2016/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシチューさんが現れました。
■シチュー > へっへー。キミのものは僕のもの。僕のものは僕のものー!(全力でわかりやすいほど傲慢な台詞浮かべながら路地裏を疾走するミレー族。手には今しがた、通行人からかすめとった路銀袋。走って手を振るたびに、中のゴルド硬貨がじゃらじゃら鳴ってる。相当入っている証拠だ。――後ろからは「待て!」と言う声と共に追っ手である持ち主の足音がするが、逃げ足だけなら誰にも負けない。いくつもの路地裏の角を曲がって、曲がって、直進して、柵を乗り越え、壁の下をくぐり、――とある細い道同士が交差する場所の曲がり角へさしかかった。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフォークさんが現れました。
■フォーク > 「ふわああああ……」
丸ごとのリンゴが入るような大きな口を開けて欠伸をする男。
少し寝過ぎたようで、妙に体の節々が痛い。寝違えたのかもしれない。太い腕をぐるりと回す。
「年かな。どうも寝たりんぞ」
たらふく寝たのだけど、仕事の無い傭兵の日常などこんなもの。
酒でも飲みにいくか、と細い路地をのんべんだらりと歩く。
「待て!」という声が進行方向から聞こえてきたが、自分に関わりないこととまるっきり気にせず。
曲がり角。
お互いに気づいていないなら、衝突することになる。
■シチュー > はぁ……はぁ……うまく逃げられたかなっ……(肉体的優位な種族とはいえ、ろくにご飯も食べていない状態でずっと走っていては消耗する。肩が大きく揺れて、息も弾ませ。走りながら、後ろを確認しようと首を巡らせ――)わあっ!(リンゴが一個まるごと吸い込まれそうなアクビを浮かべる金髪の巨漢の腰のあたりに顔をまともにぶつけて、その場に尻もちをつく格好になる。その勢い、持っていた路銀袋を取り落としてしまい、その場にぶちまけた。)痛っ……。(ぶつけた額に手をやりながら、目をつむって痛みに耐えている。――あちこちほつれたチュニック、空いた穴から下着が覗くほどのショートパンツ。ミレー族のみすぼらしい格好を経験豊富な傭兵が見下ろすなら、今しがた、取り落とした路銀袋は誰かからスリとったものだと容易に見当がつくだろう)
■フォーク > 「おぅ!?」
曲がり角でいきなり何かとぶつかった。
身長差があったので相手が尻餅をつくまで正体に気づかなかったが、ミレー族の少女だった。
ちなみにショートパンツから見える下着は、二度見、三度見を繰り返したのは言うまでも無い。
そして少女の側に落ちている路銀袋。袋の素材は上質で、少女の身なりにはふさわしくないものだった。
「なるほど、そういうことか」
先ほど聞こえた「待て」の声。
(人のことは言えないが)前方を見ずに息せき切って曲がり角を駆けるミレー族の少女。
少女が落とした上質な路銀袋。
すべてが男の脳内で一致した。
「残念だけど、その銭は諦めろ」
少女の腰ほどもある太い腕で少女を小脇に抱え、
そのまま元来た道を走り出そうとする。
何のことは無い。今の少女よりは、全然疲れていない自分の方が走るのが速いと考えたからだ。
男は、勝手に共犯者になった!
■シチュー > 「っ~。……ちゃんと前、見て……えっ」
などと。ミレー族の盗人は自分の事を棚上げ上等で彼に物申そうとし。そのあまりに大きな強靭な肉体に一瞬怯えた顔をみせた。どうやったって勝てそうにない。震えながらも穴のあいたパンツから白い質素なショーツが露出してる事に気づいたら、まわりの布を引っ張ってどうにか隠そうとする。
「ごめんなさい!ごめんなさい!もうスリなんてしません!」
その体躯から、使い古された皮の鎧からして「街の衛兵側」の人間だと勝手に勘違いする。「そういうことか」という台詞からも勘違いして必死に謝罪を始めるものの。
「えっ……どういう意味……あ、わっ!」
オーガと素手で殴り合いできそうなたくましい腕に抱えられ、ぶちまけ路銀をそのままに、高速で景色が後ろに流れていく。不安定な体勢、足をパタパタ揺らしながら。空いた両手で彼の腕に、落ちないように必死にしがみついた。硬い腕の筋肉には、ほぼ平らに近いが柔いミレー族の胸の感触が伝わる。――なんて素敵な逃避行だろう!)
■フォーク > この地区の裏路地だけではなく、盗賊や間諜が使用する『裏道』まで心得ている。
男は少女を担いだまま、裏道を走る。煙突の中をくぐったり街路樹の木の枝と枝の間までも飛び交いながら逃避行を続けた。
盗んだ金は置いてきたわけだから、もう追いかけてくることはないだろうが、男は外見に比べて慎重な所もあるのだ。
「はい、到着……っと」
男は少女を自分の家としている安宿の一室へと連れてきた。
部屋への進入口は、天窓からだった。
「いやあ、楽しかったな!」
起き抜けのいい運動になった。
男はにこにこと満面の笑顔を浮かべ、テーブルに酒のグラスを二つ置き、安いけど強い酒を注ぐ。
それを少女にすすめよう。すすめながら……。
「で、お前は誰だ?」
今更なことを訊いた。
■シチュー > 一体どういうアスレチックコースなんだと突っ込みたくなるほどの裏道を彼のたくましい腕に支えられながら進んでいく。街路樹の木の枝わたりのあたりとなれば、さっきまでの戸惑いの表情は潜まって、「わー!」と笑って歓声を上げていたらしい。
「あー……楽しかった。もうゴールについちゃったの?またやろうよー。」
運んでもらっておいてどれだけ上から目線なんだよ的な台詞をはきつつ、天窓抜けた先で安宿の一室をきょろきょろと見回す。
「あは……そうだね。まずそこからだよね普通……。僕はシチュー。その……元奴隷だよ。今は貧民区でさっきみたいな事して生活してる。優しくて大きなお兄さんは?」
逃亡奴隷の部分は伏せたほうが良かったかもしれないけれど。スリを見逃すどころか逃がしてくれた、褐色肌の青い瞳の彼なら正直に言っても差し支えがなさそうだと打ち明ける。
「わあ。ずっと走ってて喉、乾いてたんだー。ありがと!いただきまーす。」
笑顔で進められたお酒。あまりアルコールを摂った事のないミレー族はそれをただのジュースと勘違いしたらしい。にこにこ笑ってお礼を言うなり、くいっとグラスの半分ほど飲み干してしまった。とたん、顔が真っ赤になって。「ふぁっ……」とマヌケた声を呟くと。ふらふらと足元がおぼつかない。上半身が揺れ始め
■フォーク > 「シチューか。旨そうな名前だ。俺はフォークってんだ、スプーンじゃなくて残念だったぜ」
逃走していた割に明るい口調で返す少女に、自己紹介をする。あまり面白くないジョーク付きだ。
奴隷ということ、スリをしていたところから、あまり幸せな人生を歩んできたわけではないと察しはついた。
「俺はお前さんを助けた方が面白いと思ったから、助けただけさ」
男は傭兵だ。いつ死ぬかわからない生き方をしている。だからなるべく楽しい一生を送ろうと考えていた。
あの状況でスリをした少女を捕まえるより、助けた方が何倍もスリリングだと考えたのだ。
それに逃避中、少女の胸が腕に当たって気持ちよかったし。
「まあ、ゆっくりしていけよ。さすがにこんな所まで傭兵は押しかけてこないから」
割と『町の厄介者』扱いされている。
男に関わると大抵、面倒くさいことになるので、よっぽど目に余ることがなければ衛兵もなるべく関わりたがらないのだ。
「あ……そんな一気に飲むと」
酔っ払うぞ、と忠告する間もなく少女はグラスに口をつけてしまった。水で薄めてやればよかった。
とりあえず、少女をベッドに運ぼうとする。
束ねた藁と粗末なシーツで作った簡素なベッドだった。
「おいおい、大丈夫かよ。水飲む?」
■シチュー > 「あはは、残念。でもなんだか、兄妹の名前っぽいね。真ん中の子がスプーン、みたいなさ」
食器に飲み物。どちらも同じテーブルの上にありそうな名前だ。軽く笑い声たてて感想をひとつ零せば。元奴隷だと知らせても何ら警戒感の無い様子は逆に安堵を覚える。
「それは正解だよ。僕と一緒なら退屈しないと思う。……騒ぎを起こすのは得意だからね!」
たとえば、さっきみたいな。全然自慢にならないのに逃げ足ともうひとつ、トラブルメイキングならお任せとばかりに無い胸張ってぽん、と叩く。
「うん、助かるよ……。ここって隠れ家ってやつかな?フォークは何している人なの?魔物ハンター?」
彼が厄介者扱いされているとは知らずに、簡素な風景をきょろと見回して思うままに尋ね。
「っ……っひく。……」
とめる間もなく半ば喉に流したアルコール。目元がとろん、とゆるんで幸せそうな表情になり。
「あはっ……あははっ!なんか楽しいー!ほーらフォークー。こっちこっちー。もっとだっこしよーう」
ベッドに横にさせてもらえば、すっかり酔いが回ってしまったらしい。せっかく水をすすめてくれているというのに、はしゃいだ様子で両足パタパタばたつかせ、両腕広げてひらひら、両手でおいでおいでポーズをして遊んでいる