2018/06/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 足りなかった食料を買い込んだ帰り。紙袋を抱えながら道端で足を止めていた。簡単な武器も取り扱っていたりする、昔からある金物屋さんの前。
店頭に飾られた武器をじっと見つめて考え事。片手を広げて、手のひらを見つめる。

子どもの遊びで棒を振り回したりもしてこなかった。武器なんか買ったところで自分に扱えるかもわからない。
でも、護身用になにか持っていた方がいいのか。逆に相手を刺激してしまうから、なにも持たない方がいいのか。
考えている間に表情は硬くなっていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 昔からある金物屋。
少年は知る由もないが。
たまたま見かけたから小物の手入れ…いくつかのダガーやら何やらを研いでもらっていたので
とりにやってきたのだが…朝っぱらから店の前で眼鏡の少女が難しそうな顔。

「なにやってんだ…」

少し疑問に思いつつも店に歩み寄っていく。

ミンティ > そんなに重たいものじゃなければ、自分の細腕だって振り回すくらいできるはず。ギルドで冒険者に依頼して教えを受けて、使うだけならどうにかなるかもしれない。
使えるようになったとして、万一の時に刃物を人に向けられるか。

想像してみるだけで眉の根元が寄っていく。ため息をついて店の前から離れ、家へ帰ろうと振り向いて。

「あ。……おは、よう…」

見知った少年がそこにいたから、びくりと震えてから、朝の挨拶を口いして頭を下げた。

ブレイド > 「おう、おはよう。包丁でも探してたのか?」

紙袋を抱える少女に対してこちらは軽装。
ひらりと手を振って挨拶する。
少女の見ていた店頭に飾られているものを見る。

「っと、驚かせて悪かったな。
頭なんて下げなくていいっての。袋の中身がこぼれちまう」

冗談めかしながら笑う。

ミンティ > 「えっ……と……」

両手が塞がっているから手を振り返せなくて、もう一度会釈をした。
なにをしていたのか尋ねられて口ごもる。
眺めていた店頭のガラス越しには、ナイフやショートソードが飾られていた。

「やかんの…取っ手が、ぐらついてるから、……それで。
 新しいもの買うか、直すの…お願いしようか…って、考えて、いました」

笑われて、紙袋を抱え直す。

ブレイド > 「……へぇ」

並ぶのは武器のたぐいばかり。
見られるナイフも家庭用には見えない。
そもそも、並ぶものの中にやかんなどの日用品が見えない。

「ナイフの柄はやかんの取っ手の参考にはならねーと思うぜ?」

嘘が下手だなと思いつつも、苦笑しながら彼女の嘘を冗談で返す。

ミンティ > 「……前から、困った時には、お願いしているんです」

店そのものが金物屋さんで、前にやかんを直してもらった事は嘘じゃない。
でも今の返答は嘘だったから、気まずさに耐えられなくて目を逸らす。
ぎゅうっと抱き締めたから紙袋の中で香草の包みを潰してしまったかもしれない。つんとした香りがのぼってきて、鼻がすこし痛い。

ブレイド > 「馴染みの店ってとこか…」

少しだけ目を細める。
目をそらし紙袋を強く抱く姿。
まるで怯えてるような、叱られた子供のような。
なにか悪い隠し事でもしているような。

「いいけどよ。べつに、やかんもナイフも、持つ分にはアンタの自由だしな」

別に恫喝しているわけではないのに怯えられると、少しばかり困る。
困るというか…いい気分はしない。

ミンティ > 「わたしの…自由…」

もう一度だけ、飾られている武器に目を向けた。でもすぐに顔ごと背ける。
ほしがっているのを隠しているとか思われたのかもしれない。そう考えて首を横に振る。

「……ごめんなさい。
 …ちょっと、気になって…見ていただけ。
 わたしには、あわないと思うから。買うわけじゃ…ないです。
 ごめんね。……ごめんなさい」

困ったような雰囲気は伝わってきて、しどろもどろに弁解する。何度も謝罪を繰り返したら、かえって気を悪くする人もいるかもしれない。それくらいは学んでいるけれど、決まり文句のように「ごめんなさい」が口をついてしまう。

ブレイド > 「あやまんなって、責めてるわけじゃねーだろ…
それとも何か?こういわれて、後ろめたいことでもあんのか?」

少し呆れ気味に。
謝る理由があるとすれば、それくらいしか思い浮かばないが。

「あわないっつーか…なんで気になったんだ?
武器…あんた、たしか古物屋だったよな?
まー、なんつーか、おちつけって。あと、ちょっとまってろ」

彼女にそう言うと、さっさと店に入って、預け物を回収してきてしまう。
何本かのダガー。新品のように刃がきらめく。いい仕事だ。

ミンティ > 呆れたような雰囲気に、眉の先がすこしずつ下がる。なにも言えなくなって黙り込んでしまう。
叱られているわけじゃないと理解はできている。でも昔から手のかからない大人しい子どもとして育ってきたから、こんな時にどう話していいか、わからなくなる。

「……?
 おかえり…なさい。
 えっと……、その……、か…、かっこいい……ね」

理由を話せずに下を向いていると、彼が店の中へ入っていく。それから時間もかけずに戻ってきたから、手にしていたナイフが買ったものではないと、なんとなく判断できた。

飾られているものを見ていた時はなんともなかったけど、人の手にある武器を見ると、すこし怖くなる。
だから、きらめく切っ先を見て述べた感想の白々しさが自分でもわかってしまう。

ブレイド > 「おう、またせたな…。
んー……袋、貸せよ」

ミンティに片手を差し出し、ナイフをもったまま
彼女の荷物を受け取ろうとする。
そして、かわりにと、ナイフの柄を差し出す。

「持てよ。さっき、見てたんだろ?ナイフ。
似合わねーとかどうかよりも、まずもってみりゃいいだろ。
それで、どうおもったかで決めりゃいいんじゃねぇか?」

ミンティ > 「え?
 ……はい」

きょとんとしながら、言われたとおりに紙袋を渡す。
代わりに差し出されたナイフの柄を見て、動きが止まった。試しに持ってみろというのは言われる前に伝わって、おそるおそる手を伸ばす。
今ここで誰かを傷つけるわけじゃない。料理のために包丁を持つのと同じと考える。
わかっていても受け取るのにすこし時間がかかって。

「……見た目より…重いんだ。
 ……あの。……うん。
 …その……なにか、あった時…、護身用に持ってたら……いいのかなって。
 そう…思ったんです。……でも、使えないと思う…から」

本当にナイフが重いのか、怖がっているからそう感じるのか、判断がつかない。
数秒の間だけ握ったナイフは、やっぱり使える気がしなかった。少年に返そうと、すぐに柄を向けて差し出す。

ブレイド > 「ん、護身用か…」

少女の言葉を聞きつつ渡したナイフを返してもらう。
くるりと手の中で回して脚の鞘に戻す。
袋はもったまま。香草の匂いが強い。潰したときのような青臭さだ。

「ま、使えねぇだろうなぁ…細腕とかそういう問題じゃなくてさ。
たとえば、そうだな…襲われて、ナイフ抜いたとして…相手が怖気づかなかったら…
斬るのか?それができねーって相手もわかるだろうよ。へっぴり腰じゃさ。
それに、傷つけられた相手が…逃げるとおもうか?」

逆上した相手のすること。
それはもうひどいことになるだろう。
ただ乱暴されるだけじゃ済まない程度に。

ミンティ > 「うん……、そう…ですね」

この少年はいざという時に刃を振り下ろせる人なんだろうと思えた。冒険者なんだから、それが当たり前なのかもしれないけど。
ナイフを握ったばかりの手をじっと見つめて、同じような覚悟が持てるか考えてみたけれど、考えるまでもなかった。

「もし…それで…逃げてくれても…
 もう……包丁を持つのも、怖くなっちゃう……と、思う。
 野菜を切ったり、お肉を切ったり…するだけで、思い出しそうだから」

この国で生きていくには甘すぎる考えだとわかっている。
それでもそう答えるしかなかったから、諦めたように笑ってみせた。

ブレイド > 「……アンタは、この街の住人の中じゃいいヤツだからな。
傷つけるのとか、嫌なんだろーよ。
でも、普通はそういうもんなんだぜ?オレの村だってヒトを斬れるやつ
なんてのはそれこそ数えるほどいりゃいいほうだったろうよ」

この街には人を傷つけることをなんとも思わない人間が多い。
だからそうなれとは思わない。
少女の持つ優しさ、臆病さ。本来ならばそれが普通なのだ。

「むしろ、逃げ方とか…相手をひるませたりする方法とか…
はぁ、まぁ言っても仕方ねぇか。
オレは、アンタみたいな……『斬れない』人間は好きだぜ?
それがひでーめにあうこの国は嫌いだけどよ」

諦めたような笑顔の少女、少し困った顔をしてしまう。

ミンティ > 「……臆病なだけ」

他人を傷つけるくらいなら、自分が嫌な思いをした方がいい。
心からそう思えていたら今みたいに少年を困らせるような態度になっていないはず。本当は自分だって嫌な思いはしたくない。
じゃあどうしたらいいんだろうと、彼の言葉を聞きながら考える。

「そう、ですね。……逃げたり。
 ブレイドくんくらい…足が速かったら、よかった。
 もうちょっと早起きして、朝は、ランニングとか……しようかな。
 お金、とられても困らないくらい…お仕事も、もっと頑張って」

乱暴されても傷つかないように娼婦のアルバイトでもしようか。
頭に浮かんだ言葉にはっとして、ぶんぶんと首を振った。
気がつかないうちに自棄になっているとわかって、眉がハの字に下がる。

「……ごめんなさい」

彼と話して、すこし冷静になれた気がする。ありがとうと言うつもりが、癖で謝罪になってしまったけど。

ブレイド > 「臆病でも、いいやつだろ?
臆病といいやつってのは両立しちゃだめってわけじゃねーし
アンタも嫌な思いしたくないから、ナイフなんて持とうかと思ったんだろ?
でも、傷つけるのは嫌だからやめた。そりゃ臆病でも優しいってこった」

紙袋を持ったまま少女に歩み寄る。
この街じゃ生きづらい性格だろう。
だが、表情を見れば、困っているというか、悩んでいるのもよくわかる。

「まー、脚の速さもあるしな…。
って、ちげーだろ。
金じゃねーよ、アンタの場合心配すんのは。
金を狙ってなら、もっと裕福そうなニーチャン狙うよ。
ミンティが狙われるときっつーのは、九割体目当てだ」

まるでわかってないと言った様子で目を細めて。
ウブそうな外見。大人しくおどおどとした態度。
思いっきり汚してやりたいという連中は多いだろう。

「だから…いや、いいか…」

ミンティ > 「っ……」

少年との距離が近くなると反射的に身構えてしまった。自分を抱く姿勢で緊張したけれど、その場でパニックになるくらいの動揺はない。
会話をして落ち着けていたから、身を守るようにした腕もすぐに下ろす。

「……だいじょうぶ。わかってる」

9割もあるのかはわからないけど。なにも知らない子どもとは違うから、女としての危険だって理解はしている。そう言いたそうに、さっきよりは自然に笑う顔で頷いてみせた。

そこからまだなにか言いたそうだった少年に小首をかしげる。朝のランニングを始めた方がいいのか。やっぱり武器を持てと言いたいのか。先の言葉は想像できず、ぱちぱちとまばたく。

ブレイド > 「……襲われるとでも思ったか?
はは、意外と信用ねぇな。ま、いいけどよ
襲うにしたって、朝っぱらからこんな場所でなんてしねーよ」

身構える少女に笑ってみせる。が、それにしたって警戒心が強いような。
何かあったのだろうか?少し心配にもなる。

「ん、そっか。
まぁ、いいや。
そのー、なんだ……護衛用のマジックアイテムとか…
一応オレが持ってるやつがあるから…それ、譲ってやるよ。
貰い物なんだけどさ、どーもオレに馴れなくて」

ミンティ > 「ちがう……!」

信用していないのかと聞かれて、否定しようと思ったら大きな声が出てしまった。自分でも驚くくらいの声になっていたから、あわてて片手で口を塞ぐ。

「……ごめんなさい。…えっと……、風邪。
 うん、風邪……みたいなもの。今、ちょっと……
 ……急に、びくって……するんです。ごめんなさい」

今はちょっとだけ男の人が怖いと言いかけて、よけいに心配させてしまうかもしれないと思う。
曖昧に笑って、ごまかそうとする。信用してないわけじゃないと、それだけはわかってもらおうと、彼の目を見て話す。

「……マジックアイテム…?
 …高い、のかな……」

ブレイド > 「うおっ!?あ、えっと…冗談にしても悪質だったな
わりぃ」

少女の大きな声に思わず驚いてしまった。
が、バツが悪そうに頬をかき、彼女に謝罪する。

「風邪か。大丈夫か?
いや…風邪……風邪っつーか…うーん
なんか、怖い目にでもあったか?」

人に近寄られてビクッとする病気なんてきいたことはない。
そんな事があるとしたら、それこそ恐怖。
そのせいだということはわかる。だが、少女の気持ちは目を伝わって理解はできて。

「ん?貰いもんだからオレも金なんかいらねーよ。
なんか、鷹のガーゴイルなんだってよ。
チョーっと契約みてーなのが必要だけどさ」

ミンティ > 「……わたしの方こそ…ごめんなさい」

口をおさえたまま、もごもごと謝罪。
朝早くとはいえ商店街は人通りも多い。大きな声を出して目立ってしまったか、あちこちから視線が向くのを感じると、頬をうっすら赤くする。

「ちょっとだけ。……でも、だいじょうぶ。
 ほら、怪我も……してないから」

あんまり隠そうとすると、ぼろが出てしまう。嘘が上手じゃないのはわかっているから、頷けるところは頷いておく。
信用していないなんて事はないと、そこは伝わったようで安心した。

「そう。でも、貰い物でも……あなたのもの、だから。
 やっぱり…ただでなんて、悪い。
 ……親切にしてくれてるって、わかるから…その、遠慮しすぎてもだめだと思うけど。
 でも……ごめんね。あの、こういう性格……だから」

人のものをただで貰い受けるのに躊躇してしまう。自分はこうだから友達もすくないとわかっているけど、性格ばかりは簡単に直せなくて。

ブレイド > 「……はぁ」

怪我はしていない。
それはいい、それはいいが。
つまりはそういう目にあったのだろう。ため息が出る。

「わるかねーよ。アンタみてーな『いいやつ』がそういう目に合わねーのが一番いい。
親切とかそういうんじゃねー。オレが、嫌なんだよ。
んじゃー、なんかいらねーもんでもくれよ。
オレもオレに使えねーもんアンタにやるんだから」

親切にかこつけて彼女の身体をどうこうする事もできただろうが
それこそそんな暴漢じみた真似できるわけもなく。
かといって、何も受け取らないのも、むしろ彼女の心にしこりを残すだろう。

ミンティ > 「あ…。えっと……でも、だいじょうぶ。ほら……」

なにがあったか察せられてしまった気がする。自分がなにをされたか知られてしまったと思うと、情けなくて、みじめな気持ちになる。
こんな事なら、わざとらしいくらい強引にでも話を変えた方がよかったかと思うけど、後悔したって仕方ない。
せめて、これ以上の心配はかけないように、腕を振ってみせて、元気だと伝える。

「交換なら。
 でも…わたしが持ってるものなんて、服とか…くらい。
 ……お店のもの、勝手にあげるわけには……いかないし…」

ペンや食器なんかと交換したところで自分が納得できそうもない。
お気に入りの服くらいなら持っていたけど、少年がスカートを履きたがるとも思えなかった。
お金以外で感謝を示せない自分。そのお金もたくさん持っているわけではないと気がついて、ため息がこぼれてしまった。

ブレイド > 「大丈夫じゃねーよ。
大丈夫だったら…近寄ったときに怯えたりなんてしねー」

渋い表情。気丈に振る舞ってはいるものの
彼女の言動の端々から、男から乱暴を受けたのだろうということは容易に想像できた。
少し迷ったが、ミンティの頭を撫でようと手を伸ばす。

「んじゃ、そうだな…」

言葉に詰まる。服は…流石にもらっても仕方ない。
かと言ってお金をもらう気はこちらにはない。
身体で払えともいいたくはない…

「……えーと、怖いの、我慢してもらって…近場の宿で話でもするか?」

少しでも恐怖を和らげることができればという気持ちもあったが。
話してくれるだけでもこちらとしては十分だった。

ミンティ > 「っ……!」

急に手が伸びてきて、また反射的に避けようとしてしまう。
なんとか堪えて動かずにいたら、少年の手が頭に触れた。身をすくめたまま、困り顔になってしまうのは隠せているとは思えない。

「……サイズが大きい……上着なら、着られそうだけど…
 いや、ですよね。女物だって……わかると、思うし…」

どうにかしてお金を受け取ってもらう口実を考えられないかと思ってしまう。
そう悩んでいると、新たな提案を受けた。きょとんとした顔でまばたき。

「…ここで立ち話…してると、邪魔…ですね」

反射的に身構えてしまうだけで、彼自身を怖がったりはしていない。
だからあらかじめ口で言ってもらえると、警戒もなく頷いた。

ブレイド > 「わり、またこわがらせちまって」

さらりさらりと数回撫でてから手を離す。
困り顔には苦笑で返してしまうが気を悪くしたわけではない。

「はは、まぁ…女装の趣味はねーからな
それじゃ、行こうぜ。
えーっと、そうだな…部屋代はオレが出すから
そこで飯とか飲みもんとか頼むときは、支払ってくれるか?」

彼女を連れて最寄りの宿を探す。
色街ではないのでまともな宿が見つかるだろう。

ミンティ > 「……怖いわけじゃない…から」

そう思っているけれど、恐怖がぶり返すから身が竦んでしまうんだろう。
このせいでお店の仕事を控えてしまっているから、どうにかしないといけない。少年と話して気持ちが落ち着いてきているのはありがたかった。

「……はい。宿って、わたしはあまり、利用しないので……
 ご飯とか、頼めるんですね。……当たり前、なのかな」

雨漏りのせいで外泊したくらいしか記憶がない。
食事くらいは出るだろうと考えてみればわかったけれど、どんな場所かは曖昧な想像しかできない。すこしだけ興味をひかれて、少年の後ろを素直に追いかけていく。

ブレイド > ミンティを連れて歩き出せば、程なく宿は見つかり部屋も難なく取ることはできた。
できたが、問題があるとすれば
ベッドが一つしかないくらいだ。店員がいらぬ気を利かせてのことだろうが…

「まー…長居するわけじゃねーから問題はねーか…」

話すために部屋をとっただけだし、ちょっと肩をすくめるが
荷物をおいて、マントとフードを取る。
耳と尻尾を少し動かして、彼女の荷物もチェストやテーブルの上に置くように促して。

「ま、ベッドにでも座って落ち着けよ」

ミンティ > 宿に到着して部屋に入る。こういうところを利用するのは冒険者が多いだろうから、変わったものがあったりするのかと想像していたけど、思ったよりも普通の部屋。
でも寛ぎながら話をするには最適な場所だと思える。

「……はい。えっと…それで、話って」

荷物を置いて、ベッドに腰かける。
泊まるつもりでやってきたわけじゃないから、眠る場所が一つでも気にしない。というより、少年を頼りがいのある弟のような存在と思っているから、反射的に出てしまう以外の警戒がないのが自然だった。

「あの…ね。やっぱり……その、マジックアイテム……?
 貰ってほしい…なら……、お金で買わせて……くれない…かな」

移動の間も考えたけど、やっぱりそれが一番いいと思える。断られるのを予想しながら、おずおずと尋ねてみる。

ブレイド > 「んー?そうだな。別に…なんでもいいんだよ。
話なんてな。ミンティが楽になる話なら、何でもいい。
こえーのとか、不安とか…口に出して楽になるならそれでもいいし
日常の話がいいってならそれでもいいんだ」

自分は椅子に座って、ミンティの方へと向き直る。
そして口から出たのはいきなり金の話か。
やや苦笑してしまう。律儀というかなんというか。

「そう言われっと弱いな。貰ってほしいんでな。
金じゃねーとうけとらねーっていうなら、従うしかねー」

ゴトンとテーブルの上に鷹の石像を置く。

ミンティ > 「あ。……えっと、そういう……こと。
 じゃあ、あの、普通で……だいじょうぶ。
 自分から話すのって、得意じゃないし……その、それに。
 風邪、みたいなもの……だから。
 ちょっと休めば、元気になるから。……心配させて、ごめんなさい」

彼から身を守る道具を受け取る交渉か、それに関係した話だと思っていた。
慰めようとしてくれているだろう少年の意図に気がついて、困り顔で頭を下げる。
この国に生きていたら珍しい話でもない。心配いらないと首を振る。

「他に……自分のもの、持ててたら…よかったけど。
 まだ…そんなに、自分のために使えるお金って多くない……から。
 お金ないのに、お金で払うって……いうのも、おかしいと思う、けど」

話していると、テーブルの上に石像が置かれる。これが少年の言っていたものだろうか。じっと見つめて観察してみる。

ブレイド > 「あやまんなよ、オレが勝手に心配してるだけだってのによ…
そうだな。オレがなんかできるってわけじゃねーもんな。
むしろオレも男だってのによくついてきてくれたもんだ。
ここでオレが『男の良さを教えてやるー』なんてなったらどうすんだよ。
ま、乱暴にする気はねーけどよ。」

さっきから困り顔をさせてばかりだ。
自分の話下手というか、女性の扱いの下手さ加減はわかるが…。
なんとかしたいという独善は、この国ではそれこそ無用の長物だろう。
自分も難儀な性格だと、少し呆れる。

「ま、商談は置いといてだ。
んーそうだな…尻尾とか耳とか、触るか?
なんか、知り合いの女の子が触ると落ち着くって話しよくしてたからよ。
商売人ってのは金の話しかしねーってわけでもねーだろ?」

椅子から立ち上がり
結論を急ごうとする彼女の隣に座る。もちろん、距離は拳2つ半ほど空けて。

ミンティ > 「え……?」

おどかすような台詞を例えに出されて、きょとんとする。彼の顔をまじまじと見つめて、小首をかしげて考える。
彼自身も言うように、やっぱりそんな場面は想像できない。思わず小さく笑ってしまって、それも失礼な気がしたから、口元を両手で隠した。

「……いろいろ、親切にしてくれて…ありがとう。
 傷ついてる…かな。多分、そう見えるのに…なんともないって、言ってばかりで。
 困る…ね。ごめんなさい……」

傷心しているのは否定できない。襲われたあと、家に帰ってからも泣いてしまった。
でも、この国にいる以上は仕方ないと諦めているところもある。
慰めてくれる彼からしたら扱いが面倒くさいだろうと思って、また謝ってしまう。

「……犬なら、抱っこしたけど。……うん、ああいうの落ち着く…かな。
 えっと……そうだ。今、野良犬…っぽい子、保護してて。
 飼い主も見つからないから、うちで飼ってもいいかな……って、思ってて」

隣に座った彼に、やっぱり反射的に身構えてしまう。これで心配するなと言っても説得力がないかもしれない。
それでもゆっくり息を吐いて緊張を解こうとして、彼の耳や尻尾を見る。
家で保護している犬を思い出して、その話をする。触ってもよさそうだから尻尾にも手を伸ばしてみたけど、触りすぎるのは気がひけてしまって、ちょっと指先を添えてみるだけ。

ブレイド > 「なんともないわけねーだろ、ばか
乱暴にされて、辛くわけねーし悔しくねーわけねーだろ。
ったく、いいんだよ。強がんなきゃ、ここなら普通のことだから
なんて思わなくてもさ。
この国は役人もわりと屑揃いだから、泣き寝入りってことは多いかもしんねーけど…
誰の前でも平気だなんて言わなくていいっての」

この状況で彼女を抱きしめるのはおそらくは逆効果だと思う。
思ってしまうのだが、まるで…必死に自分に言い訳をして辛くないと思い込もうとしているようにも見えて
痛々しくて、放っておけなかった。
だから、少し手を伸ばしてしまった。

「野良犬?いいんじゃねーか?番犬にもなるならちょうどいいだろ…
小動物って、なんか癒やされるっていうしな。
んだよ、遠慮しなくてもいいって。痛くしなきゃよ」

指先を添えるだけのミンティの手に尻尾を絡める。
ふわふわとした猫毛で手の甲を撫でたり。

ミンティ > 「……なんともない…わけじゃない……ですね。……うん。
 すごく嫌だったし……怖かった。けど…
 それで…誰かに甘えても……自分がもっと、みじめになりそうで…
 だから…平気になるか、逃げられるように…ならないと」

嫌な記憶が甦りそうになって、片手でぎゅっとスカートを握る。
もうちょっと人に甘えられる性格ならと気づかってくれる相手を困らせなくてすむと思ったけど、今すぐにはどうしようもない。
話していると、こちらに伸びてくる手が見えた。ちらりと様子をうかがって、小首をかしげる。

「番犬なんて。……なにかあった時、吠えて、怪我させられたら…かわいそう。
 一人暮らしだから、寂しくないだけでも助かる……っ!
 ……ごめんなさい。くすぐったいの、よわくて」

触れてみた尻尾が絡みついてくると、反射的に手を引いた。
怖かったわけじゃなくて、ただ本当にくすぐったい刺激に弱いだけ。手の甲をさすりながら、また謝っている。

ブレイド > 「甘えベタ…ってのはオレが言えることでもねーな…
でもよ、一人だけで生きてるってならまだしも
甘えることくらい許してやれよ…てめーはあれだ、自分に厳しすぎねーか?
襲われることに平気になってそれでいいってなら何も言わねーけどよ…
頼るのってそんな惨めかよ」

スカートを握り、なにかに耐えるように語る彼女の肩
そっとではなく、強く抱き寄せる。
こちらが遠慮したり、ビクビクしていては頼りになるようにはうつらないだろう。
だから、あえて、そうする。

「そっか、わりぃ。
んじゃ、触るだけでもいいから、遠慮はしないでいいぜ。
んー、そうだな…番っつっても、危険を知らせてくれるだけでもだいぶ違うと思うけどな。
それに、アンタを危険から守るために吠えるなら
可愛そうじゃねーだろ。むしろ、アンタのために覚悟決めてんだから、アンタが傷つくほうがそいつが可愛そうだ」

手を引いてしまった彼女の膝に尻尾をおいてご自由にとばかりにしておきつつ。

ミンティ > 「ブレイドくんは…いじめられた事って、ある?
 いじめられてる時、誰かに頼るの……、とっても大変…なの。
 ひどいことされたって、助けてって話すの、情けなくて…
 いじめられた子だって思われるのも……はずかしくて…
 そんな思いするなら……我慢、した方がいいかなって……それと、同じ。
 傷ついてるんだって思われるのが……一番、嫌なの」

彼なら自分が理不尽な目にあった時、ちゃんと抵抗するのかもしれない。
弱い立場から話していると、あなたにはわからないと相手を詰っているような気持ちになる。こんな風に言いたいわけじゃないのにと思ってしまうと涙が込み上げそうになるから、あわてて下を向いた。
彼を視界から外したところで急に抱き寄せられたから、また身が竦んでしまった。

「……ごめんなさい。慰めてくれてるのに…ごめんね。
 やなやつ、ですね」

抱き寄せられた意図はわかっているから怯えはしない。
それより、遠慮しているつもりなのに言いたい事ばかり言ってしまった自分が情けなくて、これ以上は迷惑をかけたくないから、腕から抜け出そうと身をよじる。

ブレイド > 「…いじめとかはわかんねー。
だから、わかんねーかもしんねー。
アンタの…ミンティの気持ちとか…つらい思いとか。
でも、知り合いがさ、友だちがさ、嫌な思いして、辛い思いして
それ我慢して、頼られなくて、泣き寝入りして
オレはそんなの嫌なんだよ、そんなのつれーよ」

謝り、抜け出そうとする彼女。肩ではなく、今度は両手で抱きしめる。
しっかりと。

「オレはみての通りミレー族だ。
隠してなきゃまともに生きていけねぇ。
チビな冒険者で、態度だってこの通り…喧嘩で負けたことだってしょっちゅうだ。
それでも、自分が受けた辛い仕打ちを、仕方ないなんて思いたくねーよ。
ミンティは、ミレーでもねえし、平民地区に住む、立派な市民だ。
泣くのが情けねーなら…弱者であるのが恥ずかしいなら
ミレーのオレはそれを恥じて生きるしかねー…」

抱きしめたまま、吐き出すように。
自分だってそうなのだ。自分だって弱いものなのだ。
だから、彼女を迷惑なんて思わない。情けないなんて思わない。

ミンティ > 「弱くない、ですよ。ブレイドくんは……つよいね」

少年の耳や尻尾を見て気がつくべきだった。彼の方がずっとたくさん苦労してきただろう。それでも仕方なくないと言える心の強さを羨ましく思う。
自分は孤児でも、優しく育てられたし、仕事だって任せてもらった。話したいじめも、きっかけは小さなものだったし、気づいた大人が仲裁してくれて、みんなと仲直りもできた。
なのに、自分だけ辛いような話し方をしてしまったと気がついて、ますます情けなくなる。

「……ありがとう。えっと……あのね。
 離れよ…?だめ…だよ……?」

彼の言いたい事は理解している。でも他人に甘えるのには抵抗がある。自分の頑固さみたいなものに、すこし呆れた。
人に負担をかけるのを苦手に思うところは変わらず、これ以上はいけないと思って、ぽんぽんと彼の背中を叩く。

ブレイド > 「つよくねーよ…こんなフードとマントで正体隠してよ
いろんなやつに甘えて、泣き言言って、助けてもらって…」

彼女の恥だと思うこと。
それを自分はずっとしてきたことになる。
彼女に背中を叩かれながらも、ギュッと抱きしめたまま

「…まだそれが恥だって言うなら
オレが甘えるっつーか…わがままいうだけだ」

抱きしめたまま彼女の言葉を遮るようにささやく。

ミンティ > 「……困ったね」

背中を叩いてみても腕をおろしてもらえなかった。
お互いの価値観に違いがあるから、このまま語りあっても堂々めぐりになりそうだと思える。
その会話が無駄なものだとは思わない。強いと思う彼の言葉を聞いて羨ましく思うところもあるから、すこしでも影響を受けられたらいいのかもしれない。
ぼーっと、そんな事を考えながら、宿での時間は過ぎていく…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > ぶらり、ぶらりと商店街を歩いていく。
周囲はそれなりに人の多い場所だ。
酒はどこでもそれなりに捌ける、とはよく言った物だと思う。
商人姿の男達も多い。
女とて今日は酒の仕入れに来たのだが…。

「…なかなか、店に合う酒はないな。」

東の酒など数える程。あったとしても高級品。
物珍しいという事もあるのだろうが。
しょうがないからと小瓶のウイスキーを購入し、ちびちびと楽しみながら歩いている所である。
飲んでいるものの、酔っているという雰囲気はない。
飲むのは好きなのだ、と内心で自弁しつつぶらぶら歩いて行く。

時折、店先に並ぶ瓶を覗き込むようにしていたり。
着ている服といい、物珍しい雰囲気は纏っているだろう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」に黒須さんが現れました。
黒須 > 「さてと…今日はどこで飲むか…」

(片手にきつい酒を持ち、飲みながら酒場をぶらぶらと眺めている。
色んな数の酒、どれにするか悩みながらも、仕事の疲れを忘れられるものを探し求める)

「…あ?なんだ?」

(町を歩いていると、店をのぞき込んだりと珍しそうにする女を一人見つける。
まさか、飲みたいのかと思い、その女に近寄る)

「…おい、飲みてぇのか?」

ソウレン > 「店主、これはいくらだ?」

店先に飾られた酒瓶を手に取り、値段を問う。
茶色の瓶に羊皮紙のラベルが結わえてある。
そこに書かれているのは王都では珍しい東の文字。
値段を聞けば、少し眉をひそめて考える。
できればもう少し原価は抑えたい所だが。

……という所で声をかけられた。


「ん? いや、違う。自分で飲む分は別。
これは商いに使いたいんだ。」

問屋で買う程たくさんはいらなくてね、と続ける。
見れば黒ずくめの男が声をかけていた。体格もいい。
しかし…。暑そうだな、と第1印象を抱いた。

黒須 > 「商い…?酒場の店主か何かか?」

(モフモフと毛深い黒毛の上半身に割れた灰色の腹筋。確かに、他人から見れば暑そうだと思われるに違いないだろう。)

「…おやじ、それを一本」

(ソウレンが交渉をしていた酒瓶を一瞬見ると、軽く口を開いては頼む。
喜んで渡す店主に懐から見合った代金を出してはその場で栓を抜き、ごくごくと飲み始める)

ソウレン > 「そんなようなものだよ。」

正確にはBARなどとは少し趣が違うのだが。
と内心で思う物の、それを言ってもわかりづらいだろうと思って口にはしない。
そう思っていれば、目の前で購入して飲み始める男。
…さすがに眉をひそめた。

「……君は何か。酒を探す女への当てつけが趣味なのか?」

と、怪訝そうに見る。
酒の飲み方も自分とは合わないだろうな、とも思った。
ただ、酒の飲み方はあくまで個人の自由だ。
だから、やれやれとため息をつく程度にとどめておく。

黒須 > 「あ…?飲みてぇなら奢るがよ?」

(そう言うと、酒が残っている酒瓶をフリフリと動かし、手に持っている鞄から同じような代金を出す。
何があったのか、カジノで大もうけしたようにずっしりと金が入っている)

「…あー…それとも、あれか…?なんか、悪い事したか…?」

(そのようなものっと答えれば、店主らしき人。そして、今飲んだ高い酒をがぶ飲みしてはため息をつく姿を見て、もしや、高くて手を出せなかったのかと本心少し申し訳ない気をださせる)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > 「そういう事ではない。自分で飲む分は別だと言っただろう。」

金を出されれば、要らないよ、と片手を振る。
奢る、奢られるという話ではないし、そもそも初対面である。

「悪いことをした、というのならば私にではなく酒を醸した職人に言うべきだ。
強い酒を水のように飲めば男らしい、という風潮はあるようだが私は全く賛成しない。

…酒は楽しむものだと私は思うね。水ではないのだから。」

短くそう言う。値段の話ではないし、手を出せないのを横取りされたという話でもない。

食事処を預かる身としては、料理は楽しんで欲しいものだ。
ただ腹に詰め込むだけなら食事処に行く必要はないのだから。
もう一つため息をつけば店主に「邪魔をした。」と言って踵を返す。

「悪いように言ってすまなかったね。
君は君で、酒を楽しむといい。」

そのまま、別の酒を求めて商店街を歩き始めていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソウレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」にシャロンさんが現れました。
シャロン > 夏の初めは湿っぽく、髪が上手く纏まらない季節だ。
髪が長ければ尚更で、少女の金髪もまた、一時間近くかけてやっと見られる形になる。
とは言え、毎朝同じく一時間などかけて居られる訳もなく、今日は薬屋に髪を纏めるのを助ける薬を探しに来ていた。
普段使いの櫛に塗り付けて、寝る前に髪を梳いておけばいい――という触れ込みの薬だが、残念ながら今の時期は品薄だ。
何せ、世の女性達は皆こぞって買い求めるし、小耳に挟んだ話では、ミレー族の毛並みにも有用らしいのだ。
お陰で薬屋行脚を一日しては見たものの、見つかったのは小瓶に一本。一週間を凌げるかどうかという量で。

「うぅん、もう二瓶ほどあれば、一月は持つんですけれども」

はふぅ、と溜息を一つ。手元の小さな瓶を眺めつつ、少女は苦笑を浮かべる。
探し物に夢中ですっかり日も暮れて、夜もそこそこ深まった頃合い。
外泊の旨は伝えておいたものの、肝心の宿はまだ決まっていない。どうしようか、と悩みつつ、少女はベンチに腰かけて、足をぶらつかせていた。

シャロン > 結局一晩たっぷり探して、手に入った瓶は三本分。
若干心許ないが、これ以上多くを望むのも贅沢という範囲。
ならば、と少女は平民地区の片隅にある宿へと滑り込み、翌日に向けて休むことにする――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」からシャロンさんが去りました。