【組織とは?】 曰く、人間界にも魔族領にも拠点がある 曰く、王宮にも忍び込んでいる 曰く、騎士にも紛れている、故に捕まえられてもすぐ抜け出せる 曰く、「ちょっとした万引きから世界征服まで」がモットー 曰く、構成員の数は構成員自身でもわからない 曰く、日常に忍び寄る巨悪
わかっていることは 「全員が黒い動物のアクセサリーを身につけていること」のみ 目的、規模、その他諸々は不明
【現在判明している構成員】 No215:『黒鷹』 No227:『黒影』 No255:『黒蜂』
【メタい話】 ・世界征服までとは言ってもそんなことは永遠に叶えられないので目指しているだけです ・万が一ないとは思いますが、壊滅等は出来ませんので英雄ロルはご遠慮下さい
カランカランと、響く鈴の音。
「.........。(すたすた、すとん」
あら、お久しぶりねー。注文は、何がお望みかしら? 「.........。(てくてく、ぎゅー」 あら...昔の事でも思い出したのかしら? 「(こくこく」 そう...ほら、こっちに来なさい。 慰めてあげるわ。 もう...3年になるわね。
元々私達は、名も無い村の住人だった。 短気だけど正義感が強かったエイレル。 人見知りだけど誰よりも他人のことを心配してたコルセア。 人間族の中で一人淫魔として生まれ、追い出された私、ユウ。 私達3人は、流れてこの村に来たの。 でも、ここに元々住んでいたある少女によって運命の歯車を狂わされた...後悔はしてないわよ?
誰よりも強くて、誰よりも可愛らしく、だけども果敢で。 その「化け物」は、「フェン」と名乗っていたわ。 黒くて長い髪に、闇夜でも光る赤い瞳。 狼のような耳と、ふさふさの尻尾。 忌子として生まれた彼女は、ここに捨てられて育って来たらしいの。 皆、何処かに問題を抱えていたもの同士、仲良くなるのに時間はかからなかった。
『のう、エイレルよ。男と言うのはこう言うもんがよろこぶ者なのかのう?』 「うるさい。引っ付くな。殺すぞ。」 『おーこったー、おーこったー!えーいれーるがおーこっ、のわっ!?剣は反則じゃろが!?』
『コルセアよ。お主、もうちょいと愛想よくは出来んのか?』 「...(ふるふる」 『ちゃんと喋いや!?』 「...(ぷいっ」
『ユウよー!変な石を見つけてきおったぞ!』 あらー...何よ、これ。 『わからぬ!じゃがのう、綺麗な石じゃろ?主に似合うと思うてな。』 そう。なら、ありがたく貰うわねー?
喧しくて、楽しくて。
時には、将来の夢を語りあったりもしたわね。 『わしはの、世界征服が目標なんじゃ!』 『そこのエイレル、わらうでないわ!』 『世界征服をしてな、わしみたいな可哀想な出自の子を無くしたいんじゃよ。』 『そうすれば、悲しむ子供は無くなる筈じゃ。そうは思わんか?』 綺麗事だった。 でも、だからこそ現実にしたい。 少なくとも彼女は、本気で実現させる目だったわ。
やがて人が集まり、集落は村となり、町となり、やがて国になった。 王になったフェンちゃんは、世界統一を今でも夢見ていたの。 その夢の実現の第一歩の足掛かりが、やっと捕まえたと満面の笑みで報告された。 今度、隣国の偉い人と会談するんですって。
今思えば、ここで彼女を行かせたのが間違いだったのよ。
何日待てど何十日待てどフェンちゃんは戻ってこない。 そう遠くない距離なのに。 心配で勝手に動いたコルセアちゃん。
結論から言うわね。 フェンちゃんはコルセアちゃんと一緒に帰ってきたわ。
死体として、だけど。
膨れ上がった力を驚異に思ってたからだとか、コルセアちゃんが言っていたようなきもするけれど。 私が覚えているのはエイレルちゃんに殺戮命令を出した事と、帰ってきたエイレルちゃんが持ってきた首だけ。
「どうするんだい。これから。」 .........。 「.........?(なでなで」 決まってるわ。
私が、フェンちゃんの夢を実現させる。 勿論、二人はここで別れてくれても構わないわよ。
「馬鹿なこと言うなよ。殺すぞ」 「.........(ぐりぐり」
あら、協力してくれるの? 嬉しいわぁ。 「名前とか、決まっているのかい?」 うふふ、決まって無いわよ。 でも.........そうね、黒をモチーフにしたいわ。 あの子、黒い色好きだったじゃない? 「...いいね。殺したくなってくる。」 「.........(こくこく」 それじゃあ、出発しましょうか。 私達3人で、世界統一よ。
私の隣で眠るように横になる、コルセアちゃん。 大切に身に付けているのがよくわかる黒い蜥蜴のアクセサリ。 これが、わたしたちを繋ぐ証明になった。 「.........?(すりすり」 あら...ふふふ、物足りなかったの? 「!?!?!?(ぶるぶるぶる」 遠慮しないでいいのよー。私もイキ足りないわ。 「........(がくがくぶるぶる」
彼女もエイレルも大切な仲間よ。 世界統一はまだ遠いけど...必ず成し遂げるわ。 だから、待っててね。フェンちゃん。 |
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