2016/07/07 のログ
■スゥル > 湿った下着を足首から抜き取ると、それを空き家の窓に嵌った鉄格子に引っ掛ける。
今やこの痴女の装いは薄手のネグリジェ1枚にサンダルだけという状況。
丈の長いネグリジェに隠されて、その恥部の状況はつぶさには分からないが、内股には早くも濁った粘液が幾筋も垂れ始め、ノーパンであることを示唆している。
「………あぁ……アナタ……」
……否、もう一つ身に着けているものがある。左手薬指に煌めくは、銀の基部に大きなルビーがあしらわれた指輪。
スゥルは震える手を持ち上げ、手の甲に自らの熱い吐息を感じながら、スクウェアカットされた赤い宝石の表面を覗き込んだ。
この指輪が光るとき、彼女の夫が近くにいるというサインになるという。今はその中には星粒ほどの輝きもない。
しかし、その爛れた赤の深奥に、スゥルは愛しい夫の姿を幻視した。
……見上げるほどの長身で、全身が樫の木のごとき褐色の筋肉で覆われた偉丈夫。
……身を寄せずとも鼻をくすぐり、正気を奪いそうなほどに濃密な雄のフェロモン。
……股間にそびえ立つ、丸太のように太く長いちんぽ。彫刻品のごとくくっきりと刻まれた血管。
……それを女体の奥底まで深々と突き立てられ、雌の本能が駆り立てられる恍惚。崩壊していく理性。
「……はぁぁ……っ! っふ! ふううううぅぅっ!!」
家の壁に身を預けたまま、唐突に全身を痙攣させるスゥル。大声で絶頂を訴えそうになるが、危うくとどまり、左手を甘く噛んで堪える。
半開きになった白い脚の間から、プシュ、シュ、と透明な液体が尿のごとく噴かれ、路地裏の土に幾筋もの跡を刻んだ。
夫との情欲の日々を思い出すだけで絶頂してしまう。それほどにスゥルの躰は、夫の手によって淫靡に作り変えられていた。
■スゥル > ルビーが内包する暗い赤の深淵に飲み込まれてしまいそうなほどに、スゥルの空色の瞳は指輪を凝視していた。
そうすることで、1年会っていない夫の面影がありありと脳内に再現され、全身の媚神経を励起させるのを感じるのだ。
それは、淫乱が極まって病み始めた自分自身の幻覚であり、スゥル自身もその事実を理解しているが、今はそれにすがるほかなかった。
鼻からひとつ空気を吸い込むたび、粘膜に夫の体臭が色濃く蘇る。
紅い舌をひとつ舐めずるたび、舌全体に夫の恥垢の、あるいは先走り液の塩辛い味が広がる。
腹筋に力をひとつ込めるたび、子宮が持ち上がり、そして下がり、夫の肉槍の穂先にキスをする感触を幻視する。
湿った海風を孕んだ夏の夜風は、まるでその一筋一筋があの人の愛撫や抱擁のよう……。
「……ほぉ…っ! お゛っ、ほぅっ!! ふっ……ぐ! ふうううううっ!」
別の生物が中に居るかのごとく、スゥルの豊満な腹部が乱雑に拡縮する。
腹腔が断続的に緊張と弛緩を繰り返し、中に抱える女性ホルモン生成器官、すなわち子宮と卵巣をぐらぐらと揺さぶっているのだ。
これもスゥルの夫トゥーマによって植え付けられた無意識的な反応、いわば癖である。
彼女を淫乱たらしめる根っこの器官が、自らの内臓と筋肉の不随意運動によって弄ばれ、熟女の発情は際限なく高まっていく。
潮も断続的に噴かれ続け、今や彼女の足元に水たまりを作り、サンダルを湿らせ始めている。
「アナタっ……!! ああっ、アナタっ……早く、早く帰ってきて……っ!!」
たまらず叫びながら、終わらない絶頂感にガクガクと上体をくねらせる。
今や全身が汗でびっしょり濡れ、薄いネグリジェを透けさせ始めている。その下で、巨大な2つの乳房が音を立てながら震えている。
■スゥル > 「あ゛っ……ひ……来てるっ! 来てますっ♡ アナタっ♡ ここにっ、熱いの、あっ、ふぅぅぅっ♡」
誰に見せるともなく、臍のすぐ下あたりの正中線上にネグリジェの上から右手を添えるスゥル。
朱に染まる豊満な肉体のダンスはさらに激しさを増しつつあり、背筋がひとつ仰け反るたびに家屋の骨格が軋む音が響き、汗の飛沫が散る。
スゥルは今、自らの子宮の細胞の1つ1つが震え、逆立つ感覚を覚えていた。
普段は存在すら感じることのない両の卵巣に、マッチの燃えさしがプツリと差し込まれるような感覚を覚えていた。
煮え立つような子種汁を注ぎ込まれるのとは違う。雌自身の感情の昂ぶりによって、雌自身の最重要器官が自ら熱を発し始める感覚。
他の男と身体を重ねたこともないわけではない。しかし、この熱をスゥルにもたらしてくれる雄は、トゥーマただ一人であった。
そして、この「堕とされる」感覚に、スゥルは初夜にして屈服し、一生を彼に捧げることを誓わせたのだ。
「………ーーーーっ♡♡♡♡ ふううぅぅぅーーーーーっ♡♡♡ っぐうううう!!」
懸命に唇を結び、ともすれば喉を痛めるほどに喚き散らしそうな本能を抑え続けるスゥル。
夫と契を結んでから幾千夜ともなく味わわされてきた、雌として至上の快楽。彼なき後も、こうして彼との情事を思い出すことで再現できる。
……できるが、雄によってもたらされる本物の「交尾」の悦楽とは比べるまでもない。
この「子宮が燃え上がる感覚」のあとに、切なくやるせない余韻が襲い来ることも、彼女は知っている。
それでも、熟れた身体がいうことを聞かない。数日に1回、ひどいときは日に何度も、こうして苛烈な自慰に身を委ねなくてはいられないのだ。
「………あっ……は♡ はぁぁぁ………っ……ぅううう…」
心臓のごとく脈打っていた子宮が徐々に落ち着き始めると、それを皮切りに全身から急速に力が抜けていく。
そして、開ききった大陰唇の間から、パシャパシャと淡黄色の液体が大量に滴り始める。失禁である。
■スゥル > 壁にもたれ、がくがくと震える脚を懸命に諌めながら、呼吸を落ち着けようと乳房の下を抑える痴女。
大量に路地裏に放たれた自らの尿の臭いが不快だ。失禁癖をつけられた点は、夫を恨む数少ない減点ポイントである。
「……はぁ、はぁ……。……あの子、ちゃんと寝てるかしら」
自宅にひとり置き去りにしてきた、まだ幼い息子ペトスの身を案じる。
しっかりと寝かしつけてから出てきたので、ぐずっていることもなかろうが。悪い母親だ、とスゥルは未だ熱の引かぬ頬を吊り上げ、自嘲する。
「……アナタ。私の大事なトゥーマ様。
これ以上アナタのいない日々が続いたら、私……おかしくなってしまいます。どうか、どうかお戻りに……」
窓の桟に引っ掛けてあった下着を掴むと、履く手間も惜しんでそれを握りしめ、よろめく足取りでその場を去るスゥル。
来た道をたどり、自宅へと向かう。愛液と潮、そして尿で濡れたサンダルが、くっきりと路地裏に足跡を残していた。
スゥルは、すでにおかしくなりつつあった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 夜の路地裏」からスゥルさんが去りました。