2016/06/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にクルツさんが現れました。
クルツ > ふわり、ひらりと裾をなびかせながら足取り軽く大通りを行くのはつい先程まで愚痴りながら酒場で掃除をしていたクルツ。
しかし出で立ちはすっかり様変わりしていて、要するに女装である。
今日みたいにストレスが溜まった時や特にそんな事はなく気が向いた時、つまりその気になれば割りと頻繁にこうして女装して出歩くのが趣味なのであった。
女装も手慣れたもので元々の顔立ちや体格もあり男と見抜くのは困難であろう。
薄く化粧をして、ほんのりと香水までかけている。

「こんにちはおじさま。リンゴ一つお願いします」

顔なじみの果物屋に寄り、暫し談笑。
ちなみに男装時でも何度も顔を合わせている知り合いなのだが、未だ気づかれる様子がない。
そういうところも楽しくてこうしてしばしば、女装して出歩いているのだ。

クルツ > リンゴ片手に果物屋を後にして、ちまちまとかじりながらあちこち冷やかしに顔を出す。
色々と欲しい物は見つかるのだが、そんなにお金に余裕がないのであまり贅沢は出来ない。
ちなみに欲しい物は多岐に渡りいくらお金があっても足りそうにないぐらいである。
今見つけてしまったのは、三日月型のバレッタ。
庶民向けのアクセサリショップだが物によっては結構良いお値段になってしまう。
鏡の前で試着させてもらったが、値段を見ると生活費を圧迫しそうな価格。
結局買うのは諦めたが、名残惜しそうにしていると店員が取り置きしようかと気を利かせてくれた。
だが今日の有様を鑑みると収入のあてが心もとない。

「残念ですけど、お小遣いが厳しいので……」

お金が出来るまで暫くこの店に来るのは控えよう。
何度も見ていてはすぐにでも買ってしまいたくなるので、未練は残るもののお店を後にした。

クルツ > 暫くそうやって、特に買い物もせずぶらついていると日の暮れる時間となってきた。
酒場の店主に約束した通り、そろそろ帰らなくては。
帰れば男娼の仕事が待っている。
今日は予約がないし客が入る確証はないが、いまいち使えない用心棒が置いて貰えているのはこの仕事も込みだからだ。
別に嫌いな仕事ではないが、冒険者としてよりもこっちの方が収入が安定してきているのは複雑な心境だ。

「まあ気持ちいいし、お金も貰えるんだから贅沢言っちゃダメだよね」

誰にも聞こえないぐらいの声で独り言を呟くと、酒場へ帰る道を行くのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」からクルツさんが去りました。