2015/12/10 のログ
■パトリック > (もぞもぞ起き上がる。 手首に赤いものが見えたので確認すると、
キスマークだった。 二日酔いで鈍い頭でもよくわかる。
袖をめくると、キスマークは手首から肘の方へと続いていた。)
………お、おとこのプライド…
(頭痛以外の理由で顔をしかめる。だんだん思い出してきた。
女の子になった自分はえらい勢いであの魔族の女に可愛がられたのだ。
一流のスパイになればいいじゃん!ましょーのオンナ!
みたいなことを言われた記憶がよみがえる。
やたらえっちなレッスンを受けたんだった。忘れたいが、
このキスマークの痕がしばらくはゆるしてくれまい。)
■パトリック > はーあ、明日が休みでよかった…
(よろよろと立ち上がる。全身が酒臭い。だるい。
あと、なんかお腹の奥が疼く。
へろへろと家に戻って、まずはシャワーを浴びることにしたのだった。)
ご案内:「王都マグメール 繁華街」からパトリックさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にチェルトトさんが現れました。
■チェルトト > この国の人々には見慣れた光景でも、自分にとっては異国情緒溢れる通りの風景を、改めて眺める。
道の両側に並ぶたくさんの家、行きかう人々、土の地面。そして何より、葉のない樹木。
「こんなに寒くても死なないのね、あんた。うちのほうの子たちなんか連れてきたらすぐ死んじゃうわ、きっと」
背もたれ代わりにしている街路樹の、今は白っぽく乾いている幹をぽんぽんと手で叩きながらの呟きには、若干の感心と敬意が含まれていた。
冷たい冬の風に薄着のまま身震いし、そのうち服を買おう、と、胸中で呟きながら待つのは、食べ物の屋台。
酒場も悪くないのだが、ここに並ぶ屋台の料理が、チェルトトはなんだか気に入っていた。
やがて、ごろごろと何人もの店主が思い思いに自分の屋台を引いて通りに現れ、昼飯時の通りにさまざまな香りが漂い始めると、チェルトトはたんと木の幹を軽く蹴って一歩を踏み出す。
「ようっし。今日もなんか見つけるわよ!」
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシオンさんが現れました。
■チェルトト > 鼻歌など歌いながら、銀の双髪を揺らして、深褐色の脚で通りを端から攻める。
ここのところ、昼時はもちろん、時折夕飯の頃にも屋台通りに通っているせいで、その目立つ容貌もあって、屋台引きの間でチェルトトはちょっとした有名人になっていた。
もちろん客商売だし、そんなに愛想の悪い店主などはいないが、店を覗き込むと彼らはことさらに愛想よく声をかけてくれて、ここにいるだけで最近のチェルトトははむやみに楽しい。
「はあい。棒カステラ1つくれる? あっ、1つだってば。おまけなんてもらったら他のとこの料理が入らなくなっちゃうじゃない! 1つでいいの! ……よし、ありがと。じゃあね。ここのお菓子は好きだから、今度また来てあげるわ」
おまけをくれようとする店主を押し留め、湯気を立てる棒状の焼き菓子を1本だけ受け取って、木串の刺されたそれをかじりながら店を見て回る。
口に広がるふわりとした食感も、優しい甘みも故郷にはないもので、ここに来たらまずはこれを1本買うのがチェルトトの日課だった。
行きかう人々の合間を縫いながら店を覗いては料理とそれを作る店主の手際を眺め、また次の店へ。
やがて、今度は木串に刺したグリル肉を手に、比較的空いている通りの中心付近に並ぶベンチのひとつに腰を下ろし――。
「ひゃんっ、つめた……! もう、いつものことだけど、ここの椅子はなんだってこんなに冷たいわけ!?」
悪態をつきながら、よく冷えている木のベンチに、一度悲鳴と共に浮かせた腰をそろそろと下ろしてから、肉にかぶりつく。
■シオン > 流石にこの時期になると夜は空気も冷たい。
今日は久しぶりの仕事で時間の関係で夜の食事の食べていなかったためにお腹が空いていた。
普段屋台などは使用しないのだが、前を通りがかったときにいい匂いに釣られて店へと…。
「おっちゃん、串焼き一つ…このまま食べながら行くから包まなくていいよ」
そこそこお腹に溜まりそうな串焼きを一つ買って食べながら、ほかに何かあるかなと店の通りを歩いていく。
串焼きの味はなかなかいいものでついつい笑顔になってしまう。
次に見つけたのは汁物を売っているお店で、寒い氏と思えばそこでも一つ汁物を購入する…流石にこれでは歩きながら食べるわけには行かない。
周りを見渡せばベンチがあった、先客がいるようだが、ベンチはみんなで使うものだしと足を進める。
「すいません、隣良いですか?」
一応礼儀として声をかけておく、もし食べたといわれたら困るのだが…その場合はしょうがない、家へ持ち帰ろう。
■チェルトト > 「ん? なんで? どこでも空いてるのに、わざわざあたしの横?」
串を3割ほど腹に収めたところで声をかけられ、座ったままその声の主を見上げてつっけんどんにそう訊ねたところで、彼が自分と同じものを持っていることにチェルトトは気づいた。
そしてもうひとつ。鼻をくすぐるいい香り。カップを持っている彼の手をじっと見つめると、チェルトトは褐色の腕を伸ばしてそれをびしりと指差す。
「それ。分けてくれるんだったら考えてあげてもいいわ。
もしくはもう一つ買ってきてくれるか」
まだ湯気を立てる串を片手に持ったまま、ベンチの背もたれに行儀悪く肘をかけて半ばその幅を占有すると、細い帯のようなチューブトップに包まれた褐色の谷間が上からは丸見えだったが、意識していないのかそのまま尊大に背をそらしてもう片方の手を差し出す。
「買ってきてくれるんだったら、その分のお金はちゃんと払ったげる。いいでしょ?」
■シオン > このベンチを選んだ理由を聞かれた。
確かに周りには空いてるベンチがあった…少しだけ悩んで出た答えは一つ。
「なんとなく?」
別に何か条件を指定されても、ベンチのベンチがあることが分かれば別のベンチに行けばいいのだが、なんか負けた気がして嫌だった。
相手にカップを渡して
「持っててください…口ちょっと付けたんで飲んじゃ駄目ですからね」
先ほど汁物を買った店に舞い戻り、新たなカップを持って戻ってくる。
どう見ても新しいほうが暖かいのは確かだが、カップを相手の座っている横に置いた。
串焼き片手にカップを片手で受け渡しするのはどう見ても不可能だったから…。
「はい、これです…お金は食べ終わったあとでください」
普段であれば、相手が女性ということもあって、相手をしっかりと確認するのだが今はカップの汁物が冷めてしまわないほうが大切で、相手の顔すらもよく見ていなかった。
■チェルトト > 「……バカにしてんの? もうちょっと気の効いたこと言いなさいよね」
彼の答えに一瞬不機嫌そうに眉が寄ったが、素直に彼が新しいスープを買ってきてくれるとそれはすぐに氷解した。
串焼きを片手に持ったまま、彼が持ってきてくれた新しいカップを手に取り、チェルトトは早速それを一口すすって――。
「あっつーいっ! 何よこれ! こんなあっついの味なんかわかんないじゃない!」
叫びにぎょっとして道行く人が振り向く中、投げ出しそうになるのをこらえてカップをベンチの上にもう一度置く。
ひりひりと痛む舌を冷やそうとでも言うのか、ちろりと口から覗かせながら視線を下ろすと、すぐ隣にある彼のカップの中身は湯気の量からして新しいものよりあきらかに熱くはなさそうだった。
舌をまだ出したまま、彼のカップを指差すと、若干不機嫌そうな顔で彼を見てチェルトトは言う。
「……そっち。あんたのほうちょうだい。ちょっとぐらい口つけてたって構わないから」
■シオン > せっかく新しいほうを渡したのに、文句を言われた。
何よりこんな時間に大声で注目を集めるのはやめて欲しかった。
「買ってきたばかりなんだから、気をつけないと熱いのは当たり前じゃないかと…。
こっちですか…はぁ、わがままですね」
自分が呑もうと思っていたほうを要求された。
自分としては少しでも暖かいほうが良いので構わないのだが、不機嫌な顔をしなくても良いじゃないだろうかと思う。
「もう取り替えませんからね」
冷め切ってはいないし、量も減ってるといっても一口程度だから、これに文句をつけられてもどうしようもない。
相手の横に腰を降ろしてやっと残っていた串焼きを食べることが出来た…見事に冷めていた。
こればかりは仕方ない、美味しくないわけではないし、スープで身体を温めればいいのだから我慢しよう。
「ふぅ、温まる…寒い日は暖かいものに限ります」
スープを一口飲めばついそんな一言が漏れてしまう。
もちろん隣に話す相手が居るとはいっても、話すには微妙な雰囲気になっているので、相手の様子は気にしながらも話しかける勇気はあまりなかった。
相手を見ていて分かったのは、年齢は同じか少し上ぐらいだろうと、胸元が見えそうなこと。
■チェルトト > 「うるっさいわね。熱いの苦手なんだから仕方ないでしょ。
ベンチ半分ゆずってあげてるんだから、ちょっとぐらいいいじゃない」
言ってから彼のほうのカップを手に取ると、そろそろとそれに口をつける。
今度は飲めたのか、少しの間それをすすると、カップを元の場所に戻してからひとつため息。
スープの温度のせいか、ことさらに白く曇って溶けた吐息を見送ってから、彼の手元を見てチェルトトはまた眉をわずかに寄せた。
「それはいいけど、あんたそんなあっついので味わかるの? よく普通の顔して飲めるわね」
呆れたような感心したような口調で言ってから、串焼きの肉をまた一切れ噛み千切る。
郷里にはない甘さを含む複雑な旨みに目を細めつつそれを楽しんでから飲み込むと、横目で彼を見やってチェルトトは言った。
「何よ、さっきからチラチラ見て。気になることがあるんだったらはっきり言いなさいよね。何か言いたそうなのに言わないでいられると気になるのよ!」
片手をベンチについて彼のほうに少し乗り出し、ぐいと顔を近づける。
その胸を包む白いチューブトップの幅は帯のようで、上からも下からも乳房の丸みが3割程度は覗いており、そうやって動くと今にも褐色の果実がそこから零れ落ちそうだった。
■シオン > 平気な顔で先ほど相手が叫ぶほど熱がったスープを啜っているとそれが不思議だったようだ。
確かに熱いが飲む前に駆る区域で覚ましたし、一気に飲まなければ十分味は分かる。
「熱いの分かってるんだから気をつけて飲めば、むしろ暖まって美味しいですよ」
しっかりと暖めて売っているのは、この寒さを考えて身体の芯まで暖まれるようにという配慮なのだと思う。
そんなことを考えながらまた一口啜り、満足そうに笑みを浮かべる。
「気になるというか……んー、気になってるのかな」
どうやら見ていたことには気付かれていたようで、顔が近づいてきて言えと言われた。
先ほどから思うに、我侭と言うよりは上から目線なしゃべり方がそう見えるのかもしれない。
胸元を指さして、そちらへと視線を向ける。
「さっきから見えそうで、流石に気になります」
男だったらしょうがないと思う。
見えそうで見えない…それはとても気になる、もちろん見えたら見えたでもっと気にはなるが…。
言ってみたもののどんな反応を返されるだろうか、覚悟だけはしておこう。
役人に突き出されたりすることはないだろうが…。