2017/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/裏通り」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (きちんとご飯を食べなさい、と、言ってくれた人が居る。
しかも言葉だけではなく、お金までくれた人だ。
だから可能な限り、言いつけは守っておきたい、のだが―――

店で食事をしようとすると、子ども一人ではどうしても目立つ。
更に、店で食べる食事はさすがに高い。

結果、どうしても屋台で売っているパンやらソーセージやらで、
簡単に食事を済ませることになる。
今宵のディナーは、大振りのソーセージを挟んだ細長い形状のパン。
大通りの喧騒から離れて、細い裏通りの片隅。
どこぞの家だか店だかの軒先で、壁に背中を預けて立ち、
マントのフードを目深に被ったまま、両手で持ったパンへ齧りつき)

………ん、んー……ん、これ、ひょっ、と……おっき、すぎないか?

(己の口にはボリュームがありすぎて、口のまわりが味の濃いソースで汚れる。
服の袖口で拭かず、懐からハンカチを取り出すあたりが、ボンボンである所以か。
きゅ、きゅ、と手早く拭いて、ふうう、と深く息を吐き)

リュシー > (―――まともに暮らそう、と思った途端、わかったことがある。

存外、子ども一人で入れる場所、できることは多くないこと。
お金次第で融通の利くこともあるが、その場合はかなりの浪費を覚悟すべきだということ。
しかるに―――己にできる、お金稼ぎの手段、とは。)

――――なんか、胃もたれ起こしそうだなぁ。

(ものを考えながら食べるのは、消化に悪い。
今まであまりしたことがなかったので知らなかったが、食べる時は食事に、
意識を集中させたほうが良いらしい。
小さくかぶりを振って気持ちを切り替え、大きく口をあけて、
もきゅ、もきゅ、パンを平らげることに集中しよう、と。)

リュシー > (食べ終えたパンの包み紙を手のなかでくしゃくしゃと丸め、
もう一度口許をハンカチで拭いながら、大通りの方角へ視線を向ける。

なにか、仕事を探しに行くか、それとも。)

――――― ふ、あ……

(のどかな欠伸をひとつ、子どもの身体であるせいなのか、最近はひどく、
眠気に襲われることが増えた気がする。
まだ街は賑やかな時間帯であるけれど、たまには子どもらしく、
早寝など心がけてみようか、と。
大通りには背を向けて、小走りに今夜の宿を目指し――――。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区/裏通り」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユーリィさんが現れました。
ユーリィ > 夜更けの平民地区は、明かりがぽつぽつと見える程度で静かなものだ。
少しずつ店も閉まり始めて、通りの隅には酔いつぶれた酔っ払いの姿がちらほら。
中には朝方まで空いている酒場などもあるのだろうが、何軒もあるわけではない。
そんな中を歩くのは、迷い込んだ女の子とかいないかしら、という下心たっぷりの理由があった。

「よっと……まぁ、そんなに都合良く行く訳はないってことかな。
 それにしても、酔っ払いのおじさん達が多いね。夏はいいけど冬だったら死んじゃうよ?」

割と適当な呟きを残しながら、その足は石畳を踏む。
その歩みに合わせて、さらりとした腰までの銀髪は月明かりに照らされ、煌いていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリンさんが現れました。
リン > 通りの端っこに目をやると、そこにも一人壁によりかかり寝こけている人物がいた。
やはり酔った末の入眠なのだろうが、その中でも
長い藍色の髪の少年の姿は少し浮いているようにも感じられるかもしれない。
腕に抱えている青く塗られたヴァイオリンのケースも、少し奇妙だ。
眠りは浅いようで、かくかくと首を揺らしている。

ユーリィ > そのまま歩いていけば、やがて酒場通りの端に出る。
どうやら夜の街に迷い込んだ暇つぶしの相手は見つからないらしい。
さて、どうするか。家に帰って眠ってしまうか――などと思いながら、ふと片隅を見る。
そこに居たのは、酔っ払いにしては見目麗しい少年だった。
どうやら眠っている様子だが、なんだか浮いているような気がする。
ついでに言えばヴァイオリンのケースもなんだか不思議な気配を帯びている。
こくり、こくりと舟を漕ぐ様は、まだ眠りが浅いのだろう。

(――へぇ、楽器を大事に抱えて寝てるなんて、物取りの良いカモだよねぇ)

くす、と笑いながら、少年の方へ歩みを進める。
やがて、目の前までやってきたなら、ちょいちょいとその頬をつつきながら。

「やぁ、ここで眠ってもいいけれど、明日の君は一文無しだぞ?」

声をかけながら楽しそうに、少年の頬を突き続ける。
彼が目を覚ますなら、その瞳には少女然とした人影が写ることになるだろう。

リン > 酒気にわずかに色づいた藍髪の少年の頬をつついて声をかければ
やがてゆっくりと瞼を開いて、ユーリィを見るだろう。

「わ……!」

視界に映る見知らぬ顔に慌ててのけぞり、後ろの壁に後頭部を軽く打つ。
抱えていたケースがカタカタと揺れた。
やがてのたのたと立ち上がろうとする。

「……べつに、ちょっとだけ休むつもりだったんだけど……。
 ま、起こしてくれて、感謝しとくよ……」

無防備に眠っていたところを見られ、注意された気恥ずかしさから
はじめ視線を合わせようとしなかったが、相手の背格好も夜更けの通りには見合わないことに気づく。
見た目の歳でいえば、自分よりもいくつか幼そうだ。訝しげな視線を遠慮なくよこす。

「で、君は何者? 平和のために働く夜警って雰囲気でもないけど……」

ユーリィ > 眼前の繊細な少年は、目を覚ますなり驚きの声とともに仰け反った。
頭を打つ様子はどことなく滑稽で、くすくすと笑いを零しながら。

「あはは、大丈夫?僕は物取りではないから、安心してくれていいよ」

のたのたと立ち上がろうとするならば、様子に応じて手を貸して。
感謝の言葉には首を横に振りながら。

「いやいや、気まぐれに起こしてみただけだから、感謝されても困るかな。
 ただ、これからの時期は野宿に適さなくなってくるから、前後不覚になるまで飲むのは控えたほうがいいかもね」

酔いつぶれてそのまま、凍死なんて言うこともある。
それとなく忠言しながら少年の様子を見ていれば、やがてその視線が訝しげなものに変わる。
次いで問われる言葉には、少しだけ考えた後に。

「んー、君の言う通り、夜警ってわけじゃないね。暇つぶしに歩いてただけだし。
 こう、夜の街に迷い込んだ可愛い女の子とかを、ちょっと誘って――なんて。
 いわゆる送り狼って奴になろうと思ってたんだけど、君は男だからねー」

要は見つからなかったわけで、とあっけらかんに言いながら、とるに足らない事情を明かすことにする。