2016/06/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にアヤメさんが現れました。
■アヤメ > 今日の少女は珍しく料理人だった。
いつも通りの衣装を見につけ、いつも通りの露天を引く。
今日はどちらかと言えば、デザートを中心にしたラインナップ。
季節の果物をたっぷり集めたお店からは、甘い匂いが漂っていて
「ん、美味しいお菓子がありますよー!」
などと声を上げて、客を呼びこみながら、見えないしっぽを揺らしていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にフォークさんが現れました。
■フォーク > 夕方からちょいと一杯やっていた男。
ほろ酔い加減で露天通りを歩いていたら、ふんわかと甘い匂いが男をときめかせる。
「美味しいお菓子があるって言うんなら、寄らないわけにはいかねえだろ」
男は酒飲みではあるが、甘い物も大好きなのだ。
特に一杯やった後は、何かしら糖分が欲しくなる。
このまま家に戻って砂糖水でも飲もうかと思っていた男だが、
お菓子の誘惑には勝てない。
「ここ、お菓子屋かい?」
店の前まで来れば、呼び込みをしている少女に当たり前のことを訊いた。
■アヤメ > ニッコリと笑顔で客引き中。
待っている間にもパイ生地が焼きあがり、バターと砂糖の甘い匂いが周囲を満たす。
その匂いに誘われてこちらを向くものも居るが、やはり酒のつまみといえばしょっぱいものが主流らしい。
そういった品々も出来なくはないが、今日の所は材料少なめ。
柔らかくていい匂いの桃や、甘酸っぱそうなオレンジが材料かごに入ってて。
売れるかなぁ、と周囲を眺めていた矢先、寄ってくる男性が一人。
問いかけには満面の笑顔で。
「はい、お菓子屋……と言うか普段はお料理屋さんなんだけど、今日はお菓子がメインの日ッて感じかな?」
素直に返すと、見せるのは今日のおしながき。
そこには『お好みの果物を選んでください。あとは、どんなものが食べたいかをイメージでも構いません』とだけ書かれていて。
それには、客のおまかせにどこまでついていけるか、という少女自身の鍛錬も含まれていた。
■フォーク > 「こりゃいい香りだぜ。バターたっぷりの菓子とか俺のすげー好み!」
口の端から垂れる涎を手の甲で拭いながら、温かいバターの香りに鼻を動かす。
少女からおしながきを見せてもらう。店のシステムをよく確認をする。
男は香りが強い果物が好きだ。そして甘い香りのものがいい。
「そうだな、じゃあ桃がいいな。バターたっぷりのパイにしてくれると嬉しいぜ」
ピーチパイ的なものを注文すれば、店内に入ろうとする男。
その際のことである。
「お前さんのケツみてぇにぴっちぴちな桃で頼むぜ」
ぽん、と少女の尻を撫でようと手を伸ばすのであった。
「好きな席に座っていいのかい?」
案内してくれるのか、それとも自由に座っていいのか。
■アヤメ > 「もも、だね。うん、分かった――♪」
注文を聞くと、少女は鼻歌交じりに踵を返す。
刹那、その手が尻に伸びると、むにゅり、と薄めの肉を掴まれる。
同時、少女の体はびくん、と震えて。
「んひゃぁっ!?――あ、ふぁ……うん、どこでも、大丈夫。好きな所でいいよ?」
散々体を持て余された名残か、こうして尻を撫でられると過敏に反応してしまう。
それ故出てしまった甘い声をごまかすように、そそくさと厨房に戻って菓子作りを始めるのだった。
作るのはホールのピーチパイ。たくさん食べそうだから残りは持って帰れるようにという寸法。
焼けてない方のパイ生地を器に敷いて、その上にナッツを混ぜ込んだカスタードクリームを敷く。
その上に丁寧に、櫛型にカットされた桃を並べていくと、その上からラム酒をほんの少し。
そうして出来上がったパイを、オーブンに入れると、火を入れてあとは焼けるのを待つだけにする。
その間は、退屈をさせぬようにと冷えた紅茶をカップに入れて
「あ、お紅茶でいいかな?それともお酒なら、少しはあるけども」
どっちがいい?と首を傾げて尋ねてみるのだった。
■フォーク > 「なかなか雰囲気の良い店じゃあねえの。こりゃいい店を見つけちまったかな」
男は隅の席に腰掛ける。
目立つ男に自分のような巨漢がいると、他の客が入りづらいのではないか、と考えているからだ。
しばしの間、店内を見回していたら、呼び込みの少女が近づいていた。
「紅茶か酒か……へへ、俺は君がいいな」
少女のほっぺたを太い指でぷにん、と押した。
ぷにぷに、ぷにん。癖になる感触だった。
「ははは、菓子作りが忙しいんだよな。邪魔してすまねえ。ここは格調高く紅茶……
と言いてえが、俺は酒飲みでね。適当に酒でも出してくれや」
少女にちょっかいを出したい所ではあるが、少女は仕事中だ。
せめて注文したものを持ってきてから、ちょっかいを出すことに決める。
大人しくしておく、という思考は、この男には根っからないのだ。
■アヤメ > 「うぇっ、わ、私っ!?でも、その……そういう、お店じゃない、し」
顔を真赤にしながらモゴモゴと、一先ずは拒絶してみせる。
とは言え、尻肉を掴まれた時の逞しい感触は、性に飢えるという呪いをかけられた少女には刺激の強いもので。
ドレスの中、下着がじんわりと濡れてしまうのを感じながら、ごまかすように。
「ん、それじゃ……雰囲気は食後だよね?だったら――」
一度離れて、出してくるのは、琥珀色の液体だった。
開ければ濃い酒精と葡萄の香りが広がり、周囲にふわふわと漂って。
それを、氷だけ入れたグラスに注ぐと、そっと差し出す。
「ん、それじゃあとはお菓子が……っと、もう焼けるね。取ってくるからちょっとまってて?」
良い匂いが漂い始めると、少女は再びキッチンへ。
オーブンを開けると、焼けた砂糖が何とも香ばしい、ピーチパイが出てくる。
さて、後は仕上げだ、と言わんばかりに、パイの上に今度は冷やしてあるナマの桃を乗せていく。
生の桃と加熱した桃、二つの桃を味わわせるピーチパイ。
最後に軽く糖蜜をかけて、左半分の上にちょこん、とアイスクリームを乗せると。
「ん、ピーチパイ、お待ちどうさま。――右半分は食べきれなかった時に持ち帰れるようにッて感じだから、左から食べてね?」
ニッコリ笑うと、後はそのまま、彼が手を付けるのを待っていた。
なにせ料理の感想を聞くのが、少女にとって一番嬉しい瞬間なのだから。
■フォーク > 少女が注いでくれたグラスを一口つけた。
男は満足気に頷く。いい酒だ。
「ああ、楽しみにしているぜ」
キッチンに向かう少女を見送った。
どうやら少女もまんざらでもないようだ。
口説けるかもしれない、と男は内心ほくそ笑む。
「ほぉ~。こりゃスゲエや」
甘く優しい香りが近づいてくる。
少女の作ったピーチパイだ。蜂蜜にアイスクリームもついている。
「左からだな、わかったぜ!」
ナイフとフォークを手に取る。大ぶりにパイを切り、一片を頬張った。
ハムスターのように口を膨らませて咀嚼する。
ゴクリ、と喉を鳴らして飲みこんだ。
「いやあ……こりゃたまげた。旨いぜ!」
芳醇な桃の甘さ、濃厚なパイの味、香ばしいナッツ。
少女の料理の腕は、相当なものだと確信した。
優秀な料理人の名前を訊いておこう。
「お前さん、名前……なんて言うんだい?」
■アヤメ > 少女からすると、この手の誘いはまんざらではない――というよりも、腹部の呪符の効果でそうせざるを得ない体にされてしまう、という方が正しい。
今も、腹部の呪符はじくじくと子宮に淫靡な魔力を注ぎ、少女の体を強制的な発情へと導いている。
ずくん、と疼く子宮を意志の力で無視しながら、こんがり焼けたパイの前で目を輝かせる男を見ていた。
目の前、豪快にパイを切り取り、大口を開けて咀嚼する男の姿は、無邪気さ満載といった所。
子供でもここまで豪快に、しかも嬉しそうに食べはしないだろうと言う雰囲気を楽しみながら。
「ん、それは良かった。――あ、えーと、私はアヤメ。小さい料理屋さんのしがない店主だよ。よろしくね?」
先程よりもやや色気づいた、朱色の頬で笑顔を向ける。
時折無意識にお腹に手を当ててしまい、気づけばそれを戻すような仕草を繰り返していて。
ゆっくりと強くなっていく性衝動は、桃にうっすらと蜜の筋を作り出す。
男が匂いに敏感であれば、甘いお菓子の匂いの中に僅かに交じる、少女の雌の匂いを感じ取れるかもしれない。