2015/12/06 のログ
ご案内:「千年女王の都 郊外の丘」にオーギュストさんが現れました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
ご案内:「千年女王の都 郊外の丘」からオーギュストさんが去りました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
ご案内:「千年の女王の都 郊外の丘」にオーギュストさんが現れました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
オーギュスト > 千年女王の都を見下ろす小高い丘。
ようやく重い腰を上げたオーギュストは、包囲の中、陣をこの丘に移動させた。
最早王都に篭りゲリラ戦を続けるしかないティルヒア軍にこの丘を守護する力も無く、オーギュストはほとんど労力も無しにこの丘を占拠する事が出来た。

「閣下、準備整いました」

都を見下ろす小高い丘の上。
オーギュストはここに新兵器、魔導砲を運びこんだ。
本来タナール奪回の為の兵器だが、攻城兵器には変わりない。

「面倒な事は手早く片付けちまうに限るな」

オーギュストは都を見下ろし獰猛に笑う。

オーギュスト > 「か、閣下、しかし都には展開中の我が軍が……」
「警告は出したんだろうな?」
「は、はい……」

なら知った事じゃぁない。
わざわざ警告してやったのに、欲張って市内に居座るのが悪い。
何でもティルヒア女王は、わざわざ市民を王都から退避させたという。
ありがたい事だ。つまり、何をしようとおかまいなしってわけだ。

「砲撃をはじめろ!」

オーギュストの号令と同時に、20門の魔導砲が一斉に火を吹く。
轟音と煙があがり、やがて千年女王の都に着弾する。

オーギュスト > 着弾と同時に魔導砲の砲弾が爆発し、ティルヒア軍、王国軍、そして残っていた一部の市民を吹き飛ばす。
阿鼻叫喚の地獄絵図がさらに凄惨さを増すが、この男はいささかも気にした様子は無い。

「弾着確認! 命中弾14!」
「あ? 命中率が悪ぃな」
「は、残りはティルヒア城の結界に当たり、効果認められず!」

オーギュストは舌打ちする。
ったく、厄介な事だ。女王ごとあの城を吹き飛ばせばケリがつくものを。

オーギュスト > 「砲撃を続けろ! 目標は地下水路の入り口だ!
全部潰して更地にしちまえ!」

技術師たちが角度を調整し、千年の女王の都に次々と砲弾の雨を降らせる。
ティルヒア軍、そして王国軍すら逃げ惑いはじめる。
士官たちは青ざめた顔をしてみているが、オーギュストは聊かも気にせず、むしろつまらなそうな顔をするだけだ。

オーギュスト > しかし、威力はあるが問題は運搬か。
この丘を移動させるのにも苦労した。
きちんと制圧してからでないと運べないというのも考えものだ。

「あらかじめ運搬……いや、軽量化の方か」

眼下の阿鼻叫喚を眺めながらも、オーギュストは冷静な思考を止めない。

オーギュスト > しばらく砲撃を続けていると、伝令が走ってくる。
どうやら味方ごと砲撃をした件で抗議が来たらしい。
総司令部まで出頭せよとのお達しだ。

「命令があるまでとめるんじゃねぇぞ」

それだけ厳命すると、オーギュストは不満そうに総司令部へ向かった

ご案内:「千年の女王の都 郊外の丘」からオーギュストさんが去りました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
ご案内:「ティルヒア都 郊外」にタマモさんが現れました。<補足:名簿参照。>
タマモ > ある相手との一悶着の後、城門から離れ、都を一望出来る場所でのんびりしていた。
さすがに、あの場所に戻って自分の醜態を晒すのは…よろしくない。
時間を置いて戻れば何とかなるか…そんな事を考え、寛いでいた。
城門は開かれてしまった、もうそこはどうしようもないだろう…仕方ない、後は自分に出来るのは都の者達をなんとかするくらいか。
そんな風に思っていた。

…その後の出来事が起こるまでは。

都から起こる轟音、その音に慌てたようにそちらへと視線を向けた。
そこに見えた光景は…砲弾による一斉砲撃。
都のあちこちに起こる爆発、吹き飛んでいく建物や…残った者達。

しばらくは何が起こったのか分からない、といった表情で見詰めていた。
ゆっくりと時が経ち…その表情から感情が消えていく。
その場所から、その砲撃を行っている者達の位置は簡単に把握できた。
そして、その姿はゆらりと消えていく…

その少女が姿を現したのは、いまだ砲撃を続けている丘の上だった。

タマモ > 砲撃の続く丘、現れた少女に気付く者達はいなかった。
指示されたままそれを続ける王国兵達の意識は、その魔導砲の操作と破壊されていく都に集中されている。

「………この様な場所からいい様に嬲りよって…
やるからには…やられる事も想定はしておろうな?
いや、そんなものはどうでも良い…」

誰に聞かせるでもなく呟く少女。
砲撃を行う発砲音に、どちらにせよ聞こえる者等居ないだろう。
手にした扇子と唐傘がすぅっと消えていく。

タマモ > 「お主等のような直接手を汚せぬ愚か者達が、腸が煮えくり返る程に…気に入らぬ。
………都の者達と同じ目に合わせてやろう、因果応報じゃ」

ゆっくりと両手を大きく広げ、見えざる力をじわじわと目の前に密集させていく。
それを感じれる者は居ない中、集まっていく力は大きくなり…次第にその圧力はその付近に居る者達が感じれるほどになってくる。
それでもまだ少女は止めない、そして、それに気付ける者達も居ない。

まるで一撃に全ての力を注ぐように少女は力を集め続ける。
いや、注ぐようにではない、怒りに任せた少女はほぼ全ての力をこれに注いだ。

すっと手を伸ばす少女。
その先に、丘を覆うほどの目に見えぬ力が発生した。

タマモ > 「潰れてしまえ」

ぽつりと一言、同時にその手を振り下ろす。
それに合わせるように、丘を覆う力は下方へ…いまだに砲撃を続ける王国軍の元へと叩き付けられた。

魔導砲の砲撃のような派手な爆発も、轟音もない。
ごしゃっ!
硬い物がプレス機で押し潰されるような、そんな音。
その音が響いたのち、丘の上には沈黙が訪れた。
並んでいた砲台も、そこに居た者達も、もはや原型は留めてない。
ぺしゃんこになった金属、そして地面に広がる赤い絨毯だけとなる。

静かになった赤い大地へと、ふわりと少女は着地する。
ふらりふらりとふらつく小さな体、だが、広がる丘の光景を見詰めるその瞳は冷たいものだった。

タマモ > 「………」

ふらふらと少女は都のよく見えそうな場所へと移動をする。
ぺちゃり、ぺちゃりと赤い絨毯の上を濡れた足音を立て、潰れた金属の塊を避けるように。

足を止め、目を閉じる。
深呼吸をし、再び意識を集中する。

そんなに大量ではないが、ここに漂う無念の感情は己の力となる。
今まではそんな事をした事はなかった、そんなものを力として取り込む事にどこか嫌悪感があったから。
だけど、ここに居る者達は…別だ。
怒りゆえにまともな思考が働かぬまま、集中し続ける。
ゆっくりと、本当にゆっくりと、黒い感じが集まってくる。
それは徐々に疲れ切っていた少女の体を、少しばかり癒していく。

ご案内:「ティルヒア都 郊外」にオーギュストさんが現れました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
オーギュスト > 「――まぁた派手にやってくれたもんだなぁ」

一足遅かったようだ。
司令部に顔を出し、お小言をくらってから戻ってみれば、見事にまぁ砲兵部隊は全滅していた。
魔族相手ならばよくある事なのだが、流石にこれはひどい。

「たっかくつく新兵器なのによぉ、随分と簡単に壊してくれるじゃねぇか」

大剣を担ぎながら少女へゆっくり近づく。
この男にしては珍しく怒りを隠さない。まったく、面倒な事をしてくれるもんだ。

タマモ > なんとか力は少し戻った。
ゆっくりと瞳を開き、改めて、破壊され尽くされた都へと顔を向けようとし…それに気付いた。
その視線に映る者、それは…見覚えがある、以前、南海の船上で偉そうにしていた人間だ。

「………それはこちらの台詞でもある、言わずとも分かるじゃろうな?」

相手は確か王国側の人間、ならばとその手元に扇子と唐傘を呼び戻す。
…まだ少しふらつくか、だが、この人間を前に逃げるのは…
いつものように唐傘を肩にかけ、扇子を手に油断なく睨み付けた。

オーギュスト > 「あの都の事か?」

視線を千年の女王の都と呼ばれたティルヒアに向ける。
今も戦闘が続き、王国軍と女王の僕たちが殺戮を繰り広げる都。
あちこちに砲撃の跡が燻っている。効果はあったようだ、あとで報告を纏めておくとしよう。

「国が滅びる時ってのはこんなもんだ。遅かれ速かれ全部焼け落ちて死ぬ奴は死ぬ。俺は手間を省いてやっただけだよ」

ふんと少女の言葉を鼻で笑う。
叛乱を始めたのはティルヒアであり、そしてこうなる事くらい覚悟してたんだろうとばかりの口ぶりだ。

タマモ > 「当たり前じゃ!」

怒りの感情も抑えず、その言葉に怒鳴りつけた。
普段ならば、相当な威圧感を相手に与えるだろうが…今はそれがない。

「ふざけるでない!そうであったとして、もっと手段というものがあったじゃろうに!?
こんな、何もかも跡形も無く失せさせるような所業、許される訳がないじゃろう!?」

笑われた事に更に頭に血が上ってしまう。
投げ付ける言葉は戦に赴く人間が聞けば、間違いなく甘過ぎる思想だ。
少女はティルヒアから仕掛けた事を知らない、ゆえに、目の前の男の言葉を理解する気は無い。

オーギュスト > 「許される?」

男は笑った。
それも豪快に、呵呵大笑した。

「ならどうすれば良かったんだ?
正々堂々正面から乗り込んで、『一騎打ちで勝負を決めよう!』なんて言えば良かったのか?
はっ、そいつはいいな、予算が少なくてすむ」

侮蔑の意思を隠そうともせず、男は九尾の少女を見下ろす。
オーギュストは将軍であり、この戦争の遂行者の一人だった。
その彼に、戦争に対する疑問は許されない。

「あの女王はな、自分の持ち物全部を俺達との戦争に賭けたんだ。
そして負けた。惨めにも敗北し、取り返しがつかなくなった。
敗者は全てを失い、勝者に奪われ、犯され、殺される。それが戦争ってもんなんだよ、ガキ」

男はゆっくりと大剣を構える。
傍の士官がぎょっとしたように見つめるが、構わないよう命じた。

「力ある者が、誰かに許しを請うわけねぇだろうが」

タマモ > 「こ、こやつは…!」

どうすれば良いのか?その答えを出すには少女にはあまりにも戦争というものを知らない。
何か気の利いた台詞の一つでも吐き出せれば、そう思うが浮かばない。
それもあってか、その侮蔑を含む言葉にわなわなと怒りに震える。
ぎちり、唐傘を握る手に不必要な程に強い力が篭った。

「まだ…まだ負けてはおらぬ!
まだ全てを失うには早過ぎる!
その台詞、勝敗がきっちり着いた時こそ言う台詞じゃ!」

そう、まだティルヒア城は健在だ、負けてはいない。
まだ勝機は………
そこで思考が止まった、確かに今は敗北をしていない。
だが、少女から見ても今の流れは敗色の色しか見えていなかった。

ふらつく体に鞭を打つ様に、男に合わせ構えをとる。

「…ならば、それはお主ではない…妾じゃ」