2015/11/19 のログ
アルマゲスト > 死姦の気配。戦場の傍らにあるそれ。
気付いたか、否か。言葉を紡ぎ出すことはしない。咎めることも忌避することもない。
観察する男から見れば、戦場の中心で本を広げている彼はどう見えるか。
はらはらと――古紙がめくれる音だけが響くのを聞こえるかどうか。
そうして、きっと男がズボンを履き直して彼を観察しはじめてから数秒後
彼の手の中の書が一瞬だけ、輝く、同時にそこから散るのは光。まるで波紋を描くように光が広がる。
正確には、それは無数の文字だ。白銀の光の粒――塩に似たそれで丹念に描かれた誰にも読めない文字。
仮に触れても生者には何も起こらないだろう。ただ、ちょっと暖かいかな、と感じる程度。

「……………」

煙草を咥えた侭の唇が何を語るでもない。
ただ、光が戦場に広がって、広がって端まで包み込んでいく。
そこにある全ての死者に光の文字列が広がって、そして―――弾ける。

それは祈りにも似た言葉だ。あらゆる言語にて語られるたったひとつの言葉。
即ち―――『その魂に救済を』

弾けた光が降り注いだ死者達、見た目には何も変化はない。
ただ、それはもう本当にただの屍者。肉の塊に変わっている。
もし、誰かが重さを測れば、ほんの21グラム程減少しているのがわかるかも知れない。
その魂と呼べるものはどこかに行ってしまうのだから――そういう魔術。
それを見てどうするか、阻害するのかしないのか、それは此方を見る男次第。

サリファス・ドー > 書が光、無数の文字が広がる。魔術だろうか?と首を捻り
触って勝手に壊すのもなんだよなと思いできるだけ触れないようにする。
どうなったのかはわからねえ、わからねえなっと黒髪の男へ死体を蹴り飛ばす。

「まァ、一応軍属なもんでな。
なんつーの職務質問、さわりがないなら教えてくれよ」

口を歪め笑いながらフックの付いた鎖をじゃらじゃらと手慰み近づいていく。
黒髪の男の行動はあまり気に留めてないようだ。
お互いの顔が確認できる位置でとまり、人相を叩き込む。
――しかし『その魂に救済を』だァ?、宗教家とかなんかと不思議に思う。
そんな感じでもないむしろ初めに感じた学者の方がそれっぽい。

アルマゲスト > ぱたん、と書を閉じる。
と、蹴り飛ばされて飛んでくる死体を一歩下がって避ける。
そこで漸く、此方に来る男の方へと視線を投げ渡した。

「こんばんは。軍人君。
 職務質問されるようなことをした覚えが無いと言えば嘘になるが。
 どうぞ何なりと。一服しながらでも構わないかな?」

此方に近付いて来る相手。
紫色の眼差しが臆するでもなく、まるで何かを面白がるように見返した。
かけられる言葉には滑らかに挨拶と、まるで機械で測ったように正確な会釈。
相手の胸中を知ってか知らずか、唇だけで微かに笑んで。

「心配しなくてもそれなりに時間はある。
 何ならもう一人くらい楽しんでからでも構わないよ。」

そんな言葉さえ添えてみせた。

サリファス・ドー > 面白そうに見てくる男に多少イラつきながら睨む。

「ハッ、喋るっつーんならかまわねよ。ただ、気の長い方でもないんでな。
もったいぶられるとどーでもよくなる。」

だから、そら喋れと顎で促す。
女なら捕縛でもして口を割らせるんだがなっと思いつつ、死体を椅子代わりに腰掛ける。
懐からミトラス葉巻を取り出し火を付け燻らす。

「ふぁー。死体ならなんでもいいわけじゃねえよ、こちとらグルメなんだよ。
つーか、まじで死体でも喰うのか?あんたはよ。」

なくなるみてーな言い方しやがってとボソッと言い微かに笑う男を観察する。
なんつーか、まともじゃねーなと思う。

アルマゲスト > 睨む眼差しに、仄かに口元を緩めてみせる。
微苦笑。控えめで、正確無比なそれを浮かべながら。

「やれやれ、随分いい加減な職務質問もあったものだ。
 ――わかりやすく言えば、弔いのようなものだよ。
 この死体をアンデッド化できないようにした、と言えば伝わるかな?
 ちなみに、死体を食事にする趣味も屍姦の趣味も無いよ。」

揶揄るようでもなく、滑らかに言葉を返す。
そして黒革のシガレットケースから細い紙巻煙草を取り出せば咥えて火を点す。
吐き出す紫煙の強い香りが、相手の葉巻の香りと混じって。

「ところで、君の名前と所属を伺っても構わないかな?
 グルメな軍人君、ではどうにも呼び辛い。
 私はアルマゲスト。流れの魔法使いのようなものだ。」

気負いの無い滑らかな言葉。続いたそれが名前を告げて、相手の名前を請う。

サリファス・ドー > 「はん、薄ら寒い話し方がクソ兄姉に似てやがる。
まァーあんまよくねえムカつくぜ。
防腐処理じゃねーな、ええっと浄解ってやつで良いのか。」

がしがしと頭をかき、舌打ちする。
なんでこいは男なんだとか思い、仕草や表情でイラつき身体を揺する。

「それでなんで流れの魔法使いが弔いなんかしてんだよ。
まだ逆の方が解りやすいんだがよ。」

ちいっと舌打ち、つま先で石を飛ばす。
そうとうアルマゲストがクソ兄姉ににているのだろう。
顔を伏せギシリと歯を鳴らす

「あー、王国軍第七師団所属のサリファス・ドーだ。」

アルマゲスト > 咥えた煙草から吐き出す紫煙。それに、淡く笑声が交じる。
控えめに喉の奥で鳴らすような笑い声。目を細めて笑顔を作って。

「それはさぞかし性格の悪い兄姉なんだろうね――いや、失礼。
 だから、君はそういう態度を好むのかな?」

問いかけを返しながら、苛つきを表すように身体を揺する相手。
紫の視線が面白がるような色合いを浮かべて見つめよう。
そうして、次いだ問いかけ。

「何、ただの気紛れのようなものだよ。
 それ程深い理由がある訳でもない。」

あっさりと即答する。小石を蹴飛ばし顔を伏せ歯まで鳴らす相手。
それとは真逆に、表情以外ほとんど動くことのない彼。
このまま首を刎ねられてもそうしていそうな様子。

「成る程。サリファス君だね。どうぞよろしく。
 第七師団というと、先日のナール大橋では大活躍だったそうで。」

名乗り返される名前。「よろしく」という言葉と共に手を伸ばす。
書を握っていない右手。柔らかく伸びるそれは握手を求めるような仕草。

サリファス・ドー > ピクリと青筋を立てつつ

「オレの態度は別に普通だろ。
性格の悪い兄姉ェ?……ま、否定はしねえよ。怒る気にもならねえ。
アレだ、メグ・メール北部の伯爵家で通じるか?
…ナールには参加できなかったんだよ、オリアーブで魔物の群れに追われててな」

肩をすくめ煙をアルマゲストの顔へ吐き出す。
険しい表情だ、話の内容ではなく雰囲気にイラついてるのだ
女にも縁がねえと呟く

「まず、その薄っぺらい笑みをやめるんだな。
まだ死体と話してる方が気分良いぜ、ほらよ、これが生の表情ってやつだよ。
まっオレが言うのもなんだがな。」

死体の頭部にフックを突き刺し、力任せに引きちぎり
アルマゲストの伸ばした手へ放る。

アルマゲスト > 青筋を立てる相手。『普通だろ』という言葉に言葉を返すでもなく。
告げられた名前に……「ふむ」と、考えるような仕草。

「退魔剣術のフィルムレア・フォンローク。で間違いないかな?
 それならば、成る程と言っておこうか。」

相手の家名への推測。ひとつ返してから、また紫煙を吐き出す。
それと共に相手に煙を吐き出されて、微かに瞬いて、それから肩を竦めてみせた。

「おや、それは残念だったね。
 まあ、これから手柄を立てる機会は幾らでもあるだろう?
 この戦は多少は長引きそうだ。」

「止めろと言われても生憎、こういう顔でね。
 気に喰わないならば、謝罪はするが、諦めてくれ。
 勉強が足りないのは認めるがね。」

こちらへ送られる死者の頭。
それをあっさりと片手で受け止める。
困ったような苦笑を、正確無比にその顔が形作ると、同時。
その侭、屈んでその死体の頭を元々ついていた場所につけるだろう。
そうすれば――まるで何事も無かったかのように首は元の場所に元のようにくっついた。
頭を持っていた筈の白い手袋には汚れひとつなく

「死体に八つ当たりは感心しないな。
 それに生の表情ならばサンプルは幾らでもあるだろう?
 例えば、君のように。」

そんな言葉を添える。嗜めるようなそれを滑らかに紡ぎ出して。

サリファス・ドー > 飄々としたアルマゲストにイラつきながら

「……初代様のフィルムレア・フォンロークが先にでるのかよ。
普通そこは現頭首か、ああ、あの気狂い貴族ねっていわねーとな。
それに俺等はサンプルになんねーよ」

変に思われるぜっと笑う。
フォンローク家の人間はあらゆる感情が混在しており、またどれもが突出している。
なので仮面をかぶり、ソレらしく生きるのだ。発狂していると言われもしょうがない。
自分でどう感じるかを決める、あまりにも不毛な作業だ。
だから自分自身に一定のルールを敷き、演じるのだ。

「実際、お前が何者かなんてどうでもいいんだよ。
これからちょっと軍規触れる仕事すっからどんなもんかと思ってな。
変な理由で手配くらいたくなければ離れてろ」

そういうと、いくつかの死体の腹を裂いてゴソゴソとあさっている。
ティルヒア軍の兵士の死体だ。逞しい者、痩せている者、男、女と綺麗に並べて。
うん、うん、と肯き、さらに頭まで切り開き指をあてる。
ややあってアルマゲストへ向き直る。

「んで、流れの魔法使いだったよな。南部を選んだのはやっぱ魔術鉱石狙いか?
戦が終わればング=ラネク山近郊は直轄地になって侵入できなくなりそうだもんな」

アルマゲスト > イラつく彼を他所に、銜えていた煙草を滑らかな仕草で握り潰す。
開く掌には灰の痕さえなくそれはどこかに消えて。

「気狂い貴族、魔法殺しの一族。
 だからこそ、だよ。サリファス君。
 それこそ、人間そのものだ。」

そっと浮かべる笑みに深みが増した気がする。
楽しげとも呼べるそれを宿しながら、次いだ言葉に素直に少し距離を置こう。
新しい煙草に火を点しながら、“軍規に触れる仕事”を興味深そうに眺めよう。
何かを面白がるような、という形容が似合うその顔で。

「ああ。そんなものもあったね。機会があれば寄ってみるとしよう。
 この辺りに来たのは、そうだね、雇い主を探して、というところかな。
 物見遊山と断じてしまっても問題はないかも知れないがね。」

相手の言葉に、思い出した、というような言葉。
そうして、問いかけに答えてから、もう一言添える。

「それで、そろそろ何をしているのか質問しても構わないかな?
 屍姦の相手を自分で作っているわけでは無さそうだが。
 それとも、誰か中に入るのかな?」

問いかける。答えを求めるというよりはその過程を楽しむような問いかけ。

サリファス・ドー > 「そうか?。まァ良いけどよ。」

魔法使いってわかんねーとぶつぶつ呟き、そんな顔でみんなと手を振る。

「雇い主?傭兵でもしてんのか?。
なら雇ってもいいぞ。それなら、質問に答えられるしな
つうか発想がコエーよ、中に入るって無理があるだろ。
……魔法使いってのははっきりものをいわねーよな」

だから、魔法使いのすることには何らかの意味があり、やたら隠し事が多い
アルマゲストが行っていた儀式や死体の修復も同じものだと邪魔しなかったと存外に言う

アルマゲスト > 相手の言葉に僅かに肩を竦めてみせる。
最初の言葉ではなく、『わかんねー』というその言葉にだ。

「傭兵に限った話ではないが、まあ、傭兵も仕事の内だ。
 ということで、よろしくお願いしようかな。
 第七師団の面々も、君自身も面白そうだ。
 細かい契約条件はまた後ほど。」

雇ってもいい、という言葉にあっさりと頷く。
それから、次いだ言葉に

「私ははっきり言っているつもりだがね。
 曖昧に聞こえるのは、何故だろうな……まあ、いい。」

首を傾げてみせる。さして不思議とも思っていない仕草。
けれども、興味があるのは相手の行動というように言葉を切る。
視線は相手の手の動きを追いかける。その結果を待つように。

サリファス・ドー > 咥え続けていたちびた麻薬葉巻を捨て、唾を吐く。
懐から2本、麻薬葉巻とりだしアルマゲストに一つ渡す

「ミトラスの花の高級葉巻だ、ちょいと癖があるが美味いぜ。」

火をつけ燻らす。すこし考えてから頭をかく

「魔法使いってのは、曖昧というか意味ありげに振舞うよなって言ってるだけだ。
別に避難してるわけじゃねよ、アンタの性格はイラつくがよ。
あと第七師団の直轄じゃなくてオレの子飼いな。将軍が気に入れば別に直轄でも良いんだがよ
そっちは自分でやってくれ」

掻っ捌いた死体をアルマゲストに見せるように胃、そして脳を指差す

「オレがやってたのは調査だよ、飯をたらふく食えてここまできたのかとか。
いろいろ死体は喋るんだよ、魔法なんぞ使わなくてもな。
あとは俺等が触れてみて魔法がかかってるか試したんだよ
急な増員兵だったしなティルヒアは」

フォンローク家特有といっても良いかもしれない調査方だ。
確かに軍規いや王国法にも触れているだろう
鎖を腕に巻きつけ笑う。

「仕事の内容だけいっとくぞ。ティルヒア軍には高位魔族がいる
ティルヒア殿か高位魔族かはしらねーが洗脳系の魔法反応があった。
魔族を主にぶっ殺せ、簡単だろ?」

煙を空に吐き出しニヤリと野獣の笑みで言う

アルマゲスト > 「ありがとう」と差し出された葉巻を手にすれば口に銜える。
火を点して、吸い上げれば「なるほど」と言葉を紡ぐだろう。
じりじりと火と共に減っていくそれに――目を細めて。

「私の性格は置いておいて。魔法使いとはそういうものだよ。
 神秘に触れているという驕りがそうさせるのかどうか。」

と、まるで他人事のような言葉。

「ああ、それで構わないよ。サリファス君。
 その内、将軍閣下に紹介でもしてくれればありがたい。
 あとはこの葉巻。他の報酬は君に任せるよ。」

と、契約に関して補足程度の言葉。
そうして、告げられた言葉と目の前でばらけさせられた死体の残骸を見れば
「成る程」とひとつまた言葉を紡ぎ出そうか。

「面白いな。やはり君は優秀だ。」

短く告げる感想。真実そう考えて告げた言葉だが
さて、相手に伝わるかどうかまではこの書にもわからない。
そうして、告げられる仕事の内容を聞いて。

「確かに承ったよ。我が雇い主よ。」

緩やかにそして短く言葉を告げる。それと同時に、そっと差し出した手指。
そこには一枚の羊皮紙が挟まれていて。

「その他に何かあれば、この紙に書いてくれ。それで伝わる。」

そう、短い言葉で囁きかける。
相手が紙片を受け取れば、彼の姿は緩やかに薄らいでいって。

「さて、それではそろそろお暇しようかな。
 楽しい夜だったよ、サリファス君。ありがとう」

そんな言葉が最後に彼の耳に届くだろうか。

サリファス・ドー > 「まーその前のアンタの浄解されてたせいで難度があがったがよ。
やっぱむかつくぜ。高位魔族にでも殺されて来い。くははっ」

葉巻を味わい、煙を吐く。脳が刺激されるこの感じがたまらないと口を歪める。
羊皮紙を受け取り、コートの内側から金貨を1枚取り出し投げわたす。

「高位魔族を撃退したなら一枚、有益な情報で一枚追加でくれてやる。
後は好きにやれ、じゃあな。」

また手を振ると。その消えるアルマゲストを囲むように後ろからひょっこりと影が増える
部下を最後まで隠していたのだ

ご案内:「戦場跡」からサリファス・ドーさんが去りました。<補足:黒い魔族の皮膚革コート。兵士服。赤髪ツンツン頭。>
アルマゲスト > 投げられたコインを白い手袋が受け取る。
と、周囲に増える人影。それに驚いた様子もなく

「では、遠慮なくやらせてもらうよ」

そんな囁き声と共にその姿が消えていって――。

ご案内:「戦場跡」からアルマゲストさんが去りました。<補足:身長190cm/長身痩躯/腰まで伸びた黒髪/灰黒色の軍服めいた衣服、白い手袋/片手に赤黒い表紙の書物>