2015/11/15 のログ
ご案内:「王都マグメール ”竜巻両断亭”」にクラウディアさんが現れました。
クラウディア > 疲れた…なんで女子供の服ってのはあんなにあるんだ。
もうふわふわでひらひらなものしばらく見たくない…
レモネードを2杯くれ。 暖かいのと、冷たいのだ。
(ふらふらと憔悴しきった顔で現れると、店員に一言告げる。
 そのままテーブル席につくと、ぐったりと突っ伏した。
 酒場にいた時に、客の女に声をかけられたのは先日のことだ。
 服を扱っているので、モデルになってくれという話であった。
 特におかしい話でもないのでそれなりの報酬とともに応じはしたものの、
 大変に苦労を要する仕事であった、ということである。)

クラウディア > (冷たいレモネードを一気に飲み干し、荒く息を吐く。
 ぶるぶると頭をふるとフードがはらりと落ち、黒い髪が揺れた。)

それにしても…最近どうにも変だな。
(客を見回して小さく、誰にも聞こえないように呟く。
 酒場に入り浸りなのは仕事の都合だが、客層がどうにも妙だ。
 ここ最近、人が増えている。 それも同じ顔を見ることがあまりなく、
 2,3日でどんどんと入れ替わっているようだ。
 つまり、人の流れがあるということであるが、
 普段はもっと緩やかなはず。
 髪を一房手にもち、指でいじりまわしながら思索に耽る。)

クラウディア > (よいしょ、と席から立ち、カウンターへ。
 温かいレモネードをすすりながら、店主に話しかける。)

なあ、最近見ない顔ばっかりじゃないか。何か知ってるかい。
(ちらりと目線を客連中にやってこっそり問いかける。
 返事は「わからない。売上は増えてないがね。」だった。
 もちろん人の動きがあるからにはなにかあるんだろうが、
 その奥にあるものを見出すには情報が不足している。)

短時間でこの街から去らないといけない割に、
客の数はそんなに変わってないってわけだ…。
あ、肉の煮込みくれ。 ってことはさあ……
入れ代わり立ち代わりしてるってことだろ。
(お酒が飲めないので、レモネードと煮込み。
 イマイチ格好がつかないが、格好を付けられる外見でもない。
 フォークで煮込みをつつきながら、店主の返事を期待していないひとりごと。
 マスタードは丁寧に除ける。この身体には辛すぎる。)

クラウディア > (考えこみながら食事をしているうちに、皿は空になっていた。
 仕方ない、と立ち上がる。 今日の宿はここの2階だ。)

なんかあったら教えてくれよ。 じゃあ後はよろしく。
(レモネードを飲み干してから、のんびりと2階に上がった。)

ご案内:「王都マグメール ”竜巻両断亭”」からクラウディアさんが去りました。
ご案内:「平民地区商店街」にシドさんが現れました。
シド > 掘っ建て小屋から石煉瓦で作られた頑丈な店まで、機能性を優先せし外観無視した商店街には
また様々な風体の格好の者に賑わう。
その中でも特段に目を引く青年――その澄んだ眸を慣れ親しんだように街並みを見交わし
瀟洒な衣服を纏いて散策してるのだ。
何事かと好奇に寄せる注視も、関わりあうのが拙いと視線を逸らす空気も
等しく雑踏と歓声が飛び交う商店街に銀色が揺らめいた。

「……」

やがてその足は一つの武具店にと止まる。看板にと立てかけられた剣
そして店舗の奥に仕舞われてる品まで。
勝手気儘にカウンターから覗き込んでいって。
すわ何事かと身を竦める店主も意識の外、眸を爛々と輝かせて物色していた。

ご案内:「平民地区商店街」にキスカさんが現れました。
キスカ > 平民地区の商店街。見て回るだけでも楽しい場所だ。
でも、今日は遊びに来たわけじゃないんだ。

果物屋の店先に山と積まれたりんごを手に取り、その色艶に目を落とす。
熟れた果実はつや消しの赤。見るからに美味しそうだ。

『おぉ嬢ちゃん! お目が高いね。そりゃあなかなかいい品物だよ』
『いいリンゴの見分け方を知ってるかい?』

店主の目を見て首を振る。

シド > 手にした剣の、曲がりを、鋭さを、重みを……長い指先で満面無く確かめてから。

「店主。この剣をひと……」

注文しようとした矢先に隣の店舗から大きな声が妨げられた。
きょと、と瞬きをしながら覗きこめば果物屋だ。食指そそる紅い林檎……そしてそれを眺める銀髪の少女に目が奪われた。
そういえば昼から何も食事を取っていない――目利きした剣を元の場所に戻してから少女の側へ。
商売っけを出す店主にと硬貨を差し出し。

「林檎2つ。今、このお嬢さんが持ってる分と……そして私のものだ。私のものも、いい林檎にしてくれよ。」

キスカ > 果物屋のおじさまが鼻の下をこすってドヤ顔をする。

『光りすぎてないやつさ。テカテカしてるのは乾いちまってる証拠なんでね』
『知っときゃ役に立つぜ! ちゃんと覚えて帰んな……っと、お連れさんかい?』

なるほど。またひとつ賢くなった気がする。
隣を見れば知らない人が私の分まで出そうとしていた。

「え? そう…なのかな。待って。もう一個欲しいんだけど」

選びだしたりんごは全部でみっつ。二つは私の。一つはりんごの人(仮)に渡す。
あとひとつ分の代金を置き、片方は荷物にしまいこんだ。

「………あの、ところで!」

本題に入りましょうかね。この際だから店主のおじさまとりんごの人の両方に聞いてみよう。

シド > 「連れじゃあない。オタクの馬鹿でかい商売文句に釣られてきただけさ。商売上手だね、親父。」

差し渡された林檎を手に取れば、確かに店主の言うとおり光過ぎても乾きすぎてもない。
葡萄色の眸で角度を変えて眺めながらその表面に齧りついていく。
舌が跳ねるような瑞々しい酸味を味わっていたかもしれないし、何かを問いかける眸があったからかもしれない。
そのまま果物屋の前にと佇み少女の問いかけに耳を済ませていた。

キスカ > 「ところで、あの先触れが触れ回ってる劇の話。お客は入りそうかな?」

「先触れ」とは辻に立って新しいニュースを伝えたり、広告の手伝いをしている人のこと。
私が指差した人はある劇場に雇われて、新作のための呼び込みをしていた。

『ん? ここ二、三日ずっといるな。お嬢ちゃんああいうの好きかい?』
『人間とミレーの道ならぬ恋! しかも男の方は王子様なんだろ? そりゃ夢物語だろうよ』
『けど、だからこそいいのかもしれないぜ。なんなら嬢ちゃん、一緒に見にいくかい?』

店主の目を見て首を振る。
悪い人じゃないとは思うんだけど。

『がっはっは、フラれちまったか! いいさ、かみさん連れて見に行くよ。まいど!』

種族を超えた、身分違いの恋の物語。王子様とミレーには、実在のモデルがいるとかいないとか。
舞台はナルラート朝より前の時代。それが物議を醸しかねないところ。
場所を移す前に、りんごのお礼。言わないと。

「ごちそうさま? じゃないか。いただきます」

ぺこりと頭をさげ、りんごの香りを吸って歯を立てる。味覚が瑞々しい甘さに染められていく。

シド > 「へぇ……そんな劇もあったのか。市井は凄いな。自由気儘に色々とやる。宮廷でやってる劇より面白そうじゃないか。」

林檎を齧りながらつい、感嘆めいた吐息と共に呟いていた。
奴隷と王族の恋……夢物語ならぬ失恋の物語か。否、劇の中だからこそ夢物語も現となるやもしれない。
店主と少女の軽口のやり取りを見終わりながら瞼閉ざして思いを馳せるのはそんなこと。
やがて芯だけになった林檎を屑籠にと放り込めば懐から取り出したハンカチで果汁を清めていく。
無論、目の前で林檎を愛らしく食べる少女を見詰めながらだ。

「どうぞ召し上げれ……
 劇について色々と聞いていたね。君は恋愛劇が好きなのかい?それとも劇団員の人。
客入りなんか聞いてたからさ。」

キスカ > 「りんごの人も見に行くかも? 前評判はまずまずなんだ」

さくり、と小気味いい音がするたびりんごが削れていく。

「両方ともはずれ。でも惜しかったかな! 劇は嫌いじゃないけど」
「ちょっと頼まれごとがあってさ、あの人が見える場所にいないといけないんだ」

警護の名目で衛兵がついているけれど、安心できる理由にはならない。
ミレーとの恋? 馬鹿げてるとでも言いたげに、苦々しい顔をして立っているから。

「―――問題は、脅迫されてるってこと。上演したら大変なことになるんだってさ!」

先触れからのそばに置かれた長椅子に移る。ついてくるならご自由に。

シド > 「さぁてどうしようかな?誰ぞ連れ添いがいるなら見に行こうかな……。
 ――へぇ、勘はそう鋭くないが否定されると何か悔しい。
 ――あの人……護衛?だったらここまで呑気にしてていいのかい?」

勝手気儘に語りゆく少女に葡萄色の眸は茫洋としたものから訝しげに睨んでしまう。
この子は何だろうという興味にも似た困惑に―― そしてその視線は動向を追いかけて。

「脅迫?そこまでされて劇をする理由はなんだろうな。劇という形のミレー族解放運動だろうか?」

やがて白銀の髪波を揺らしながら離れてゆくのに、武具店に視線が流れてしまう。
元は武器を買いに来たのだ。さりとて人の縁を無駄にするのも失礼――
何度も視線を左右に配らせた挙句……何かを諦めるように顔を振ってその後をゆっくりと付いて行く。

キスカ > すこし遅れてついてくるりんごの人。
用事があったのかなと思いつつ、長椅子の隣を空ける。

「誰もしないことをするのに理由がいる? 私はそうは思わないけど」

脅迫される理由はいくらでも挙げられる。
奴隷を対等に描くことの不遜。ノーシス主教とは絶対に相容れない物語。
ナルラート朝以降の価値観を継承する今の王政に対する批判と取れなくもない。

「お話を本にしたって、読めるのは一握りの人たちだけ」
「神聖都市のお坊さんがダメって言ったらそれでおしまい。全部集めて燃やされるかも」
「劇なら読み書きが出来ない人だって楽しめるし、心に直に響いてくれる」
「世界を変えるかもしれないお話をさ、やめろって言われてやめられる? 私には絶対無理だよ!」

そして、物語は伝染していく。娯楽に飢えた人の口から口へと。
ふと悲鳴が聞こえて見回せば、人相風体のよくない男たちが監視対象を取り囲んでいた。
背教者めと凄まれて、しどろもどろになって弁解する先触れの人。ピンチですなー。

シド > 「理由はいらないな。ただ、そのリスクと難しさは考慮する必要がある……それ見ろ。よく考えずにするからこういうことになる。」

遅れて長椅子に腰を下ろす。先触れというものの側なのだろうか。だとすれば自分達も囲まれているのか。
凄まれ叫ばれても大仰な動きはせず、瞼を閉ざして背凭れに身を預けながら足を組む。
傍観者を決め込もうと。

「君は、これを私に見せたくてここまで来させたのかい?これは君もピンチだと思うのだが……はぁ。」

目の前の1人へと募るのに重々しく腰をあげた。そして硬質な跫音を響かせて助け舟を出していく。

風体の悪い輩がどのようなものか知らねど189cmもある青年の前に凄めようか。
此方は笑みを浮かべて交渉する。騒ぎを起こせば君達にも拙いのではないか、と。

キスカ > 貴族然とした言葉遣い。意識して鷹揚に見せるようなゆったりとした仕草。
それなりの身なりのよさも。何よりその所作が、りんごの人の身元を仄めかしていた。
りんごの人と向き合った男が怯んで口を噤む。
それでも隊長格の男が食い下がった。背教者の味方をするのか、と。
先触れが腕をつかまれて腰を抜かした。このままじゃどこかに連れて行かれちゃうかも。

「私は平気。ただ待ってるのが退屈だったから連れてきちゃいました。それだけ!」

我関せず風と見せかけて、困った人は見過ごせない? なるほど。いい人だったんだ。
こちらも腰を上げ、りんごの芯をぶん投げる。頭目らしい男の頭がのけぞり、重たい尻餅をついた。

「嫌なら見なきゃいいだけだよ。みんな楽しみにしてるんだから!!」

お腹から思いっきり声を出して、脱兎のように駆けだしていく。
いきり立った荒くれものの群れを引き連れて。ついてくるならご自由に、とりんごの人に大きく手を振る。

シド > 背徳者の味方ではない。市民の味方だ。抵抗するならこの場で切り捨てることも吝かではない。と剣を見せようとして……
買うのを忘れていたのに気がつく。それでも眦垂らした笑みを浮かべて虚勢を貼るのだが。

「待ってる?護衛してるのに? ……本当に不思議な子だな君は……ええっと。お名前は。」

と尋ね終わる前に少女が行動を起こした。かろい林檎の芯を当てるにはまるで劇の観衆のように手を打ち鳴らし。
颯爽と矮躯を掛け始めるのに眉間に皺を浮かべる。

「勝手に動きすぎだろあのガキ……。」

怒気に寄せる眉宇をその儘に、幽かに吐く貴族に非ざる詞。愚にも追いかける必要など無い。
さりとて無法者に追われる少女を見捨てるのも夢見が悪い。
水の揺らぎのように不定形に眇められる葡萄色は少女とそれを追う一方を定め。
一度と瞼できつく覆う。目頭に集束する熱を如何にか散らそうと細く肩を竦め

……地を踏みしめて追いかける方を選んだ。

「ここまで付き合わされたなら一発やらせて貰わな気がすまんからな。」

不謹慎なる言葉も荒い息の中に。鍛えてる身ならば何れは追いつくだろう。

キスカ > さっきのお店からそう離れてはいない場所。
昼間でも誰も通らない商店街の路地裏の、物寂しい一角にたどり着いていた。
ここなら誰の目も届かない。さっきの騒ぎでさえ見てみぬ振りをした衛兵たちは言わずもがな。

同じことを考えてるのか、男たちはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて顔を見合わせている。
その後は月並みな台詞のオンパレード。謝るなら今のうちだとか、もう遅いとか。勝手なことばかり言って。

獣のような咆哮をあげてつかみかかってきた巨体がふたつ。
身を沈めてくぐり抜け、折り重なるように飛びかかる男をいなし、転がし際に膝を入れる。
頭ふたつくらい違う身体が塀に突っこみ、お腹を抑えて苦痛に呻く。
その顔をためらいもなく踏み抜けば、ブーツに真っ赤な返り血がついた。
どよめきが広がり、その一瞬で潮目が変わった。

「―――ひとりだけ。見逃してあげてもいいんだけど。助かりたい人は誰?」

肉食獣めいた笑みを浮かべ、短剣を抜いて近づいていく。