2015/11/22 のログ
ヴィクトール > (入った先にも兵士が一人、丁度飛び出そうと準備していたところのようだ。大剣を放り、相手が思わずキャッチしたとことで、先ほど奪った片手剣を抜く。踏み込み、相手の口へ掌を押し当て、顎ごと握りつぶすように抑えこむと、切っ先で喉を切り裂く。そのまま沈みそうになるところで片手剣の柄を咥えると、大剣を返してもらう。声ももうでまいと思えばおさえていた手を頭へ、鎧の崩れ落ちる音を響かせないように…静かに兵士を横たえれば、得物を収める)

バレるまでは…ここで一息つくとするか。

(長くは隠れていられないだろうけれど、数分程度は時間を稼げるはずと適当な椅子へ腰を下ろす。荒れた呼吸、この間の戦闘の傷も、魔法を合わせて治癒済みだが、この長時間と激しさでは、悪化する可能性もありそうだ。早く大将首をぶっ叩かないと…焦りそうになる気持ちを抑えこみつつ、今は休む)

ヴィクトール > (戦闘への意識を抑え、休息していくと…また問題が浮かんでくる。自身の魔法はその意志が強くなってこそ発揮するもの、だがそれが解ければ多少の被弾と思っていた怪我がジクジクと痛み出す。そして前のめりになって忘れていた疲れも…体が前のめりに揺れて、僅かながら苦悶の表情が浮かぶ)

……っ

(だるい、痛い、熱い、色んな苦しみが込み上がっていく。外は未だに男を探し回る兵士達の騒がしさで包まれ、隠れている今のほうが、戦っていた時より不安を覚える。魔法によるドーピングの効果は、それだけ強力だった。静かに座って、おとなしくしていることが辛いとは妙なことになったものだ)

ヴィクトール > (休めているんだかもよく分からない状態になってきた、体の奥に残った鈍痛を取り除きたい。ここまで深く痛みが残るように叩きこみやがってと、あの男の顔が脳裏に浮かぶ)

……こいつも

(魔法で直してしまえないだろうか? ならばイメージをして、意識し、意思に乗せる。その工程を行わねばならない。少し目を閉じて、そのイメージを浮かばせようとするわけだが)

……。

(浮かんでこない。痛みを消すイメージといわれても、そういう瞬間が浮かばないのだ。治癒魔法の様なものを、具現化するイメージというのは、最近少し頭をつかうようになった馬鹿には難しい。遠回しに魔法に対しても弱いということではなかろうかと、自身の弱点が見えてきた気がした。兵士達の声が近づいてくる、ここにも来るだろうと思えば殺した兵士の死骸を片隅に置かれた荷物の山に運び、そこへと埋めていく。床の血は敷物をずらして隠すと、男はテントの壁に張り付く)

ヴィクトール > (垂れ布の仕切りをめくり、兵士が探りにやってくる。部屋の全体を眺めてもおかしな所が見つからない。ここにも居ないかと去っていく兵士だが、ここにはまだ男が潜んでいた。影の掛かったテントの布地に溶けこむように纏った魔力で色を変化させ、擬態するようにして隠れていたのだ。近い色合いや柄をそれらしく作るだけだが、急いでいる時の目は、些細な変化を人目で見抜けるほど余裕はない)

……あぶねぇ。

(やり過ごすと、再び椅子へと腰を下ろす。こうやってコソコソとするのは性に合わず、嫌なことなのだが、今後大将首を狙いに行く時は、大将を見つけるまではそうするほうが良いかもしれないと、この物量の前では反省するしかない)

ヴィクトール > (この間の戦いで守りやらがより厳重なのかもしれないと、憶測ばかりが浮かぶ。ともかく今日は退いた方がよさそうだ、兵士ばかりと戦っても、目的も果たせず、旨味もない。静かにテントの外へ出ると、見つからないように影から影へと移り、撤退していく。次こそはと心の中に誓って)
ご案内:「オリアーブ島・王国軍最前線拠点」からヴィクトールさんが去りました。<補足:黒の短髪に金の瞳、黒色の戦装束に身の丈ほどあるクレイモア>
ご案内:「オリアーブ島北東湾港泊地」にハスタさんが現れました。<補足:イカしてない服装の貴族風ながたいの良いおっさん。>
ご案内:「オリアーブ島北東湾港泊地」にガラテアさんが現れました。<補足:戦闘服/上:全裸髪ブラ/下:黒霧ロンスカ/金髪/角/尻尾>
ハスタ > 艦隊戦、安物試製艦艇だけで戦って、ティルヒア海軍に見事に旗艦を沈められたが、
おっさんの異界の兵装を武装した空母機動部隊は、無事にオリアーブ島の北東湾港を揚陸強襲、
程なく絨毯爆撃と制空戦を行い、半時間足らずで泊地を陥落させて、機動部隊の停泊拠点としていた。
母艦は試製品ながらも、航空戦力として起用したのは「ヴァクセン」なる強力な航空戦力。
そもそも、この時代、この世界に航空母艦なんてものは殆ど存在しないのだ。

まあ、占領したのは良かった。
そして、残存艦隊の旗艦以外を停泊させて「ゼリー工場でも作ろうかなぁ?」とかお道化ていた。

しかし、事態は急変する。神の龍―――神話で語られる文字通りの神龍がティルヒアを、オリアーブを焼き払った。
例にもれず、おっさんの泊地もその被害に遭ったわけだが、
このおっさん、なんと神龍が現れたその日、タイミング悪く魔王友達の魔王サタンと酒宴に興じていた。
折角用意してくれた手前、席を外すわけにもいかず。
漸く本日、自身の右腕を連れて視察に来たのだ。

「…あー…これは、酷いねえ。」

特殊防空駆逐艦を除いて、殆どの艦艇は水底の鉄くずになるか、オンボロの鉄塊として水に浮いているかだった。
安物試製艦艇ながらも、あの中で残っていたことを喜ぶべきなのかどうなのか。
少なくとも死者はどうせ捨て駒のアンデッド系モンスターだからどうでもいいとして、

「でーも、面白いものが、見れそうだね?」

大被害は出たが、別にそれは幾等でも補填できるのだ。
そもそも司令官ごっこ用の玩具みたいなものだったから、あれも別にどうでもいい。
ただ、一つ惜しむとすれば砲雷撃戦、航空戦に興じることが出来なかった点か。
あのようわからん黒服の女のトチ狂った戦法のせいだ。
それよりも、馬鹿強い神の龍とやら、そっちの方に興味が行くのはおっさんとしては割と当然な事で。
嫌な事もすっかり忘れて半壊した泊地に大きなガタイを顕わし、ニタァ、といつものようにニヤけた。

ガラテア > 「お金がぁ...あー!もう!」
第一声は、金切り声。
目の前の惨状を目の当たりにして頭を抱える「右腕」。
ごっこ遊びで作られた艦船を真面目に運用するつもりだった彼女。
上司が仲間と作戦会議(していると思っていた)時に計画を立てていた。
出来上がったとたんに、訳のわからぬ龍に潰されて、立てていた計画がパーである。

『がらてあさまー、がらてあさまー。ほうこくー。』
『がらてあさまー、えっちー。』
『がらてあさまー、ちゅーしてー?』
『ヒャハハハハっ!ざまぁ見ろブ男がぁ!』
約一人、どっちの味方かわからない叫びを上げている、撤収作業に準じていた部下。

「ハスタ様ー?変なこと考えてませんよねー?」
垂れ目の割には威圧感を放つ瞳で、上司を一瞥するガラテア。
「いいですからほら、片付けますよ。」

ハスタ > 「チクショウ!これでもイケメンなんだぞぉ!ヒャッハァ!」

一人笑っている分身を吹っ飛ばしながら意気高揚するおっさん。
因みに分身の発現がアレなのはいつもの事なので然程も気にしない様子。

「さてまぁ…こんなんなんだけどさぁ?海には一杯艦艇の亡骸が沈んでるわけよ。
何も神龍さんが災厄だけを撒き散らしていったわけじゃあないんだぜ?
あー…片付けはエレノアたんがやってくれるから置いとけばいいよ。」

大事なところを人任せにしながらも、残念ながらあの試製艦艇を運用する予定はなかったらしい。

「んー…何でしょうねぇ。まー、知ってる人は知ってるだろうけど、
…アレだ。可愛い幼女がかぁっこいいドラゴンに変身!って正直、萌えね?」

ニヤつきながら考えている変な事を聞かれてもいないのに吐露する。
おっさんはこれで超長寿系なのでこの辺の神話だとかも頭の片隅にも残っているから、
それとなくティルヒアの正体については知っているものの、他が聞けばサッパリ分からん発言だろう。

「まぁ…アレだ。今日ここに来たのはっつぅと、ちょっと作ってドキドキしに来ただけなんだよね。
…あー、お金の方は大丈夫よ。こんなボロ船いくらだって作れちゃいますから。」

焦げ残った湾港の隅にと腰かけて。

「幽霊船って知ってる?まぁ、どこぞの世界じゃ沈んだ船が蘇ってそれと戦う、なんてのもあるらしいけど。
ちょっとアレを人工的にやってみたいなーと、思ってね。あの試製艦艇よりはマシなもんが作れると思うよ。
この海の中、王国にティルヒアに魔族に異国に、色んな国の艦艇が沈んでるみたいだから。」

鉄の塊が幾多も沈む、深い水底を見下ろす。

ガラテア > 『はすたさまー、ぶさいくー!』
『はすたさまー、あーほ!』
「ほらほら...よーしよし」
きゃんきゃん吠えるちび淫魔を宥める、お母さん。

「だから!お金が!沈んだんですよ!」
「たまには自分で動いてくださいっ!」
喉が心配になる程、きゃんきゃん吠えるお母さん。

「わ、私だって変身っぽい事なら出来ますよ?」
何故か変なところで張り合い、黒い霧を醸し出すガラテア。
翼っぽいのを作ったり、服を作ったりしているが。
...流石に種族を見間違える程の霧は生み出せないらしい。

「それ、無機物にも出来るんですか...」
ハスタ様が死霊術紛いのことが出来るのは知っていた。
部下の殆ども、ハスタ様が「作りだした」ものであるのは理解していた...のだが。
「幽霊船するんだら、ちゃんと強い元選んでくださいね?」
そこらへんは、したたかである。

ハスタ > 「どいつもこいつも…おじさんイケメンだよね?!何なの?!」

頭を引っ掴んでふっ飛ばしたり、胴体を蹴りまわしたり。
無駄にアクロバティックで洗練された動きを見せるが、おっさんはこれでも魔法使いタイプである。

「え?!お金?…いやぁ、沈んだのは試製艦艇だけよ?まぁまぁ、そうオカタクなりなさんな。
アレをご覧?ドラゴン殺しの特殊防空駆逐艦ね。まぁ、今回現れた神龍さんにゃあ敵わんだろうけどね。
基本的におじさんの作った南方侵略機動部隊Ⅰ群はアレの開発費が半分以上の予算を〆ているから問題ナッシン。」

つまりそれは、盛大に無駄遣いをした艦艇であると言う事である。
迷彩色に輝きたたずむ防空駆逐艦には、焦げ跡や傷一つ付いていない。
元より魔王が居住まいとして用いる艦艇、異次元的に硬いのだ。
対竜の特注装甲だから、それが功をなしたのである。まぁ、それ以外の船はお察しの通り葬式状態だが。

「いやぁ、…まぁ、ガラテアたんはガラテアたんで。そのままのキミでいいのよ。」

何か必死でかわいかったので、頭を撫でた。

「まぁでも、アレよねぇ。ドラゴンが人間になったなら、人間がドラゴンになったなら…こういうのって良いよねぇ。
まぁ、おじさん最近雌犬調教がしたいっぽいんだけど。」

どうでもいい不穏な言葉を一つ。

「そーそ、生死の概念があるなら何にでも出来る。おじさんの術は実際には死者を蘇らせる術ではなくって、
生命を書き換えたり、命を与えたりする魔法なわけよ。…まぁ、それはどうでも良いね。」

作り出した、と言うよりは生命を吹き込んだ、なんて言う方がロマンチックで適合しているのかもしれない。

「はいはい、そいつは分かってるって…まぁ、正直おじさんの氷山空母出したら一発でおじゃんだけど。
オリアーブ島で単なる御遊戯するのにアレを使うのは勿体なすぎるしねぇ?
それにドラゴンちゃんに氷山空母は勝てませんわ。聞いた話だけども、ありゃあかーなりやっばい龍らしいからねぇ。」

こまごまと注意を促す彼女に適当に返事をしながら。
ペラペラと湾岸でお喋り。因みに今背中を蹴られたら、海に転落するポジションである。

「で、まぁ、…なんですか。ちょっと待って下さいよ。
所謂「ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん」作ってるところなんでねぇ…ウッヘッヘ。」

この辺り一帯の残骸をすべて巻き込んで、生と死を愚弄する魔法を描く。
海が泡立ち、嵐か津波のように蠢く。半壊した湾港が揺らぐ。
台風が来たかのような轟音と、海から浮かび上がってくるモノクロの鉄塊の塊。
おっさんはいつもの様に遊び心満載で笑っているが、正直演出の規模が大きく傍迷惑な事この上ない。
主砲三基九門、適当に魚雷艇や巡洋艦を戦艦と連環し、死んでいた魔力を蘇らせた。
戦艦、高速魚雷艇、潜水艦、航空母艦、…それらの良い所だけを抽出して、ハイスペックな鉄の塊を生み出したのだ。
馬鹿でかい巨大さを持った元・鉄の塊が、生きているか死んでいるかもあやふやな、
そんな微妙な艦艇…幽霊船として生を与えられた。アンデッド、レヴナントと変わらない魔物、魔族として。

「…でかくね?あんなに沈んでたの?」

まぁ。なんというか。
開口一番ニヤけて言うのは、なんともおっさんらしいふざけた言葉だったわけだが。

ガラテア > 「ほ、ほら...私は好きですよ?」
まるで恋人を見つめるかのように潤んだ瞳は

「うがー!!!だから!金の!無駄っつてるんですよぉ!」
瞬時につり目に変わる。
「『瞬殺』!」
ノータイムでハスタの後ろに回り込み、蹴りを叩き込む。
勿論蹴っ飛ばす先は、一部を除きバラバラになった海。
このまま船の残骸の海に落ちれば、びしょ濡れのおっさんという誰得の光景が生まれるだろう。

「.........私は嫌ですよ?撫でられたって許しませんからね。」
黒い霧を鞭のように変形させ、しならせながら威嚇する。
ハスタの浮気...浮気?を許しているのだ。
他の女の子を調教すると言うのは、それはそれで腹がたつ。

「これもう船って言えるんですか...?」
数えるのも億劫な主砲。
潜水艇として機能を果たすであろう望遠鏡。
この高さじゃみえないが、恐らく戦闘機を飛ばすための甲板もあるはずだ。
「細々としてたの、たくさん合体しましたからねえ...。」
「...使うんです?これ?」
操作するのも億劫になるような巨大さ。
実践運用をするなら、相応の修練が必要になるはずだ。

ハスタ > 「ガラテアたん…。」

ここまで良い雰囲気なのになぁ。

「ギャーッ!撃沈!」

その良い雰囲気がふっ飛ばされて、おっさんが撃沈した。
おっさんはこう見えても魔法使いタイプである。
蘇るが、基本的にボクシングには勝てないのだ。よって見事にポジションを振ったら蹴り込まれた。
ドボーン!と漬物石でも突き落としたような水飛沫が飛びあがる。
イカしてない服装が濡れ濡れびしょびしょ。

「うへええ…何だってんだチクショウ…。お、おおお…おじさんは…ウウウェックシュイッ!」

風邪ひきそうである。服が濡れて透けたおっさんが海からくしゃみをしながら這いあがって戻ってくる。
例え濡れ透けでおっさんの浅黒い肌が見えようと、誰も得しないのだ。

「まぁ…アレなんだよ。おじさんはですね、性欲も不尽なんですわ。アッハッハッハ。
多めに見てくださいよぉ。それともあれっすか、おじさんの性欲をガラテアたんの細身で全部受け止められないっしょ?
例えばホラ、調教したい!って言ってもダメだって言うし、ねぇ?そういう事よん。」

なんとも性に奔放なおっさんの在り方。
例え相手が鞭を持ってきたとしてもキャピキャピするのを忘れずに。

「…んー、勝手に、動いてくれますよ。その為にわざわざ霊魂魔術(レヴニイル)を使ったんだから。
操縦士は必要ナシ!あれ一個で幽霊船っていう戦闘生物。…船って言えるかどうかは微妙だけど。
どっちかっていうと海魔のイメージかもね。…あー、御望みなら喋る機能もつけられるけど。」

無駄にでかい。おっさんや彼女は人ではないのでその無駄なデカさも全貌を見えようが、
こんな船が海に浮かんだとすれば正気の沙汰じゃないだろうに。

「…まぁでも、正直コレはやりすぎだね。今度は何作るか明確に決めてからやろう。
作って!ドキドキ!ワクワク!」

少々危なげな異界のネタを放り込みながら、ずぶ濡れのその体を再び湾岸に乗せて、
海面を覗き込んだ。

ガラテア > 「『絞殺』。ほら、捕まって下さい。」
と、振り回していた鞭を強制的に掴まさせる。
そうして引き上げて、彼の船の説明を聞く。
「そうなったら、この船と交渉しなくちゃいけないですよ?」
「たとえ術で従えるとしても、自発的に従うのと無理やり従うのじゃ全然違うんですよ。」
「だいたいそもそも!そんな無駄な機能を付けるならですねえ...」
グチグチと、説教が続く。
一応とはいえ、上司に、説教。
しかし、その説教も途中の発言で止まる。

「わ、私だって身体は受け止められますもん!」
心は?と問いかけるが、彼女は普通の淫魔とは少々性格が違う。
性に奔放な他の淫魔と比べると、彼の言う通りかたいところがあるのも事実だ。
ぶちぃ、となにかがきれるあとに、いまだに解けない鞭を振り回す。
勿論、先っぽに縛られているハスタ。
ハンマー投げの要領で、海に叩き落とす。


ここいらで、黒い霧の説明をしておこう。
突っ込みに使ったり、武器として使ったり、分身に使ったり、服にしたり。
一部の身体であれば埋めて代用したりと、多種多様に使える。
ただし、制約はあるようで。
一つ。塊を作る数には制限がある。
一つ。破壊されるダメージはガラテアに帰ってくる。

一つ。固体になった霧...固体というのはおかしいがとにかく。
勿論引っ張られると、つられて動く。

何故今更こんな説明をしたか。
それは彼女の起こした行動にある。
投げ飛ばした鞭と、スカートに使ってる霧は繋がっている。
勿論、連動してスカートも海に投げ出される。
スカートが脱げて丸裸になるか。
海に投げ出されるか。
彼女が選んだのは、後者だ。

ハスタ > 「だってさ?ホラ。ドラゴンが可愛い女の子に変身したら萌えるじゃん?
それと同じでさぁ、このバカでかい船が可愛い女の子に変身して喋ったら、萌えるとは思いませんか!
…あー…まぁ、その。そこはおじさんの溢れるカリスマと男気と催眠術で説得します。」

何故か萌えについて力説する、彼女は淫魔の女の子なのに。
ふんすと鼻で息をしたところで縛られて投げ飛ばされる。

「アーロハー!!!」

南海の暑い海域に、陽気なおっさんの声が響き、
また一つ、海から水飛沫が上がった。
その飛沫の数は、二つ…だったのかもしれない。

「ブクブクブクブク。(アレですね、アレ。水中でおじさんとヤりたいだなんてガラテアたんは結構マゾヒストじゃないの?水責めとか好き?)」

こうして水中で謎の会話が始まる。
聞こえているのかどうかは知らないが、おっさんは水中でもケロッと目を開いて陽気に舌を回した。
ただ、誠残念ながらに、おっさんが人間体を用いて普通に喋ったら、
人間が水中で喋ったのと同じ様にブクブクブクブクしか言えないのである。
彼女を抱きとめようとしたけれど距離が届かなかったので諦めた。
諦めが早いって言われたってそういう物である。

こうして徐々におっさんの息が止まって行き、おっさんは水中で安らかに目を―――。

と、思ったら、いつのまにかソソクサ湾岸にまた這いあがっていた。
おっさんはこうした幽体離脱のような事も可能なのだ。離脱された体は間もなく消失する。

「おじさんを殺しまくった罰だぞー。暫く水中で反省してなさいっ。
…さーて、新しく作ったこの幽霊船の名前…それから性格はどうしようかなぁ。
クーデレ。…いや、ツンデレもいいか?いや、しかしヤンデレも捨てがたい。」

水中に右腕兼愛人を残して、新しく作った魔族のステータスについて考え始めた。

ガラテア > 「デタラメにもほどがあるでしょうが!」
無機物に命を吹き込むなんて芸当をするあたり、やはり「魔王」である。
吹っ飛ばされているガラテアにそんな余裕はないが。

「(水の中とか反発し過ぎて、腰が動かしにくいでしょうが!)」
.........相変わらず性的関連だと、微妙に的外れな反論をしながら上がる準備をする。

瞬殺。相手の背後に高速移動する。
これを利用すればによによしているハスタの後ろに回り込み、蹴りをぶち込むことが出来る。だろう。
「(.........瞬殺、つかえない。)」
みずのなかにいる。
水の中で喋ることができない。
つまり、瞬殺を含めた殺言弾は使えない。

こうなったら、もう一つの能力。
黒い霧で分身を作り出し、助けてもらおう。
慣れたように形成される、もう一人のガラテア。
...岸の上ではなく、隣に。
『やっほー私!今日もかわいいね!びしょ濡れなのがとってもエロいよー!』
「消えてください。」
...分身も使えない。
「わかった!わかりましたー!謝るから助けてくださいーだ!」
バシャバシャと水を跳ねさせて、いやいや助けを求める愛人。

「まーた愛人にするつもりですかー!あーん!?」
...言葉遣いが、悪くなってきた。
他の女の子がまた増えるのかとむしゃくしゃしながら、水の中から抗議をあげる。

ハスタ > 「あ、あああ…愛人?!まぁ…あれだね。…それは、そうだけども。」

目をフイっと逸らしながら、
おっさんは指パッチンしてやると、おっさんではなく、
命を吹き込まれた艦艇が、どういう了見かその体を伸縮させて、
機械の様な腕で彼女を持ち上げ、そして海岸沿いまで掬い上げるのだ。
相変わらず彼女の分身はアレである。おっさんはその事にあまり言及はしない。

「じゃあ、今からこの子の名前と姿を考えようか?ゲヘヘ。」

当然ながら、水揚げされた彼女はずぶぬれで。
おっさんは殊更ニヨニヨしながら、
新たに生命を吹き込んだその艦艇を模造する魔物の名前や性格を、
彼女と喧嘩半分にしながらも談話することだろうか―――。

ご案内:「オリアーブ島北東湾港泊地」からハスタさんが去りました。<補足:イカしてない服装の貴族風ながたいの良いおっさん。>
ご案内:「オリアーブ島北東湾港泊地」からガラテアさんが去りました。<補足:戦闘服/上:全裸髪ブラ/下:黒霧ロンスカ/金髪/角/尻尾>