2016/06/27 のログ
■イニフィ > 元々、心を掌握するのは嫌いではなかった。
懐かれる、甘えられるという行為そのものを、イニフィは好んでいた。
ゆえに、まずはイニフィは心を掌握しようとする。そして、体をどんどん染めていく。
それが今の、淫魔イニフィのやり方であった。
女の子としての認識、それがどうやらまだまだ自覚するには足りない模様。
まあ、仕方がない。ずっと男として、騎士として育ってきたのだからそこは仕方がない。
しかし―――。
「……残念だけど、多分それは無理だわ…。
私ね、自分で言うのもなんだけど、結構知識を持ってるし、魔法もそこそこ使えるの。
…でね、普通の性転換ならどうにかなるんだけど、淫魔に性転換された場合…それは一種の”呪い”みたいなものなの。」
イニフィは、魔族としての知識をノエルに教えた。
―――といっても、イニフィ自体は性転換の魔法など使えないし、本当にそうなのかは”わからない”。
嘘―――と、一言で片付けてしまえる知識だけど、絶対的な信頼を置いたノエルならば、たやすく騙されるだろう。
ゆえに―――「男に戻るのは…残念だけど」と、とても哀しそうに首を横に振った。
そして、此れはある意味この国の事実。
腐敗しきったことを知っているイニフィにとって、それは当然のように考えられるのだ。
それは、ノエルを”こちら側に”引き込むという意味合いも込めている。
「…考えて見て、ノエル。襲撃のタイミング、魔族に対して人側の勢力。
全部―――本当に”討伐できる”ことだったのかしら?」
彼女に浮かんだ疑問、それを更に大きくしていく。
そして、その恨みが増大するとき、イニフィは瞳に―――見つめられる瞳に、赤い瞳を突き刺す。
魔力を乗せ、恨みを増大させ―――彼女を、絶望と憎悪で満たしていく。
「ノエル……貴方のお父さんや友達は、貴族にとって邪魔な存在だったんじゃないの?
だから―――貴族が魔族に”殺させた”んじゃないの?」
■ノエル > 「え……そんな」
男に戻れない、その事実を突きつけられた事はノエルにとって大きなショックであった。
後日、ノエルは男への変身能力に覚醒するのだが、その事は後日語られることになるだろう。
「……たしかに、おかしいかもしれない、でも父さんは……」
この国に戻り王侯貴族の仕打ちは身にしみて判っていた
イニフィの瞳を見れば、自分の中で王侯貴族への不信感は広がっていく
「……父さん、みんな……」
その気持ちが強くなればなるほど、ノエルは未熟な己の力を悔やんでいた。
いや、ノエルが一人前の騎士であっても、あの魔族には勝てなかったかもしれない。
イニフィの言葉が真実なら、あの魔族は王侯貴族と手を組んでいる
父さんが調査をおこなっていた、王侯貴族達による不可解な夜会の存在
その調査資料をノエルは思い出してきた、そしてイニフィの言葉が真実味を帯びてきたのである。
「い、イニフィさん……ボクはどうしたら? ボクだけじゃどうしようもできないよ、
皆の仇も取れない、ボクの成し遂げたいこと、何もできない」
そしてイニフィの胸に顔を埋め、また咽び泣いている。
男として情けない姿だが、この人の前ならさらけ出してもいいと思えてしまっている。
■イニフィ > この時点で、まさか男に返信できるという能力があるとは知らない。
インキュバスとサキュバス、二つの顔を持っている淫魔は非常に珍しい。
純粋なサキュバスであるイニフィですら、そんな能力は持ち合わせていなかった。
けど、イニフィは思う。”ノエルちゃんはじっくり女の子として育てていかないとね”などと。
「……教えてあげる。ノエル、この国はもう終わってるのよ…。
部外者としてみてきたからわかる、この国は貴方の思ってるような、護りたい国じゃないわ」
不信感が煽られ、そして心が染まっていく様子を、イニフィはとても満たされた気持ちで眺めていた。
心を掌握していく、心がどんどん自分へと傾いていく。
そんなことを、悦ばない性格ではない故に。
「…………全部知った上で、もう一回聞くわ。」
イニフィは、胸の中でむせび泣く”少女”へと、再度質問をぶつけた。
「…ノエルがしたいことがあるなら、私が協力してあげる。
魔族へ仇を討ちたいって言うのも、貴族に仕返ししたいのも…ね。」
憎悪と絶望―――。
もしも、もしもノエルが望むならば、イニフィはその心を真っ黒に染めてもいい。
淫魔として、淫らに、そして黒く、白をどこまでも黒く染めていく。
淫魔は、いま人間を裏切ろうとしている元・人間に、甘い誘いを持ちかけていた。
「ノエル……仕返し、しましょ?
貴方をそんなにした人間に……。後悔、させてあげましょ?」
■ノエル > トクンと胸の鼓動が高鳴る……イニフィの言葉はノエルにとってとても甘美なものだったのだ。
「でも……でも父は護ろうとしました、ボクはどうしたら……」
確かにこの国は護る価値は無いのかもしれない、だがそれは腐りきった王侯貴族だ。
この国をささえる善良な人々もいるし、父の知人には信頼できる人がまだこの王国にはいる。
せめてそんな善良な人々は救いたいのだと、イニフィに訴えかける。
「イニフィさん、ボクは仕返しがしたい、ボクは復讐がしたい
でも、ソレはあくまでも父の仇である者達に対してです、
善良な人、優しい人は護りたい……ボクはそういう人達の騎士でありたい!」
そう彼女に伝える視線は、ちゃんと男の子のものだった。
心は完全に黒く染まる事はなかった、力なき者の為に復讐を行う者になりたいと伝えた。
たとえそれが茨の道だとしても。
「イニフィさん、それでも力を貸していただけるなら、力を貸してください!」
■イニフィ > 甘美な誘いには―――乗らなかったか。
やはりこういう信念の強いものを染めるには、それなりに長い時間が必要になるようだ。
だけど、今回はちゃんと信頼させたし、染めていくのはまた長い時間かけて行けばいい。
―――最近知った、焦りすぎるとことを仕損じる、と。
「そう……分かったわ。
んふふ、意外と紳士的なのね、女の子って思っちゃって悪かったわ。」
しかし―――どうなるだろうか。
まだ未熟とはいえ、ノエルはもう淫魔になってしまっている。
その彼女―――いや、彼か。
まだ心を染められているわけではないとはいえ、それが魔に傾くのはそう遠くない未来かもしれない。
何しろ、いまから淫魔と契約してしまうのだから―――。
「んふふ、いいわ。力を貸してあげる。
私ね、体質的なものなんだけど…生まれつきものすごく強い魔力を持ってるの。
その魔力を、ノエルに分けてあげる。…ただ、そのためにはちょーっと、エッチなことをしないといけないの。」
貴方はそれでも、力が欲しい?と首をかしげる。
イニフィに陵辱されて、その結果力を得るか。
力を借りず、何も出来な自分の無力さを思い知るか。
二つに一つだ。
■ノエル > まだ、淫魔としての自覚も経験も少ないノエル、彼の心はまだ騎士であり男の子であった。
それがどうなっていくのか、まだ物語ははじまったばかりである。
「そ……そうわかってくれればいいよ、ボクが男だって」
紳士だと言われれば気を良くしてしまう、それが彼女の思惑だと気付いてはおらず。
「えっとその……エッチをす、するんですか?」
魔力の受け渡しには、エッチする必要がある、そう言われればノエルは困った顔をする
性経験に関しては、陵辱された経験しかなく、キモチイイという経験も薄いのだ。
それに女の身体だけでどうやってエッチするのかは、まだ知識も追いついていない。
「あ……その……ボクそんなに経験がないから、でもイニフィさんがちゃんと気持ちよくなれるなら……いいです」
だが、目の前の女性は何か信頼できる、そう感じたノエルはその提案を受け入れると返事をしてしまう。
■イニフィ > 心は、まだそうなりきっていないのだ。
どこの淫魔かは知らないけれど―――随分と中途半端なことをしたものだ。
まあ、そのおかげで、ノエルを染めていく楽しみが出来たのだからいいのだけれど。
(貴族と繋がってる魔族…ねえ?今度ちょっと探りを入れてもいいけど…んふ。)
先に、ノエルの心を完全に掌握してしまおうと考えた。
まだまだ、淫魔としての自覚も力も乏しく、自分が男だと主張する。
だからこそ、イニフィはノエルを気に入ったのかもしれない。
「わかってるわよ。…逸れに、性行為って結構いろいろといいものよ?
んふ、お姉さんに任せて?」
あくまで、それはただの魔力の受け渡しであって、本当のものではない。
いまはまだ―――という意味合いだけれども。
イニフィは右手を差し出し、ノエルを引き連れてどこかへと移動していく。
その後―――ノエルには休暇届けを出させた。
たっぷりと、ノエルを染めていくために―――。
■ノエル > 「お、お願いします」
そのままイニフィに身を任せ、手を取られたまま何処かへと去っていく。
後日騎士団の詰め所には休暇届が出される。
度重なるショックもあり、休暇が必要だと判断した先輩騎士
ノエルの事は特に気に留められなかったのだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイニフィさんが去りました。