2016/02/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏通り」にベリルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏通り」にユニさんが現れました。
■ベリル > 歩く。
右手に、それなりの硬貨が入った革袋を手に持ち。
いつものように、左足を引きずっているように。
いつものように、不機嫌そうなツラで歩いている。
人気はそう多くない。少なくもない。
治安がいい、というわけでもないが。殊更、悪い、と言えるようなところではない。
そんな、通りを歩いている。
目的地は決まっている。古めかしい外観に、何の店か分からないような外観。だが、ボクは知っている。
あの店に、存外、それなりの客足がある事を。
言ってしまえば、日常的な物から、冒険者向けの道具を取り扱っている商店、そんなところだ。
ボクは、そこに向かっていた。
■ユニ > 言ってしまえば気紛れである。
毎日娼館で働いている訳でも無ければ、冒険稼業などもずっとしている訳でも無い。
快楽は勿論彼女にとって優先するべきではあるが。
彼女の本質は自堕落である。
故に、今日もだらりと街中を歩けば、適当な露店で買食い、可愛い子を見れば愛でる様な接触での淫魔としてのお食事などをしていれば。
目の前に不機嫌の体現たる人物が、何時もの様子で何時も通りに歩いていく。
「お」
少しだけ声をあげ、ゆっくりゆっくりと近づいていく。
声などはぎりぎりまでかけないようにしよう、などとちょっとした悪戯心を発揮しながら。
―――とはいえ、ブーツがカツンカツンと音を立てているので余り意味は無いのだが。
■ベリル > 歩いている。
そこを目指して、歩いている。
あぁ、もう。すぐそこの角を曲がればすぐ。
瞼をピクリと動かす。
そして、生憎。
その足音を聞き逃せる耳と、脳味噌をボクは持っていない。
誰だ、この足音は。懐に手を伸ばそうとしたが――――やめた。
少なくとも、この足音の持ち主は、“バカ”だ。
そして、そんな奴で、ボクに近づいてこようなんて奴で思いつくのは一人だけ。
「……ハァ」
目を閉じて、ため息をついてから。
「…………ヨォ、アンタ」
横目だけで振り返り、ボクはソイツに声をかけた。
■ユニ > 「え、何その微妙な反応ー」
ジャケットに手を突っ込み、微妙な顔をして。
「久しぶりに見たから声をかけようと思ったのに」
口を尖らせ、半目でジト目で。
「溜息はひどくなーい?」
と言いながらすぐに何時ものマイペースなにやけ顔へ戻れば。
今度は音も何も気にすることなくカツン、カツンと音を鳴らして近づいて。
「や、この先だとあの店?」
と当たり前のように彼の横に並び話しかけた。
彼女が相手に気兼ねする事は滅多に無いのである。
■ベリル > 「久しぶりに見かけた奴に、アンタは背後から忍び寄るのか」
趣味がいいね、全く。なんて言いながら皮肉げに、再度ため息をつく。
いつものように、こいつは本当に自分らしい。
「アァ。……ヒサシブリ」
それだけ言って、ボクは再び前を向いた。
向いて、歩く。ある……。
「……そうだが」
隣に、来たそいつを、半眼で見る。睨んでいるわけではない。
……いや、少しは睨んでいたかもしれない。
何しろ、今日は気分がよくない。いつもの事と言われればそれまでだが。
「ついてくるのか」
■ユニ > 「こう、後ろから驚かしてやろうかと」
悪びれは全くしていない。
何をそんな事を聞くのか?と言わんばかりの態度だ。
睨まれるような半目も彼女は意に介していなかった。
「相変わらず機嫌悪いねー」
あははと笑いながら横を歩きながら。
「ついてきてる訳じゃないよー、目的地がたまたま同じなだけ」
彼女にとって目的地が今「たまたま」決まっただけである。
のでついてきている訳ではない。
単に、道が同じなだけなのだ、と主張する。
やはりただの気まぐれである。
■ベリル > 「ふん」
特に何を言うこともない。
と、いうか。言ったところで意味はない。
相変わらず、――――。
嘘つけ、そう言おうとしたが。
「そうか。……アンタはなんで、ここにいる」
気まぐれになぜ、と問うたところで、その返答が身になることはないと知っていても。
角を曲がる。ほんとうに、すぐそこだ。
ボクは、店の前に立った。
「……………ここにいろ」
言外に、ここから先はついてくるな。そう言い含む。
ユニが聞くかはわからない。だが――。
■ユニ > 「何でと言われると」
うーんと悩んだ振りをする。
勿論、理由など無く。
「気紛れ?」
そして包み隠さずに何故居たのかを答えた。
彼の予想は全く外れず、身になることは無い。
程なく、店の前に着けば。
「あら?ふうん」
ここに居ろと。
少しだけベリルを見れば。
この店を知らない訳ではないが。
「と言うか私は別にキミについてきてる訳じゃないしー?」
などと言いながら、ぴったりと、店の前から動かない。
嫌がるのなら無理にいくまいという、それは彼女の一つの小さな矜持だ。
■ベリル > 「だろうな」
想像通り。まぁ、それはそれで、愉快とも言えるのかもしれない。
「……待たんでもいい」
どうせ、すぐ戻る。
それを言う必要はない。なぜなら、待ってもらう必要も、待ってもらいたいということもないからだ。
そういうところは、素直なんだな。そう、内心で思いながら。
……いや、いつでも、自分に素直か、こいつは。
ドアを開け、中に入る。
二言、三言。店主と話をする。
そして、持っていた革袋を――。
「……うるさい。もう行く」
ほんとうに、すぐだ。
時間にして、そう時間もたっていない。
ボクは、そのドアを叩きつけて閉めたい衝動を抑えながら、静かに閉めた。
「……………………ふぅ」
■ユニ > 「はいはーい」
わかってか分からずか、それはわからないが返事だけは威勢よく。
実際にその店へは近づかず、そのままベリルを見送って。
そしてしばらくして、ベリルがその店からまた出てくる頃には、野良猫を一匹適当に捕まえてわしわしと愛でる姿が其処に映る。
「あ、速かったねぇ」
手を離せばゆっくりとその場を離れて行く猫。
その猫を少しばかり見送れば。
「溜息を付くと幸せが逃げるって話だけど」
ホントかな?などと出て来たばかりのベリルに投げかけた。
これも単に彼が出てきた途端に溜息をついたからであろう。
そしてその問いにやはり理由などは特に無いのだ。
■ベリル > 気分は、最悪。
「……………ぁあ?」
酷く、誰かに当たり散らしたい気分だった。
思わず、それが出てしまい、頭を振る。馬鹿か、ガキか、と。
「猫が二匹いるな」
ボクは答える。幸せか逃げるかどうか。
幸せ、幸せか。
「…………知るか」
クソッ、等と小さく悪態をついた。
この能天気で、ひどく気まぐれなその顔が、今はひどく苛立たしかった。
実際に、苛立たしい事から目を背けて、ボクはやっぱり。
八つ当たり気味に、そうひどく機嫌悪く声を上げた。
……やっぱり、それはいつも通りと、そう差異はないのかもしれないが。
■ユニ > 「猫みたいに可愛いってことカナ?」
などと冗談を言ってみれば。
「おお、こわこわ」
いつも以上に不機嫌そうな顔。
それにまた軽く声をあげる。
小さな悪態。
ふむ、と少しだけ。
「ま、そうだよね。溜息なんて誰でもつくし知る訳も無い」
うん、と一つ納得したように頷いて。
そんなベリルに特に応対は変わらない。
それは悪態があっても変わらないし、何も無くとも変わらない反応だったろう。
とはいえ、何らかの理由で何時も以上に不機嫌だと言う事はわかっているし。
それ以上踏み込む気は無いのだ。
故に理由など聞かないし、そもそも彼女にその事に関する興味など無い。
それはやはり気紛れでマイペース故である。
「ま、何かそう言う時もあるよね」
と、適当な事をのたまった。
■ベリル > 「見た目だけなら十分可愛らしいよ、アンタも」
最高に皮肉げに、どちらでもいい。
勝手なことを。知った風なことを。
そう思ったのも事実だ。だが、それこそ知った事ではないのだ。
例え、その言葉に彼女の胸ぐらをつかみ、壁に押し付け殴りたくなったとしても、それこそまさに、“彼女からすれば”知った事ではないのだ。
それをしているのは自分の勝手なのだから。
「……うるさい」
故にボクは、何もせず歩きだした。
先程まで手に持っていた革袋の重みが消え、その分手持無沙汰になったな、なんて考えながら。
「……なぁ、ユニ。気晴らし出来ることなんか知らないか」
■ユニ > 「だけ、は酷いなあ」
軽くそう答える。
そして覗き込むのは彼の瞳。
瞳と瞳を合せる。
紅い瞳がぐらぐらと揺れる気がするがきっとそれは気のせい。
その瞳は好きにすればいいのに、と言ったような気がして。
うるさい、の一言に彼女は言葉を止め瞳を合せるのを止めた。
正確にはただベリルが歩き始めた故に瞳があっていたのが外れただけではあるが。
歩き出した彼の後ろをカツン、カツンとブーツの音を鳴らしながら特に話しかけずについていく。
「気晴らし、ねえ」
問われれば。
彼女は淫魔で。
そういうコトは「そういうコト」をする事を提案するが。
彼がそれを受け容れる気はしない。
それでも彼女は淫魔である。
「例えば私をムチャクチャにしてみるとか?」
その声は酷く蠱惑的な。
そしてそれは確かに彼が少しだけのぞかせた衝動。
もし、彼が今後ろを見れば。
何時もの笑いでは無い。
何時か見た艶やかな貌が見れるだろうか。
■ベリル > 「他に、可愛らしいところがあると?」
瞳が揺れた。
一つ、心が揺れた。衝動が揺らされた。
くだらないガキだと、吐き捨てて歩いた。
好きにすればいい、と言われたような気がした。
そんなわけにはいかない。いかない。
それはきっと、――以下だ。腐臭がしてくるような気がして。
だから、彼女のその言葉が聞こえた時に思わず。
睨みつける為に振り向いた。
その笑みに、普段ならどうということはないその笑みに、頭の中で怒りという火花のような物が散って。
「ク、ソ」
気づけば彼女の胸ぐらをつかむために手を伸ばしていた。
■ユニ > その手を。
彼知っているはずだ。
彼女は躱す訳が無い。
彼の胸中にどんな感情が渦巻いているかは、やはり知らない。
それでもその願望を増幅する。
願望なのか、どうかもわからないが。
顔は何も変わらず。
ただその掴まれた胸ぐら、そして彼の揺れる瞳を涼しげに見つめる。
「どうする?どうしたい?」
悦びさえ感じる顔。
「素直になる方が―――気晴らしは出来るんじゃ、ないカナ?」
そう囁く。
紛れもなくそれは淫魔の声だ。
■ベリル > 「どうする、だって」
どうもこうもない。ムカツク。苛立つ、最高に気分が悪い。
こいつの顔と、声がさらにそれを揺らしてくる。
めちゃくちゃに、だって。
あぁ、こいつが何者か知らない。
だが、こいつが意図してることぐらいは分かる。
そして、今それを揺らされていることも分かっている。
ギリ、というほど奥歯をかみしめ、彼女の瞳を、揺らいだ目で見つめた。
あぁ、だけど。
ボクは、違う。
違う。
ボクは彼女の唇に、自分の唇を押し付けようと近づけた。
こいつは躱さないだろう。躱さない。そんな予感しかしない。
だから、ついでに。
額に頭突きする。
■ユニ > 顔から見えるのは葛藤やら何やら入り混じるその感情。
これも結局ちょっとした悪戯心と、気まぐれで。
ほんの少しばかり魔眼を使った。
興味があった。
彼が本能のままにどういうコトをするのか。
だから少しばかりの悪戯心。
「ふふ……」
だから笑う。
淫魔の顔をして。
近づく彼の顔。
ただそれを真っ直ぐ見つめていれば。
「あ、いだっ!?」
ごつん、と想定していない痛み。
「ちょっと……乙女の額にたんこぶ作る気?」
若干、涙目である。
■ベリル > 「ふん」
さっさと胸倉を離した。
あぁ、気分が悪い。悪いが……その涙目に、若干持ち直したのを感じる。
クク、喉の奥で笑う。
ざまぁみろ。
「乙女はメチャクチャにするなんぞ言わない」
歩き出す。イラついていたら、腹が減った。
左足を引きずりながら歩く。
「おい、ユニ。飯食べに行くぞ」
言葉にするまでもなく、奢れと言う雰囲気を出す。
ボクはようやく。皮肉げながら、笑みを浮かべた。
■ユニ > さらりと離される胸倉。
残念ではあるが、やはり受け入れはしないのだろう。
「もー」
額を撫でる。
溜飲が下がったのか、皮肉げな笑いを浮かべている。
そして夕食の誘いではあるが。
その声は明らかに。
「え、何私が奢るのこれ」
既にずんずんと前へと歩き出すのをゆっくりと後を追いながら。
「まぁ、いいけども」
少しばかり悪戯をした代償だと思おう。
そう勝手に納得すれば。
既にその瞳は紅いだけで力も何も発揮しておらず。
何時もの顔に戻って。
「しょうがない、おねえさんが御馳走してあげよう」
などと。
何時もの調子でのたまいながら。
■ベリル > 「もっとそそるようになってから、ソレ、するんだな」
後を見ることもなく、歩く。
結局のところ。なにがあったのか、といえば。
なにもなかったのだろう。ただ。
こいつには、今以上に気兼ねすることもないということは分かった。
「言葉にした方がいいか? 奢れ、ユニ」
何がおねえさんか、バカ。小声で毒づき。
ボクは、歩いている。
■ユニ > 「え、マジで」
とほほ、という顔。
まさか淫魔なのにそこをダメ出しをされるとは。
世界は広い、そう言う事か。
「いや、好みで無かったのかも知れない」
ぶつぶつと聞こえぬよう呟けば。
直球で奢れとの事だ。
「あ、はい。奢ります」
その勢いに飲まれてあっさりと承諾すれば。
とりあえず安くて量が多い所へ行こう。
そう考える。
彼女も、お金が無限にある訳ではない。
のだ。
「まー美味しいもの食べて気晴らしと行きましょう」
おっちらえっちらとベリルの後を歩いて行く。
■ベリル > 「さぁな」
知らないな、そんなこと。
少なくとも。ボクは、そそられはしなかった。
イラついただけ。さて、彼女は何を求めるか。
「あぁ。……そうだな、気晴らしに」
この気紛れの奴を、知り合い、とだけ呼ぶのも、彼女の気紛れを図に乗らせるようでムカつく。
じゃあ何て呼ぶか。
……今は、いいか。
そんなことを考えながら。
気分が悪くなった理由を、なるべく頭の隅へ押しやり。
さて、如何に奢らせるか、それを考えながら。
ボクは、歩いていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏通り」からベリルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏通り」からユニさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフレイさんが現れました。
■フレイ > 本日の店の営業は無事に終了。とはいえ、飛び込みも来る事があるが、それは扉に仕掛けた魔法で察知する事が可能。
その為にのんびりと歓楽街を歩き、たまにはと酒場に顔を出す。
無論、顧客の新規開拓の目的もある。
酒場の主と話をし、今夜暫しの店の一角への滞在を許されれば、軽い食事にサンドイッチのようなものとワインを頼む。
店の奥の一角で、背負っていた箱形の薬箱を足元に置き、のんびりを食事をとりながらの商売……薬の販売を始めて行く。