2015/12/20 のログ
ご案内:「南海を臨む崖」にイーゴリさんが現れました。
イーゴリ > 鋭く伸びた爪の生えた四肢が地面を歩む度にかしり、かしりと音を響かせる。
未だ、様々な種が島のあちらこちらで戦闘を繰り広げてはいるのだろうが、流石にこんな場所で戦り合う輩はいないらしく、周囲に他者の気配はない。

――正に崖っぷち。

崖の際へと脚を進め、野生らしからぬ動作で其の下を覗き込む。
ただの身が落ちれば一溜りもないだろう高さだ。
ふんす、と狼が小さく鼻息を逃がし、それから周囲を見渡した。

ご案内:「南海を臨む崖」にアシュトンさんが現れました。<補足:フード付ロングコート、装備少々>
アシュトン > (唐突と、空に生まれる謎の渦)

あいってぇ!!!
(そしてソコから落ちてくる、人間の男一匹。
地面に墜落すると騒々しく声を上げ、痛みに身を捩り)

おいこら!! 確かに騒乱絡みの仕事が欲しいつったが、今すぐなんて一言も――もう閉じてやがる。
くっそ、王都からこの距離を強制転移とか腕がいいのは確かなんだが、相変わらず性格最悪だな。
せめて優しく運べよ。
(空のゆがみに対して吠えようとするも、声を出す頃には既に消滅していて。
行き場のない怒りを発散するかの如く、愚痴をこぼした)

んで、ここは一体どこなんだ。
ティルヒアからそう遠くない場所とは言ってた気がするが、今は装備が心もとないからな。
余り厄介には出会いたく……
(気を取り直して立ち上がると、現状確認。
街中装備のままですっ飛ばされてきたものだから、色々と不足品が多い。
アイツの事だからまぁ、追加で飛ばしてきそうだが……隠れ家の保管を把握されてる辺り、余計と腹立たしい)

…………と思ったら早速厄介事くせぇ
(やたらデカい狼が一匹、居る。
何故か海を覗きこんで、いや既に気づかれていそうか。
今先ほどの騒々しさが聞こえなかったとは、考えにくい。
一先ず声を潜めると、余り刺激しないように様子を伺う事とする)

イーゴリ > 聴覚にも嗅覚にも引っ掛からない他者の気配に、崖際から数歩後退った矢先、何とも表現しがたい奇異な感覚が身に走る。ぴく、と耳が震えたと思った次の瞬間、響く男の声。
声、と言うには些か悲痛なそれに、豊かな尾が小さく揺れた。
ゆるり、首を回して視界へと相手の姿を捉える。
上から下まで、それこそ頭の天辺から足の爪先までを、じい、と見詰めながら再びふんすふんすと鼻を鳴らし。

アシュトン > ……思いっきり見られてるな、さてどうするかなぁ。
(平たく表現するなら、此方を値踏みするような視線、とでもいった所か。
急に襲ってくる様子もないが、何時とびかかってくるかも分からない。
距離を早めにとってしまいたいのも山々なのだが、この手の動物は急に動くと襲いかかってくる可能性もある。
気配はまだ感じないが、狼であれば他の仲間がいる可能性も、否定しきれない。
更に装備もあんまりない、あのクソ魔術士め。
つまり、状況は芳しくはない)

少しでも気を惹ければいいんだが。
(そーっと片手をコートの内側に入れると、握った何かを狼に向かって投げる。
武器やら危険物の類……ではなく、余っていた保存食の、干し肉である。
腹が満たされればこちらに襲い掛かる気が失せる、と思いたい所ではあるのだが)

イーゴリ > 思案している様子の男を、相も変わらずじーーーっと見詰めている狼。
無論、中身や思考能力まで畜生と化した訳ではないのだから如何距離を取るべきか考えあぐねているのだろうな、とは思う訳で。
とは言え、素直に取って食いませんよ、だなんて告げてやるほど心優しくもない。
持ち上がってしまいそうな口角を上がらぬよう、気を付けながら獣の所作で男を見据え続けている。

不意、動く手に合わせて姿勢を低く取ろうとしたものの、ぽいっと投げられた何かに意識が逸れる。
何ぞと思いながら体ごと反転させればそこには干し肉が…!

「…………。」

前足でベシッと叩いて弾いた。それも思いっきり。

アシュトン > うわ、可愛げねぇ!!!
(匂いを嗅ぐなり、警戒するなりするだろうとは予想していたのだが。
まさか前足で跳ねのけられるとは思わなかった。
その迷いのない一蹴っぷりに、余計と腹が立つ)

本当、どうしてくれようかこいつ。
(思いのほかの愛嬌の無さに、喉元に鳴らす唸り声。
とりあず先の干し肉で周囲の気配が動いた様子はないので、一匹狼の可能性は高そうなのだが)

…………
(体を大きく見せるかのように、両腕を広げ。
試にジリジリと、摺り足で近づいてみる)

イーゴリ > 宙を舞った干し肉がぺそ…っと再び地面に着地するのに一瞥もくれぬ儘、目の前の男の言葉に、フスッと鼻で笑ってやる始末。
さらば干し肉虫の餌となるがいい。虫が干し肉を食べるのかは知らないが。
さて次の行動は、と男の様子を再び見遣れば今度は何やら両腕を広げている。しかも近付いてくる。

―――抱擁だろうか。

野生ではないが故、男の行動の意図がとんと伝わらなかった。
怪訝そうに赤い瞳を眇め、小首を傾げ、微動だにせず男の手の届くだろう範囲ギリギリまでは見守ろうと。

アシュトン > イラッ
(なんか狼に鼻で笑われた気がする。
そのお陰でか、感情が思いっきり口から分かりやすい程に漏れて出た)

…………ふむ
(動物というのは大体、自分より大きな相手にはひるむ性質がある。
目の前の狼は確かに大きいが、直立して両手を広げれば面積的にはこちらが大きい。
後ろを向いて逃げ出して背中をザックリ、というのを避けるために敢えて前には出てみたものの。
どーも、向けられる視線に疑問符が浮かんでいるというか。
笑う仕草といい、今の様子といい、どうにも野生感が薄いのは気のせいだろうか)

意外に、誰かが飼ってたとか。
(それなら、大きいのもある程度納得できるのだが。
互いに一足まで飛び込める距離まで近づくと、リーリーリーとばかりに)

……男は度胸ともいう、試してみるか。
(かなり分が悪そうではあるが。
ややと腰をかがめて高さを合わせると、ゆるーりと時間を掛けた動きで。
真正面から両腕で抱きかかえにいいく)

イーゴリ > 他人をおちょくると言うのは何故こうも楽しいのだろうか。
未だ解明されぬ謎である。

ともあれ、目の前の抱擁のポーズを取り続けていた男が腰を低めれば、何だか既視感と言うか何と言うか、遥か遠い何処かの国で見たことのある姿勢を彷彿とさせた。
何だったかな、とゆるりと巡らせる記憶。
徐々に近付きつつある男の抱擁。
その腕が己の体躯を抱えようとする刹那、ひょい、と上肢を屈めて避けた。
そして股下を憚りも無く潜り抜けた。

「許可なく触るンじゃあないよ、若造。」

老人のような、幼子のような。男のような、女のような。
全てが入り混じったような声音が飄々と宣う。

アシュトン > むっ!!
(割と近くまで来た辺り。
ソロソロ捕獲圏内と思った矢先、しゃがみ込むような動きに反応すると、手がピクリと動いて)

…………何故そこを通る何故そこを。
(またの下を通り抜けていった事に突っ込みを入れながら、狼が進んでいった方向へと向き直るの、だが)

喋っ……っても不思議はないか。
ははぁんなるほど、最初から俺をおちょくって楽しんでたって訳か。
いよいよもって、可愛げのないやつだ。
(小さく口の端を上げると、くくっと小さく喉を鳴らし。
さて、会話が成立する相手であれば、むしろ野生動物よりもやり易くはある。
腰に手を当てると、片目を細め、様子を眺めて)

そいつは失礼。
ダンマリだったんでな、どう対応すべきか判断に迷っててな。
(若干わざとらしく肩を竦めれば、首をかしげた)