2017/05/06 のログ
■タマモ > 「さて、そういったものは、油断をした頃に気が付けば…なんてものじゃ。
努々気を付けておくがよかろう、せっかく可愛らしい容姿をしておるんじゃからのぅ?」
世の中には、大丈夫だと言い張り、そうなる者も居る。
いつの間にか手にしていた扇子を口元に添え、くすくすと笑う。
「うん?そんなもの、妾でなくとも分かっておる者は分かって居るじゃろう?
無駄に地位や権力を持ち、保身的な連中なんぞ、誰しもそんなものじゃろう、とな?
………まぁ、そういうのがあるから、そういった連中は嫌いなんじゃ」
自分だけはそう思っている訳ではない、との意見。
こうして説明をするだけでも、少々気分が悪くなるらしい。
言葉を終えた後に、ふぅ、と深く溜息をついて。
「妙なもの…ふむ、被害を被るものであるならば、困りものじゃろう。
情報集めとかはよく分からぬが、それは探ればいくらでも居そうではないか?
いやはや…怖い話じゃのぅ」
軽く思い出すような仕草、情報収集はともかく、妙なものなんてのは流通させてはいない。
式神の一体がやっている衣服店、それは、衣服としては確かなものだから、妙とは思われないだろうとの考えもある。
…あくまでも、衣服としては、だが。
しかも、その作業を手掛けているのは、保護らしき状況に置いたミレー族達だ。
そういった点を考えれば、まず疑いようもないだろう。
目障りな害虫とか、相手が可哀想じゃのぅ?
そんな感じに、気軽に返しておいた。
■カレリア > 「そうですわね…いつまでも綺麗でいたいものですものね♪」
恐らく不老不死であろう彼女には無縁の話
彼女の見た目も文句のないほど美しいから反論ができない
それが少しイラついて笑みも強くなる
「分かっているのと口に出すのとでは意味が違いますのよ」
王城の前でも彼女はそう言い切れるのだろう
不敬罪で捕らえられる心配なんてないのだから
嫌い、と明言するのには理由でもあるのだろうかと見つめて
「探って把握できないから気持ち悪いんですのよ」
尻尾が全く掴めないのがおかしい
いくらなんでも、どこの国のものだって足跡位は有るものだ
それが全くない…だから見つけたい、捕捉したい
「大手を振ってやっているなら何も文句はないんですけどね
企みがあるからコソコソとしているんですわよ」
きっと、とまだ見ぬ者達の事を考える
現状手掛かりはなし
そろそろ手を変えなければいけないかとも考えながら
「愚痴を聞かせてしまいましたわね…今夜は失礼しますわ」
城では出せない苦労を漏らしてしまった事を反省しつつ首を振る
吐き出して少し気が楽になった気がするのは気のせいではないだろう
■タマモ > 「うむ、いつまでも…逝く時まで綺麗であった者も逆に居る。
そうなれると良いな?」
どうも、この少女との会話は色々と思い出す事があるものだ。
少女の苛立ちはそう気にした風も無く、頷いて。
「はて、誰しも口にするものではないか?
安心して愚痴れる相手、独り言…色々とな?
まぁ…はっきりと口には、普通はせんじゃろうがのぅ」
それを理解はしているのだろう、どこか自慢気に、ふふんっと胸を張っている。
…いや、そこは自慢するところじゃない。
「相手だって、あっさりと探られるような者ばかりではないじゃろう。
探って確実に把握される、そんな相手こそ、危ない気がしないでもないのじゃが…?
その点も、気を付けるべきじゃろうな?」
そう、何でも探り当てるなんて存在が居れば、それこそ何者かに狙われかねない。
危険分子と判断されて。
ふっと思うのは、この少女が自分達の動きを探り当ててしまう事か。
自分と違い、式神達は、気付かれた相手には容赦が無いのだ。
それだけは、出来れば避けたい事である。
「おっと、もうこんな時間か…妾も戻らねばな。
うむ、それではのぅ?」
愚痴に関しては、気にせんで良い。
なかなか、そういった事は言う相手を選び難いもの、そういったものならば遠慮はいらぬ、と伝えておく。
くるりと踵を返せば、自分は来た道をそのまま戻っていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からカレリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にピングさんが現れました。
■ピング > 本日も盛況という事は全くなく、閑古鳥の無く雑貨屋。
表の”アルバイト募集!””高給与保障!”と言った貼り紙が虚しく見える。
そんな店の店主であるが、カウンターの中でごそごそと何やら作業をしている様子。
表側からはその手元は見えないが、珍しくも熱心に熱心に、布か何かで道具の手入れをしているらしい。
「こいつぁ綺麗にしておいてやらんとな…へへ」
この光景だけを切り出してみれば、実に仕事に熱心な店主に見えるのかもしれない。
―――当然、そんなことはあり得ない訳だが。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエナーシアさんが現れました。
■エナーシア > 以前下着を買った雑貨屋。
今日は何やら張り紙がされている。
アルバイト募集か……。
この頃何かと入り用だし、割りがいいなら考えてみるか。
だがまずは当面の目的を果たさなければな。
「少しいいか?」
あの時は結局下着だけで服は購入できなかったので、今日改めて調達したい。
別に他の店でも買えない事はないのだが、綿密に計測してくれたり色々と勧めてくれたりで正直一人で悩みながら選ぶより楽なのだ。
それに雑多な品物が置いてあるのも何かと刺激になって楽しいしな。
見てみると、この前の店主が今日も何やら熱心に手入れをしているようだ。
「この前は世話になったな。今度はいくつか服を選びたいんだが」
それにしても随分熱心だな。
一体何を持っているのかと、手元を覗き込む。
■ピング > 「ふんふん、ふんふーん♪……おう?」
熱心に手入れをしていた所為か、来客にも気づいていなかった様子。
声をかけられて漸く顔を上げ、以前の客だと気づけば表情を緩めた。
尚、その手元で手入れされていたのは、所謂バイブと呼ばれる玩具の類。
「やぁやぁ、この前の嬢ちゃんか!どうだい、下着の調子は。
と、服か。毎度どーもぉ。そういやこの前は下着だけで手いっぱいだったな」
道具を隠そうともせず、手入れ済みで光すら反射しそうな黒光りしたバイブをことりとカウンターの上に置き。
相変わらずの露出の多い服装を見て鼻の下を伸ばしていた。
■エナーシア > あれは……、男性器を模した道具で、ディルドというやつだったか。
あんなものまで扱っているのかこの店は。
使ったことはないが用途ぐらいは知っているぞ。
「ああ、とりあえずどういうものがあるのか見せてもらいたい。
ところでその、ディルドー?というやつも売り物なのか」
磨かれ黒光りするそれをしげしげと見つめる。
随分凝ったというか、精巧に出来ているな。
一応フェラチオの練習に使えるかもしれないし、安ければこれも後で買ってみるかな。
だが当面は服だ。
成り行きで若者の面倒を見る事になったし、身だしなみはもっときっちりしておかなくてはな。
「この前の、下着が見えない程度でなるべく露出が高い物があるといいんだが、頼めるか?」
■ピング > 相変わらず、どこか変な反応を見せる相手にも少しは慣れた。
故に恥ずかしがるでもなく、興味深そうに問いかけを向ける相手に頷いて見せ。
「おうよ。勿論これも売り物さぁ。
興味あるかい?なら色々あるからそっちも見てくんな」
売ってくれと言うならば否やは無い。というか、お勧めしたい。
よっこいせ、と爺むさい声を出しながら立ち上がるとカウンターを回り、相手の横へと移動し。
それじゃあこっちへ、とすいっと自然な動きで相手の腰へと手を添えた。
「はっは。了解了解。ところでこの前の下着は着けてくれてるのかい」
たっぷり時間をかけて測定し、選び抜いた下着は中々に際どい造りだったと自負している。
ぽん、とセクハラめいた調子で尻を撫で、ついでに、じぃっと胸元にも視線を送った。
何しろ布面積が狭く、ほぼ紐にも似た代物だったから。
それを着けていると想像するだけで色々昂る。
■エナーシア > 「ああ念入りに見てもらったおかげか、かなり具合がいい。
何となく体が軽くなった気がするよ」
特に乳房全体を覆わず下から支えるだけの構造でもいいブラとは、私にとっては大分革新的だった。
これなら胸元が大きく空いた服でも下着が見えないだろう。
何よりつけ心地が軽いのがいい。
「それと、仕事柄急に触れられるとつい反撃してしまうのでな。
気をつけてくれ」
あまり痛みを与えないよう加減はしたが、腰に伸びてきた手を掴むと軽く捻り上げて警告する。
■ピング > 「おあたたたたた!ちょ、ちょま!悪かった悪かった…!」
捻り上げられた腕に痛みが走り、耐性の無い体はそれだけで悲鳴を上げる。
降参とばかりに謝罪の言葉を並べ立て、解放されればあちちち、とその手をゆすって具合を確かめ。
「ちょっとしたスキンシップのつもりだったのに手痛ぇもんだ」
はぁやれやれ、と首を振り、更に奥へと進むと棚の雰囲気が変わってきた。
先ほどカウンターで磨いていたディルドやバイブ、更に際どい下着等。
何故かこの辺は整理がきちんと進んでおり――突発で罠を仕掛ける様に通常の棚にもおいて居たりするが。
その一角に扇情的な衣装が揃えられている区画があった。
バニーガールの様な衣装や、どう見ても丈が足りていないひらひらしたスカートやシャツ。
「この辺かねぇ。ちょおっと待っててくれな」
言うなり、棚と棚の間に薄手の布を張り、外からは視線が隠される状況を作り。
簡易な試着ルーム、と言った具合。
その内側には当然の様に店主がいるのだが。
■エナーシア > 加減したつもりなのだが大げさに痛がる店主。
まあ荒事に慣れてない人間はこんなものか。
怪我はさせてないから許して貰えるだろう。そもそも不用意に触ったのもいけないのだ。
「そういうスキンシップには慣れていなくてな。
次も上手く加減出来るか分からないから、急に触れるのは勘弁してもらいたい」
陳列品が露骨に変わってきたな。
確かに面積の狭い服は多いようだが、どうしてこの手合はどれも派手だったりひらひらしているのだ?
もっとシンプルでいいと思うのだが……。
「ひらひらは、程々にしておいてくれ……」
流石にあんまり変な物を勧められてはかなわない。
手頃な物があるといいのだが。
■ピング > 「そうかい。肝に銘じるよ…んん?それじゃあ触らせてくれって言ったらいいのかい?」
まさかの大怪我はないだろうが、一応確認するように腕を回してしまうのは素人故。
問いかけを向けつつも、相手の好みと言うか要望を聞き入れると取りあえず適当に見繕う。
「そう言われると途端に候補が……と、これなんかどうだ?」
丈は相手が来ているシャツよりも更に短く、肩が広く露出する半袖のシャツ。
胸元もざっくりと開いており、紐が交互に通され開き具合を調整できる。
それ単体で着るよりも、何かの服に合わせて着るのが合いそうなシャツだ。
■エナーシア > 黙って体中をぺたぺたとまさぐられる自分を想像してみる。
うん駄目だろうそれ。
何の儀式だ。シュールすぎる。
「想像してみたが……。それはそれで問題があるから控えて欲しい」
案の定あんまり候補がないらしい。
どうしてこういった手合は無駄にひらひらと飾り立てたがるのだ。
シンプルな方が楽でいいだろうに。
そんな中から店主が出してきたのは、まあまあ悪くはなさそうだが……。
「悪くはないな。似たようなので他にはないか?できればもっと簡素だと有り難いんだが」
この際色々と見せてもらおう。
一応保留として、他にも探してみたい。
■ピング > くぅぅ、と相手の駄目出しに悔しそうに唸りつつ。
案外、こだわりがあるらしい相手の衣服への要求に、ふむ、と一つ唸り。
「後はこういうの位だなぁ」
無難にタンクトップ、だろうか。
肩紐は細く、生地は薄手。
丈はまぁこれくらいか、とピンで仮止めをして胸がぎりぎり隠れるくらいの位置へと調整を。
「下は…ひらひらが嫌いじゃあそのショートパンツが無難かね。
お、でも下着と合わせりゃこういうのも履けるかもな」
何処からか際どいローライズな下着を一着。
茂みをある程度処理しなければ間違いなく見えてしまうだろう。
それに合わせて、別のショートパンツを持ってくるとチャックを下げ。
こうすればぎりぎりまで露出できるのでは、という実演。
■エナーシア > 「うん、なかなか良いんだが、チャックを下げっぱなしにしておくのはだらしないんじゃないか?」
タンクトップというやつだったか。
これは悪くないんだが、ショートパンツのチャックを下げて身につけるというのは何となく抵抗がある。
物自体はそう悪くはないのだが、もう一声といったところか。
「色々と無理を言っているみたいで済まないが、似たような物が他にあればもう少し見せて欲しい」
折角新しく買う訳だし、そう何着も買い換えられる程裕福でもない以上ある程度厳選したいのは致し方ない。
相手も商売だし分かってくれるだろう。
■ピング > 「く、中々手強いな…!」
ここでだらしないとか言われてしまうと、自分の倫理観が崩されそうだった。
だらしなさの定義がもう正直良く判らない。
結局、ショートパンツよりは丈が短かろうとホットパンツを幾つか準備。
他には変わり種でズボンにダメージ加工(穴)を施したものや、
踊り子が着る様なチューブトップの水着めいた代物を取り出し手当たり次第に相手に見せた。
果たして相手の琴線に触れる物があったかどうか微妙だが。
あーでもないこーでもないと露出の多い服装談義が続くのだろう。
玩具に関してはまた今度、という事で。お買い物はやがて終了する筈―――。
■エナーシア > 服の種類は思った以上に色々あるようで、よく分からない物が次々と出て来る。
特にこのチューブトップというやつは面白いな。
肩紐のないブラか、いっそノーブラでもいいのか?
一つ候補に入れるとしよう。
ホットパンツは、今履いているものと基本的にはそう違いないように見えるがより面積が狭いのかこれは。
下着を変えたからこのぐらいのものでも見える事はないし、色合いさえ合えばこれもいいな。
その後も細かく注文をつけながら微調整していく。
「ありがとう、いくつか買わせてもらうよ」
大分店主をこき使ったようになってしまったが、納得の行く商品を見つける事が出来た。
一人で探していたらもっと大変だっただろうから、本当に助かった。
他にも色々と気になる物はあったが、とりあえず今日のところはこれでいい。
こうして、買い物を終えると家路へとつくのであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からピングさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエナーシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 仕事をするにも道具が要る。生活するには必需品各種が。
まぁそんな当たり前のことを考えつつ、男は平民地区で買出しをしていた。
「ふむ、ふむふむ。食料オッケー弾薬オッケーポーションオッケー。
これで大体の買い物は終わりかな」
メモを見ながら、必要なものを全て買い終えたことを確認した男は、手に持っていた商品を転送魔術で家へと送る。
「いや、新しく覚えたこの魔術便利だなぁ……。
さてさて、家に居るミレー族の娘さんたちにお土産でも買うかな」
以前家のメイドとして購入したミレー族の二人の娘の姿を脳裏に浮かべながら。
男は通りの屋台を見て回る。雇い主としては、時には使用人に褒美を与えるのも大事だ、という考えだ。
「何がいいかな。甘いものか、小物……。
あぁ、最近は暖かい日が続いたし氷菓子なんぞもいいかもしれん」
賑わう屋台を見て回りながら、この男らしくもない買い物を楽しむ。
この男を良く知る人間が見たら、苦笑するか呆れるか、という様子だ。
■セイン=ディバン > 結局、アクセサリー数点と菓子を買うことにした男は、男なりのセンスで品物を見繕う。
「さてさて、遅くなる前に帰るかね……」
これで本当に買い物終了、とばかりに、男は買った商品も転送魔術で送っておく。
家に居る二人のミレー族の仕事に不安があるわけでもないが……。
家をあまり空けておくのも、そう良くはないだろう、という判断だ。
「……家の食器やらを壊されてもかなわんしな」
独り言を呟き、男は通りを歩く。人通りはそれなり。周りには見知った顔などもなく。
平々凡々の日常、といった風景だった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に魔王リュウセンさんが現れました。
■魔王リュウセン > 平民地区に もふもふの見た目ミレー族?がちょろりと現れた。
もふもふした尻尾を揺らして、普通に平民地区にてあっちをうろうろこっちをうろうろ。
特に何もしていないと言えばそれまでだが、もふもふした尻尾は艶も良く毛並みも乱れておらず、
九つある尻尾が揃いもそろってもふもふふこふこ。
人通りもへっちゃらに屋台を覗いては じっとその品々を見たり、買おうとして尻込みをしたり。
一体全体何がしたいのか、時折自身で自分の尻尾をもふって、深呼吸。
見た目はミレー族だが、時折漏れる気配がミレー族ではない何かが醸し出す…。
まだ、セイン=ディバンの事は気づいていない。
■セイン=ディバン > 時折すれ違う人にぶつからないように。右へ左へ軸をずらしながら帰宅の道へ。
さぁ明日はどんな仕事を引き受けようかな。どんなことがおこるかな。
男がそう考えていた最中。思考の中に、突如巨大なブランクが生まれた。
「……~~ッッッッ!?!?」
ぞくん。背骨を引き抜かれ、代わりに氷柱か鋼鉄を入れられたような悪寒。
どくん。心臓が血液をポンプし、脳が危険信号を放つ。
男の持つ生存本能のスキルが、最大限の警告を鳴らす。
今、この場にいるのはマズい。何かは判らぬ。だが早くココを離れろ、と。
男は自然な仕草で周りを見る。周りの一般人たちは気付いてすらいない。
だが、今この場には何か凄まじい何かが……!!
「……居た。
…………もし。そこの麗しいお嬢様。何かお探しですか?」
男は、その存在を見つけた。長く美しい黒髪。あまり見覚えのない、しかして可愛らしい衣服。
ミレー族にしか見えぬその異物へと。男は臆せず声をかけた。
……その正体を知るため、そして、利用できるかを見定めるため。
■魔王リュウセン > もふもふ もふもふ もふもふ。
尻尾を揺らして 人通りをへっちゃらに屋台巡り。
尻尾があるので人が逆に避けて通り過ぎていく。狐耳を揺らして辺りの音も聞き逃さない様に澄ます。
…油揚げを使用したいなりずしとか串焼き等の摘み物があればよいのだが、目が届く範囲にないようだ。
しょげ、と狐耳が一瞬垂れるが、直にぷるぷると頭を動かし気分を切り替えようと振舞う。
ミレー族なら、首輪とかありそうだが、この得体の知れない存在には首輪がない。
周りに溶け込む様なスキルを多少なりとも使いこなし、ちょろちょろと次の区画に足を動かそうとした時に
声がかかり、振り向く前に狐耳がぴんと立ち、直に振り向くのではなくゆっくりと確実に魔王の如く?堂々と振り向こう。
「……ん。
我のことか。…油揚げと気軽に摘まめる串焼きを所望している。」
ふわり もふもふ。尻尾はまだゆっくりとだが揺れている。
表情があまり変わらないので 耳とか尻尾が代わりに表現しているようなもの。
気分は落ち着いているか もしくは 普通を示しているような。
言葉を返しながらも、男の様子をじっくりと眺めてから 誰?と一瞬目を細めて見定め。
魔力を極力絞っているので余程鋭くなければバレない筈と思っているだけで、鋭ければ見破る事も可能。
■セイン=ディバン > 気配。凄まじい気配。……これに関しては、ほぼほぼ男の勘という、不確かな探知のレベルなのだが。
しかし、魔王を妻とし、様々な超越者・猛者と知り合った男には判った。
規格外のバケモノが居る、と。
兎にも角にも、その気配の持ち主を探さねば、と思い視線を左右に振る男。
するとすぐさま、視界の端に揺れる尾を見つけた。もふもふのもふもふ。それが九つ。
当初、その尻尾に知人かと思ったが、違うとすぐにわかった。
知人より背が高かったからだ。
「えぇ、えぇ、はい。呼び止めてしまい、申し訳ございません。
……あぁ、それなら数個先の屋台で両方見かけました。ご案内いたしましょう」
ゆったりと振り返った少女に、男は優雅に一礼し、非礼を詫びた。
そのまま、少女が求めているものを聞けば、心当たりがあったので、案内を申し出る。少女が拒まなければ、だが。
その間も男は少女を観察するが……。只者ではない、ということしか判らなかった。
存在力というか、明らかに超越者級の力は有るようなのだが……。
■魔王リュウセン > 人が多く住まう?王都にて魔王全開でいるわけにも行かない。
つまりミレー族もどきに紛れる為に気配と魔力を隠蔽するなりで紛れさせるという事をしたのだ。
ただ、探知とかにはどうにも捉えられると解析される恐れがあるので絶対隠せるとかはない。
見た目はミレー族もふもふ狐さん 中身は…ちょろいもふもふ魔王(多分)だ。
非常に似ているが、知人に九尾で金色の毛並みを持つ人なら知っている。
ただし 此方は黒色で背丈が指摘の通り高い。毛の色で九尾は神格が違うらしいが、
リュウセンの場合は自毛が黒だったから、狐耳も尻尾も黒なだけ。
理由としては地味極まりなく属性とかではなかった。
此処が平民地区で無ければ 恐らく 振り向いたと同時に魔王全開だったかもしれない…。
であれば 男がどう出るかが見ものだったが それは別の機会があれば。
「んんん、問題ない。…それはまことか?
では、案内を所望する。よきよき 僥倖である。」
もふもふもふもふもふもふもふ。尻尾がすっごく揺れた。
相当嬉しいらしい。顔は無表情に近いすまし顔、ただ尻尾で飛べるのでは思うほど揺れている。
早速案内を所望する位に はよせい、と言わんばかりにゆっくりと男の近くへ歩み寄ろうと動く。
■セイン=ディバン > 澄み切った水に一滴のインクが混じったかのような。
そんな強烈な違和感を感じつつ。
……あるいは、男がもう少し精神が弱ければ、往来で嘔吐していたかもしれないが。
男はその違和感に耐えつつ、目の前の少女と対峙した。
妻、あるいはその知人の九尾たる人物と並ぶのではないかというほどの気配……というか、オーラとでもいうか。
今すぐにでも逃げ出したい。あるいは跪き命乞いをしたい。
そう思いつつも、男は少女へと声をかけ、道案内を買って出た。
それもこれも全て、自身の思惑のためだ。
「はい、真実誠にございます。
かしこまりました、ではこちらへ……」
とりあえず、ファーストコンタクトは成功か、と男は内心安堵するが。
……尻尾が、揺れていた。いや、もはや揺れなどではない。凄い、振動? というかなんか早くてぶんぶんぶんぶん。空でも飛ぶのか? と疑問を胸に仕舞い。
近づいてくる少女の数歩先を歩きつつ、目的地の屋台へと。
「あぁ、大変申し訳ありません。申し遅れました。
私、セイン=ディバンと申します。
……こう見えましても、怠惰の魔王軍の魔王、ベルフェゴール様の夫を勤めさせていただいております。お見知りおきを」
目的の屋台まであとわずか、というところで、男は少女に振り返り、自己紹介をした。
後半の、魔王の夫であるという部分は小声で、だがしっかりと告げた。
男なりの、カマ掛けのようなものだ。反応を窺うための。
■魔王リュウセン > 女自身はあくまでミレー族もどきを演じている積りだ。
何時まで演技をしている積りなのかは―この王都にいる限りだろう。
ただ 完璧でもないので徐々にだが玉ねぎの皮が剥がれる感じに、隠蔽スキルが漏れつつある。
それに気づくと 尻尾を揺らして ぽふぽふと尻尾の一つが虚空を叩くのだ。それがきっかけで漏れている部分が閉じる。
其れの繰り返しを男と対峙しながらやっている…
尚 九尾その物の強さは…九尾である友人の方が格段に強い。
色々と手段問わないでやれば 同格かもしれないが そもそもそこまでやる気がない。
やる気スイッチが仕事と魔王やっている以外に切り替わらないからだ。
問題はもっか 所望しているものが手に入るか、尻尾はぶんぶん動いている。
まだ空を飛ぶわけにはいかない、ぴたっと尻尾が揺れるのが止まった。
男に案内される様について動こう。
「ん。せいん=でぃばん。…発音が微妙だった。
すまない、ディバン卿か、貴公がかの魔王の夫か。…そうか。
我は…愚癡の魔王である、リュウセンと言う。多分もふ魔王は我の事だから、何のことか分からん場合は
汝の妻に聞くがよい、ああ、ベルフェゴールに久しく逢っておらん、
近々会いたい事を所望している事も伝え願おう。」
屋台は近いらしい。名乗りをされれば此方も返す。
正体を示す魔王の部分から後半は小声だったが、しっかりとしたもの。
カマ駆けにも動じず なんのその 差も普通にそれがどうした的に。
数ある魔王の中でも 一番 本拠地が秘密主義な魔王そのもの。
■セイン=ディバン > 周りの一般人は気付いていない。それが幸か不幸か。
恐らくは幸せなことだろう。身近にこれだけの力の持ち主が居ると気付いていないのだから、と。男は内心で思いつつ少女をチラリ、と見る。
瞬間、少女の尻尾がぽふぽふっ、と揺れ。感じていた気配が若干薄まるのを感じた。
あぁなるほど。今のが引き金で、隠匿しているのか、と納得。
とことこと道を歩きつつ考える。相手の実力の程や如何程か。
……少なくとも、真正面からやったら勝てないどころか。確実に瞬殺されるであろう。
しかも一度や二度ではなく、十や二十といった回数のレベルで、だ。
しかし、視界の端にいる少女は……尻尾を振りまくる、可愛らしい少女そのもので。
そのギャップが逆におそろしかった。
「読みづらい名で申し訳ございません。
……いえ、卿、は不要でございます。夫と言っても所詮人間の身です。
……はぁ、やはりそうでありましたか。強者・超越者と思ってはおりましたが、まさか魔王様とは……。
えぇ、えぇ畏まりましたリュウセン様。我が妻、我が君にもしかとお伝えいたします」
しれっ、と。本当に何のことも無し、とばかりに名乗る魔王様。
今すぐにでも絶叫して逃げ出したい気持ちになるが、そこをぐっと堪え。
「着きましたよ、リュウセン様。
あぁ、主人。ここは異国の食品屋台であろう?
こちらの姫君に、『アブラアゲ』を使った物と、口元の汚れぬ串焼きを何本か差し上げてくれ。代金は私が払う」
そうして、目的の屋台に着いた男は、屋台の主人に手早く注文をする。主人は威勢よく『あいよっ!!』などと言い、てきぱきとした動きで袋に物を入れてくれた。
中身は……魔王様の求めていたものかは男に判断はできぬが、たしか、異国料理だかの、『イナリズシ』という食い物と、肉・野菜・魚介の串焼きが数本ずつだ。
男はソレを頷いてから受け取り、主人に代金を払った。
「リュウセン様、こちらでよろしかったでしょうか?
しかし……なぜ、このような人の都に? 何か目的がおありなら、お手伝いいたしましょうか?」
■魔王リュウセン > 数ある魔王達は意外と王都を訪問している。
魔族のみならず魔王そのものが王城にまで普通にいるらしい。
女は生憎この王都の中枢である王城には足を運んでいない。色々と面倒だろう、要らぬ争いは招かない。
魔王たちの中にいる女はミレー族に気配を紛らわせ訪問しているのだ。
見た目だけでもミレー族になりきって見せる。
もふもふ もふもふ もふもふ そんな見た目はミレー族中身は魔王な女だった。
外身と中身が食い違って極まりないが、争いは此方からは出さない、手を出されれば別である。
男とはついさっき出会って何の嫌悪感もない。まだ、そうまだ。
「人であっても 魔王の夫となる存在は術からず 卿と名乗れるであろ。
…我の内縁の夫も ヒトであるからな。同じだろ。では良しなにな。」
何をどう伝えるかは 男に丸投げだった。魔王であっても先触れ位は礼儀としては必要かと思い、
彼に用件を最低限にして伝える、これで問題あるまい あるとしたら彼がどう伝えたかだが 後は任せるとばかりに。
「うむ、僥倖。
…よいのか、奢って頂くとは。…うむ ありがとう。」
彼が屋台の主とやり取りをしているさまを見聞きしていた。
目の前で袋に入れられていくイナリズシと串焼きが数本、よしこれで軽い土産が出来た。
ナニ 王都にいる理由?そりゃあ…内縁の夫に会うためだが、隠しもしていない事なのであっさりと
「うむ、よい。
理由としては 王都に内縁の夫がいる、それに会いに来た。
何も持ってこなかったので 夫の好物であるイナリズシと串焼きを探しに来たわけだが、
それは今ここにあるので 後は会いに行くだけだ。」
■セイン=ディバン > よくよく考えれば、人間の中にも相応の実力者という者はいる。
更に言えば、妻たる魔王もまた、王都に現れたこともあった。
そういう意味では、この少女も王都に現れた超越者だが、それは決して珍しいことではなかったのかもしれなかった。
とはいえ、歩くたびに視界の隅で尻尾が揺れる揺れる。もふもふ。
もふ、もふもっふ。もふふ。気になって仕方が無かった。
そのもふもふ尻尾、撫でたらどんな感触がするのか、と。
「……ははは、いえ、ガラではございませぬ。
せめてもう少し力をつけてから、でございますかね……。
げほっ!? な、内縁の夫ぉ!? 人間ん!?」
相手の指摘には、困ったな、という様な様子で答える。
実際自身の実力に不満がある以上、卿などと名乗るのはおこがましいと思ったのだ。
しかして次の瞬間、男は咳き込み、大声で叫ぶこととなる。
慌てて口を押さえ、少女を見る。その目は、『マジすか?』という目だ。思わず地の態度まで出てしまってる。
「は、はは。身に余るお言葉。恐悦至極。
えぇ、お気になさらないでください。我が妻の知己というほどのお方、この程度当然でございます」
先に言われた内縁の夫という言葉を一度隅に置き、再度執事モードでの受け答え。イナリズシと串焼きの美味そうな匂いが充満する。
後で俺も買おう、と内心決意し。再度声を落とす。
「は、はぁ……左様でございますか。
……そ、その。失礼ではございますが。
その夫といわれる人間の方はどのような方で?
失礼ながら、境遇が似ているといいますか、ご縁があったら一度お邪魔してもよろしいでしょうか?」
恐る恐るの質問。まさか自分以外に魔王と関係を持つものが居るとは思っても居なかったのだ。
何か。何か自身の目標に対しての指標になるかもしれない。
そんな切実な思いがそこにあった。
■魔王リュウセン > 王都は意外と共存率高くないかと思う位に、正体を隠せばそこかしこに実力者はごろごろいる。
主目的諸込みでやってきてしまった魔王としては、目的を果たしてしまった今ではもふもふするしかない。
もふもふ もふもふ もっふ。
歩かなくても歩いても ふわふわなそろそろ夏毛になる九尾。
そりゃあ 柔らかくふこふこもふもふな幸せ気分になる×9。
魅了効果も極一部の存在に発動するらしいがあまり分からない。
耳は敏感なので触らせないが 尻尾は頼まれれば吝かではない。
「実力をつけたら 卿と名乗れば宜しかろ。
うむ、内縁の夫…でいいか、人だな。主がヒトであるが、
まぁ 同じようなものだな…種族がヒトだろうが愛する存在がヒトであっただけだ。」
では実力をつけるがよい、と言わんばかりに突き放す。
何をそんなに驚くのだ?と尻尾が揺れていたのが止まった。
嘘も何もない、しかも内縁の夫はこの王都に住んでいるのだ、通い妻めいたことをしている魔王。
愉快と言うか古風と言うかの類。っていうか、言っていないがセカンドハウス的な住まいを王都に持っている。
住まいは同居していない あくまでも 通いなのだ。
「内縁の夫足る存在の名が知りたいと?
どこかの商会のトップだったな、アマンダと言う。
境遇 似ておるな うん、話はつけておこう。その内会合致そうではないか。
此度は世話になった、我はそろそろ夫が待つので失礼致す。」
長話も何だ、名残惜しいが、そろそろ行かねば、と
彼が持っているだろう袋を受け取ろう也なりし、さも普通に会釈をして
この場を普通に辞して立ち去ってしまうだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から魔王リュウセンさんが去りました。
■セイン=ディバン > 考えれば考えるほど恐ろしいことだった。
もしや、自分が気付いていないだけで……この街には、おびただしい数の超越者がいるのではないか!?
……と、そこまで考えて、流石にそれは無いか、と冷静になる。
もふ。もふもふ。も、ふ。
視界の端でゆらゆらもふもふ。あぁ、モフりたい。
とはいえ、流石にいきなりそんな失礼はできぬなぁ、と思いつつ。
ただ、思いっきり柔らかそうなその尻尾。いつかは揉んでみたいなぁ、と考えてしまう。
「ハハハ、そうなれれば良いのですがね。
……はぁ。いや、なんと言いますか……。
……そこまでハッキリと宣言されますと、自分の悩みがいと小さく思えますな」
相手の言葉に、小さく頷き。改めて力を求める決心が強くなる。
しかして、相手の言葉には目を白黒させる。
魔王のみでありながら、愛する存在と言ってのけるその胆力。
人と魔の間で思い悩む男にとっては、衝撃であった。
「あぁ、ありがとうございます。
ふむ……アマンダ殿、ですか。
それは……ありがたくございます。その際は、此度の礼も一緒に……。
はっ、かしこまりました。では、お気をつけて、リュウセン様」
快活に、名を教えてくれた上、会合までもセッティングしてくれようとする、世話焼きな魔王様。
袋をぽす、と渡し、恭しく一礼し、感謝の意を伝える。
そうしている内に、少女は居なくなっているであろう。
まさに、狐に化かされた、などというように……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。