2015/11/17 のログ
アルマゲスト > まるでため息のように、緩やかに紫煙を吸い込み、吐き出す。
じりじりと細長い煙草が短くなっていくのだけを感じながら思考を巡らせるような仕草。
傍らに積まれた無残な骸が無ければ、詩作にでも耽っているようにさえ見えるかも知れない。
どれだけ時間が過ぎたか、ゆっくり、瞳が開く。色は紫。
トン、と指先が挟んだ煙草が灰を夜の中に散らしていく。ふわりと、漂い、消えるそれ。
「ああ、失礼。忘れていたよ。おやすみなさい。
重ねて、ありがとう。君はとても役に立ってくれたよ。」
その灰の先を追いかけた目線が捉えた骸。人と、馬のそれ。
見れば仄かに会釈めいた仕草を向ける。緩やかなそれ。
同時に、そっと煙草の先端で二つ横たわる屍体を指すような仕草。
瞬間――。
一瞬、死骸の周りの空間がぶれて、歪んだ。
同時にその周囲が地面ごと半透明の膜に覆われる。歪みのない、完璧な球。
そして、それが少しずつ、少しずつ縮み始めていく。
最初は半径5mを超える程の大きさだったものが、じわじわと縮んでいく。
飲み込まれた地面が崩れ、屍体達が圧縮されていく。
形を保っていたものが潰れる音は響かない。
音もなく、静かに静かに縮小を続けていくそれ。もう大きさは最初の数分の一もない。
指し示した煙草も今はもう彼の唇の中。
ふわりふわりと漂う紫煙の中、静かに――球は縮んでいく。
アルマゲスト > そうして、程なく球だったそれは手で握れる程の大きさになり。
指で挟める程の大きさに成り果て、豆粒程の大きさに縮んで――そして、消える。
それを、見送るように一瞥すれば、その侭。
「さて、これから忙しくなるだろうね。王国も僭王も。
“君の立場になれば君が正しい。僕の立場になれば僕が正しい。”というところかな。」
楽しげ――あるいは、そう形容できるかも知れない言葉。
まるで誰かのそれを借りたように唇が奏でれば、そっと指先が煙草を弾く。
くるくると回って、骸が消えた穴に落ちると見えたそれ。
けれども、落ちる前にまるで、そこで何かに飲み込まれるように消える。
彼もまた同様。
その姿はいつの間にか、どこかへ消えてしまっていて。
ご案内:「街路」からアルマゲストさんが去りました。<補足:身長190cm/長身痩躯/腰まで伸びた黒髪/灰黒色の軍服めいた衣服、白い手袋/片手に赤黒い表紙の書物>