2017/05/30 のログ
セリア > 自分の唇をぺろ、と舐める。
微かに上気した顔を笑みに崩し、抱きしめる腕にやや力を込める。

「嫌じゃないならよかった。…飲みに行く気分じゃなくなったかしら」

ぼうっとしている彼女の顔を覗き込むようにしながら。
追い打ちをかけるように、何度か唇を啄む。余韻に浸るかのような動き。

エナーシア > 「はっ…、んぅ…、ま、待て…ふあ…」

思考がまとまる前にまたもや啄まれる。
そうされると、ついこちらも応えて同じようにセリアの唇に軽く口づけを返し、まともに言葉を紡ぐ暇がない。

「あふっ……も、もう少し、こうして、いるか……?」

ようやく、それだけ絞り出した。

セリア > すっかり此方が手玉に取ってしまったかのような彼女の反応に微笑む。
互いに唇を啄み、未だ火照りが冷めやらぬまま。

「……私はそれでもいいけど? もう少し落ち着いてから酒場に行くのでもいいわね」

そもそもの目的はそれだった。
こうしているのは全然良いし、彼女もそれで良いというなら…と抱き寄せて密着度を高める。

エナーシア > 「あ、ああ……。落ち着くまで、もう少しこうしていよう……」

今度は口づけをせず、抱き合ったまま呼吸と鼓動が落ち着くのを待つ。
……中々落ち着かないが、それでも時間が経てば大分思考力も回復してくる。
そう、そもそも酒場に行く途中で何故かこんな事になっているんだったな……。
落ち着いたとは言い難いが、一応冷静にはなったと思う。
抱き合っていた体を再び腕組みに戻す。

「すまない、待たせたね。それじゃあ、改めて行こうか」

とは言ったものの、まだ顔が火照っている気がする。

セリア > 路地で抱き合ったまま暫し、身体の火照りを冷ます。
此方よりもむしろ彼女の方が戸惑っている、というより混乱しているように見えるが。
程良く時間が過ぎた頃。漸く先程と同じ腕組みに戻って。

「ええ、行きましょうか。…ふふ、ゴメンね?いきなり」

未だ火照ったままの彼女の頰をそっと、組んでいない方の手で撫でようとする。
柔い声音で謝った後に歩き出して。

エナーシア > 思いの外動揺してしまったが、別に悪い気分ではないし謝られる程の事じゃない。

「い、いやいいさ。このぐらい騒ぎ立てる程の事では」

セリアの手が頬に触れる。
火照っているせいか妙に冷たく感じた。
また妙に意識すると足が止まってしまいそうなので、殊更ずんずんと前に進み目当ての酒場へと足を急ぐ事にした。

セリア > 「あまり気にしていないのなら良いんだけど…」

頰に触れた掌に熱を感じながら、そっと撫でて引く。
早足で前に進む彼女に半ば引きずられつつも、別に組んだ腕を振りほどくこともなく。
彼女目当ての酒場に到着するまでは特に悪戯をすることもない。

エナーシア > 歩いている内に段々と復調してくる。
とはいえ大した距離ではないのでまだ少し火照りは残しているが、それは腕を組んでいるとどうしてもセリアの柔らかさを腕越しに感じ取ってしまうせいだろう。
それでも先程よりは大分冷静になったと思う。
酒場に到着してそのまま入店してステージを確認すると、特に何も出していないようだった。
スケジュールなんか全く把握してないから仕方のない事だな。
まあ別に踊り子が見たかった訳でもないしいいのだが。
そして騒がしさの方は相変わらず、まあこの手の店はこんなものだ。

「とりあえず私は一杯と、軽く何か食べるかな。
セリアも好きに頼んでおいてくれ。味の方は不味いという評判はないから大丈夫だと思うぞ」

正直味に頓着の薄い私にとってそこは大して重要ではないのだが、一般的には気にする要素というのは理解している。

セリア > 此方は彼女とは違いシャツとパンツだけという薄着である為、豊かな胸が当たるのも致し方無いことではある。
最も先程までこの服装で仕事をしていたわけなのだが。
平民地区であれば剣を必要とする場にはあまり出くわさないものだ。

到着した酒場に入店すれば、喧騒が耳をつく。
特に気に障る事もなく、むしろ心地よい程。静かすぎる場所は苦手なせいもあった。

「ありがとう。私も一杯と、簡単なものを頼むわ」

味については自分も頓着しない。食べられるものであればなんだって構わないのだ。

エナーシア > お互いに注文を済ませるとまずは酒だけ受け取り、隣り合って座れる端の席についた。

「やっと一息つけるな。さっきは足を止めさせて済まなかったね」

キスの余韻で抱き合っていた事を思い出すと、また少し頬が赤らんだ気がする。
しかしキスぐらいでああなってしまうとは、不覚であった。

「とりあえず乾杯としよう」

椅子に座り、横のセリアに視線を向けながら透明な酒の入ったグラスを掲げる。

セリア > 隣同士で腰掛け、手に持ったグラスを掲げる。乾杯の仕草。

「ううん、こっちこそ御免ね。気を悪くしていないと良いのだけれど」

グラスに入っているのは無色透明の、しかし彼女のとは異なる酒。
カラン、と軽くぶつけ合わせて、一口。
熱が喉を通って胃に落ちていく感覚がなんとも心地よい。

エナーシア > 乾杯の後は軽く酒を舐める。
半ば薬のようなもので、まともに飲むような事はせず僅かずつ舐めるようにして呑むタイプなのだ。

「いや、その事はもう大丈夫。別に悪い気はしなかったし。
セリアは、酒は好きな方なのか?」

さて問題はここからだ。
正直私は楽しいおしゃべりというのは得意ではない。
得意でないなりに少しは勉強はしたのだが。
とりあえずは当たり障りのない話題を振ってみようか。
あんな事をした後ではあるが。

セリア > 此方は、酒の飲み方にこだわりは無い。
酒の種類によって飲み方を変えるタイプである。

「そう?なら良かった。……ええ、好きよ。よくこういった店にも来るし、仕事仲間と一緒に飲むことなんてしょっちゅう」

彼女が口下手なことなどいざ知らず、穏やかな言葉を返す。

「エナはお酒好きなの? …まぁ、嫌いならこういう店にも来ないんだろうけど」

エナーシア > 「嫌いではないが、どちらかといえば嗜みで呑んでいるといったところかな。
何度か酷い酔い方をした事があって、そうならないように練習というか」

好き嫌いでいえば微妙なところだが、少なくとも嫌いではない。
仕事の後の習慣にもなっているというか、しているのだがおかげで最近は呑みながらのんびりできているしこの空気感は好きといえるのか?
それに誰かと一緒にというのも、この頃悪くないと思えてきている。

「あー……、こうして、セリアと一緒になら、楽しいと思うかな」

あまり豊かではない語彙の中から失礼にならないよう言葉を選び、そう口に出す。
少々歯切れが悪くなってしまった気がするが、この辺りも練習ということか。

セリア > 「酷い酔い方……ねぇ。どんな飲み方をしたのか興味はあるかな」

ここまで凛としている彼女を見ている為か、その「酷い酔い方」自体にも興味を惹かれる。
勿論、無理に飲ませるといったことはしないが。

かくいう自分は、いわゆるざる。
幾ら飲んでも酔う様子を見せたことは殆ど無い。少なくとも自分はそう思っている…。

「……ふふ、ありがと。お世辞だとしても嬉しいわ」

お世辞っぽく聞こえてしまうが、嘘では無いのだろう。
表情というか雰囲気からそれを何となく読み取った。

エナーシア > 同性で背格好と、多分年齢も近いせいか何となく親近感があるしセリアは人が良い。
会って間もないのに大分気を許している。
まあ、似ている部分があるとはいえそれは月とスッポンというやつだが。

「その話しは、まあいずれ気が向いたらということで……。
そういう訳だから無理に飲まさないでくれると助かるかな」

面白半分に飲ませるようなタイプではないとは思っているが、一応釘を差しておかなくてはまた醜態を晒してしまう事になりかねない。

「そういえば、仕事仲間とか言っていたけどセリアはどういう仕事を?
ああ答えられる範囲でいいんだ、それぞれ色々と事情はあるだろうし」

詮索にならない程度に相手の事を聞いてみる。
このぐらいなら大丈夫だよな?

セリア > 身につけている鎧や剣、そして佇まいや言葉遣いからして彼女も騎士めいた仕事をしているのかと勝手に思っていた。
つまりは此方も、彼女にどこか親近感を感じているわけで。

「ええ、それは勿論。無理に飲ませるようなことはしないから安心して?」

今までしたことも無いし、と。軽くウィンクを送る戯れを挟む。

「私? 一応、騎士としてこの国で働いているけれど」
「まぁ、見回りや書類整理が主だからあまり騎士っぽくは無いわね」

エナーシア > 「騎士か、通りで」

色々と腑に落ちて思わず頷く。
騎士といえばピンキリではあるだろうが、少なくともある程度の家格がある貴族だろう。
美貌や雰囲気がそこいらの庶民とは違う訳だ。

「私は、冒険者ではあるが調査や見回り、斥候みたいな仕事が多いな。
冒険者なのに極力冒険をせず堅実にやらなくてはいけないタイプだ」

そう、私の仕事ぶりは冒険者というには名前負けしている気がしている。
とはいえ何でも屋という程ではないし、他に収まる職業も特に思いつかないのだが。

セリア > 通りで、という言葉に首を傾げる。
確かに自身も貴族の家柄出身ではあるが、その雰囲気が出ているかといえば自分では判断がつかないゆえ。

「ふぅん……冒険者なのに、か」

そばにあったテーブルに頬杖をつきながらお酒を口にする。
暫し考えていたが、やがて思いついたように顔を上げた。彼女の方を見る。

「…なら、無理には言わないけど。うちの隊で働いてみない?」
「見回りや斥候ならまず役に立つと思うし、冒険者よりは懐も潤うと思うわ。
 もし騎士の仕事に興味があるのなら…だけどね?」

エナーシア > 「な……」

突然の事にどう反応していいのか分からずに固まった。
要するに驚いたという事か。
いやしかし落ち着け、冷静になって考えれば本気でない事ぐらい分かるだろう。
私を驚かせるための冗談に違いない。

「な、何を言っている?そもそもそんな事を勝手に決めていいのか?
それに私が騎士など、冗談にしても笑えないな」

想像してみても余りにも現実味がない。
そもそも今までそんな想像などしたこともないしな。
しかし、セリアと目を合わせてみるとどうも冗談を言っている感じにも見えないのだが……。

セリア > 話を持ちかけてみたところ、本気で驚いている様子。
冗談と思われている節がある点で、不思議そうに瞬いた。それからくすくすと笑う。
そういえば、自分がどういう身分にあるかは言っていなかったと思い出して。

「勝手に、って。……私が団長だもの、一存で全然問題無いよ」
「勿論、騎士という仕事に抵抗があるなら無理にとは言わないわ。
ただそういう…調査とか見回りを主な仕事にしているのなら、うちの隊で働いてくれれば百人力なのだけれど」

エナーシア > 「ぬあっ……!?」

今度こそ本当に驚いた。
騎士団長だと?
これこそ、冗談じゃないだろうな?
暫く絶句したまま次の言葉が出ない。

「……い、いや、スカウトしてくれるのは光栄なんだが。
何も能力も見ない内に決めてしまうのは、それこそ問題ではないのか?」

ようやく言葉を絞り出す。
出会ったばかりでちょっと世間話をして、普段の仕事ぶりを少し話しただけで騎士団に誘われるなどあっては駄目だろう。

セリア > またも驚かれた。
騎士団長という立場がそこまで意外だろうか、と。鈍い女は不思議そうな顔を崩さない。

「………あぁ。なるほど、それもそうね」

如何にも、といった彼女の真面目な進言に納得したかのような頷き。
普段から割と適当にやっているので、そこまで考えが及ばなかった。しかし、またすぐに彼女へと視線を戻して。

「……まぁ、でも話を聞く限りだと経験は結構積み重ねているみたいだし」
「エナ、真面目そうだからね。ある程度ちゃんと仕事をしてくれるのであれば、私としては全然構わないわ」

エナーシア > どうも冗談ではないらしい。
しかし、これはどうしたものか。
余りにも降って湧いた話しで正直疑うというか、怪しいと思ってはいる。
だがこんな手の込んだ罠を私に仕掛ける意味も思い浮かばない。

「今まで一人で根無し草でやってきたから、規則や規律を守れるかどうかも分からないぞ?
第一他の団員がどう思うか……」

いきなり平民の冒険者なんかが仲間に加わって、今までやってきた騎士がどう思うか、あまり歓迎される気がしない。
それに貴族が多いだろうし、そんな中でやっていけるものなのか?

セリア > 誘った自身でも虫がよすぎる話だとは自覚している。
ただ、今所属している団員の数名は団長自身がこうして雇った者であるが故に、特例というわけでは無いのだ。

「他の団員か……別に気にしないと思うのだけれど」
「皆が皆貴族ってわけでは無いからね。身分を問うているわけでも無いし、実力さえあれば誰でも入れるわ」

そしてグラスの中の酒を飲み干し、一息つく。

「まぁ…今すぐ返事を頂戴とは言わない。無理を言ってるのはわかってるからね」
「もし興味があるなら、ここに連絡してくれればいいわ」

そう言って小さな用紙に自身の連絡先を短く記入し、彼女へと差し出した。

エナーシア > どうも、セリアの騎士団は私が思っているような騎士とは随分様子が違うらしい。
正直まだ迷いや疑いはあるのだが、今の私が何者かと思えば答えは決まった。

「それには及ばない。その申し出、ここで受けよう」

連絡先の書かれた紙片を受け取る前に、そう宣言した。

「ここまで口説かれては悪い気もしないしな。
こだわりがあって冒険者をしていた訳でもないし、その誘い有難く受ける事にする」

宣言しながら、まっすぐにセリアを見つめる。

セリア > 騎士と言っても色々とある。
自身の指揮する旅団はやや特殊な部類に値するかもしれない。
差し出した紙片を受け取ることなくなされた宣言に、今度は此方が驚いたような顔をする。

「……あら、本当?」
「てっきり信用できないって取り合ってもらえないかと思ったのに」

とはいえ、此方にとっても有難いことには変わりない。
まっすぐに見つめられる、彼女の目と目を合わせて頷いた。

「ありがとう。……あぁ、うちの隊で働くからといって畏る必要は無いからね」
「私はそろそろ帰るけど……一緒に行く? よければ道すがら、詳しい仕事の内容とか話せればと思うのだけれど」

エナーシア > 確かに、私なら一旦じっくりと考えて慎重に結論を出してから返答していただろう。
現に今まで渋っていたしセリアが意外そうな顔をするのも当然だ。

「一応これでも気にしてたんだ、冒険者なのに冒険をしてこなかった事を。
だからなんというか、今冒険してみた」

あまり私らしくはないが、冒険者を名乗る以上このぐらい冒険してみないとな。

「ああ、是非そうしてほしい。
何せ騎士の仕事なんかろくに知らないものでね」

もう引き上げるというセリアについていく事にする。
仕事に関しては少しでも早く詳細を知りたい。
こちらも色々と準備が必要だろうしな。

セリア > 「ふぅん。……なら、今の冒険でエナが後悔しないよう私も頑張らなくちゃね」

待遇は可能な限り、彼女の希望を優先するつもりだ。
他の団員にもしていることだし、特例では無い。厳しく律することは己の性分に合わないのだ。

「それじゃ、行きましょう」
「もし聞いておきたいことがあったら、いつでも私に言うといいわ」

そう言いながら彼女と共に酒場を後にした。
道中は仕事のことについて諸々説明しつつ、次に顔を合わせるのは職場ということになるだろうか――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエナーシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセリアさんが去りました。