2015/11/18 のログ
サロメ > 「質問の答えになっていないな…何者か名乗れと言った筈だ。名乗る程のものかどうかは貴殿の考えることではない」

男の態度に僅かに目を細める
この状況下、この村を訪れる者の態度ではないと、訝しげに

エドガー > 「ふぅむ…困ったね。時には、なぁなぁで濁した方が良い事もあると思うのだが…頭が硬いと言われないかね?君。」

女からの訝しげな視線と言葉に、男は弱ったような態度を取りながらも、おちょくるように尋ねてみせる。
そして、少し考えるような素振りを見せながら

「私が何者かと教えたら、君はこのまま私を通すわけにはいかなくなるが…それでも名乗れと言うつもりかな?」

念を押すように女へと尋ねる。答えが見え透いた問いかけではあるが、男は尋ねてみることにする。
予想通りにいくか、そうでない答えを返すか。女の返答を心待ちにする。

サロメ > 「余計な世話を焼く必要はない。
 ここと通す通さないも、貴殿が名乗りをあげてからの話だ」

警戒を強める
名乗れない事情を持っているならば尚更に怪しい

馬を後ろにさげて、臨戦態勢すらとる

エドガー > 「ふふふ…それは失敬。なら、君の命令通り…名乗らせていただくとしよう。」

男が頭を隠したローブを後ろへとやり、顔を晒す。灰色の髪に、寝ているのかと思われるような目元を女へと見せて。
口元は先ほどから笑みを崩す様子もない。予想通りの返答が返ってきたと面白がるような表情で。

「お初にお目にかかる、人間の騎士殿。私はエドガー。君たちが最も嫌うだろう、魔族だ。」

丁寧な口調、お辞儀までして名乗る。
そうした後、杖に両手を乗せるような体勢のままで、どうする、と言いたげに首を傾げた。

サロメ > 「…成程」

その風貌は一見して人間のようにしか見えない
が、騎士相手に自ら魔族と名乗るのだ、嘯く理由も見つからない

「ではもうひとつだけ質問に答えろ。この村の惨状はお前の仕業か?」

エドガー > 「だから、言っただろう。すんなり通してくれなさそうだから、嫌だったのだがね。
 それと、私が名乗ったのだから、君も名乗って欲しいものだ。」

納得した様子の女騎士へとやれやれと言いたげな表情を浮かべながら男は両手を広げる。
そして、もう一つ続けての質問には村全体を見回してから、女騎士へと視線を戻した。

「………ふふ、だとしたら…どうするのかな?」

敢えて、目の前の女騎士の実力を測るために嘘をつくのも面白そうだと、挑発するように答えた。

サロメ > 「この村の状況を見れば、貴殿が魔族でなかろうと質問には答えてもらっていたさ。
 残念だが魔族と聞いてから名を名乗る程愚かでもない、名を知ることでその者を支配する者もいると聞く」

震える馬を更に後ろへと下げる
ガーゴイル程度の悪魔に囲まれてもこんな反応はしなかった
であれば、目の前の男は相応の"格"なのだろう

「質問で返されても状況は動かない。
 否定か肯定か…その明確などちらかを答えろ」

エドガー > 「ふぅむ…残念なくらいに尤もな言い分だね。
 まぁ、命に関わってくる部分だから、仕方ないのだろうが…ねぇ」

何時の間にやら男の後ろにあった椅子に腰かけて、悠々と足を組みながら女騎士の言葉に答える。
如何にも、それらしいと納得できる半面、少々退屈そうな声色だった。

「君が名乗ったら答えようじゃないか。
 それが出来なければ、この場はこれでおしまいだ。通させてもらうよ?」

椅子に座ったまま、頬杖をしながら笑みを浮かべて答えた。

サロメ > 「通すとでも?」

蒼みに輝く長剣が水平に、その道を遮る

「勝手に場を終わらされても困るな。
 無論、通すつもりがなければ、踵を返し逃げさせるつもりもない」

エドガー > 「通るさ。」

女騎士が剣を水平にして行く手を遮ろうとしてきても、男は何と言うことは無いと言う。

「君が名乗れば直ぐに済む話なのだがねぇ。さて、と。」

椅子から立ち上がり、来たときを同じように緩やかな足取りで歩き始める。
女騎士が行く手を遮っているのを、路傍の石を眺めるように通り過ぎようと。

サロメ > 「通さないと言った筈だ」

剣から白い靄が流れ出る
靄の形をとった冷気がエドガーの足元へとまとわりつき、地面を氷結させてゆく

「貴殿がこの村の惨状にまるで関係のない魔族だというのであれば、
 私も無理を通そうとは思わない、しかし貴殿の向かう方向の先には王都がある。
 難なく通せというのは些か安い考えだな」

エドガー > 「………成程、氷かね。やれやれ、普通の剣じゃないとは思ってはいたが。
 あまり代えの服や靴は持ってないんだ。止めてほしいものだね。」

靴と地面が凍り付いて離れなくなるのを見て、非常に落胆した表情を見せる。
仕方ないと靴を脱げば、そのまま素足のまま空中に浮遊する。

「………おや、こっちは王都なのかね?いやはや、これは恥ずかしいね。
 てっきり、こっちがティルヒアだと思ったのだがね。」

女騎士の言葉を聞いて、自傷気味に笑いながら反転する。
そのまま、浮遊していく。もう既に、男の中では会話は終わっているようだった

サロメ > 「警告はしたぞ」

剣を水平に薙ぎ払う
サロメを中心に魔法陣が展開し、無数の氷の刃が生み出される

「(確かにティルヒアだと言ったな…)」

ティルヒアに何用なのか
彼の軍勢が魔族を含有している原因に繋がっているのか
疑問は多々浮かぶが、それもここで逃がしては無意味だ

「───ミスティック・ケージ!!」

魔術の名を口にし、式を起動する
無数の氷の剣がエドガーの周辺を舞うように氷の牢獄を形成してゆく

エドガー > 「ほぉ…これは見事なものだ。…そして、全く困ったものだね。」

突如、自分の周りに形成されていく牢獄。作りだされた無数の氷の刃が次の瞬間には男目掛けて放たれるのだろうか。
それを見た男は感嘆の言葉を口にした後に、少々呆れたような言葉を吐きだした。

「それなりの覚悟があってのことなのだろう。ならば、私も相応の返しをしなければ失礼に当たるかな?」

次の瞬間、牢獄の中から男の姿が消えて、黒いローブだけが残る。
肝心の男は牢獄の外に居た。それも、女騎士の真横に呑気に浮遊している。
杖で女騎士を差すと、その手に持つ剣が急激に重くなり始める

サロメ > 「───!?」

まるでコマ送りのように、とらえた筈の魔族の姿が自身の真横へ、
そして左手にズシリとした重みを感じて姿勢を崩す

「(これは…重力操作…!?魔法か…?ならば……)」

とっさに解呪<ディスペル>のスクロールを取り出し、式を起動する

エドガー > 「…便利なものだね。私も一つくらい持ち運びたいところだ。」

姿勢を崩す女騎士がとっさの判断で道具による術式を発動すれば、手に握る剣は直ぐに元通りの重さに戻る。
男も素足のままで地面に降りることになり、使用した道具について一つ言葉を漏らした。

「それでそれは、いくつもあるものなのかね?」

男は姿勢を崩した女騎士へと杖で突きを放つ。何の変哲もない突きだから、呆気なく防がれるだろうし当たれば幸い程度のもの。
本命は突きに反応した女騎士へと、今度は身体全体にかかる重力を倍増させる魔法をかけることで。

サロメ > 「ふっ…!」

突き出された杖を軽くなった剣を振るい、弾く
勿論解呪のスクロールなどはそういくつも常備するものではない
だが…

「当然、持てる数には限りがある」

弾いた隙に別のスクロールを取り出し、起動する
羊皮紙で出来たスクロールは白炎に包まれ消えた
魔素の流れに敏感ならば、サロメを中心に抗魔力のフィールドが形成されたことに気づけるだろうか

「しかし、魔法と解かればやりようなどいくらでもある」

剣を構え直し、エドガーを見据える
対魔族は第七師団の最も得意とするところ
例え魔王に襲われようとただではやられないだけの鍛錬を積み続けているのだ

辺りに漂う冷気が強くなってゆく

エドガー > 「ほぉ、なるほど。使い捨て、かつ幾つも種類があるものなのだね。
 中々、勉強になる。今後に活かしていくとしよう。」

術式を発動するための道具というのは使い捨てではあるが、種類が多いらしい。
今まで知らなかったと感心するように男が口にする。
そして、女騎士の周りに先ほどまでには無かったものが出来ていることに気付くと面倒なことになったと苦笑した。

「こうもしっかりと対策を取られてしまうと、尻尾を巻いて泣きながら逃げ出したくなるねぇ
 …と、私は言ってみるわけだが?」

強くなる冷気を感知しながら、逃がしてくれるかな、と軽い調子で問いかける。

サロメ > 「備えもなしに魔族と戦う程愚かではない。
 ……先程も言っただろう、お前がこの村をこんな状態にしたのか、そうでないならば闘う理由は『今のところは』ない筈だ」

剣を構えるままに、睨めつける

「…もっとも、今はティルヒアに向かう理由も問いただしたいところだがな」

エドガー > 「こだわるねぇ、君も。
 まぁ、その不思議な道具についても親切に教えてくれたから、別に話しても良いのだがね。」

女騎士の言葉に、まだそれを聞くつもりなのかと呆れながらも、特に答えない理由も無いと呟きを漏らしてから
剣を構えたまま睨みつけたままの女騎士へと向き直り

「はっはっは、後出しは受け付けてはいないよ。残念ながらね。
 聞きたいなら、そうだね…答える気にさせてみたまえ。」

サロメ > 「…捕らえての拷問は好まないが…仕方ない」

剣を振る
辺りを漂っていた強い冷気が、剣に収束し吹雪のようにそれを纏う

斬り裂かれれば氷結し刀傷となり動きを鈍らせる
氷の魔剣、アイスブランドの真の姿だ

「避けようとしなければ動きを奪われるだけで済む…動くな!」

素早い踏み込みからの、横薙ぎ一閃
剣の奇跡が白く靄となって残る美しき剣閃をエドガーに向けて斬り放った

命中すれば一瞬でその体を凍てつかせる、絶対零度の一撃

エドガー > 「ほぉ…なるほど。見事なものだ。
 こういう状況でなければ、じっくりと眺めていたいものだが。」

どうやら、そう軽口を叩けるだけの状況ではないらしい。
女騎士の持つ剣に冷気が収束していく。流石の男も次の一撃は対策をしなければいけないと
思わされるくらいの威圧感を感じ取る。

「君が先に解呪のそれを使ってくれていて、本当に助かったよ。」

横薙ぎに振るわれる絶対零度の一撃は、何か硬いものを斬り付けた感触を女騎士へ伝えるだろう。
男の身体は凍り付いてはおらず、代わりにその直ぐ前が透明な壁のようなものが凍り付いている。

「空間を断絶させてもらった。さっきの解呪のそれを使われたら、きっと今頃は氷像になっていたかな?
 お見事だと言わせてもらおうかな。」

ぱち、ぱち、と男が手を叩く。

サロメ > アイスブランドが弾かれる
思わず一歩後退る、が…特に驚愕したような顔は浮かべず

「重力を操作する魔法に、空間を切り取るような転移・障壁。
 …以前、一つの町の住人が残さずグール化した事件があった。
 その案件で報告のあった魔族はお前か」

トンっと後方に跳ねるように跳び、距離を取る
本来魔法を使う相手との戦闘では間合いを詰めるべきなのだが、
この男がまだ何かを隠していないとは限らない

「(空間魔法をディスペルしつづけたとしても、そこに切り込める手がなければジリ貧になるだけ、か…)」

冷静に思考を巡らせる
ここでこの魔族を逃がしたとして、何か被害があってからではすべてが遅い
相手が目的の暴露を拒む以上は、ここで仕留める、最低でも…捉えなければ

魔法自体を封じる魔力消沈のスクロールも無論準備しているが、これは価値も高く多くを常備はできない
一度使えばそれまでだ、使い所が今なのかどうか、見極めなければならない

エドガー > 「おや、私も有名になったものだね。あぁ、間違いないよ。
 尤も、私は殆ど見ていただけだったのだがね。ちょっと邪魔をしただけさ」

女騎士の言葉に、少し意外そうな顔をしてから肯定する。
尤も、その時は邪魔者でしかなかったと付け加えるように言い

「さて…久しぶりに良いものを見せてもらった。
 先ほどの君の質問に答えようじゃないか。この村を壊滅させたか?いいや、私じゃない。
 最初に言っただろう?【ただの通りすがり】だと。」

空間断絶を保ったまま、女騎士の質問に一つ答える。
そして、くすくすと笑った後に

「二つ目が…ティルヒアに何の用かだったかな?
 そうだね…君を抱かせてくれたら、嘘偽りなく答えると約束するが…どうするかね?」

今にも笑いだしそうな様子で戯言を女騎士へと口にした。

サロメ > 「……いいだろう、この村のことについては納得しよう」

事実、この魔族が召喚を以ってして村を攻めるならば、
あんな下級~定休の悪魔を放っているというのは妙な話だ
空間魔法に重力操作魔法、そのどちらもが高等、かつ膨大な魔力がなければ行使ではきない
更にこの魔族はそんな魔法を陣を描くでもなく詠唱を紡ぐでもなく使ってみせた
逆の意味で、それは信頼に足る言葉だろう


「…! 戯れ言を。魔の眷属に身を委ねるなどありはしない!」

空間が断絶されていなければ、再び斬りかかっていたであろう希薄
しかしその場では、吠えるにとどまる

エドガー > 「納得してくれたようで何よりだ。」

口元に笑みを浮かべて女騎士へと言葉を返す。
そして、男からの提案に予想通りに拒否の反応とした女騎士に
男は思わず笑ってしまう。

「あはははは、予想通りだね。じゃあ、その質問の答えは諦めることだ。」

サロメ > 「…立場上、そうもいかなくてな」

言いながら、一枚のスクロールを取り出す
魔力消沈の結界術式が刻まれた、他のものよりもより上質な羊皮紙に書かれたもの

高価なだけに効力は絶大
サロメ自身は知らぬことだが、アイオーンの加護が影響するこの土地では魔王クラスの魔法行使すらも封じるだろう

一回限りの使用、これ以外にあの断絶された空間を使う魔法を打ち消す術はない

「残念だが、此処で始末するしかなさそうだ。
 言葉が通じるならばと、僅かな希望を持っていたが…もう迷いはない」

スクロールを起動する、先ほどと同じように白炎に包まれ消えていく
違うのは、その結界領域の広さと…サロメの握るアイスブランドからも魔力が消えていることだろう

敵味方の区別なし、それこそが絶対的な効力の種明かしだ

「覚悟してもらう…エドガー!」

効力自体もそう長くはない、一刀で決める
跳躍し、反撃を恐れぬ捨て身に近い一撃を、大上段からエドガーに向けて斬り下ろす───

エドガー > 「君も大変だね…その使命感の強さは、騎士だからなのかな?
 それは逆に雁字搦めにしているようにしか見えないのだがねぇ」

どうにも諦めるつもりのない女騎士へと、何度目かの呆れるような表情と言葉。
そうして、背中を向けようとした時だった…魔法が一切使えなくなったと気付いたのは。

「………まいったね。これは…手詰まり、かな?」

簡単な重力魔法すらも使えなくなっている。
恐らく、魔法を封じる術式道具を発動させたのだろう。だが、それは女騎士の持つ剣にも及んでいるらしい。
敵味方関係なしに、問答無用で封じるのだから、どうしようもない。

「ふぅ…恐れ入るね、人間の覚悟とやらには。」

女騎士が捨て身の覚悟で上段から斬り下ろそうと剣を振るう。
その一撃を杖で受け止めるも、呆気なく砕け散り、刃が肩口へと食い込んで、切り裂いていく。
肺を裂き、心臓に届くかと言うところで、がくん、と止まった。いや、男は刃を握りしめて無理矢理止めたのだ。

「………ここまで重傷を負ったのは、何年ぶりかな。」

その言葉を口にして、男は空いている手で女騎士を殴り飛ばそうと拳を振るった。
腹でも、顔でも、何処でも良いと狙いを定めずに。

サロメ > 「!」

手応えあり
普通の長剣と化したアイスブランドでは魔族相手に致命傷とまではいかないだろうが、一太刀浴びせた

だからといって油断はしない、斬り抜けなかった以上、反撃は来るものと半ば予測している

諸手で掴んでいた剣から右腕を離し、自身を殴り飛ばそうと迫るその腕を阻む盾とする
身軽さのために篭手などをつけていないその右腕は魔族の一撃を受けて悲鳴をあげるが、そのまま剣を離さずにいたためか、転がることもなく踏みとどまる

「っ…は、ぁぁぁぁッ!!」

このままでは腕力勝負になりかねない、刃を握りこまれているのならば…
エドガーの肉体深くに斬り込んでいる剣を捻り、そのまま裂帛の気合とともに横薙ぎに全力を以って切り払う───

エドガー > 「…やはり、肉弾戦というものはどうも苦手だ。」

突き出した拳は女騎士の右腕に阻まれ、殴り飛ばすには至らない。
そうしている間にも、斬り傷からは青い鮮血が止め処なく流れ出て、男も吐血した。
そして、肉体を深く切り裂いている刃が、今度は横薙ぎに振り抜かれそうになる。
当然、男もさせまいと刃を握り締めるが…そのまま横薙ぎに斬り払われて、男の右腕が斬り落とされる結果となる。

「………どう、贔屓目に見たとしても…私の負けのよう、だね。
 参ったね…これは。」

地面に落ちる自分の腕を見てから、自分も数歩後退して座りこんだ。

サロメ > 「っ…」
だらりと右腕が下がる
魔族の攻撃を生身で受けたようなものだ、治癒魔法でも使わなければ使いものにならない

…が、相手を見据えれば……一先ず演技、というわけでもなさそうだ
それでも尚細心の注意を払い、歩み寄っていく

「…一息に首を撥ねられるか、ティルヒアに向かう目的を吐露するか、…どちらかを選べ」

内心、焦りはある
まもなくスクロールの効力も切れてしまうだろうことがわかっているからだ

それでもその焦りを一切表に出さず、あくまでも強く在るように

エドガー > 「………ははは、ここまで無様な姿を晒すことになろうとはね。
 昔を思い出すようだ…懐かしい、ものだね。」

斬り落とされた腕の断面を手で抑えて、激痛に耐えながら笑う。
青い血だまりが、男を中心にどんどん広がっていっている。
ゆっくりと近づいていく女騎士を見上げては、その言葉にまた一つ笑みを漏らし

「そうだねぇ…君の強さに敬意を表して、答えようか。
 …ふふ、単なる様子見さ。どうなっているかを、見に行ってくるだけだよ。」

何と言うことは無い。
ただ、どうなっているかを見てくるだけの話だと答えた。

サロメ > 「ティルヒアの軍勢に魔族が含まれていると聞いているが、
 ……お前が関わっているわけではないということか」

特にその言葉を疑う様子も見せず、アイスブランドについた血を振り飛ばし、鞘に収めた

「立てるか?
 ……魔族には神聖魔法による治癒は効かないだろうな…」

その手を差し伸べる

エドガー > 「…この際だ、正直に言おうか。
 私としても、ティルヒアの件を知ったのは…つい先日のことでね。
 何故、今このタイミングなのか…まるで見当がついていないのさ。」

鼻で笑うような溜息を零して、男は答える。
自分を負かした女騎士への敬意ということなのだろう。

「…どういう、風の吹きまわしかな?立場上、問題にならないかね?
 とはいえ、借りれるものは猫の手でも借りたいがね。」

差し出される手を握り、ゆっくりと立ち上がる。

サロメ > 「魔族もティルヒアの動きを気にかけているということか…。
 …風の吹き回しも何も、最初から私はそれさえ聞ければお前を滅するつもりも何もなかった」

警戒していなかったわけではない
それでもその魔族はただ手をとって立ち上がるだけ
一撃を放つ余裕くらいは、まだあるだろうに

「私は第七師団の将軍副官を務めている、サロメ=D=アクアリア。
 ……魔族との交戦経験も多くなると、お前達が一枚岩でないことも、争いを好まない魔族がいることもわかっている」

そう考えているのは少数派だが、と付け加えて

「魔族すべてが人間の敵でないことも理解しているつもりだ。
 今日のところは、貴殿とこれ以上争う意味も益もないだろう。
 できれば、最初から人間と舐めてかからず対話に応じてもらいたかったがな」

エドガー > 魔族故の身体の特性か、腕の流血は収まりかけている。
それでも、失血した量は多い。立ち上がる時に何もしなかったのも、
これ以上は無理だろうという危機反応からだった。

「サロメ君か。ふぅん、副官だったのだね。通りで強いわけだ。おちょくる相手を間違えたね、どうも。
 …まぁ、魔族の中にも私みたいな物好きは居るということさ。生憎と、私はこんな性格なものでね。
 君がどれだけ強いのか試してみたかったのさ。 手間を取らせたようですまないね、はっはっは。」

悪びれる様子もなく男が笑う。さて、と言いたげに落ちた腕を拾い上げて

「そろそろ君の仲間が来そうだから、私は逃げるとしようかな。」

どうやら、漸く魔法が使えるようになったらしい。
そして、遠くの方で土埃が舞うのが見える。大方、サロメの部下だろう。

「それではね、サロメ君。今度は出来れば、酒でも飲みながら話したいものだ。」

そう言いながら、サロメの尻肉を一掴みした挙句に、少し深く唇を奪おうとかしてみる。
無論、避けられればそれまでの話だ。成否に関わらず、男は魔法で転移して、姿を消してしまうのだった。

サロメ > 流石に魔族を前にして完全に油断してはいない
尻に向かった手を左手が抑え、顔に向かってきた唇はすいっと避ける

「なるほど、確かに物好きだ。飲み交わすのは構わないが、人間の国には来るなよ。
 先程も言ったが、立場が在る。
 今この時も、見ているのが私の馬だけでなかったなら、その首を撥ねていた」

そう言って、動きづらかろうと数歩後退する

間もなく魔族は転移魔法でその姿を消すだろうか

「(…さて、報告をあげようにも上げようがないな。村の現状報告のみに留めるか)」

そう考えながら、ちらりと右腕を見る
…神官達には頭を下げるしかなさそうだ

ご案内:「◇王都南部の村」からサロメさんが去りました。<補足:氷の魔剣を携えた、灰髪金眼の女魔法剣士。第七師団副官>
ご案内:「◇王都南部の村」からエドガーさんが去りました。<補足:黒い燕尾服、茶色の革靴、黒の杖、黒いフード付きのローブ>
ご案内:「戦場跡」にアルマゲストさんが現れました。<補足:身長190cm/長身痩躯/腰まで伸びた黒髪/灰黒色の軍服めいた衣服、白い手袋/片手に赤黒い表紙の書物>
アルマゲスト > まるですり鉢の底のような地形。
周囲を小高い崖に囲まれ、ぽっかり開いたようなその場所。入ってくる道は細い一本だけ。
つまるところ、そこで起こるのは無慈悲な殲滅戦と絶死の抵抗戦。
どちらが、どちらを屠ったのかわからない程、死体で溢れている。
――そこに漂うのは濃密な匂い。
流され続けた夥しい血と、零れた臓腑と、焼けた匂い。つまるは戦争の匂い。
ハイエナのように死者を漁る略奪者達はもう仕事を終えたのか
死体の中には鎧や武器を剥ぎ取られたものがいくつもいくつも転がっていた。
死体を食らう魔物の類がまだ来ていないことだけが救いといえるかどうか。

「随分と、派手にやったものだ。」

そこに、声が響く。
何時の間にか、まるで当然のことのように窪地に現れる姿。
黒い髪が微かに風になびいて、濃い紫煙の匂いが戦場の匂いに紛れて消える。
ぐしゃり。現れた刹那、靴先が地面に転がっていた誰かの手首から先を踏んだ。
文句を言う持ち主がもうとっくの昔に沈黙していたのは幸いというものだろう。
だから、特に何を気にするでもなく、緩やかに紫色の瞳がそこを見渡す。
どこをどう見ても死体しか転がっていないその場所を。

アルマゲスト > 口元に咥えたのは黒い紙巻煙草。細長いそれをそっと、片手指がはさみ取る。
淡く眼差しを細めて、そうして一度、瞳を伏せて、閉じた。
吐息を零す時のように唇が開けば、細く、静かに紫煙が吐き出された。

「残念だが――君達から、もう何かを受け取るつもりはないよ。
 君達に何かを与えるつもりも、特には無い。」

閉じた瞳の奥から、滑らかに言葉が零れ落ちる。
何が見えるのか、何か見えるのか。誰かに語りかけるように。
そっと、瞳を開く。銀色のそれは静かに。

「――好きなように生きて、理不尽に死ぬ。
 誰だってそういうものだ。そうだろう?
 けれども――」

告げる言葉。それと共に煙草を持っていない手が動く。
その手指に挟まれたのは赤黒い表紙の魔導書。

はらり―――

と、古紙の擦れるような音がして頁が開いた。
音は連続して、連鎖して響く。パラパラと本が高速でめくられる。

ご案内:「戦場跡」にサリファス・ドーさんが現れました。<補足:黒い魔族の皮膚革コート。兵士服。赤髪ツンツン頭。>
サリファス・ドー > 死体の森で男女が睦みあっている。いや生きている者は2人だけだろう。

「はっはァ、おゥ……っ。
生きてても死んでても、気持ちいーぜ。」

死体を犯し終えた男は満足するとズボンを履きなおしウロウロと歩く。
学者だろうか、なにかを唱える黒髪の男を発見する。

「はん、死体でも喰いに来たのかよ。
ひひひ、お互い趣味が悪いのかね。まァ良いさ」

とりあえず黒髪の男を観察する