2018/04/07 のログ
ザール > 「しかし、せっかく酔っ払いが路地裏に来たというのに。
おとなしい事だ。 」

骨のある男でも女でもいないものかと、退屈さからわずかに酒精の混じる吐息でため息を漏らす。
春とは言え、火照った体に、まだ寒さの残る夜風が心地よく撫でていく。

ザール > 男はそのまま路地裏の奥へと姿を消していった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からザールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にファニーさんが現れました。
ファニー > 宿屋もやっている酒場の中で一人飲んでいる女が一人。
それなりに繁盛しているようで多少騒がしいが、他は仲間同士で楽しんでいる様で、ちょっかいをかけられるということはなさそうだ。

「う~ん、試作品は要改良だな……」

ライムを搾ったラガーとフィッシュアンドチップスを摘まみながらため息を吐く。
するとその言葉を近くを通りがかった酒場の看板娘が聞いていたらしく、何かあったのかと尋ねてきた。

「いや、少しばかり試作品の調整に失敗してね。
 ……前に君に試供品としてあげたアレのVer違いを作ろうとしたんだけれどね。」

看板娘の耳元で囁くように告げれば、顔を真っ赤にする看板娘の姿を見てニヤリと悪戯っぽい微笑を浮かべ。
どうやらアレというのは自慰用の触手らしい。

「別にそう恥ずかしがらなくても。
 冒険者の人とかも遺跡とかで襲われて癖になったのか、結構買いに来たりするし、うちのは安全が売りだしね。」

ファニー > 「まあそれはともかくとして、お酒をお代わり。
 あとは……チキンのステーキを一つとピクルスを一つ。」

何もない風に酒のお代わりをしつつメニューを暫く眺めてから食べ物を追加注文した。
看板娘はオーダーを伝えるために赤面したまま奥へと引っ込んだが、その様子を楽しげに眺めていた。

「しかし今日もこの店は盛況だね。
 まあお手頃な値段でこの味だからさもありなん。」

料理が運ばれてくるまでの間に、フライドフィッシュを摘まみながら他の人たちの話へと耳を傾ける。
するとどうやら冒険者のグループがいたらしく、今回の依頼はどうたらこうたらと成果を話しているのが聞こえてきた。

ファニー > 更に耳をすませていると、それとは別のテーブルから[あそこの娼館の誰々が良い。いや、あっちの娼館の誰々の方が良い。]等と下世話な話が聞こえてきたので、心の中でメモをとることにした。
他にも娘が結婚するからと号泣している人と励ましている人の話なども聞こえてきたので、男親は大変だなあ等と思いながら楽しげに聞いていた。
暫くそうしていると注文の品が運ばれてきたので。

「ありがとう、とても美味しそうだ。」

運んできたときにはすでに看板娘の顔からは赤みがとれていたので少し残念だったが、運ばれてきた料理がとても美味しそうだったのでにこやかにお礼を言いつつチキンステーキをナイフで切る。
それをフォークで口の中に運び、咀嚼をすると口いっぱいに溢れてくる旨味の洪水にため息を一つ漏らす。

「うーん、相変わらず美味しい。」

ファニー > 「さて、料理もお酒もなくなってきたけれど、どうしたものか。
 このまま他人の話に耳を傾けるのも良いけれど、先程聞いた場所に遊びに行くのも捨てがたい。
 ……とりあえず、もう一杯飲みつつ考えよう。」

そう言ってデザート代わりにストレートのラム酒とドライフルーツを頼み、物がやってくるのを待つ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > ちりん――と鈴の音が、酒場の喧騒に紛れ込んだ。
入り口の扉を潜ったシェンヤン風の服装の女は、その場でゆっくりと店内を見渡す。
前髪に隠れた二つの目はせわしなく動きまわり――
やがてそれが、一点で止まる。

ぺた、ぺた。足音が柔らかいのは、そもそも靴を履いていないからだ。
だが、靴を買えないほど貧しいとも思えない。
少なくとも、巻き癖こそついていようと、その髪は清潔で、浮浪者の類ではないだろうからだ。

やがてその女は、デザートを待つ彼女の元へと近付くと、さも知り合いであるかのように、向かいの椅子に座る。
そして手を上げて看板娘を呼んでのオーダーは、

「強めのお酒、お勧めのでいいや。二つ」

自分の分と、相手の分と。
挨拶の代わりにか、長身の女は本当に薄くだが笑って、

「この席は空いている? そうなら嬉しい、連れが居ないってことだ」

着席の可否を、順番をさかしまにして問う。

ファニー > 頼んだ酒とつまみを待ちながら軽く視線だけを店内へと見回すようにやる。
そうしていると入り口からこちらへとやってくるこの辺の格好ではない女の姿が目に入ったので、少しばかり興味深そうに見ていると目の前に腰を下ろされたので不思議そうに首を傾げ。

「ふむ、特に待ち人も連れもいないから問題ないけれどね。
 ああ、私の分は今運ばれてくるのを待っている所だからかまわないよ。
 丁度頼んでいるのも度数は高いしね。」

そう言って同席するのを頷きつつ同意をする。
そしてとても興味深そうに目の前の彼女の様子を観察するようにじーっと眺めるのである。

レイン・レジネス > この近辺のものではない服装――というだけでは、ややこの女の奇異さを語りきれない節がある。
いわゆる〝着物〟と呼ばれる類の衣服を、帯を使って体に留めているのだが、
覗く肌の様子を見るに、その下には何も衣類を身につけていない。
つまり、裸体に厚めの布一枚を巻きつけただけの姿なのだ。
前髪は長く、両目の下瞼よりも先へ垂れており、それはあたかも黒いカーテンのよう。
そのカーテンの向こうには二つの碧い瞳があって、観察する目をじいっと見つめ返している。

「この目が気になる? ならば、もっと近くで見てくれても構わない」

指で前髪のカーテンを払う。碧眼が作る表情は、決して豊かとはいえない。
そもそも表情筋が固いのかも知れない。笑みは浮かべているが、唇がゆるく弧を描いている程度のものだ。

「そうしてくれれば、こっちから身を乗り出す手間が省けるからね……。
 人を待っていないのなら良かった。今日は良い夜だ、是非とも口説かせてもらいたい」

気取った言い回しではあるが、幾分か(めんどうくさがりの)本性が滲む。

ファニー > 見慣れない服装、女にとっては少しばかり構造が気になったので軽く彼女の身体を見回して構造を想像する。
脱がせるのが楽しそうな服だというのが一番の感想だった。
観察するこちらの視線を見つめ返してくる瞳にはクスッと楽しげに笑ってみせ。

「いや、気になるのは君の瞳よりも……その身体の方かな。」

面白い物を見つけた子供の様に瞳を輝かせ、彼女の言葉通りに彼女の顔を覗き込むように身を乗り出して顔を近づける。

「確かに今日は良い夜だし、それはとってもそそられる言葉だね。
 君の身体を味わえるのなら喜んで、と答えよう。」

お誘いの言葉にはすんなりと同意を返す。
そうしていると頼んだ品物が運ばれてきたようで。

レイン・レジネス > 〝気になるのは瞳より身体〟と言われると――長身の女は、一瞬だが驚いたような顔をした。
ナンパになれているような風を出しているが、その実、その成功率は極めて低いのだ。
それが、向こうから寧ろ応じて来た為、面食らったというのが正直なところなのだろう。

「味わえるならか……こちらから味わって差し上げてもよろしいのだけど。
 ……けれども、先に味わうべきはこちらかな」

が、それはそれとして気を取り直して、運ばれてきたグラスに手を伸ばす。
店側が気を利かせたか、こちらに運ばれてきたのは、相手と同じラム酒、ストレート。
グラスに手を伸ばし――

たかと思いきや。
その掌からしゅるりと伸びた触手が、グラスを巻き取って持ち上げ、相手の近くまで差し出すのである。

「では、乾杯と行こう。……ちょっと飲み干すには時間のかかりそうなお酒だけど」

言外に、〝自分は酒豪ではない〟と伝えつつ。

ファニー > 驚いたような彼女の表情に悪戯っぽい笑顔でその顔を眺める女。

「ああ、その辺はこだわらない方だからどちらでもかまわないよ。
 どちらかと言われるとされる方が好みだけれどね。
 ん、丁度運ばれてきたし、そうしようか。」

運ばれてきたラム酒のグラスに手を伸ばしていると、相手の触手が彼女用のグラスを巻き取るのを目にしたのでとても楽しそうにその様子を眺めながら自分もグラスを手に取った。

「ええ、乾杯。
 そういう時はチェイサーを飲みながらだとマシになるよ。」

チンッと軽くグラスを合わせて乾杯をし、そのままクイッと半分ほど飲んでからドライフルーツを一囓り。

レイン・レジネス > 重ねたグラスの中身を、舌を濡らす程度に口に含む。
強いアルコールの感覚に呻くような声を上げながら、グラスを手元に戻した。

「……動じないね、驚かせようと思ったのに」

そして、少しばかりのふくれっ面。
そんな表情と全く切り離されたかのように、右手の五指のそれぞれから、指とさほど変わらない太さの触手が伸び、テーブルを這って相手の胸元へと進む。

「だいたいの女の子は、最初くらいは驚いてくれるんだけども……慣れてる?
 いや、触手慣れっていうのも変な話かも知れないが……」

驚かされた仕返しが失敗したことに、些か拗ねているのだろうか。外見から窺える年齢に比して、やや子供じみた思考である。

「そりゃあ、悲鳴を上げられるよりはいいけれどもねぇ」

左手の方も同様に、指からしゅるしゅると伸びる触手。
この辺りまで来ると周囲の客も何人かは気付くのだろうが、或いは酔いの幻覚として片付ける者もいるのだろう。
或いはこの退廃の国。この程度の見世物では驚かないのやも知れぬが――

「ねえ、そう思うだろ、君」

触手をうねうねとさせながら、丁度通りがかった看板娘に同意を求める。

ファニー > 半分飲んだ後で再びグラスの中身の残りを煽って飲み干す。
先程の言葉通りに彼女の余り強い酒に慣れていない様子にすこし口元を緩め。

「この国に住んでいると色々と驚きも多くてね、もう色々と摺れてしまったよ。」

相手のふくれっ面を見ればクツクツと喉を鳴らして楽しそうに笑って見せる。
胸元へ伸びてきた触手を見れば、軽くシャツに指を引っかけて少しだけおろし、胸を強調させてみた。

「それにその手の物は好物だし、私の店でも自慰用に安全なのを売り出しているからね。
 それに私は"女の子"と言えるような歳でもないからね。」

近くのテーブルの酔っ払いが彼女の触手に気づいたようだで目をパシパシと瞬きをして隣の仲間に話しているが、仲間には馬鹿なこと言うなと一蹴されたようだ。

「ああ、その子なら……まあそういう反応になるだろね。」

触手を見せられた看板娘は[ひゃっ!]と少しばかり驚くが、直ぐに赤い顔でもじもじしながら興味深そうに眺めてきたようで。

「前にうちの商品あげたことあるし。」

レイン・レジネス > 動き回る触手は、全てが指の延長線のようなもの。
寧ろ指と同等以上の繊細さをもって、僅かに引き降ろされたシャツの隙間にもぐりこもうとする。
手を無理に伸ばさずとも悪事を働けるのは利点と言うべきか、
強調される豊満な胸へ、自らは椅子の背もたれに寄りかかったまま、触手だけが巻きつこうとし始める。

「自慰用の触手……うーむ、なんという特殊な商売。
 どちらかというと店を構えるより、王宮やら貴族の邸宅やらに訪問した方が良く売れそうだ。
 どこかの国の後宮では、女同士の玩具が流行ったと聞いたこともあるし」

が、布の下で行われている行為を、まるで知らぬような顔で。
自慰だの玩具だのと露骨な話題の割に、表情はやはり薄いまま。
しかし伸ばした触手達は、平然たる顔とは裏腹、その長い身体を存分に用いて、布の下で蠢こうとしている。

「で、君、君。その商品を使った結果はどうだったんだい。
 研究者たるもの、魔術の成果物がどう効果を生むのかは大いに興味がある。
 是非ともその時の感想なり体験談なり、この場で私達に語ってくれれば――」

一方で看板娘にこう持ちかける時は、きりりと引き締まった表情。求めるのは酒のツマミの猥談だと言うのに。
顔の半分を覆う前髪を避けてしまえば、案外にその顔立ちは端整にして怜悧。
顔だけは良いのだ。
当人の性根や性質はさておき、この女、顔立ちだけは良いのである。