2015/11/22 のログ
■ダンテ > 王都にやって来たの自体がそもそも最近であるし、そんなに馴染み深い街というわけではない。
それでも、数日ぶりの王都にどこか懐かしさを覚えるのは、何のかんのとこの街が良い街だからであろう。
大通り程ではないが、それなりの人通りのある表通りを行く。
そろそろ日が暮れそうであるので、食事は宿にする店でとるべきかも知れない。西側を茜色、東側を宵色に染めつつある空を見上げながら、そんな事を考えた。
「―――おっと?すみません。」
そこで、誰かにぶつかりかけたのをすいっと避けて一声。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・表通り」にマユズミさんが現れました。
■マユズミ > ぼんやりと平民区の表通りを歩く。
先日と併せて平民区は大体見て回った。
大方の雰囲気は掴めたし。
次は別の区域か別の街を、と思った所で既に日が暮れはじめていて。
「……そろそろ宿、取ろうか」
とはいえ、余りお金も使いたくは無い。
野宿でもいいかなあ、などと考えていれば。
ぼーっとしていたせいで男性にぶつかりかけた。
明らかにこっちの不注意であったのに向こうから謝られる。
「あ、いえ、こちらこそぼーっとしていて」
軽く頭を下げる。
冒険者かな、と少しだけその男性に興味を持ちながら。
■ダンテ > 「いや、俺もちょっとボーっとしてたんで。」
足を止めて、ぶつかりかけた彼女に向き直った。
自分も、今夜の事を考えてぼさっとしていたのは確かである。
あらためて、少し頭を下げる。
小柄な女性だなぁ、という第一印象。
続いて、少し妙な、それでいて微妙に馴染み深い気配を腹部や喉元から感じた。
思わず怪訝な表情で、彼女の首元のチョーカーを見つめてしまうものの、まぁ人それぞれか、と視線を彼女の瞳に戻した。
「ぶつかってはないと思いますけど、大丈夫ですか?」
問うまでもなく、大丈夫である事は見て取れるが、そこは社交辞令というもの。首を傾げて、言葉を向けた。
腰に大きなバッグを備え付け、リュックを背負い、そして肩にはショートソードを担いだ少年の出で立ちは、まぁ確かに冒険者か傭兵にしか見えまい。
■マユズミ > 此方を向き直り頭を下げる男性を改めて見れば、黒髪で、自分と同じ色なので少しばかり親近感が湧いた。
瞳も黒で、同じ色。
そして瞳の色を軽く見ていたから気付いたが、男性の視線が微妙にチョーカーの辺りを見ていたような気もする。
まさかコレ、わかるのかな、と少しだけびくりとしながら、チョーカーを思わず手で少し触り。
「え?ああ、大丈夫。当たらなかったし」
色々と考えていたせいで再度ぼーっとする事になってしまって慌てて無事を告げる。
首を傾げる仕草に妙にドキリとさせられながら。
慌てて何か話題を、と妙に焦り。
装備などを見る限り、戻ってきた所のようで。
「お仕事帰りかな?」
と、思わず取り繕う様に聞いた。
■ダンテ > 「だったらよかった。―――っと?ああ、うん。ついさっき、王都に戻って来たんだ。ほら、南部の魔物大量発生。あれの駆除依頼を受けててさ。」
大丈夫だと言われれば、少年らしい快活な笑みを浮かべて頷く。
顔のつくりが中性的なせいもあって、その表情とのアンバランスさがどこか不思議な貌を作り上げる。
仕事帰りか、と問いかけられると、また首を傾げてからすぐに肯定を返した。
「お姉さんは……えーっと、同業なのかな?俺は冒険者なんだけど。」
問いを投げ返す。
彼女の身に纏うライトアーマーなどは、明らかに荒事を想定した稼業を彷彿とさせるものだが。
であるが、傭兵という雰囲気でもない。
■マユズミ > その快活な笑みに再度どくん、と胸が高鳴った。
妙に艶っぽいというか、男性であるのに色気がある、というのはこういう事なのかな、と少しだけ頭の端で考えて。
「―――ああ、そういえば」
南部の魔物を討伐する依頼。
それで冒険者が出払ったという話を聞いた覚えがあった。
動乱絡みであったのでその話も少しばかり気に留めていたからで。
「ん……同業者、みたいなものかな」
海賊、と表だって言う事でもないのでお茶を濁す。
今現状は海賊として王国側に協力というのが立ち位置であるが。
負け戦につく気は無いのでその情報収集、といった所である。
その辺りもひっくるめて。
「動乱で色々とね。あ―――そうだ」
そう締めくくる。
これも何かの縁だろう。
辺りを見回せば少しずつ薄暗くなってきていた。
「よかったら折角だしその南部の話、聞いてもいいだろうか?」
現場の空気を少しでも感じ取れるかもしれない。
そう考えたのが一つと、この少年に妙に惹かれるものがあった、というのも一つだった。
■ダンテ > 「ふぅん?え?ああ、別にそりゃ構わないけど……。」
曖昧な返事には、またやはり首を傾げる。
まぁ濁すからには追及されたくないのだろうし、別段少年にもそこまで拘りはない。
喉元や臍から感じる気配の事もあるし、まぁ何か色々あるのだろうと納得を。
しかし続く言葉には、一瞬キョトンとして。
とはいえ、断る理由もない。
徐々に暗さを増してきた周囲。陽は、もう落ちてしまったのかも知れない。
「それじゃあ、飯でも食いながらにしますか。えーっと、今夜の宿って決まってます?俺まだ何で、とりあえずどっかの冒険者の店で宿とって、そこで飯にするつもりなんスけど。」
すぐにまた表情に笑みを戻して歩き出す。少年らしい笑みである。
そして彼女と連れ立って歩きながら、人懐っこい口調で言葉を向けた。
■マユズミ > 「ありがとう」
にこ、と軽く笑う。
向こうも無理にきいてくることも無いようだし、それはそれでありがたかった。
すっかりと暗くなった道を連れ立って歩けば。
「ああ。そうだった。私も、宿探してなくて」
言われて気付く。
宿は愚かそういえば夕飯もまだであって。
一瞬懐具合を考えたが、まあ大丈夫だろう。
多分。
「うん、それでいいよ。あ、私はマユズミ」
よろしくね、と少しだけ彼を見上げて伝え。
その人懐っこさと笑みにまた少しだけこちらもはにかんだ。
■ダンテ > 「ありゃ。んじゃあ、そろそろ決めないと、部屋なくなるかも知れないなぁ。特に拘りないなら、俺の知ってる所に適当に入りますけど?」
首を傾げて見せながら問いを向ける。
今の具合であれば、拒否はかえって来なさそうであるが。
「あ、マユズミさんですね。俺は、ダンテっす。」
よろしく、と。名乗りに名乗りを返して、笑った。
さて、何にしても。
二人してやって来た冒険者の店。
一階が食事もできる酒場であり、二階から上が宿というオーソドックスなパターンの店である。
幸いにして部屋は空いているのが、問題が何点か。
まず、部屋は一室しか空いていないという事。
そして酒場が満員御礼状態で席がないという事。
部屋さえとれば、飯はサービスで部屋まで持って来てくれるとの事ではあるが。
「―――どうします?」
彼女を見て、苦笑しながら首を傾げる。
■マユズミ > 「この辺り、余り詳しくないからそれでいいよ」
実際適当に宿は取ったりしていたので当たり外れもあった。
詳しいのなら渡りに船である。
「ダンテ、ね。よろしく……あ、マユズミでいいよ」
さん、を付けられるのは妙にくすぐったい。
悪い気はしないのだけれど。
そして彼に案内されて冒険者の宿に来れば。
一つしか部屋は無いと言う。
彼と一つの部屋で、そこでまた胸が高鳴るが努めて冷静を装った。
「……まあ一つしかない、ならしょうがない、んじゃないかな」
うん、と一つだけ頷いて。
「ダンテがいいならこちらも構わない、よ」
努めて冷静になりきれてない口調ではあるがそう伝えた。
■ダンテ > 実際少年もさほど詳しい訳ではない。
先輩冒険者の紹介だ何だで、実際に泊まった事のある店にやって来ただけである。
「ん、わかった。んじゃあ、マユズミで。」
呼び捨ては、少年側には特に違和はないらしく。
さらりとその名を呼び捨ててしまう。
「そう?まぁ、そりゃあ俺は構わないけどさ。
んじゃあ、そういう事で頼むよ。」
マユズミの言葉を聞けば、また一度だけ首を傾げるものの、すぐに店主に向き直って最後の一室を取った。
「んじゃあ飯は、何かテキトに持って来てよ。
うっし、それじゃあ行こうぜ、マユズミ。」
その場で飯の注文も済ませてしまうと、ニカッとあの笑みを浮かべて剣を担ぎ直し、彼女に呼びかける。
そうして連れ立って、二階の奥の一室へと。
■マユズミ > あっさりと呼び捨てにされるがその方がらしい、気がするしその方が気が楽でいい。
そして部屋は無事取ることが出来、促される。
「ん」
小さく頷き、ダンテの後に続いた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・表通り」からダンテさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・表通り」からマユズミさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 焼きソーセージの店 肉の棒フリード」にマルティナさんが現れました。
■マルティナ > 昨日は精神的に疲弊してそれどころではなかったが、今日こそは冒険者として活動をしようと意気込み早朝から行動を開始して数時間。
いくつか冒険者ギルドを巡ってみたが、ギルドへの登録すら出来ていなかった。
(登録自体は簡単という話しでしたのに…。)
完全にあてが外れてしまった。
とはいえ向こうからしてみれば痴女が突然やってきただけである。
想像力を働かせてみればまともに取り合ってくれないのもよく分かるというものだ。
(せめて実力を見ていただければ…。)
得意の魔法は実質封じられているとはいえ剣技体術もそれなりに自信がある。
比較的軽量なものに限るが武器は剣に限らず扱えるし、得意ではないが弓だって引ける。
冒険者として荒事をこなすにも十分な能力のはずだが、そもそもそれを見てもらえないのでは仕方がない。
そこまで考えたところで思いついた。
見てもらえないのなら有無を言わせない成果を見せつけてやればいいのではないか、と。
幸い魔物の討伐依頼や危険地域での採取依頼は無数にある。
予定が決まればあとは準備して行動に移すだけだが、いくつか問題が残っている。
採取品にしても討伐証明にしても持ち帰るのに十分なサイズの鞄がないのと、そもそも先立つモノがないので遠出するには食料が心もとないということ。
そこで事情を話して、お世話になっている店主に貸してもらえないかと頼みに行ったのが数分前の事。
(何で私はまた、こんな晒し者になっているのでしょうか……。)
鞄や食料の提供の引き換えとして店主が要求してきたのが店の呼び込みと宣伝であった。
むしろ営業妨害のような気がしないでもないが、それなりに効果があるらしい。
変わった趣味の人たちがいるなあと思いながら、宣伝用の看板を掲げ笑顔で道行く人たちへ声をかけていく。
■マルティナ > 好色な目ではあるが比較的友好的な人よりも、冷ややかな反応の方が基本的に多い。
苦笑いやヒソヒソ声が胸に突き刺さり逃げ出したくなるがお仕事中なので我慢。
でも子どもに指をさされるとちょっと心が折れそうになります。
そうして呼びこみを続けていると時間はお昼時に。
店内が忙しくなってきたということで、呼びこみは切り上げて今度は給仕をするようにと店主に言われる。
(呼び込みだけじゃなくて結局こき使われるのですね…。お世話になっている以上仕方ありませんが。)
それに表で晒し者になって呼び込みするよりは大分マシであろう。
そそくさと店内に入って行くと、昼間だというのに酔っぱらいの集団に出迎えられた。
顔に全く覚えはないが昨日ぶりだなどと声をかけてくる男たちもいる。
そういえば、昨日も店内に招かれた気がするが放心状態で殆ど何も覚えていなかった。
おそらくその時にでも声をかけられていたのだろう。
愛想笑いを返しながら、とりあえず言われるままに料理を運ぶ。
■マルティナ > どうも店内は食堂というよりは酒場のようになっているようだ。
ソーセージに加えてエール酒、それに自家製だという野菜の漬物も出るらしい。
つまみを片手にぐいぐいと盃を空けていく酔っぱらい達。
狭く人数も限られているのだが酔っぱらいの集まった喧騒は結構なもので、表で呼びこみをしていた時よりもやかましいぐらいだ。
当然のように下品な野次も飛んで来るが、悪意や軽蔑が篭っていないだけマシというもの。
でもどさくさに紛れてお尻を触ろうとする客は蹴りつけておいた。
(この調子だと今日は冒険の準備だけで終わりそうです…。)
なかなか盛況なようで客足が途絶える気配がない。
開放されるのはいつになることか。
せめて買い物が出来る程度の時間には自由になりたいと思う。
だが今はとにかく、指示されるままに酒と料理を運ぶ。
■マルティナ > 給仕を初めてから数時間、ようやく客足も緩やかになってきた。
酔っぱらい達も一日中飲んでいるというわけではなく、昼休みがてら飲みに来ているというのが殆どのようである。
かなり深く酩酊していた客もいたが、あんな調子で午後から仕事になるのか他人事ながら心配になる。
(それよりも今は私のお仕事を心配したいです…。)
昼のピークを過ぎたようであるし、もう切り上げても良さそうなものではあるが店主に借りを作りに来た手前自分からは言い出しづらい。
店主はといえば、客の少ないうちに片付けやらをしているらしくまだ忙しそうである。
(もう少ししたら、それとなく声をかけてみましょう。)
それに客が少ないということは必要以上に人目に晒される事もないということである。
なので、もう少し我慢して店内に残る事にする。
■マルティナ > 更に客の姿が減り、もういい加減に切り上げていいだろうと思い店主へ声をかけようとしたところ、向こうの方からもう上がってもいいと言われた。
必要な道具に加え今日の労働分の給金も支度金代わりということでその場で貰え、店主に礼を言いながら店を出て行く。
とはいえ今から準備を整えて郊外へ出るには微妙な時間帯。
必要になりそうな道具を揃えるため、今日は街中を見て回る事にした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 焼きソーセージの店 肉の棒フリード」からマルティナさんが去りました。