2016/06/16 のログ
タマモ > こういう時に限って、あの一度引いたはずれっぽい店さえ出てやしない。
まったく、困ったものだ。
かといって今日は食べ歩きをしたい気分、どこかの食堂とかに入るというのもあれだった。
と、そんな事を考えていたところに、ふと何かが視線の中に入った。
…うん、受け取り方次第では物凄く違う方向に進みそうな立て看板。
それは違うだろう、と分かるのは、そこに突っ立っているのが…まぁ、それとは違うだろうと確信を持てる相手だったからで。
いや、これで実はそっちの方向です、とか言われても本当に困る。
珍しくはあるだろうが。

「ほほぅ…1ゴルドを払い、拳固を当てたら100ゴルドじゃと?
のぅ、お主、こんな事をして損ばかりするものではないのか?」

その言葉を聞けば、当然そんな事が頭に浮かぶ。
殴られ屋というものをよく知らないが、これが金儲けとして成り立つとも思えず、歩み寄って問うてみた。
当てられたら返って来る、どう見ても素早い身のこなしで攻撃を避ける、というタイプにも見えない。
不思議そうに首を傾げ、男を見上げる…身長的に、こうなる。
多少は興味もあるか、ゆらゆらと尻尾は揺れていた。

フォーク > そろそろ店じまいかな、と考えていた所に現れた少女。
少女と呼ぶには、奇妙な風格を感じる女だった。尻尾が揺れている所を見ると、人間ではないのかもしれない。

「俺は慈善家でね。皆さんに儲けてもらおうと、こんなことを始めたんだが、
どうも皆さんお優しいのか、一発も俺に当ててくれねえ。おかげでこんなにゴルドが溜まっちまった」

男が看板の横に置いていた木の椀を少女に見せる。40ゴルドくらいは入っているようだ。
勿論、男の言葉が本心ではないのは丸わかり。喧嘩商売に必要なエンタメ性を重視した発言である。
だから言い回しもどこか演劇めいた所があった。

「どうだいお嬢ちゃん。愛しい人へのおみやげ代でも稼いでみたら」

挑戦してみてはいかが、と言っているのだ。しかも

「お嬢ちゃんなら拳だけじゃなく、何を遣ってもいいぜ?」

と提案をする。
男女ミックスマッチの場合、わかりやすいハンディがある方がギャラリーも盛り上がるというものだ。

タマモ > 男の言葉に、ふむ、と頷く。
なるほど、慈善家か。…で、慈善家って何だったっけか?とか何とか。
まぁ、示すお椀をちらりと見るも、そこに入っているゴルドは余り気にしない。

「なるほどのぅ…己の儲けは気にせず、他人に分け与える為か…」

そういう事ならば、手加減無用か。そう考え至れば、続けての言葉にひらひらと手を振る。
愛しい人とか、そんな相手は居らん、といった感じに。
が、更に次にかかる言葉が聞こえてこれば、ぴくりと眉が揺れた。

「………面白い、ならば挑戦してやろう」

あ、この男は自分を舐めてる。
見た目判断でお遊びが過ぎたらどうなるか、ちと見せてやろう。
にっこりと笑顔を浮かべてやれば、財布を取り出す。
…よし、今回は穴は開いてない。
1ゴルドを取り出すと、指で弾いてお椀へと…かつんっ、と地面を一度跳ね、それは狙ったかのようにお椀に収まった。

フォーク > 舐めてない、と言えば嘘になる。
何よりも男は少女を警戒してはいない。
少女は見れば、良い身なりをしている。
どこぞの金持ち嬢ちゃんが物見遊山で露店通りを物色しているんだろう、くらいに考えていた。

「毎度ありぃ……」

少女の投げたコインが、椀に収まる。
男が両腕を後ろに回し、少女に正面に立った。

「さあ、どこを狙うかな、お嬢ちゃん。顎……は届きそうもないから、胸かな?
なんだったらケツなんてどうだい。狙いやすいぜ?」

少女に尻を向けて、ポンポンを叩いてみせる。
ギャラリーがどっと湧いた。観客ウケと挑発を同時にする話術だった。

「さあ、かかっておいで」

得意満面の笑顔だった。

タマモ > 普通はお椀に直接ゴルドを投げ込むものだ。
それを、わざと地面に一度跳ねさせ入れてみせたのだが…男は理解し切っていない。
うん、これはまったく警戒の素振りも無い、そう判断した。

「念の為に聞くが、本当に何をやっても良いんじゃな?
後で、こんな事をして卑怯だの何だの、鬱陶しい文句は無しじゃからのぅ?」

良くも悪くも、周りを湧かせてくれる男。
さて、ではやってみるか。みたいに腕をぐるぐる回しながら、一歩近付く。

フォーク > 少女が質問をしてきた。なので男は胸を張って答えよう。

「お嬢ちゃん。気がつかないかもしれないけど、俺は男だぜ。
後からつべこべ抜かすってのは、男の風上にもおけないぜ。
そんな奴ぁ、風下にそーっと置くしかないさ」

図体がでかい割に、口がよくまわる男。
少女が腕を回しながら近づいてきた。
男は正面に向き直り、脚をやや前後に開く。
これで少女も上半身を殴りやすくなるだろう。

(大ぶりのパンチか……)

おそらく少女の可憐な拳は、大きな軌道を描いてくるだろう。
大仰に避けてやればいい。避けた拍子に尻もち着いて、でんぐり返りでもしたら
ギャラリーも喜ぶかな。

それくらいに考えていた。

タマモ > 「おっと、もう一つじゃ。
一発殴ろうとしたらそれで終わりか?それとも、チャンスは何度でもあるんじゃろうか?
そうであるならば、どれくらいの時間までとかあるかのぅ?」

聞き忘れてた、といった感じに問う。
少しくらいは後悔させてやろうと思うが、それをやろうとするには一発殴ろうとしてお終い、では出来ない。
言葉をかけながらもう一歩、そろそろ踏み込んで殴れば届く範囲内だろう。

フォーク > 実に面白い質問をしてくる。
男はわかりやすい程に『考えていますよ』という仕草をしてみせた。

「それは、お嬢ちゃんのパンチの鋭さ次第かな?
とりあえず一発打ってみなって。そしたら俺の気持ちも変わるかもしれねえし」

ひょっとしたら少しは自信があるのかもしれない。
しかし所詮は女の、素人の拳。男はそう考える。
もしあまりにも下手くそだったら、大サービスにもう何度か殴らせてみてもいいかな、くらいには考えた。

「さ、打ってきんさい」

いい間合いだ。

タマモ > 「おやおや、それは困ったのぅ…
それはつまり、妾が腕の立つようであれば、手の平を返して条件を絞る…なんて事をするという事か?
ふふ…まぁ、余裕を見せて焦る姿というのを見るのも、また一興じゃろう」

やれやれ、といった感じにわざとらしく肩を竦める仕草。
それを周りの観衆にも見せるように。
やられたらやり返す、うん、考え方が単純だ。

「さて、では、この一発で見極めるかどうか試してやろう」

男の思った通りだろう、見せ付けるかのような大振りで右手を振り上げる。
そして、振り下ろす、狙いは…男のどてっぱらだ。
その振り下ろす拳にさり気なく力を込める。
もちろん当たれば負けだ、避けるだろう、避けれる程度のスピードで振り下ろしている。
ただし、避けた瞬間、その肌に痺れるような圧力は受けるだろう。
当たったら拙い攻撃だ、それを感じさせるように。

フォーク > 少女の言い方に多少カチンと来る男。
どうやら先程の意趣返しといった所か。しかしここで怒った顔を見せれば台無しだ。
半ばショーじみた商売なのだ。本気の怒りはご法度なのだ。

少女が拳を、腹部めがけ、ゆっくりと振り下ろそうとする。

(やっぱりこんなもん……)

瞬き一つ後のこと。
男の身体は、少女の放った拳の、ほぼ真横に立っていた。

本気の回避防御だった。
男が全力で回避する時、その動きは反撃のために最小限となる。

拳が腹部に当たる直前に、全身から汗が噴き出し、それが刹那に引いた。
戦場では幾度となく味わってきた『強者』の臭いが、男の肉体に回避行動をさせていた。
その証拠に、後ろに腕を回していた男が、ファイティングポーズをとっている。

男の視線が、少女の拳から、顔へと移る。

「1ゴルドで、殴り放題だ」

(嗚呼、俺は今、笑っているんだろうな)

男はそう考える。滅多に味わえないタイプの強者だ。もっと味わってもいいだろう。

タマモ > …まぁ、避けて当たり前だ、避けれる攻撃だったのだから。
サービスは一発だけ、次からは…少しだけ本気でやろうか。
とはいっても、近接戦が得意という訳でもないのだが…

「うむ、それならば問題ない。
何とも面白そうな表情ではないか…もう少し楽しませてやろう」

ただし、加減をするのはこちらじゃがな?唇が動き、男だけに分かるように伝える。
何が加減なのかは理解は出来ないだろうが…表面心理を読む力、後は今使った圧力を与える力は止めておこう。
その代わり…

ゆらりと少女の体が揺れる、つい今し方の素人同様の動きで無いのは男にはすぐ分かるだろう。
流れるような動き、すっと更に男へと踏み出せば、右手が男の体に触れようと伸びる。
それを避ければ、その動きに合わせるように今度は左手が伸びる。
それを避ければ、更に今度は右手が…次の動きを予測させる隙を生み出さない連続的な攻撃だ。

フォーク > (腕が痺れてるな)

理由はわからないが、避けた拍子に腕が麻痺した。
両腕で防御態勢を取らなければ、全身が奇妙な痺れに襲われていたことだろう。
どちらにせよ、腕は遣わないと宣言をしている。こっちは男の子なのだ。

(この狸め)

少女の唇の動きを読み、こちらも唇の動きで返す。

幻影の如き動きで少女が迫る。波状攻撃だ。
相手の回避を防ぐよう、押し寄せる波のような撃が襲いかかる。

その攻撃に対し、男は地面を滑るようなステップと、上半身を前後左右巧みに動かすことで対応する。
実に、実に精錬された格闘技のテクニックだった。
本来ならば回避と同時に拳を撃ち放つのだが、両腕がしびれている上に、手は遣わないと宣言をしている。
妖に魔性の術(じゅつ)あるならば、人は長年の努力と実戦で培った術(すべ)がある。

「せいやァ!!!!」

息吹と共に、少女めがけ男の蹴りが飛ぶ。
馬の如く、荒々しい真っ向の一撃だ。
これぞ「蹴りだから手は遣ってないもんね!」の術なのだ。

タマモ > 普段は力に頼っているせいで、こういった戦いは久し振りだ。
男がなにやら唇で紡いでいたが、気にしない。
実力を隠してはいけないなんて、一言も聞いてないからだ。

もちろん、この攻撃が当たるなんて事も思ってはいない。
当たればラッキー程度、初撃の動きで男の実力が高いのは分かっている。
よくもまぁ、こんな巨漢がここまで動けるものだと、ある意味感心していた。

「………おや?」

攻撃とは意外だったが、掛け声と共に気合の乗った攻撃、非常に分かり易い。
その攻撃が自分のように触れるだけで良いという流れるような動きであれば、避けるのは難しかったかもしれないだろう。
ぴくりと耳が揺れれば、目を細め、くるりと体を横に反転させて蹴りを避ける。
同時に、ぽんっ、とその足を軽く叩いた。

フォーク > (努力なんて、言葉好きじゃないんだけどよォ……!!)

少女の攻撃を回避しながら、男は考えていた。

(この足さばき一つ覚えるのに、血の小便が出るほど鍛錬したんだぜェ)

津波の連撃を必死で避け続ける。相手のスタミナがわからないので、
永遠に攻め続けられるのではないかという恐怖もあった。

(殺し合いなら太刀打ちできねえこともないが)

男が蹴りを放つ。
少女は身軽に動き、蹴りを躱した。
そして伸び上がった男の脚に、優しく手を置く。

「こりゃ、そういうモン(殺し合い)じゃねえだろ?」

にっこりと少女に笑顔を見せ、それから空を見上げた。
何かが落ちてくる。

木のお椀だ。

「キックはあんたを狙ったわけじゃないんだぜ……というか、当たらんだろ、あんたの動きじゃ」

男が狙ったのは、ゴルドが入った木の椀。木椀を蹴りの風圧で天高く跳ね上げたのだ。
目論見通りならば、木の椀は少女の頭にかぽっと冠のように収まるか。

タマモ > スタミナという点で言えば、少女は高い訳でもない。
余り続くようならば諦めようと思っていたが…どうやら、男の方が先に折れてくれたようだ。
ある意味で助かった、うん。

「ふむ…まぁ、そうじゃな」

見上げる男の仕草に、上に何かがある…それは、揺れる耳が感じ取っていた。
あれだけの動きを見せていたのだ、確かに、あの攻撃ならば避けれると思って当然だとは思う。
見上げる事はしないまま、ひょい、と首を傾け、上から落ちてきたお椀を頭に乗せた。

「いやはや、なかなかに面白かった。
暇潰しの散歩をしてみるものじゃ…して、貰えるものは貰えるんじゃろうか?
妾としては、金よりも腹を満たすものが欲しいものじゃのぅ」

頭に乗ったお椀を指でちょいちょいと弄りながら、首を傾げたままで男を見上げる。

フォーク > 男は傭兵だ。肉体と精神と命を売り物にしている。
だから、ただの喧嘩程度ならば折り合いを見て降りるのである。

「あんたの正体とか気になることは色々あるが……
そいつぁ、飯でも食いながらじっくりと話すとするか」

少女の望みに男は大きく頷こう。何しろ今日はそれなりに稼いだのだ。

……が!!!!

「おおおおおおお~~~~!?」

木椀を蹴り上げた際、中に入れていたゴルドを全てぶちまけてしまったことに気づく。
しかもどこからともなく現れた浮浪児たちが、地面に散らばったゴルドを神速の動きで掻っ攫ってしまった。

「あ……ぐっ!」

返せとも言えない。何しろ少女に言ってしまったからだ。

(俺は慈善家だからだからだから)

頭の中でこの言葉が何度も反復する。

「まあ、いいさ。持ちあわせがねえわけじゃねえんだ」

改めて少女に向き直ろう。

「俺はフォーク。フォーク・ルースってんだ。あんたは?」

タマモ > 「ふふ…では、ありがたく奢られるとしようかのぅ」

露店で食べるとか言っていたのだが、奢って貰うなら話は別だ。
満足気にうむ、と頷いた。
そこで頭に乗ったお椀に、ふと思い出す…中のお金は?と。
蹴り上げられたのだ、当然、そのお金は地面に散らばっている。
おっといかん、拾わねば…そんな考えを浮かべる隙も無い、次の瞬間にはすべて消え去っていた。
そんな浮浪児達の姿を見ながら、風と共に現れ風と共に去っていく、そんな言葉が頭に浮かんだ。
ちらり、と男を改めて見る、何か言いたげだが…気にしないであげよう。

「フォークか………フォーク…いや、なんでもない。
妾の名はタマモ、覚えて得も損もない、覚えるかどうかはお主次第じゃ」

男から聞かされる名前を復唱し、何かを考えるような仕草。
フォーク…あれだ、その頭には食器の一つが浮かんでいたが、さすがに言うのは悪いと思ってそれは言わない。
いつもの名乗り返しをすると、するりと男の横に身を寄せる。
食事は良いが、どこに案内をされるのだろう?といった期待を向けて。

フォーク > 「タマモっていうのか。触るとツルっとしそうな名前だぜ」

タマ=玉という安直な発想だった。

「いい店だぜ。安くて、旨くて、見晴らしも良い」

男が案内したのは、一応は平民地区だが、ほぼ貧民地区といってもおかしくない場所にある、
おんぼろ屋台だった。
とにかくおんぼろで、屋台の中では鍋を振っていなければ眠っている風にしか見えない老人が調理をしていた。

「この店はな、シェンヤンから来た爺さんが一人で切り盛りしてるんだ。
店は汚くて、ボロっちいけど、旨いんだ」

男は勝手知ったるといった様子で、木製のベンチを屋台から引っ張りだす。そして少女に座れと言おう。

「爺さん、酒。そしてあれ頼むは。この前食べたあの、得体のしれない肉野菜炒めと、得体のしれないものが入ったスープ!」

とにかく得体のしれない店らしい。ベンチに腰掛ければ

「しかしあれだな……お前さん、強いな」

ひとまずやってきた酒を縁の欠けた陶器の椀に注ぐ。乾杯だ!

タマモ > 「………ふむ、間違いではないじゃろうが…何か引っ掛かるのは何でじゃろう?」

大体出てくるのは動物の名前だが、今回はどうやら違うようだ。
つるっとしている、どうだろう?自分の肌を撫でてみる、うん、つるつるしている。
いや、それとは何か違うような雰囲気だが、気にしない方が良いかもしれない。

「ほほぅ…?よし、では参ろうか」

場所は…平民地区のままだ、貧民地区の側らしいが、少女は地理に疎い。
なかなかに…といった感じの屋台みたいだが、別に不安気もない。
見た目ではない、味がよければすべてが許される。
どうやら常連か何かなのか、自分でベンチを引っ張り出して勧めてきた。
うん、まぁ、座らないと始まらない、ちょこんと座る。

「………いや…酒はともかくとして、得体の知れないとは…」

なんか注文が適当だ、通じているんだろうか?なんて、そちらは不安が過ぎる。
店主らしき爺様がそれを聞いて動き出したならば、通じているのだろうと思う。

「うむ、当然じゃ。
まぁ、でもあれじゃ…お主も人間としてはやりおるではないか、ん?」

もちろん!と言わんが如く、えっへんと胸を張ってみせた。
酒の注がれたお椀を手に、乾杯。
…これでも酒は好きだ、さっそく頂くとする。

フォーク > 「うーん、やっぱりここの酒はいい!」

男はたまにここの酒を買う。
信じられない強い酒だから少量で酔っぱらえるからだ。
そして変に安い。

おっつけで肉野菜炒めとスープもやってくる。

「さあさあ、まずは食え。食わないと何も始まらないぞ!」

と、少女に料理をすすめる。

シャキシャキ野菜と、美味しい肉汁も迸るけど何の肉を使っているのかわからないの肉野菜炒め。
辛くて旨いのだけど、具材に辛すぎて何が入っているのかわからないスープ。

店主の老人に何度訊いてもその正体はわからない。
……ただ、耳が遠いだけなのかもしれない。

「そりゃお前、俺は人類の最高傑作よ……」

と、自惚れからはじまる長い宴がはじまるのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフォークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にリーシャさんが現れました。
リーシャ > 今日の夜は何となく露店通りへ。
お腹がすいたからと串焼きを片手にのんびりと道を進んでいく。
右手に串焼き、左手にはビール入りのグラス。
完全に露店通りを楽しむスタイルである。
かぶりつく肉の、強烈なしょっぱさと脂の甘さに鼻歌まじりな少女は。

「ん、ふふー、いいねいいね、お肉美味しいねー♪」

かぶ、かぶ、と速いペースで肉を減らしていく。
足取りも楽しくて、ついつい進んでしまうのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にヘクターさんが現れました。
ヘクター > 物陰の多い裏通りから、露店通りに向かう人通りを監視している者が一人。
薄暗がりで顔は隠れているが、青白い肌をした魔族の男。

「ぐふふふふ、今日はまた旨そうな女が歩いておるわ。」

物陰に隠れている男は、口から涎を垂らして笑うと、早速目に付いた少女を今日の獲物にしようと動き出す。

建物などの陰に隠れるように、一本の触手を伸ばし誘惑の魔力を放つ。 

大勢が正気を失うと目立つため、向かう先を一か所に決めて集中させた力が伸びていく。

向かった先は黒い猫耳がついているミレー族の少女。

リーシャ > 肉を食べ終えた少女は、なおも鼻歌交じりに道をゆく。
くい、と煽るビールの味も格別だ。暑い夏には最高である。
すっかり上機嫌な少女は、忍び寄ってくる触手にも気づかない。
てくてくと歩き、裏路地に入る道と交差したところを通り過ぎた刹那。

「――んぃっ、ぁあっ!?」

思わず声が漏れ出るほどに、急激に体内の淫気を増幅される。
麻布の服の下では、魔力に反応した淫紋が焼けつくように輝いている。
とっとっとっ、と急激に加速する鼓動を感じながら、たたらを踏んだ後で路地裏を見やる。
自身に魔力を注いだ、犯人を探すべく。

ヘクター > 路地裏の奥から、口を開けたいやらしい笑みを浮かべた魔族が少女を眺めている。
物は言わずに、静かに手招きだけをする。
どうやら周囲に気付かれ騒ぎになるようなことは避けたいようだ。

だが、それでも視界に捉えているミレーの少女は魅力的に写った。
ローブの中では既にギンギンに勃起した状態で少女がやってくるのを待っている。

少女の脚の周りを触手が漂う。
魅了の魔力を周囲に放ちながら、時折少女の脚へと触れる。

どうやら、路地裏の方へ、つまり男の居る場所へと誘おうとしているようだ。

リーシャ > 平時の少女であれば、魔族に逆らうことも出来ただろう。
しかし、アルコールの入った体は普段よりキレがなく、発情の魔力もまともに受けた分、思考が鈍っている。
この周囲の皆がどうなろうと少女からすれば知ったことではないが、少し考えた後に路地裏に足を進ませる。
無様な姿を見せたならば斬り殺してやろう、そんな考えをうちに秘めながら。

「……で、ボクに御用なのは君かな?」

路地裏、何とも不愉快な笑顔を浮かべた男に苦笑を浮かべる。
足に触れる触手のぬめりを感じながら、しかしその視線は研ぎ澄まされたものだった

ヘクター > 少女が己の思惑通り、人目のつかない場所へと近づいてくる。
目の前まで距離が詰まり、鼻から女の匂いを感じ、男は感情が昂ぶる。

「ほほう、随分と勇気のある娘ではないか。 いや、その通りだ。」
下卑た表情を少しも隠さない魔族の者。

「だが、その眼はいかんなあ。 これからわしに犯される者の眼とは思えん。」
大人しくこちらに来たのは何か思惑があったのだろうと判断した男は、途端に冷めた表情を浮かべ両腕の裾から触手を大量に伸ばした。
少女が逃げるのが遅れれば両手両足を縛り付けた後に、口から直接魅了の魔力が入った体液を流し込むことだろう。

リーシャ > 「あはは、まぁ、そういう手合には慣れてるしねぇ?――ボクは別にあそこの皆が君に殺されても何も文句は言わないんだけれども」

下卑た表情を眺めながら、しれっと言い放つ。
場合によっては少女のほうが、もしかしたら魔族っぽいかもしれない。
触手の群れが来ても驚くことなく、退くこともなく、絡め取られるままに身を委ねるが、其の表情に浮かぶのは微笑みで。

「ん、ふふ――犯すのは構わないけど、ちゃんと満たしてくれなきゃダメだよ?じゃないと……君の首を飛ばさなきゃいけない」

ぐい、と縛り付けられる痛みに心が踊るのを感じながら、口元への触手を受け入れる。
魅了の魔力を飲み込み、半分を自分のものに、半分を淫紋のものへと変換しながら、昂ぶりと情欲に身を委ねて、ちろちろと舌を這わせてみせた。

ヘクター > 「なんて言う女だ。 先程まで夜店で買い物をしていた者とは思えんことをいいよる。」
失うもののない強みだろう。 呼び出した筈の男が面食らう。 とんでもない奴を呼んでしまったと内心思い始めている。

無抵抗の少女は男の触手にすぐに絡め取られる。
だが、怯えるよう様子などまるでない。

「よかろう。 わしも呼び出した手前お前を楽しませてやろうではないか。」
犯そうとしているはずなのに、手玉にとられているのを感じるがやることは変わらない。

口腔内の触手は舌が触れると興奮し、滲み出る体液の量が増えていく。 ザーメン交じりのドロドロで臭くて粘着質の体液が注ぎ込まれ、少女の口から喉へと流れる。
その際に魅了の魔力も直接体内に注ぎ込まれる。

四肢を拘束した触手は縛り付けたまま、先を伸ばし少女の全身へと這わせていく。 こちらは別の体液を零し、少女の衣服を溶かし始める。
身体には一切の傷をつけることはないが、こちらも皮膚から魅了の力が入った体液を塗り付ける。

リーシャ > 「ん、だって、そうでしょ?あの人達は私にとって利にも害にもならないし――」

絡め取られた腕が動かないのを確認して、満足そうに震える。
ぎし、ぎし、ときしむ体の感覚すら楽しみながら、先ずは精液臭い液体を胃の腑に収めていく。
ごぶ、ごぶ、と吐き出される大量の液体は、エールと肉の切れ端しかない井の中を埋め尽くしていく。
同時に触手は絡み纏わりついて、胸元を僅かに絞り出し、更に衣服を溶かしていく。
安物の麻布がぼろぼろに腐食すると、其の下の艶やかな肌を汚され始める。
下腹部に浮かぶ淫紋を見れば、少女がすでに魔族のものとして手付を受けたことが理解できるかもしれない。
それ故の余裕を孕む少女は、秘所と尻穴を疼かせながら、ただひたすらこくこくと粘液を飲み込んでいく。

ヘクター > 「全く、とんだ女をひいてしまったわ。 まあ良いわ。 わしが楽しめればそれで良い。」
痛いほどに締め付けているのに、楽しそうな顔を見せている少女に男は頭が重くなるのを感じる。
だが、危険をおかしてまで連れてきたのは正解であった。
胸こそこぶりであるが、しなやかで幼さの残る顔は男の性的欲求を刺激するに十分であった。

「ほう、お前既に他の魔族の物か。 これはいい、誰の物かは知らんがお前みたいな珍しいミレー族を犯すのも悪くない。」
下腹部に見えた紋章に男は口角をあげる。 人の物に手を出すのも楽しい上、楽しめる身体と言うことの証である紋章を刻まれたミレー族。
膣の中はどのような味がするだろうかと男の興味がより強くなる。

触手で拘束を続け、口からは体液を飲ませたまま衣服を脱ぎ去る。

男の股には極太の肉棒がピンと張っており、先は既に先走りを放ち始めていた。
「さて、わしも楽しませてくれよ?」
触手を動かし、両足を広げさせる。 その状態で秘所に肉棒の先を宛がう。
足元をまとわりついていた触手が足を伝って伸びていき、精液で濡れた先っぽをアナルへと入ろうとしていく。

リーシャ > 「ん、むっ――そう、だね。楽しめればって感じで――」

精液の匂いに体が火照り、より雄を求めろと子宮が疼きを灯す。
秘所はすでに子宮をおろしており、精液を受け入れる環境は整っている。
尻穴も自発的に緩み始めて、窄まりというよりも縦割れの窪みのような肉穴として、責め苦を待ち望んでいた。

「んっ、幻滅、した?――それとも……ふふ、それなら、良かった」

気を悪くするかしら、等とすこしばかり考えたが、どうやら杞憂だった様子。
蕩けきった秘所は、ねっとりと蜜の絡んだ桜色の粘膜を魅せつけるようにしており、経産婦故の拡がりすら見せていた。
こく、こく、とどれくらい飲んだか、下腹部が薄く膨れる頃に、ようやく秘所へと肉棒をあてがわれる。
きゅ、としまった膣道が、肉棒の鈴口を吸うようにして導きあげて。
尻穴も触手を受け入れると、そのままきゅぅぅ、と強めに締め付けながら、其の精液を貪りとろうと圧搾を繰り返していく。

ヘクター > 「その通りだ。 誰の手つきかは知らんが、最初にお前を発見した奴は余程見る目があるな。」
腹が膨れる程に精液を飲み干す女に会うのは初めてで。
ボテ腹状態の腹部を指でぐっと押して見せる。

「幻滅なぞするものか。 どうせ今夜使うだけの穴だ。 尤も、お前もわしの子を孕むと言うのなら話は別だがな。
しかし、もう既に孕んだような腹をしておるではないか。」
腹の中身を穿かせようと、力強く腹部を押し出す。 綺麗な少女を醜くいたぶるのも男の趣味であった。

「綺麗な色をしている割にはよく呑み込みよるわ。 どれ、もっと入れてやろう。」
亀頭が入るなり、柔肉がキュっと締め付ける。 男はその感触に驚きの声をあげるが、ゴツゴツした肉の塊を膣内を拡張しながら根元まで挿入していく。
既に降り切っている子宮に肉棒の先が触れる。
尻の中に入った触手は、纏わりついているザーメンを潤滑剤に利用しながら直腸の奥へと入り込んでいく。精液を搾り取るべく腸肉が締め付けると求められるままに精液を吐き出す。
代わりに直腸から少女の魔力を吸い上げていき。

「ほれ、わしのこいつでお前を孕ませてやろう。」
妊娠する準備が出来ている少女の身体に、己の子も産ませようと、両手で少女の細い太ももを掴むと一心不乱に腰を振り立てる。
魔族の底なしの性欲を全てぶつけるかのような一方的なストロークで少女の身体を蹂躙していく。