2017/09/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にパトリックさんが現れました。
パトリック > さーて、今日の仕事も終わったし、飲むかー! おー!
(近郊の偵察任務を完了して、大きく伸び。 そのままいつもの平民地区へ繰り出す。
 最近は平民地区の酒場探しも概ね一段落してきたところだし、
 何か物珍しいものを探そう。 そう考えてぶらぶらと歩いていたところで、
 噴水広場の近くがどことなく騒々しいのに気がつく。 ぴくぴくと獣耳を動かした。
 周りの人々が、どうにも噴水の方を避けている気がする。
 こういうときは、概ねなにかあるのだ。 人通りに逆らうように、噴水広場へと向かった。)

ワー…。 これ、そこのお兄さん。 そんなところでぐったりしてると、警備の連中が不審がりますよ。
とりあえずその…デロデロを拭うとか、こう、なんかその辺の水場で洗うとかするのはどうです?
(緑色のでろでろした塊…否、人間である。 近づいてそっと声をかけた。 ゲンナリしてるのもかわいそうだし、
 それに「不審人物がいる」と通報でもされたら、きっとこの御仁は良くない目に遭うだろうし。)

イグナス > (いやもうどうしたもんか、これ色々と無理だ。
 ぐったりと噴水の端っこに身体をもたれかからせながら、ぐうと呻いた。
 匂い…は幸い大したことないんだけど、あつい。なんか皮膚がふさがれてんじゃなかろうかってくらい。
 暑くて汗も出るし、最悪な気分のところ――)

……あン?

(聞こえる声に視線を上げた。じ、っと見上げたところにいるのは…女、いや、男、だろうか
 かくんと首を傾けて一瞬不思議そうにするも、彼の言葉に苦笑い。)

あー……おう、そうだな、いや、ほんとに、な。くそ。

(やっぱり悪態付きながら起き上がって、ばしゃって噴水で顔だけでも洗う。
 スライムがどろりと落ちて、噴水に広がった。はた迷惑である)

パトリック > なんか新手の魔物が出たんじゃないかって皆ビックリしてたみたいだよ。
まあ魔物じゃないってんなら、皆安心だね。 よかったよー。
(心配そうに緑色の巨漢を見ていた市民たちに、手で大丈夫だ、とジェスチャー。
 安堵して去っていく人々の背中を見やりながら小さく頷く。 少なくても、これで通報はされまい。
 悪態をつきながら勢い良く顔を洗う彼にタオルを差し出し、にっこり笑った。)

僕はパトリックだ。 よろしく。 それにしても…一体何があってそんな状態に?
変な洞窟に入ったってそうはならないし…噴水んところでぐったりしてたのを見るに、
遠くからその状態のまま歩いてきたわけでもないでしょうに。 魔術でもやってたとかかな。
あ、そのタオル古いやつだからさ、もう拭うだけ拭って捨てちゃっていいよー。
(相手の身体にこびりつくスライムをそっとつつく。 粘つく感覚。 鼻先にもっていって匂いを確認。
 匂いがするような…しないような。 興味津々といった様子で問いかけた。)

イグナス > 見世物じゃねーぞう。こんちくしょう。

(かーっぺ、って。今日はやさぐれモードゆえに、遠巻きから見てた連中に、べ、と舌を出してみたり。
 尤も、目の前の人間の言葉の方が信ぴょう性があるみたいで、みんなこっちの言葉は知らんふうだが。
 渡されたタオルに、助かる、と一言。顔をぐいとぬぐい)

パトリック、…ああ、俺はイグナスと云う。
――いやな、仕事だよ仕事。魔法使いの研究の手伝いだかで。
……まさか魔法が変異してこんなことなるた、思わなかった。

(その場でキレて魔法使いの研究所から暴れ抜けて、なんとかたどり着いたのがここって有様。
 び、と腕を振れば、べちゃり。スライムが床に落ちる。
 においはない、どっちかっていうと男の体臭の方が混じるやもってくらい。)

パトリック > イグナス、よろしくー。 ああ、仕事で…って、魔法の変異でこれができちゃったってわけ!?
(ふうむ、と自分の顎をひと撫でして答える。 魔法使いの手伝いというのは楽ではない。
イグナスのようになることだってある。 もちろん、べとべとになるだけで済むならマシな方だろうけれど。)

へえー、それにしても災難だったねえ。 身体は…怪我とかないみたい…だね。
(うろうろ。 彼の周りを回るようにして身体を確認。 一応の応急手当くらいは、軍属だから心得ているのだ。
 とりあえず治療の必要がないとわかって胸をなでおろす。 怪我でもしてたら、それこそ一大事だ。)

それにしても、イグナスはでっかいね。  僕だって背が高い方じゃあないけど、大人と子供だね…。 
(うーむと小さく唸って、相手を見やる。 ごつごつとした姿はまるで岩の塊かなにかのようで、
 屈強さがにじみ出ている。 それに、男らしさも。 スライムの欠片にかすかに滲む男の匂いのせいで、
 よけいそう見えるのかもしれないけれど、それにしてもすごい。 思わずため息が溢れた。)

イグナス > そうみてえな、……いやまあ、もっとひどいことになるかもしれなかったけども。
……ええい、だがこれは、くそ、忌々しい。

(け、と視線を外しつつ悪態ひとつ。これがぶっかかった後は、それはもう。
 あついし、気持ちが悪いし、べとべとだし。
 それでも体には怪我ひとつない。常人ならあるいは、そうもいかないかもしれないが。
 これだけのガタイなら、一切そういったことはないらしい。大丈夫だーってひらひら片手振って。)

ふふん、でかいだろ。―――半分巨人族が入ってッからな。
……お前は男の割には、ちっこいなー。

(種族もあるし、一概にそうはいえないのだけれど。彼の方に手を伸ばし、ぼやく。
 手にもスライムベッタベタだから、さすがに触るわけにもならないけれど。
 その掌だって、かなり巨大だ。)

パトリック > へえー…。 しかし、これができるってのは何しようとしてたんだろうね。
スライムでも呼び出そうとしてたのかな。 あるいは呼び出しに失敗したとか?
ふーむ…まあ僕も魔術は詳しくないけど、すごいねえ。
(腕を組み、首を傾げて唸る。 彼の大きな身体がべったべたになるぐらいだから、
 作り出されたスライムの量は……考えたくはない。 ともあれ、彼がひどい目にあったのは
 間違いない。 少し落ち着いてきた様子の彼を見て、よかった、と胸をなでおろした。)

ああ、なーるほど、巨人族か! どっかで見たな―って思ってたんだよね。
ちっこいでしょー。 男子力が最近下がってるからさー、最近は背丈どころか、こう…。
肉付きまで変わってきちゃってるんだよね…。 よいしょっと。 …おおー、でっかいねえー。手のひら。
(自分の方に伸ばされたイグナスの手は、ごつごつしていて、まさに屈強な冒険者のそれだ。
 彼と手のひらを合わせるように手を伸ばして、スライムを気にせずにぺたりとくっつける。
 指の太さも、厚さも全然違う。 ぐりぐり、と手のひら同士をすり合わせるようにしてから、楽しげに笑った。)

イグナス > さてな、魔法使いの連中ってのは――なにがしたいのかよくわからん。
金払いがいいから受けた仕事だが、いや、失敗だな。
(やれやれ、といった様。まだ体の大部分にべとべとが張り付いてて、気持ち悪い。
 うえ、って呻きごえ一つ。それでもお陰様で、だいぶ落ちついた。
 息を付けば、改めて彼の方に視線を向けて。)

ふふん、……はー。ほんとに。なんか女みてえな。
しっかり鍛えたほうがいいンじゃねえか。ちっちゃい。

(スライム気にせず触れてくるならば、こっちからもそれなりにしっかりと握り返す。
 ぎゅっぎゅ、にぎにぎ。スライムもくっつきあってちょっと気持ち悪いが、まあよかろう。
 すうと目を細めて、やっぱり小さい、と笑い。)

パトリック > 魔法をやる連中の、金払いがいいってのは”ろくな事がない”の意味だからねえ。
今回はババ引いちゃったってわけだね。 お疲れ様。
(うんうん、と相手の言葉に何度も頷いた。 魔術でメスにされたり、
 いろいろされたりした経験を持つ自分は、彼の言葉にものすごく同意するしかなかった。)

んふふ…ちっちゃいとか女みたいって言われるの、恥ずかしいけど嬉しいねー。
仕事がら色々着替えるから、あんまり男っぽすぎたり、女っぽすぎたりするのも困るからさー。
(ぬらぬらとしたスライムを潤滑油のようにして、二人で手を握って遊ぶ。
 2本の指で相手の指を挟むようにしてしごきたてたり、指の腹で相手の太い指を丁寧になぞったり。
 手遊びに夢中になる中、相手の笑顔に目を細めると、ぴくんと獣耳を立てた。)

あ、そろそろいい時間だな。 イグナス、もしよかったら一緒に飲まない?
そのスライムの話聞いてみたいし、他にも色々面白そうな話持ってそうだし。
まあ、行くにしても…まずはスライムを落とさないとだろうけど。
(ひとしきり手で遊んだ後に、噴水でスライムを落とす。 さっきイグナスもそうしてたから、この際よいだろう。)
 ハンカチで手を綺麗に拭ってから相手に呼びかけた。)

イグナス > や。ほんとにその通りだな。…わかってたつもりなンだけどなあ。
…なんだ、だいぶ実感こもってるな、お前もご同輩かー?
(同じようにひどい目にあわされたクチか、と冗談めいて、ククと笑う。
 尤も、己よりひどいはそうそうないだろうが、って。)

‥はー、うれしい、もんか。よくわかんねえけども。
仕事柄?――へえ、なんの仕事って、聞いてもいいなら?

(まさかそういう、お仕事の関係だろうかー。かくん、と首を傾けて。
 指に触れる感触に、くすぐったいやら、気持ち悪いやら。
 ぐにってこっちからも軽く触れてから、離して)

おう?――なんだ、そうだな。それならせっかくだしご一緒しようか。
――……まあ、先にそっちだが。

(相手の言う通り、まずはこのべとべと、もう少しでも落としてからだ。
とはいえ、相手の言葉には同意して。ひとしきり、ここで落とせるだけおとしてから立ち上がる。
それじゃあ、酒場なり、もうちょっと汚れ落とせる場所に向かおう――)

パトリック > まあ概ね同輩みたいなもんだよ。 冒険者って肩書じゃないだけで、やることはだいたい同じ。
(肩をすくめて見せる。 楽しげな相手にふすんと笑い返した。
 仕事が気になったのだろう、 問いかけにはウインクをして見せて。)

それならあとで話すよ。 といっても、色っぽい仕事じゃあないんだけどね。
まあまあ、お互い色々あったみたいだしさ、とりあえずお湯と酒で洗い流そうじゃないの!
(おー!と拳を振り上げると、イグナスと一緒に酒場のある方へと繰り出して――)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からパトリックさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「平民地区 如何わしき小さな書店」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 小さな本屋、平民地区でもひっそりとした路地裏にある書店
綺麗でもなく、潰れそうで潰れない書店といえば、売ってるものは大体共通してる。そう、所謂エロ本、ビニ本と言われるいかがわしい書物が圧倒的である

そんな、小さな書店の雑誌コーナーに、一人の少年が立ってる。
手には、小さな雑誌、こんな店なので、当然立ち読みしてるのは、そういう系の本ではある…あるが。幼い少年が立ち読みしてても、老人のような風貌の店主は何も言わない。ただ、黙って自分も何か本を読んでるだけだ。咎める様子も、立ち読みを嫌う様子もない

「…んむー…」

少年は、難しそうな顔をして首を傾げる。手にした雑誌は、成人向けの本ではあるが所謂エロ本やビニ本の類ではなく、セックスの体位、性器の愛撫等に付いて書かれた、俗に言うハウトゥー本である

シャルティア > 「むむむ…」

顔を近づけて、雑誌の文字を見る。でも、分からない単語が多すぎて、頭がオーバーヒートしそうになる。 まあ、エロ本目的ではない、性行為を勉強したくなったのだ。 単純に、もっと相手を喜ばせたいとか、そんな単純な理由である。
単純故に熱心に、『店主の老人から』渡された本とにらめっこ。女性器の形とか内部がうんちゃらとか、なんか書いてあるが、自分は当然女性じゃないから確認のしようもない

シャルティア > 「むつかしい…でも、頑張ったら喜んでくれるかなー、気持ちよくなってくれるかな―」

そんな空想、妄想。自分がされて気持ちいい事、それは大好き。頭が真っ白になって、ふわふわして、ドキドキして、ゾクゾクする。絶頂の感覚もそうだが、そこに至るまでも、大好きな人は皆とてもとても気持ちよくしてくれる。だから、達したときの絶頂感も凄まじい。
そんな気持ちが良いことなら、ぜひ、相手にも味わって欲しい、気持ちよくなって欲しい、そんな気持ちが、本という嫌いな物を少年に読ませる。その眼差しは真剣そのもので

シャルティア > 「うーん…むつかしいけど。 おじちゃん、これちょーだい」

と、少年は、小さな革袋から銀貨を何枚も取り出す。値段がわからないから、適当に出しただけという感じ。初老の店主は、無言のまま銀貨を2枚取って、残りを少年に返す。
少年は、ありがとー♪と人懐っこい笑みで、本のはいった紙袋を受取る。そして店をでていった

ご案内:「平民地区 如何わしき小さな書店」からシャルティアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にホルンさんが現れました。
ホルン > 馴染みの酒場へとやって来たホルン。
相変わらず騒がしい。
繁盛しているからというよりは、特に威勢がいい連中が客層だからであろう。

「こんばんは……。何か、お仕事は、入ってますか?」

いつものように果実酒を注文し、マスターに予約の確認をする。
ホルンの副業、冒険者の助っ人である。
結界や探知が使える魔術師として売り出しており需要はまあまあ。
どうやら今日は一件、直に会って相談したい冒険者がいるとのこと。
聞いてみると面識のある相手だった。

「分かりました……。では、明日の夜で、伝えておいてください」

更に言伝を頼み、酒を受け取ると顔馴染み達の輪に混ざりに行く。
年齢に幅はあるが殆どが男で、皆種類は様々ではあるが肉体派の部類。
小柄で魔術師の姿をした少女はいかにも浮いてそうだが、皆もすっかり慣れていてすんなりと輪に加えて貰える。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > 冒険者たちで賑わう酒場にふらりと一人の少年が現れる。
仕立てのいい服を纏った姿はいかにも冒険者というふうには見えないが
その足取りはしっかりとしていて隙がない。

店主の居るカウンターに近づくと持っていた荷物袋の中から
依頼品と思われる薬草や薬瓶、魔道具などを出して並べる。
それを店主がリストと照合して寸分違わず依頼の品だとわかれば
報酬と引き換えに品物を受け取った。

金貨の詰まった袋を荷物にしまい、サングリアを店主に頼んで受け取ると
逞しい男たちの隙間を縫って席を探す。
と、ふと男たちの間に混じって小柄な少女が酒を嗜んでいる姿に目を留めた。
魔術師らしいその様子に何やら、むっときているのか
睨むような勢いで視線を飛ばす。

ホルン > 「ふふふ……。それは、大変でしたね」

男たちが失敗談を面白おかしく酒の肴にしている席で冗談に笑みをこぼすホルン。
お酒の影響もあり血色はかなり良く、ほんのりと赤らんできている。
そうして楽しい時間を過ごしていると、ざわざわとした不快な気配。
少し振り向いてみるとそこには馴染みのない顔。
こういった男所帯に女、特に小柄な少女が混じっていると快く思わないという輩であろうか。
今見た限りでも、あまりご機嫌という様子ではなかった。

「あ、あの、どうも……。ここも、空いてます、けど……」

一応軽く会釈をして、見知らぬ客に挨拶をしてみる。
ここも大事な活動拠点なのであまり問題は起こしたくないし、関係者とは友好的でいたいので、その為の工作の一環である。
もしここの馴染みになって、嫌悪感を抱いたままでいられると少々困るのだ。

チェシャ=ベルベット > 目があった少女が恐る恐る席を勧めてくる。
ふん、と鼻を鳴らして勧められた席に腰掛けるとサングリアをちびちびと舐め。
じろじろと無遠慮に少女を上から下まで眺めて睨む。

「あんたさぁ……魔術師っぽいけどそんななりで
 ちゃんと仕事できるの?」

開口一番、そんな喧嘩腰のような言葉をホルンに投げつける。
少年も似たようなものであるが舐められないために刺々しい雰囲気をわざと周囲に飛ばしている。
同じ魔術師としての対抗意識もあったのだろう、少女がどう出てくるかを試しているようでもあった。
周囲の男たちがおいおい、とかたしなめるようにチェシャを見やるが気にした様子もない。

ホルン > 絡まれてしまったが、こういった事はよくある。
みてくれのせいもあるし、性別も無関係ではないと思う。
理由が何にせよ、関係改善を図るべきだろう。
威圧的な言葉に、困ったような表情を作り。

「ご、ごめんなさい……。あの、少しだけ、ですけれど……。
あまり、強くはないので……。皆さんの、お手伝いぐらいを、です……」

対応は難しいところだが、威圧に対して気にしない風にされるよりは少し怯えるぐらいがいいだろうという判断。
それに怯えた様子を見せれば周りからもフォローが入るだろう。
何かあっても被害者な雰囲気に出来れば、最悪でも現状の立場と関係を維持できる。

チェシャ=ベルベット > 「なんで謝るのさ。変なの」

弱々しい相手の言葉にますます機嫌を損ねたようにむすっとしてしまう。
こんな細くて幼い少女にも冒険者の依頼は来てしまうのだと思うと
チェシャとしてはプライドが少々傷つくのだ。

「手伝いって何が出来るの? おままごとのお相手とか?」

完璧に相手を侮るようなセリフを付け加え、ハッとせせら笑う。
その頃にはホルンをかばうように周囲の男たちが苛立ち始め
何人かはホルンに同情的に肩をたたき、相手にしなさんなとフォローをするだろう。
それがますます面白くなかったのか、

「なんなら僕と魔術師として対決してみる?
 腕前を証明できたらもうあんたに絡んだりしないよ」

などと喧嘩腰のような態度で勝負をふっかけてみる。

ホルン > 下手に出過ぎてしまったのは失策だったか、明らかに機嫌を損ねたようだ。
突発的な人間関係というのはやはり難しい。
そしてどうも、あまりよろしくない流れになってきている。
先程までは気分よく呑んでいた男たちだが、そもそも粗暴な冒険者である。
挑発的な新顔に対して何をしでかすか正直わかったものではない。
何とか相手の鉾も収めてもらいたいが、素直に魔術師対決というのもこれまたよろしくない。
探知と結界は出来るが、他はそんなに得意ではないという体裁でやっているので対決の内容次第では何も出来ない事もありえる。

「あ、あの、私っ、結界とか、探知ぐらいしか、上手に出来ないから、対決は……」

これを聞いた上で決闘じみた決着を望むのならばすぐに降参しよう。
結界の能力比べとかなら、やりすぎない程度で挑めるが。

チェシャ=ベルベット > 「結界と探知ィ? 冗談でしょ。
 その二つだけしかうまくないってことは攻撃系の魔法なんかなんにもないわけ?
 じゃあパーティ組んだときとかどうやって仲間を支援するのさ。
 はぁ~つっかえない」

結界と探知だけしかホルンがうまく出来ないことがわかると
大仰に肩をすくめ、呆れたように相手を見下した。

「それじゃあ勝負にならないじゃん。いいやもう、なんかやる気が失せた。
 はぁ~~~、もっと手練の魔術師と思って勝手にライバル視した
 僕が馬鹿だった……。
 おかしいな、もっと強そうに見えたんだけど」

椅子の背にぐたりと体を預けそれまでツンツンとした態度だったのを
急に止めてしまう。
周囲の冒険者たちもこれにはあっけにとられて立ち上がりかけた姿勢を直し再び席に戻ってしまう。

「まぁ、顔が可愛いからチームのマスコット的にはちょうどいいんだろうけど。
 女は得だよね、それだけでもてはやされるからさ」

だというのにこのチェシャは一言多い。

ホルン > 「あ、あの、ごめんなさい……。あの、だから、お手伝いは、副業でしてるだけ、なので……」

どうにか、情けない使い手だと思ってくれて対抗心のようなものは失ってくれたようだ。
しかし無用な争いをしなくて一安心と思った矢先、またもや挑発的な台詞。
ホルンが馬鹿にされただけでなく、見た目だけで助っ人を頼んでいると言われた荒くれ者達はプライドを傷つけられたのか途端に殺気立つ。

「……ひぐっ。ぐすっ……。や、やめて、ください……。そんな、みなさん、ちゃんと……、真面目にお仕事、してるのに……
馬鹿に、しないで……っ」

ぽろぽろと大粒の涙をこぼしながら、チェシャに対して振り絞るように抗議の声を出すホルン。
涙も無論演技であるが、男たちの怒りを沈めるために咄嗟にやってみたのだった。

チェシャ=ベルベット > 相手の涙に周囲の男たちのみならずチェシャまでぎょっとしてしまう。
無論それが演技であるかどうか見抜けるはずもなく、
少女の可憐な涙にあたふたと慌てふためくのだった。

「な、何だよ……泣かなくたっていいじゃん。
 あーもう、そうかよ僕が悪かったよ。ごめんなさい~……
 ちぇ、調子狂うなぁ……」

バカにされた男たちは少しも気持ちの篭っていない謝罪に対して
まだ怒りを露わにするものもいたが、ホルンの涙の手前
ここで大々的に争うのはよしているらしかった。
ぐい、とサングリアを飲み干しすっかり居心地が悪くなってしまった酒場の席を立つと

「ほら、いつまでも泣いているなよ。可愛い顔が台無しだろ」

そう言ってホルンの手に綺麗なレースのハンカチを押し付ける。
これで涙を拭けということらしい。
そうして店主にお詫び込みに多めの酒代をカウンターに置くと
そそくさと店を立ち去るのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。