2018/02/27 のログ
■ジア > 「うん、元気っ!えへへっ、久しぶりだぁ…!」
薄紫の長髪と背格好、身を飾る品々にピンときたぐらいであったが、近づくにつれ確信していって。
振り向く女性に、少年も表情を明るくし、さらに小走りで仔犬めいて傍まで駆けていく。
「えっ?い、いや、ただ修理の仕事があっただけだよ。ノアお姉さんこそ、ここで何してるの?仕事帰り?」
揶揄うような問いかけに、少し虚を突かれたように声をあげた後、少年は入れない酒場を見ていたことを言い当てられた気がして、焦ったような反応になって。
それを誤魔化すように、小首をかしげながら質問を返そうとする。
■ノア > 相変わらず懐っこく、まるで仔犬みたいな少年。アロママッサージよりも癒される可愛らしさに、にこりと笑顔のまま
「 そっか、お疲れさま♡ 」
素直に仕事を終えた少年へ、労いの言葉を掛ける。続く質問には、ふふん と随分ご機嫌な様子で
「 今日は買い物したりマッサージ行ったり、ご褒美の日。」
などと、まるで普段一生懸命働いているかのような台詞を返す。普段からしたい事をしたい時にしたいだけしているような生活を送っている気がするけれど… まぁ、細かい事は置いといて。
「 じゃ、もう帰るとこ ? ………て、ゆーか… 」
思い出した、少年の事情。あれから数ヶ月は経っているが
「 家、見つかった ? 」
決まった家はあるのかと、ゆるり首を傾げて訊ねた。
■ジア > 「えへへ、ありがとうっ」
女性の労いに、少年は仕事終わりでも笑みを浮かべて。そして、気分のよさそうな態度には少し不思議そうになって。
「えーっ!いいなぁ、ノアお姉さんってやっぱお金持ちなんだぁ…」
マッサージやショッピング、ご褒美という自分に縁遠い言葉に、少年はむくれながら羨ましそうな目で女性を見上げる。
その稼業も知らないのだから、普段の生活も想像だにできていなかった。
「うん、さっき終わったとこ……ううん、泊めてくれる人はいるけど、ボクの『家』はやっぱりないよ」
女性の問いには、大きく頷いて見せ、続く問いに言葉を一端切って。
首をかしげながらの次の問いには、ふるふると首を振る少年は、無意識に首から下げる指輪を擦る。
「……だから、今日はノアお姉さんに泊めてほしいなぁ~?」
そんな湿っぽい態度は数瞬と続かず、ニコニコと笑いながら甘えたように首をかしげて見せて。
■ノア > 「 "お金持ち" って訳じゃないけど……… ん、 」
豪邸に住んでいる訳でも御付きがいる訳でもない事は少年も知っているだろうと、けらり笑って否定するも… 続く少年の返答には、少し困ったように眉を下げる。少年が、首から下げている指輪。いつも身に付けている其れを そわそわと指先で弄る仕草が、何となく… 見ているコッチが切なくなってしまうような、形容しがたい愛くるしさで。
「 ………もう、 仕方ないなー 」
そんな仕草の直後に甘えられては、参りました。そうと決まれば少年の眼前に、ひょいと買い物袋を突き出して
「 はい、よろしく男子♡ 」
子供扱いした癖に荷物は持ってもらおうと、こんな時だけ しっかりちゃっかり、女の子ぶる調子の良さ。
■ジア > 「うーん、そうなのかな……あ、でも、別に危ない目にあってないし、今日もノアお姉さんに会えたし、ボク平気だよ?」
身なりは上等に見えて、装飾も多い、というぐらいの材料では、否定されても不思議に思うぐらいだった。
そして弄っていた指輪を戻しながら、女性を不安にさせたかも、と思って笑みを向ける。
「ホント!?やったぁっ!…って、あれぇ?」
半ば狙っていた答えではあったものの、女性の承諾を取りつけられれば、少年は跳びあがって喜ぶ。
そんな着地際に、突き出される荷物に、きょとんとした表情を浮かべて。
「えー…またボクが荷物持つの?」
修理とはいえ大がかりな荷物はなく、手ぶらに近かった少年に突き出される買い物袋をしぶしぶと受け取りながらも、ぶーたれたような口ぶり。
とはいえ、一宿の恩であるのだから、文句は言いながらもちゃんと落とさないように抱える。
「ねーねー、またノアお姉さんの家のお酒飲ませてよ」
そして、ふと思いついたようなおねだりをしながら、女性の傍へとひっつくように寄っていく。
■ノア > 「 "ボクヘイキダヨ" じゃないでしょ、こっちが心配になる。」
なんて、一丁前に誰かに説教出来る程立派な大人ではないけれど。単なる顔見知り なんて浅い付き合いでもない為に、心配なのは事実。溜め息混じりに小言を漏らしつつも、少年の手へ荷物は全て預けてしまって
「 当たり前でしょ、文句は受け付けません。」
不満げな声もスルー、身軽になって足取りも軽やかに自宅へ向かう…… が、
「 ダメっ 」
ぴったりと身を寄せる少年が、甘えた声色で口にしたお強請りには、僅かに頬を染め即座に拒否。アルコールを口にした途端、仔犬は狼へと豹変する事を… 女は身をもって、知っているから
「 ジアには呑ませません、 ……あたしは呑むけど。」
などと、端から見れば口うるさい姉と自由奔放な弟のような会話を繰り広げながら歓楽街を通り抜け。暫く歩けば喧騒から遠ざかり、住宅街へと
■ジア > 「でも、野宿もあんまり……うん、ごめんなさい」
説教のように言いながらも、心配をしてくれているのだとわかれば、言い募りかけた少年も素直に頷いて。
受け取った荷物は、荷運びに比べればそれほど重くはないが、小柄な身体には十分すぎる量に見えてしまう。
「えーっ!?」
寒空の中、身を寄せておねだりした少年は、にべもなく断られて驚きの声をあげる。
酒が入ったらどうなるかは少年もしっかりと覚えている。
ただ特にそれが困るという意識もないためにOKが貰えると自信ありげだったようで。
「そんな~…少しだけでいいからっ、ええっと…ほら、お部屋の掃除もするからっ…ダメ?」
ぴしゃりと禁止する女性に、少年が聞き分け悪く新しい条件まで付けておねだりをしていく様子は、まるで共に暮らす姉弟のような会話であった。
そうしているうち、歓楽街を抜けて住宅街までやってくると、近づく女性の家を前に少年もご機嫌な様子になっていって。
■ノア > 「 ん、素直。」
少年だって自身の生活について、何も考えていないという訳ではないのだろうと… 一生懸命働いている様子から、何となく思う。だからこれ以上余計な説教など続けてしまわぬよう、柔らかな銀髪に ぽぽんと軽く手のひらを乗せ、この話はおしまいに。
「 んん……… じゃあ、」
やがて自宅に辿り着き、解錠しながら考える素振り。カチャリ、玄関のドアを開くと 其処には
『 フシャァァァァー !! 』
どっぷり太った薄灰色、お世辞にも愛らしいとは言えない貫禄たっぷりな御猫様の姿が。飼い主 (仮) の隣に立つ少年を、思いっきり威嚇していて
「 掃除ぷらす、 "コレ" のお風呂ね。」
なんて条件付け足して、一杯くらいは振る舞ってあげる事に。何事も、やってみないとわからない なんて言うけれど… やらずとも、大乱闘になる事間違いなしな威嚇っぷり。
承諾するもしないも、ともかく自宅へ招き入れ。女はコートを脱いだり荷物を片付けたり。暖炉への着火は、また少年にお願いしようか
■ジア > 「えへへっ」
くせ毛のある髪を撫でられると、目を細めてされるがままになる少年も小さく頷いていって。
「じゃあ?……わぁっ!…あ、猫!?」
女性の家に着き、玄関へ入ろうとする少年は、何か言いかけた女性の方を向いており、目の前の注意が疎かになっていた。
ドアを開いた途端、目の前に現れる猫に威嚇をされて、完全に不意打ちだった少年は跳びあがりそうになる。
それでも荷物は落とさずにいて、家に上がる女性へとついていって。
「え~…でも猫ってお風呂嫌いなんでしょ?」
突きつけられた条件に、少年はげんなりとした表情を浮かべる。
猫を刺激しないように荷物を運びこみ、手早く暖炉に火を起こしていく。
その一連の動作は、もはや手慣れたように進むことだろう。
「よーし、猫くん?猫ちゃん?ボクの一杯の楽しみのために、お風呂に入ろう…!」
片づけ終えた女性が戻ってくれば、ちょうど少年は沸かして温くしたお湯を張った桶を準備して、でっぷりとした猫と対峙しているところで。
やや力が強いとはいえ、猫を捕まえにかかろうとする少年は所詮素人の動きであった。
■ノア > 「 うん、嫌いみたい。 ………健闘を祈る。」
少年と御猫様の居る所からはだいぶ離れたキッチンから、びしっ と敬礼して見せる飼い主 (仮)。一方、御猫様… そろりそろりと近付く少年に、殺し屋のような鋭い視線を向けている。後は任せたとばかり、キッチンの奥へ引っ込む女の薄情っぷり。
「 ………………… 」
さて、数分後か数十分後か… 帰還した少年を待っているのは、テーブルの上のグラスとワインボトル。御猫様を待っているのは、ふわふわのタオル。室内履き用のミュールに履き替えた女はソファーに脚を組んで座り、寛ぎながら一人と一匹を待つ。
■ジア > 「うぇぇ…それに凄く警戒しているし…よーし、いくぞっ…って重っ!?イタタッ!?―――…!!」
安請け合いしたことに少々後悔し、ロクに戦ったこともない少年は鋭い猫の眼光に気圧されていて。
薄情にも丸投げされてしまえば、覚悟を決めて突貫…というより嫌がる猫の思ったよりも重い身体を抱えて浴室へと。
「うぅっ…終わった…」
ソファーに座る女性に、猫の鳴き声や少年の焦ったような声が響くこと何十分、格闘の末にあちこち引っかかれた少年が、水を吸った割に小さくならない猫を抱えて戻ってくる。
猫は我先にとタオルに飛び込んでいき、少年は最後まで拭くのも手伝い、それが終わればソファーの上に腰を下ろして嘆息する。
「ほら、ノアお姉さんっ、約束約束っ」
それでもめげずに、女性にくっついて高い体温を伝えながら、せっつくように期待に満ちた目を向けて言う。
■ノア > いつの間にか居座り始めた御猫様。我が物顔でベッドに寝やがったりするものだから、汚れたまま置いておく訳にもいかず。定期的に洗ってはいたものの… その度女の腕には、細い細い無数の引っ掻き傷が出来ていたわけで
「 お疲れさま、助かっちゃった♡ 」
ソファーに座ったまま、ふふ とにこやかに少年を迎える。身体を拭き終え再び もふもふとなった御猫様を解放すると、
「 ん、ちょっとだけだからねー はい、乾杯。」
などと言いながら、二人分のグラスに酒を注ぐ。一つを差し出し、一つを手に取り、互いのグラスを軽く合わせるようにして乾杯し
「 …… 、」
暖炉を着けたとはいえ まだほんの少し肌寒い室内で、少年と身を寄せ合ったままグラスに口を付けた。元より軽く呑んで帰るつもりだったのもあって、こくりと一口、また一口と… いつもより甘めの酒を呑み進める。
■ジア > 「もう、ボクも猫の身体を洗うものがどこにあるかまでは知らなかったんだからねっ」
何時の間にやら飼っていた猫の風呂を終えれば、その疲れがどっと出てくる気分の少年であったが、それをいつもやっていると思えば、あまり文句を言うこともできず。
「うん、ちょっとだけ…とと、乾杯っ」
酒が注がれたグラスを受け取れば、嬉しそうにそれを見る少年は、グラスを差し出されれば慌てて合わせていく。
「ねぇ、ノアお姉さん。どうやったらボクもノアお姉さんみたいに稼げるかなぁ?」
流石に以前のように不覚となるほどではなかったが、ぽかぽかとした熱が沸き上がってくるような心地になる。
実際に触れている肌は、先ほどよりも熱くなっていて、十分に酒精が入ったようで。
ふと、質問を投げかける少年は、その最中にも甘えかかるようにより女性へと引っ付いていこうとするだろう。
■ノア > ソファーに二人、ゆったりと寛ぎながら酒を酌み交わす。然程強いものではなく、甘くて呑みやすいものを選んだつもりだったが… やはり、随分と酒が回り体温も上がっている様子。とはいえ急に豹変したりはしないだろうと、気に留める事もなく。
「 ………ん、急にどーしたの。」
他愛もないやり取りから一辺、少年の口から 何やら相談 (?) が。それこそ聞く人間を間違えているが、そんな事言える訳もなく
「 多分、だけど… 手段を選ばなければ、欲しいモノを手に入れるのって案外簡単で。良心や理性があれば悪事は出来ないだろうし、理想やプライドがあれば手段や過程を選ぶだろうし。本気で何かを手に入れたいと思った時、何を捨てれるか… じゃないかな。
……なんて、偉そーに言える立場じゃないけど。そういうのは、ジアが尊敬出来る "立派なオトナ" に聞くことっ 」
自分の事だったりを重ねつつ、柄にもない返答。すぐにいつもの調子に戻り、けらりと笑ってグラスを煽った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノアさんが去りました。
■ジア > 【継続予定です】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジアさんが去りました。