なサムシングではないだろうか。
 背筋にひやりと汗がこぼれた

竜胆 > 「……うん。」

 気にしても仕方がない、少女は息を吐き出し気を取り直すことにする。
 そんなことでいちいち気にしていたら、色々と息苦しくなってしまうだろう。
 今は、まだ、自分の力を出す時ではないのだ、きっとそうだ、想に違いない、そうであってほしい、そうであれ。
 少女はブンブンと頭を振って思考をやめて、歩き出すことにする。

「おうちかえろ……」

 しっぽが力なく垂れ下がり、どこかトボトボしていたのは、気のせい、ということにしておいて欲しい。
 そもそも、知り合いの数がすごく少ないし、それを知る存在は、きっといないのだろうけど――――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から竜胆さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミゲルさんが現れました。
ミゲル > 「……ねむ…」

昼下がりの平民地区の大通りの一角。
何軒かの店や広場が見える一角に背中を預け、欠伸を零しながらそれらを眺める。
しかし暇を持て余してではなく、ギルドで受けた仕事なのでその場を今は離れられずに。

「…楽でいいけど…眠い。……本当に出るのかな…」

最近万引きやスリが増えたという一部の商店の店主たちが連名で出した依頼。
街中で受けれると安さを気にせずに受けたのはいいが、半日は平和に終わり。
あと半日で終わるが先に眠りそう…そんなことを考えつつ通りを眺める。

ミゲル > そのままぼーっと見ていれば怪しい動きをする人を見つける。
しばし観察すれば、店を眺める男のポケットから何かを抜き取るのが見え。

「…仕事の時間」

あれを捕まえるのが仕事と見えた人影を追いかけて路地へと進んで。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミゲルさんが去りました。