2016/07/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフレデリカさんが現れました。
フレデリカ > じんわりと夏の暑さが身に染みる、とある午後。
平民地区の住民達が集う広場は、夏の暑さにも負けない程に賑わっていた。待ち合わせをする人。ベンチや噴水の縁に腰掛けて何かを食べる人。楽しそうに隣の友人と会話する人。観衆の前で大道芸を披露する人。
皆汗を流しながらも楽しそうに、思い思いの時間を穏やかに過ごしていた。
そんなある広場の一角で、少しばかり大きな人だかりが出来ていた。その中心から、美しい歌声が聴こえてくる。飾り気がなく、それでいて純粋な美しさを持つ歌声だ。その歌声を、観衆はうっとりとした顔で聞き入る。
「……スカボロー・フェアに行くのなら
パセリ セイジ ローズマリー&タイム
どうかある人を訪ねて欲しい
わたしがかつて愛した人を……」
そんな童謡を美しい声で歌うのは、銀の髪に褐色の肌を持った少女だ。桜色の唇から歌声が溢れていき、広場へと広がっていく。着ているディアンドルの裾と、髪にある白い野ばらが風に揺れ、ふわりと辺りに花の香りを漂わせた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシドさんが現れました。
フレデリカ > 「……もしもあなたができないというなら
パセリ セイジ ローズマリー&タイム
少しでも誠意を見せてください
でなければあなたを愛してあげない……」
そうして、古い童謡を歌い上げた彼女は、にっこりと笑ってディアンドルの裾を持ち上げ、ぺこりとお辞儀をした。その瞬間、巻き起こる拍手と歓声。口々に皆「良かった」「素敵だ」と彼女を褒めた。

「ありがとうございます。よろしければ、花を一本買ってくださいな。丁度大輪の向日葵が入荷したんです」

そう言って少女が手に提げていたバスケットから、一本の大きな向日葵を取り出す。大きすぎてバスケットからはみ出しているようだ。観衆は次々に少女へと近づき、向日葵を買っていく。5ゴルドを受け取り、少女は客に向日葵を一本差し出す。客は嬉しそうに向日葵を受け取った後、「今日はありがとう」と少女に礼を言って去るのだ。中には何本も向日葵を買っていく客もいた。皆嬉しそうに笑いながら、向日葵を買い少女に一言二言告げて去っていく。
バスケットはすぐに空になった。

シド > 肌に染み入る暑さも忘れさせる美声に導かれて、今は人集りの後列で聴衆の輪に加わっていた。
長駆を活かしてあますことなく見るその姿を、声を。一挙手一投足が典雅なる様を見届けて。
自然と掌を打ち鳴らしていた。続くように割れんばかりの拍手と喝采にいつしか微笑み見守っていた。
だからこそ、流れるように花買いへと列をなしていく。夏の一時の涼やかさに花の一輪安いくらいだ。
けれども生憎にも最後の一輪買いゆく者の背筋に寂しげに葡萄色の眸を流して――

「ふぅむ…… 売り切れか。  ――いや、いいモノを見させて貰ったよ。
 花を売らずとも歌手で生きていけるんじゃあないかな?」

少女の姿に緩んだ唇から賛辞の言葉が溢れる。

フレデリカ > 「……ふう。これで全部売れたかな」

少女は額に浮かんだ汗を拭い、一息吐く。バスケットの中にある財布には、たくさんのゴルドが入っていた。

「これなら、今月の赤字も取り戻せるかも」

そう言って嬉しそうに笑う。少女の名はフレデリカ。王都マグメールの平民地区にある、小さな花屋の看板娘であった。老夫婦の娘として育てられた彼女は、二人の恩に報いたいとこうして広場に花売りに出向き、歌で客引きをしているのだった。最近戦乱が酷くなった影響で花の入荷があまり出来ず、店は赤字になっていた。そんな二人の為に、フレデリカはこうして暑い中せっせと花売りをしている。
ふと、背中に声をかけられて、フレデリカは振り返る。そこには銀髪の青年が立っており、優しげな微笑みを浮かべていた。フレデリカは慌てて答える。

「あ、ありがとうございます。でも、わたしは花屋を支えていかなくちゃいけないので……」

シド > 「なるほど。花を買わせるために歌っている、か……
 なかなかどうしてあどけない顔をしながら商魂満ちている。」

長い指先を顎に添えてバスケットの満ち満ちた金貨の輝きと。
同じ髪色の少女を緩慢に眺め交わす。
葡萄色の輝きはじっと、語る少女を見つめていた。

「綺麗だなお前……。」

低くささやき長駆を下ろす。肩肘つきて前傾姿勢。
もう片方の手で肩から滑る銀髪を後ろに流しながら。
今宵の売上の山に、金貨かしがましくなる革袋を惜しげも無く投げ入れた。

「花は買えなかったが払わせてもらうよ。」

フレデリカ > 「わたしの得意な歌を使えば、おじいちゃんとおばあちゃんに楽をさせることが出来ると思って……。そんな、ささやかな考えですけれど」

まだ若い少女特有の、まろみを帯びた頬を赤らめながら、フレデリカはそう言った。商魂満ちているなんて言われて、少し恥ずかしい気持ちになる。みんなわたしの歌を聴いて喜んでくれるし、花もたくさん売れるから歌で客を集めているのだ。そんなつもりじゃ、なかったんだけれど……。
青年の言葉に恥ずかしがっていたからか、フレデリカは彼の視線と言葉に気づかなかった。
突然金貨が大量に入った袋をバスケットに入れられ、彼女は困惑する。

「こ、こんなにたくさんのお金、受け取れません!」

慌ててバスケットの中から革袋を取り出し、彼に差し出す。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシドさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシドさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフレデリカさんが現れました。
シド > 「別に恥じることじゃあない。恥じるのは何もせずに貧困に喘ぐことだ。
 むしろ誇っていい。君の考えとその歌が祖父達を救うのだから。
 ……っと。」

差し返される金貨袋を思わず受け取って双眸丸く、まるで果実のごとく瞠ってしまう。
盗み働き人殺めても金が切実に欲しくなるこの戦火の許。
あまりにも誠実な態度を見てしまったのだから。

「まだ会って間もないが、色んな人を見てきた私だ。
 金をどんな風に使うかは予想できる。
 お前ならこの対価を街のために使ってくれるから渡したんだがな。
 …ふぅむ。ではこうしようか。」

まだ恥じらいの熱が残滓と赤くなる頬を撫でる。
いつしか少女に寄り添いそのまろい頬を指遊びになぞらうように撫でつつ。

「今日、私と一日付き合って欲しい。
 それを含めた代金だ。受け取ってくれないかな?」

頬を撫でた掌は肩にと流れ落ちていく。
彼女が逃げないならば――
細い肩を抱き寄せて、自分に靠れ掛けさせ。
二人の狭間に金貨の袋が撓んでゆく。

フレデリカ > 「だ、だって、いっぱいの向日葵をあなたに売っても、お釣りがくる程の金額ですから。軽々しく受け取れませ……きゃっ」

まだ熱い頬を大きな男の手に撫でられ、思わず声を上げる。これまで男性に触れられたことのないフレデリカは、男との初めての接触に心臓が飛び出すくらいに驚いていた。そして一日付き合って欲しいと頼まれ、抱き寄せられる。
フレデリカは彼の体温を感じながら、困惑した表情を浮かべ見上げてきた。

「一日付き合うって……何をすればいいんですか?」

その真意がわからないと、純粋な輝きを帯びた琥珀色の瞳を瞬かせて問いかける。

シド > 「全くもってその通りだな。ふふ、好意といえど大金を前にして
 簡単に受け取るのは後が怖い ――君は私が怖いかな?」

胸板にと預けさせたその顔に片目を瞑りて饒舌に語る。
彼女の歌と比するものでなくとも、低く静かに落ち着いたもの。
しかし金貨ざわめく袋と共に、当たる豊かな乳房が当たる度に
吐息が、熱い息吹が、頭部に咲く花弁を揺らし。
初々しい仕草を受け止める掌がゆっくりと、然し異性の熱をもってしかと掴んでいる。

「ここではおおっぴらに言えないこと。強いて言えば
 花の代わりに君を買って愛でたい…かな?
 私はシド。とても良い匂いがするお嬢さんの名前を教えてほしい。」

青空から降る陽光より柔らかく、生暖かい息吹が彼女の唇に降る。
避けないのならば、至近距離で熱たゆたう葡萄色が様子を伺いながら
唇を重ねていく。

フレデリカ > 「あっ……」

夏の暑さではない。彼の吐息が、掌が、沁みる程に熱い。凭れ掛かった胸板の硬さに、確かに男の人だと感じさせる力強さを感じた。けれど、何故だか怖くはなかった。あの、民衆を虐げるような卑劣な貴族達とは違う、その不思議な雰囲気が、自然と恐怖を打ち消したのだ。勿論、未知の経験に少しだけ恐れを抱いてはいる。だが、それほどではない。
シド、と彼が名乗った言葉を胸の中で反芻させる。多分、本名じゃないんだろう。あだ名みたいなものかもしれない。
フレデリカは、彼の名前を教えて欲しいという頼みに、ゆっくり頷いた。

「……フレデリカ。フレデリカっていいます」

そう名乗った瞬間、シドの端正な顔が近付く。綺麗な葡萄色の瞳に、思わず見とれた時。フレデリカの桃色の唇に、彼の吐息がかかり、そのまま重なった。

「んっ……」

シド > 「まずは君の綺麗な唇をもらうよ――」

フレデリカと、呟く唇は触れる。花弁を愛でるように触れて
食みしめ吸い付いて。舌先が花開くように合わせ目をなぞる。

言葉は出せない。だから指先が、頬に添えてこちらに向けさせる掌が。
鼻先をちょんと突付いて鼻呼吸を促す。
金貨をたわわな少女の胸に乗せて。その膨らみを揉み上げていく。
舌先が口内に忍び込み、少女の小さな粘膜を舐りあげ吸い付く。
その強さと興奮が募るに合わせて指が巨大な胸丘に食い込む。

雑踏が賑わう中で少女の鼓膜を打つのは水音。
くちゅり……秘めやかで淫らな唾液混ざり合う音。
青年の舌先が優しく舌腹のざらつきを舐り、口蓋を擽る度に響かせていく。

街中でふしだらな行為に耽りても誰も声を掛けぬのは貴族の威厳があってのこと。
宿り木が如く寄り添わせた肢体に、汗に煌めく銀髪をヴェールの如く飾る姿。
柔らかな花薫で包んでいく。それに初めて感じたのは
陽光を照り返し輝く唾液の糸を引きながら唇を離した後のこと――

フレデリカ > 「はぁっ……あむっ……ふぅっ」

愛でるように唇が触れ合い、喰まれる。その感触だけで、色事に慣れぬフレデリカを翻弄させる。すると、頬に添えられた指先が、彼女の鼻先をつついた。鼻で呼吸しろという指示を汲み取り、口の呼吸から鼻の呼吸へと切り替える。
とそこへ自分の胸に金貨の袋が乗せられ、揉み上げられる。その柔らかな弾力か、掌を押し返すことだろう。突然与えられた刺激に、フレデリカはギュッと目を瞑って眉を寄せる。
そして彼の舌が己の口内へ入っていき、まるで生き物のように蠢く。内側の粘膜を舐め上げられ、吸い付かれる感触に、思わずシドの胸元へ縋り付いた。
そして、乳房を揉まれる力も強くなり、フレデリカは縋り付く手に力を入れた。
淫らな水音が鼓膜を犯しているようで、ぶるりと背筋が震える。口内も、乳房も、彼に蹂躙されているようで。けれど、嫌な気持ちではなかった。

「は、ぁ……」

唇と唇の間が糸で繋がる。フレデリカは慣れぬ刺激にすっかり力が抜け、唇が離れた瞬間にシドに凭れ掛かった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフレデリカさんが現れました。
シド > 「ちょっと刺激が強かったかな?
 だがこれで金貨を受け取れないと言えないはずだ。
 このまま別れるのは寂しいだろう?」

胸から金貨袋が転げ落ちそうになる…直前で掌で取り上げる。
とても大きな胸だな…と鈴転がすような朗らかな声で告げて。
心の葛藤と戸惑う表情が愉悦に塗り上がる表情に
葡萄色の眸は満足気に細まったのだ。
息が整うまではその唇を香水染むハンカチで拭い背筋を撫でて静かに待ち。
二人を囲む観衆の輪を割りながら静かに歩みを進める。
傍目から見れば急病人を運ぶように見える寄り添う歩みを。
…こっそり尻肉を弄る戯れもしながらに。

「近くに宿がある。そこですこし『休もう』
 異論はないよなフレデリカ。」

フレデリカ > 「はぁ……はぁ……。わ、わたし……」

自分の頬が茹だったように熱い。頭がぼうっとかすみ、熱に浮かされたように靄がかかる。
わたしは……わたしは、花を売りに来た筈なのに……。もう、彼に流されてもいいかもしれない……。
シドの介抱で息を整えたフレデリカは、歩き出す彼に支えられる形で歩み始める。そこで突然尻を揉まれ、刺激に敏感になってしまった身体はビクン、と小さく跳ねた。

宿で『休もう』という誘いに、無垢な少女は頬を赤く染めながらこくん、と頷いた。

「……はい」

シド > 「突然のことで自分がどうすればいいかわからなくなったか。
 あんまり可愛いんで強引に進めすぎたかもしれない
 だから一息ついてどうするか改めて考えるといい。
 …私もな。花は好きだ。無碍に扱って散らすのは好まない。
 君の意志を尊重する。信じてくれ。」

その尻肉への愛撫は止めぬけれど、声音は凛として少女の鼓膜を揺らす。
時折、頭部に咲いている花にも口づけを落としながら。
凭れ掛かる肢体を支える貴族はやがて一件の宿の扉を潜りて
高揚した少女と共に消えてゆく。

フレデリカ > 信じてくれ。彼のその言葉に、心が動いたのは事実。まだ戸惑いは消せないものの、そう言ってくれるなら身を委ねてもいいかもしれない。自分は初めてで何もわからないけれど、彼なら優しく導いてくれる気がした。
尻への愛撫に声が出そうになるのを堪えながら、フレデリカは彼の言葉に頷いたのだった。
花の香りを振りまきながら、フレデリカもシドに寄りかかりながら宿への扉を潜り抜ける。その胸に不安と僅かな期待を秘めながら。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフレデリカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > おてんとうさまがちょうど真上に上がって、それから少し傾いてきたような時分。
酒場じゃ夜の準備をしていて、店員があわただしく走り回っている。
時間は中途半端だから、店員の忙しさに比較して客の姿はほとんどなかった。
その中でいっそう目を引く姿が一つ――
巨漢、としかいえない。真っ赤な大男が、テーブルのひとつを占領して、ぐでんと気の抜けた様子で突っ伏していた。

「うぐ、あー………。」

今朝がたまでのゾンビマラソンのせいで、疲れが取れていない。
よって今日は冒険者稼業もなんでも屋稼業もお休みして、昼間ッから酒を煽ってぐだっているわけである。
傍から見れば異様な光景かもしれないが。店員もちらちらと視線を送り、若干邪魔そうというか、めんどくさそうであった。

イグナス > 結局その日、どれほどまで居座ったんだろうか。
少なくとも夜のころにはそのまま酒場で騒いでいたようだから、きっとまた朝方までだ――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイグナスさんが去りました。