2016/07/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にフレデリカさんが現れました。
フレデリカ > 陽射しが強く降り注ぎ、大気を火傷しそうな程に暖める。かんかん照りの夏日、大通りを行き交う人々はしきりに流れ出る汗を拭い、うんざりとしたような表情で歩いていく。街は変わらず活気に溢れているが、些か暑さに弱っている者も多く見受けられた。
そんな中、大通りの行き交う人々に向けて、声を掛ける一人の少女の姿があった。黄色の薔薇が沢山入ったバスケットを提げ、花は要りませんか、と少々元気のない声で薔薇を売る。だが、暑さに参った人々は花売りの少女に目もくれず、足早に通り過ぎていく。少女の声が弱々しく、人々の耳に止まらないのも、花が売れない原因の一つでもあった。
こめかみを伝う雫を拭って、花売りの少女・フレデリカは溜息を吐いた。誰も花を買う余裕がないのだ。広場なら歌って客引きも出来たが、大通りだと通行の妨げになるのでそれも出来ない。それに彼女自身も暑さに弱って、とても歌など歌えはしない。
太陽の光は好きだけど、日照りが長く続いているなら話は別だ。暑さで萎れちゃう、と汗を拭いながら思った。長らく水を摂れていない所為で乾きが酷い。
このままでは暑さでやられてしまう。慌ててフレデリカは空き家となった店の軒下に移動し、直射日光から逃げる。少しは暑さを凌げることが出来、ほっと安堵の息を吐く。褐色の肌に汗の雫が一筋伝った。

「やだ……ブラウスが少し濡れちゃった……。胸の谷間にも汗が伝っちゃってるし……」

また蒸れて汗疹が出来ちゃう、と困ったように眉を寄せる。乳が大きすぎる為、谷間に汗が溜まって湿疹が出来ることが多く、フレデリカの悩みの種の一つとなっている。大きすぎてハンカチで拭い辛いし、拭いても拭いてもどんどん汗が流れてくるのだ。邪魔だし重いし、ろくに良いとこが一つもないわ、と憎々しげに自分の胸を見下ろす。
しかも色んな人にジロジロ見られるし……。時折送られる男性からの視線に頬を赤らめながら、彼女は自分の大きすぎるコンプレックスを疎ましく思った。
もう一度溜息を深く吐いて、フレデリカは辺りを見回す。一度どこかで暑さを凌ぎたい。水も飲まなければ倒れてしまいそうだし……。どこか手頃な場所は無いかと、少女は視線を彷徨わせた。