2015/11/29 のログ
ご案内:「煉獄の宮殿」に魔王アスタルテさんが現れました。<補足:外見10歳、身長130cm。黒いワンピースを着て、悪魔の翼を生やす魔王。四天王を引き連れている。>
ご案内:「煉獄の宮殿」に魔王ハスターさんが現れました。<補足:イカした紺色の袴を着たおっさん。>
魔王アスタルテ > 【続きだよ~】

(大半の魔族は、生死の概念が存在する。
 魔族が人間よりも強力であったとしても、生きている限り死ぬのだ。
 エレノアに申し出に、ロータスは頷いた。
 そして彼女に『ああ……』と、一言返すのであった)

『よければ、是非ともアドバイスをお願いしたい。
 どうも、キーボードがうまく弾けなかったところなのだ。
 何気に、ギターよりも難しいと思っていた。
 今度、キーボードを教わりに、そちらにお邪魔してもよろしいか?
 ドラムは、今のところなんとかなりそうだ。
 我等魔族は長生きだからな。
 こうやって、新しい事を初めてみるのも良いものだ』
(ロータスのメールもまた、少々堅い文面である。
 ロータスはそれなりに楽器は扱えているが、配下から下手と言われる程度)

『歌か。貴様の歌も聞いてみたいな。
 どんな歌を歌う?
 ふむ。件の冥界の艦隊のオペレーターか。
 貴様等もまた、この戦乱を楽しんでいるようだな。
 スケートを始めるなら、今度一緒に滑ってみるか?
 ふん……そうだったな、ノア』
(クールな会話の中に、さりげなくだがクールにデートっぽいお誘いをするタコ怪人。
 無論、ロータスにはデートのお誘いという感覚はない。
 友人に対してお誘いする感覚だ)


(どう盛り上がればいいか悩む弟分ドルフに、ブルートは答える。
『闘技場ってあるじゃねぇか?
 血沸き肉踊る戦いに、観客は喚くだろ?
 あれをちっとばかしスケールをでかくした感じでよぉ。
 盛り上がっていけばいいじゃねぇか。
 どうせこの戦争はどっちが勝とうが、俺達には直接関係ねぇからな』
(そしてまた豪快に、カツサンドを頬張るオーク大王ブルート。
 早速、この男は優雅なお茶会には向かない。ただし、その様子は男らしさはあれど、汚らしくはない。
 ドルフは、蘇生された直後は本当に暗かったものだ……)

『そうか。変わらず平和ってのもいいもんだ。
 俺ぁ、結構激しい任務に付く事も多くてよぉ。
 たまには、平和な冥界でのんびり過ごすのも悪かねぇと思うわけよ。
 冥界って良い場所だよなぁ。
 ドルフにも会えるわけだしなぁ』
(逆に、魔王軍領の《万魔殿》なんかは、大都会なだけに刺激だらけである。
 なにせ活発化している大規模な魔族都市なのだから)
『おう! 待っててくれよ!
 その時は、《万魔殿》産の上等な酒でも持っていくぜ。
 そっちの酒は久しぶりだからなぁ。
 楽しみだぜ!』
(お酒が飲めないアスタルテと違い、ブルートは四天王の中で最も豪酒。
 冥界でまた、ドルフとお酒を飲み交わそうと思うのであった)


「わぁ~、是非聞かせてよ~♪
 ハスターお爺さんは、歌がとっても上手いもんね!」
(ただし、選曲のセンスはびみょーだけどね!
 ちなみにアスタルテが謡う際は、振付とか歌声とか選曲など、どこかアイドルっぽさがある)
 
「あははー♪ 良い牛乳を確保するために、牧場と牛も確保しなきゃだよ~。
 戦場になってぶっ潰されちゃってる牧場は多いだろうけどね。
 もったいないなぁ~。せっかく、生クリームがこんなにもおいしいのにねー」
(ケーキもまた、アスタルテは優雅に食してみせる。
 ほっぺたが蕩けるように美味しいという表情はしつつも、それでもやはり上品であった。
 ハスターお爺さんもまた、割と上品に食事する)

(アスタルテの勇ましい笑顔もまた、すぐに無邪気なものへと戻る。
 ハスターお爺さんは、大切なハスターお爺さんだよ~。
 優しくて、素敵なお爺さん。
 そんなハスターお爺さんだから、甘えたくなっちゃう。
 だって、ハスターお爺さんの傍にいると、心温まるから。

 無邪気な笑顔からまた、眼つきが変わる。
 真剣な視線をハスターに向ける。
 そこには、魔王のカリスマを感じさせるものがあった)
「折れないよ。
 皆があたしを信じて、付き従う限りはね」
(すぐに、アスタルテは元の笑みに戻った。
 お爺さんの激励に感謝する。
 生き返らせるから良い。実際は、そんなわけがない。
 無論、アスタルテが望むものではない。
 アスタルテも含めて、皆この世界に生を受けて、精一杯生きているのだから。
 もちろん、裏方として手を貸してくれるハスターお爺さんにはいくら感謝してもし足りない。
 アスタルテとて、戦場はいくらでも見てきた。
 アイオーンの神話の時代から、激戦を繰り返してきている。
 魔族を守るために、“神”と呼べる化け物とも、幾度も戦ってきた。
 魔族らしき残虐性を発揮して、惨たらしい事をした事もいくらでもある。
 だが、やはり神龍ティルヒアは別格。
 言うまでもないが、こちらから噛みつくなんて事はまずない。
 だが再びこの地に神龍が現れたらどうだ?
 もっと言えば、今度は魔族の国に現れたらどうだ?
 そんな事になれば、アスタルテは決死の覚悟でティルヒアに立ち向かうだろう。
 同胞であり、導くべき魔族を救うために……。

 ハスターが親指を立てると、アスタルテもまた笑顔で親指を立てるのだった。
「ハスターお爺さんが背中を押してくれるから、あたしも頑張れちゃうね!」
(ハスターがおふざけ万歳なら、アスタルテは子供の如き無邪気だった)

「そっかぁ。
 サタンは魔王として立派な風格だけど、
 ハスターお爺さんはお爺さんで、あたしは素敵だと思うよ?
(ちょっとイカしてないかもしれない部分あるけどね。
 ちなみにアスタルテは若さ溢れているかもしれないが、これでもアイオーンの神話時代以前から生きている最古の魔族の一柱だったりもする。
 アスタルテも、魔王としてのサタンには敬意を称している。
 ハスターお爺さんは、配下に殺されちゃったりするからねー……。
 『怠惰』もまた、魔王っぽくない魔王の筆頭格かもだけどね。
 アスタルテは一応、魔王の自負を強く持っているし、実際に多くの魔族や魔物を率いている場面をいつも見かける事だろう。
 自国他国問わず魔族や魔物の統率、魔王のカリスマ、強大なる力、人間の国への侵略を画策、ダンジョンや魔族都市の開拓などなど、魔王っぽいと言えるだろう。
 だがアスタルテを魔王っぽくしていない部分はやはり、幼き少女の外見とその幼い言動だろう。
 普段の風格も合わせれば、やはりサタンは偉大だ)

「あははー♪
 なにせ『憤怒』の魔王だからねー」
(世の中、怒らせてはならない者が存在するものだ。
 間違いなく、『憤怒』の魔王サタンはその筆頭格といえるものだ)
「まあ、その程度なんじゃないかなー。
 サタンは、王国陣営に賭けてるからね。
 彼が王国陣営の第七師団に噛みついたのも、彼等の力を確かめるとかもあったかもだよ」
(アスタルテなりに推察していく。
 まあ、余興というのが一番の理由だろうけどね)

『相手が艦隊であるが故な。
 ゴロツキ師団もまた、中々の腕前であるという事だ。
 この戦においても、第七師団の戦果はよく耳にする。
 対魔族戦線にしては、人間相手にも奮戦するものだな』
(ロータスは、レタスサンドを掴んで冷静に口に入れた。
 その仕草は、アスタルテ程ではないが上品と言えなくもない。
 フォンロークと口にするノア。
 まあ、フォンロークは有名な家計なので、知る者も多かろう)
『艦隊と言えば、冥軍の艦隊は修理は順調なのか?』
(そんな質問をノアにしてみるのだった)

「まあ、また近い内にまたみんなで集まりたいものだねー。
 フェゴールちゃんと最近会ってないって魔王は多いだろうからね」
(大罪のみんなの顔を思い返しつつ、アスタルテは嬉しそうに語るのだった。
 ちなみにアスタルテも出席率はかなり高い)

「ところでハスターお爺さん。
 お爺さんの姪のロトちゃんの事で言っておきたい事があるんだよね」
(上品に、ティーカップを置いたソーサーをテーブルに置いて話しを振る)
「ロトちゃん、すっごく可愛いよね!」
(そして無邪気に目を輝かせるのだった)

(だが、ここからが本題と言った感じで、一段落置く。
 少々真剣な瞳に変わった)
「あたしね、鬼将ロトが気になってたんだよね。
 魔王クラスに強くて、強大な鬼で、それでいて義理高い。
 それにさっき言ったように、とっても愛らしい!」
(ロトに敬意を示す言葉を述べていく。
 最後の『愛らしい』は置いておいて、あくまで魔王としてのロトの評価だ)

「そんな鬼将ロトを是非とも、我が魔王軍に欲しいと思ったんだよ。
 だからあたしは、彼女を魔王軍に勧誘するよ」
(決定事項と言った感じでいってみせる。
 無論、それに対してロトがどうするかは、彼女次第)

魔王ハスター > 大半の、という物の道理から外れたものであっても、元はと言えば生死の概念に付き纏われるものである。
生まれながら不死であるもの等、そもそも存在しえない。
幾等長生きでも殺されれば死ぬし、死んだら生き返らない。

『えぇ。勿論。いらっしゃいな。ゆっくりお話ししにいらっしゃいな。
是非一緒に弾いてみましょう。なんなら、一曲セッションしてみるのも良いかもしれないわね。
…そうね、新しい物がないと、つまらなくなってしまうわ。』

無論と言うか、御誘いには快諾する。
普通の魔族も長く命があるのだが、死の概念が無くなってしまった冥界の者には、
殊更新しいものを好む傾向が強い訳で。
彼が楽器を始めたと言うのも、何だか新鮮だった。…何気に、ドラムは上手そうだと思った。

『あら?そう?…そうねぇ、最近はまっているのは儚さや哀愁をテーマにした歌を好んでいるかしら。
今度いらっしゃるときには、聞かせて差し上げるわよ。
えぇ、オペレーター。楽しいわよ、あれ。特に全軍命令出すのはね。
あら?エスコートしてくれるのかしら。そちらも是非行きましょう。万年雪が降ってる山だってあるしね。』

クールで冷めた会話の中にデートの花が咲いた…と、思ったら。お互いクールなままであった。
お互い仕事人間で忙しいもの。冷めた態度を取り合いながらも、微妙に付かず離れず。
親友や友人前後である。果たして彼等の関係は進展するやらどうやら。


『…成程。』

闘技場、確かにそうだ。人間たちが戦っていて。
それのスケールを大きくして。彼の言う通り、我々魔族には関係がない。
寡黙ながらも彼の雄弁に聞き入って頻りに頷く。どっちが勝っても良いから、沸き立てばいいと。
素直に彼の言う通りだと思った。

『ブルートさんは、どうです?…盛り上がってます?』

今さら聞くまでもないだろうし、盛り上がってるし盛り上げようともしているだろう。
亜人の統率者である彼は、その持ち前の男らしさで周りを沸き立たせるに違いない。
豪快な掛け声やそれでいて汚くない周りへの気遣いも出来る性質は、
だからこそ四天王や大王として選出された筈で。
なかばわかりきったしつもんをしながら、控えめにハムサンドを食べた。

『ん、長閑だからね…冥界は。そうですね、ブルートさんは、忙しそうです。
…あの。もしも、不慮の事故で死んでしまったら。その時は、こちらに是非定住して下さいね。』

死後も安泰。とはいえ、ブルートが死ぬ事などまあないのは分かっているのだが。
現在進行形で勢力を伸ばす魔王軍の中心都市の様な場所なのだから、
それはもう賑やかで変化も多い地区なのだろう。実際経過年数がどうあれど、
それらには、冥界にない若さと刺激に溢れていよう。スリリングな場所だ。

『えぇ。お待ちしています。…今度はどんなお酒が。
こちらは、いつものお酒を持って、待っていますからね。俺も、楽しみです…!』

ぐ、と片手で拳を作りながらやった、と内心で滲む嬉しさが隠し切れないドルフ。
《万魔殿》は発展している。故に、お酒の文化もそれに従い、年々美味なお酒が飛び出している。
別段彼ほどお酒に詳しい訳でもないが、あまり飲まないドルフでも、彼が推すお酒の美味しさは知っている。


「アッハッハッハ。勿論だとも。さぁて、んじゃまあ、そろそろ歌っちゃいましょうかねぇ?」

悲しいことに、おっさんはおっさんである。可愛い女の子が歌えば良いような曲をおっさんが歌うから実に微妙である。
彼女の歌謡スキルとかも、割とまぁまぁ知っている。プロデュースしたら小悪魔系女子路線でいけそうだ。多分。

「ふむふむ。良い牛と牧場…やれやれたいへんだなあ。でも、ひと段落ついたら、
ちょっとばかし、畜産でもやってみますかね。どうせ暇ですし。良い雌牛でも捕まえられりゃ良いんだけど。
ねー…勿体ないね。」

口につけない様にとか、溢さない様にとか。割合綺麗に食べるおっさんは美食家である。
優雅な紅茶の時間。可愛いながら上品さを忘れないのは、高貴な魔王であるが故か。

「ああ。」

一抹の魔王として在るカリスマ性。
それが垣間見えた。おっさんは何処か老いた仕草ながらも、笑って指を立てる。
彼女はそういう性格だ。幾多の魔族の為に自己犠牲を厭わない、そんな性格。
狂った神の龍、無論そんなものに自分から手を出す程彼女は愚かではないだろう。
だが、彼女は向こうが魔族に仇名したなら、例え勝機が僅か程しか見えなくとも、向かっていく。
おっさんはそれを止める事はしない。

「アッハッハッハ、ああ…その時は、頑張ってくれ。
龍に変身しちゃう可愛い女の子を、地を這うトカゲに調教してしまえよ。」

勿論、おっさんは裏方であれこれするだろうが。
正面から向かうのは、頭脳派で卑怯なおっさんのやることではなかった。
そういって、シリアスムードに幕切れをしながら、肩を揺らして能天気に大笑い。

「そうかなぁ。そう言ってくれたら嬉しいわぁ、お爺さん、それだけで生きがいがあるってもんよ。」

残念な部分は存在する。だが、それは仕方ないではないかとおっさんは思う。
今を生きる魔族、として。実際の年齢はどうあれなのだが…、兎も角、魔族の今の原動力になっている所が多いのは、やっぱり若いと言うのが適切だろう。

「そだなぁ…あんまり怒ってるとこ見たことないけど。」

『憤怒』の彼は意外と寛容である。魔王諸氏に対してだけだろうが、基本的にからかっても怒らない。
っていうか、怒らせたら…そう、怒らせてはいけない。戒めである。
普段怒っている奴程怖くないもので。であれば、サタンはかなりやばい奴だと思うわけで。

「ああうん…そんな感じだろうなぁ。…でも一番は、どうせ暇つぶしみたいなもんだと思うよ。」

あれで余興や享楽が好きな男だ。酒も女も嗜むんだから、やっぱり余興が一番適合しているだろう。

『…ねー。なんていうか、便利なもんよね、ゴロツキ連中の師団なんだもの。
もともと人殺しの集まりみたいなもんだから、人間相手も上手いんじゃない?』

さっきから甘いものばっかり食べてるエレノア。何気に美味しいオリアーブのケーキを沢山食べている。

『ん。…ああ、あのボロボロ艦船はもう無理ね。殆ど水底か、修理より作った方が早そうだから、
あれは捨てて、近いうちに新しいのを用意しようと思ってるわ。』

何気にお砂糖も紅茶に沢山いれながら飲んで、それでも割と冷静にクールな会話を続ける。

「んー…じゃあ今度企画書でも書いて集まってみようか。ううん…みんな元気してんのかねぇ。」

同じく、大罪に連ねられた面々を思い起こしながら頭を捻る。
そういうわけで、顔合わせの企画では、割と二人は良く合う。

「んー、何々?ろったん欲しくなっちゃった?」

勝手に推測する。片手間に持っていたナイフとフォークを置き据えて向きなおる。

「そうだね!可愛いね!」

うんうんとニヤけながら同意。とまぁ、これはおいといて。

「んー、成程ねぇ。確かに言う通り。…で、やっぱりろったんが欲しくなっちゃったと。なら…」

半ば予想道理だったし、何よりも、彼女のやる事は勧誘だった。
それをするのは構わないし、おっさんも色々と彼女の行方に思う所はあった。
彼女は、不老不死ではあるが、死んでもいないしまだ若いと。
見知らぬ吸血鬼の城で腐らせるならと思って自身の下に連れ戻そうと考えたが、

「大事にしてやってくれよ。」

彼女の下なら安心できる。
自身の変化のない田舎より、彼女の変化の多い大都会の方が、生真面目な彼女には向いているだろう。
そして、勧誘に対する彼女の答えがどうなるかは、叔父であるおっさんは分かっていた。
勿論彼女に選択権はあるだろうが、彼女はきっと、アスタルテの下に行くだろう。
若いうちに、色々経験させた方がいいのだ。会えなくなるわけでもない。
だが、ずっと会えるわけでもなくて。この間、彼女の父親が逝去して、晴れて彼女の肉親となる者はいなくなってしまったらしい。
だからというわけではないが、彼女は行く先も自由になった。
それでも、嬉しいんだか寂しいんだか、恐らくはその両方であろう。
そんな複雑な感情を抱きながら、彼女に一言言い添える。「大事にしてやってくれよ」と。
真剣な眼差しに、溢すように真剣な声。それ以上、真面目な言葉は不要だろう。

「ま、愛らしいしね、仕方ないね。」

そのあたりは、彼女に同意である。
おっさんは時折真面目でカリスマで決める時は決める男だが、それ以外は兎に角おふざけを繰り返す輩だ。
これがなければサタンと並べたかもしれないのだが、こういう立居振舞こそが、
おっさんが『酔狂』たる原因なのかもしれない―――。

魔王アスタルテ > 『それでは、後日伺わせてもらおう。
 そうだな、ノアと曲を奏でてみたいとも思っていた。
 ギターの方は、エレキもベースもまだ始めたばかりでな。
 永く生きれば、時代の変化にも慣れてしまうからな。
 だが、その新たに訪れる時代には、また別の娯楽などがあるものだ。
(ロータスのドラムがうまい事は、触手の多さからイメージできるかもしれない……多分。
 四天王もまた、物凄く長生きである。
 魔族の中でも、かなりの古参といえるだろう)

『それはまた、物悲しげになる選曲だな。
 だが、だからこそ心に響くものがある。
 マグメール王国は今、悲しさに惑う者も多くいるからな。
 そんな者達の中に、哀愁をテーマにした作曲をする者もいるだろう。
 是非とも、ノアの歌を聞かせてもらおう。
 楽しみにしているぞ』
(貧しき者、虐げられた者は、悲しげに歌ったとしても、
 逆にマグメール王国には楽しげに裏う楽団も多かろう。
 それにしても、全軍命令をごっこ遊び感覚で語るのは、さすがはハスターのメイドである。
 兵達に生死の概念がないからこそとも言えるだろうか。
『そうか。ノアが楽しんでいるなら、結構。
 ああ。それでは、魔族の国の北方にあるあの雪山にするか。
 イエティとスノードラゴンが住みついているが、まあ問題なかろう)
(イエティはともかくスノードラゴンは強力だが、ノアやロータスの敵ではない。
 ロータスもまた、クールにデード内容を決めていくのだった。
 彼等の関係は、もう気が遠くなる程の時間、進展なしという……)


(闘技場という例えに、ドルフも納得したようである。
 盛り上がってるかと聞かれれば、ブルートは即答した)
『あたぼうよ!
 せっかく、魔王様方がどちらの陣営に勝つか賭けているんだぜ!
 じゃあ、主様が賭けている方をなんとなく応援して、楽しもうじゃねぇか。
 おめぇと俺で賭けに興じるのも悪くねぇな。
 どうよ?
 丁度、ハスター殿とアスタルテ様は別々の方に賭けいる。
 お互いの主が賭けた方に、賭けてみねぇか?』
(ブルートは、そんな提案をしてみるのだった。
 彼はその男らしさ、兄貴分な気質により配下を纏めている傾向が強い。
 実力もさる事ながら、ブルートにもまた魔族や魔物を束ねる魔王としての素質があるのだ)

『死者の前で言うのもなんだがよぉ、
 簡単に死んでたまるかよ!
 そういう意味では、しばらく冥界には世話にならねぇよ。
 無論、旅行や仕事では冥界に行くがよ』
(男らしく、自身の死を否定してみせる。
 死ぬ気などさらさらないのだ。
 だが、配下などがピンチの時に男気を見せて庇ってしまう事もあるので、
 不慮の事故での死というのは、全くないとも言い切れない。 
 そしてブルートは、ケーキも片手で掴んで、豪快に食べる)

『俺もお勧めの良い酒を持ってきてやらぁ!
 おう! やはりあの酒を飲んでこそ、冥界って感じがするぜ!
 酒の後は、温泉でも入ろうぜ!
 男二人で裸の付き合いっつーのもいいもんだぜ』
(ブルートは、豪快に笑うのだった)

【前半だよ~】

魔王アスタルテ > 【後半だよ~】

「あははー♪ それじゃあ、カラオケセット用意しよっか。
 ちょっと待っててねー」
(このお爺さんが、可愛い女の子が歌うような曲を選ぶものだから、正直びみょー。
 歌唱力がもったいない気も、その歌唱力がむしろネタとして輝くともいえるだろうか。
 ちなみにアスタルテをプロデュースすれば、小悪魔系幼女路線でいける事間違いない。
 アスタルテは、壁際に立つ配下の一体を適当に指名して、指示を出す)
「それじゃあ君、カラオケセット持ってきてよ~」
『かしこまりました!!』
(その配下は部屋から出ていく)

「工場だけあっても、良い牛乳がないとだからね。
 名産物なんかは『暴食』のベルちゃんが物凄く詳しいね~。
 オリアーブでも、特に良い牛がいそうな牧場とか知ってるんじゃないかなぁ」
(むしろ、こういう話こそベルゼブルの出番だ。
 『暴食』領には、食料関係で魔王軍もお世話になっている。
 お爺さんもまた美食家であった。
 こーいうところは、やはり高貴だと思えてくる) 
 
(老いた仕草をしながらも指を立てるお爺さんに、無垢な笑みを浮かべる)
「ティルヒアちゃん、可愛いもんね!
 調教しちゃって、ティルヒアちゃんをえっちくするよ!」
(裏方なお爺さんを頼りにしている。
 アスタルテも外見に反して頭脳はあるものだが、それ以上に『憂鬱』の鎖に縛られているのだ。
 そしてシリアスなムードは幕を閉じる。

 アスタルテの言葉を生き甲斐と言うハスターお爺さんに、微笑む。
 ハスターは素敵だ。まず、孫のように甘えられる!)

「そりゃあ、サタンが頻繁に怒っちゃったら、大惨事だよー。
 もうね、天変地異が起こってしまうね!」
(絶対に怒らせてはいけないあの方、って感じだよー。
 まあ、そう簡単には怒らないという意味でも、アスタルテは彼を信頼していた。
 もしサタンを怒らす者がいるならば、怒らせた側が悪い。
 少なくとも、アスタルテはそう思う。
 ロータスは、アスタルテの言葉に反応する)
『サタン殿を逆なですると天変地異が起こってしまうわけですね。怒ってしまうだけに』
(ロータスはそんな言葉を真面目な感じで冷静に言ってのける。
 するとあまりの寒さに、四天王の二人、スライミーとブルートが氷りついた)

「暇つぶしには、違いないねー」
(自分の推察を述べた後、ハスターにも同意する)

『ふむ……。基本的に人間よりも魔族の方が強力な場合が多いからな。
 魔族相手に揉まれたゴロツキ集団ならば、人間相手でも多少問題ないといった感じか。
 ティルヒア陣営には魔族がいる事も、第七師団がこの戦争で活躍できる理由の一つか』
(ケーキを食べるノアをロータスは静かに眺めるのだった)
『かなり破損が激しいのだな。
 神龍にやられたのならば仕方がなかろうか……』
(神龍は、オリアーブ各地に被害をあたえたものだ。
 ロータスは、ケーキを食しながら話すのであった)

「わぁ~い♪
 みんなに会えるなんて、すっごく楽しみだよ♪」
(はしゃいで喜ぶアスタルテだった)
「次はどこで集まるのがいいかな?」
(そしてわくわくしながら、目を輝かせるのであった。

 欲しくなっちゃった?
 というハスターの質問に答える)
「端的に言えば、そうなるね」
(ロトを勧誘する。
 だがその前に、親しきハスターお爺さんには、ちゃんと言っておきたかった。
 だって、ハスターは大事なお爺さんで、ロトはお爺さんの姪だから。
 もしハスターが拒否するならば、アスタルテは身を引こうとも考えてはいる。

 ハスターから返ってきた答えに、アスタルテは頷いた)
「もちろんだよ。
 ロトちゃんは、ハスターお爺さんの姪だもん。
 絶対に、泣かせたりなんてしない」
(無邪気な彼女は、少なくとも今この場にはない。お爺さんの孫としてのアスタルテも、今だけはここにいない。
 魔族を束ねし魔王として、一君主として、アスタルテは答える。
 ハスターは、ロトを任せてくれた。
 任せてくれたからには、絶対にそれに応じる。
 そんな高い意志が、アスタルテにはあった。
 田舎の族長が姪を都会に送る、そんな感じだろうか。
 無論、ロトがアスタルテのもとに来ても、いつ何どきもハスターは彼女に会える。

 ハスターもまたアスタルテと同じく、時折カリスマを見せる。
 その瞬間が、アスタルテはたまんなく好きだ。
 無論、おふざけするハスターも好きだけどね。
 ハスターは、こーいうかっこいいところが素敵だと思う。
 おふざけだけではない、決める時には決めてみせるのだ)

魔王ハスター > 『えぇ。今度館にでもいらっしゃいな。良い楽器も揃っているけれど。
始めたばっかり…なら、そうね。やっぱり楽器を選ぶことから始めるといいんじゃないかしら。
それから、少しずつ音合わせしてみましょう。その内配下の方でも呼んで演奏会出来れば良いわね。
どんなに上手くっても、手に遭わない楽器はだめよ。何なら、色々と試してみましょう。
そうね、時代と共に様々な文明が現れて進歩するもの。娯楽もその時々で、変わって行くわ。』

彼なら64分音符とかも華麗にさばいていそうだと思うエレノア。
一方で、沢山の手がある分、様々な楽器に気を配らねばなるまいと、初歩的な事を提案しつつ。
此方に来てもとより。大分と付き合いが長い関係ではある。

『そうね…。冬と春の境を歌って、儚く散る花。けれどそこに残るのは絶望だけではなくって…。
最近のはやりってわけではないけれど、確かにマグメールには悲しみが降り下りているわね。
彼等の悲哀や生死感を謳うのも一つ面白いかもしれない。
えぇ、こちらこそ。是非いらっしゃいな。』

意外と詩人。楽しみにしていると言われれば、顔には出さねど得意気に答えて。
彼女はクールではあるが、大分と酔狂系の者である。無表情でひゃっはーとか言ったりするし、
これでおふざけやギャグが好きでもある。全軍命令を出しながら僅かに意気高揚して、
自身の命令で艦船の陣形が変わって行く様を眺めるのは、楽しいもので。

『ん…ああ、あそこね。亜流種が吹雪を吐いているなら、
ちょっと滑るにはハードコースだけれど、それが逆に良いかもしれないわね。』

ちょっとしたスパイス感覚である。雪山でスノードラゴンに吹雪を浴びせられながら、
その中で二人スキーをしてクールに語り合う、何とも冷めたデート予定が決められた。
尚、二人の古参さから分かるが、結構初期から知り合って仲もいいし、結構一緒に出掛けるのに。
ずっとこの関係である。多分お互いあんまり意識していないんじゃないのだろうか。
何かの拍子にくっつきそうなのかもしれないのだが。全くそんな事もなく。

『成程…そうですね、楽しみましょうかっ!』

元々魔王として存在できるほどの素質を持っている魔族だったのだから、
というか、今もある意味肩書としては魔王の様なものなのかもしれない。
そんなオークの大王に鼓舞されて、元気が出てきた模様で。

『そうですね…では、賭けに…はい。そうしましょう。その方が、盛り上がりますものね。
…負けませんよ!…な、なんて。』

別にブルートと勝負するわけではないのだが。
気を利かせてくれて気が楽になって。ちょっぴり強がって、あはは、と笑った。
何を賭ける訳でもないが、こうして気を利かせてくれると、勝っても負けても気分が良い。

『えぇ、現役の寿命を全うして下さい。ブルートさんは、獣人の皆の誇りでもありますしね。』

不慮の事故は、意外と在り得る。死んでしまった後の保険はあるけれど、そんなもの彼は望んではいないだろう。
彼の性格はよく知っている。仲間が死にかけたら庇って自分が傷つく様な男気のある性格だ。
死ぬ気が全くないといった彼の態度に、控えめながらも言葉通りに生きてくれと告げて。

『じゃ、じゃあお酒を沢山飲み交わして、お風呂、ですね。
背中流したりとかは出来ませんが…!でも、一泊二泊、好きなだけ泊まって行って下さい。
良い観光地もありますしね。良い露天風呂も用意しておきたいです。』

ともあれ、そんな豪快で格好いい兄貴分には、是非とも、何度でも来てほしいと思って、
あれこれと思いつく限り持成せないか、寡黙ながらも一生懸命並べて述べた。

「んー、楽しみに待ってるー。今日は一杯音楽入りのディスク持ってきたからねー。」

満面の笑みでおっさんは楽しそうにその時を待つ。
キャピキャピした異界の曲は、何でもえろげそんぐだとかぎゃるげそんぐだとかいうワケのわからん曲である。
このおっさんが可愛い女の子だったらさぞ萌えたろうに。現実は非情である。
また、アスタルテはと言えば、普通にキャピキャピしてても問題ないという…はて。
こうしてゆったり構えている間に白羽の矢が立った配下がカラオケセットを持ってこようと部屋から出ていった。
長閑だなぁ、とおっさんは紅茶を飲みながら、今日はどんな曲を熱唱しようか考えていた。
歌とは、時に士気高揚にも用いられるし、式典何かにも使われる。
今日は…。
「そうだなぁ。」
彼女と神龍が対峙するときのそれも、自身の姪を送り出すときのそれの、祈りも込めて。
何となく、柄でもないのだが、胸が熱くなるような歌でも歌ってみたくなった。

「あー…あの子は食べ物はようしってるしなぁ。眷属にも、食べ物になる動物がいたっけ。
今度会ったら聞いてみようか。牛の育て方も知ってそうだし、良い牛乳の取り方も知ってそうだ。」

頼んだら一杯食べ物が出てくるって事で。
食事関連で彼女の右に出る者はいないだろう『暴食』の魔王を思い浮かべる。
食べる量も、美味しさも、彼女には敵わないだろうし、一から育てる方法もちゃんと知って居そうだと思う。

「アッハッハッハ!そうかそうか、ならば奴さんにゃ首輪をかけてやらないとな。
ペットのように扱って愛でてやると良いぞ。うむ。」

冗談を言いながら、匂ったシリアスの空気が終わって。
こうして無垢ながらもその裏で多大な思考を巡らせるのは、おっさんも知っている。
苦労しているんだろうって思うけど。苦労している分甘えれば良いし。
彼女は自分に厳しいから、甘える分量は弁える。
おっさんは、だから彼女に厳しくすることはない。爺の様に甘えてもらって、共に遊んで楽しむ。

「まぁ…あのサタンきゅんだもんなぁ。まじで。」

怒らせた奴はただでは済まないのは明白だし、
アスタルテが思う様に、おっさんもサタンを怒らせたなら怒らせた側が悪いと思う。
彼はあれで人が良い。といっても、同じ王族には、だが。
そんな紳士的で気前のいい厳格な彼を怒らせられるなら、逆にたいしたものだと思う。
「氷の魔法かね。」
ついでにおっさんも凍り付いてしまってた。だが、逆にユーモアに溢れると思いもする。
傍のエレノアが紅茶吹きかけてた。クールだから沸点が低い。
ドルフはギャグなんか露も知らず、話してたブルートがいきなり凍りついたものだから、
食べてたものを一気に飲み込んで彼の肩を揺らす始末。

『確かに、それもあるわね。…あれは魔族と戦いなれてるから。
近年、人間の国に忍び込むためって、特に魔族も人型に化けてるのが多いでしょう?
だから、じゃないかしらね。人間なんて、人型魔族の劣化だし。』

ふぅ、と一息吐いて落ち着けば。

『えぇ。酷いものよ。艦艇がボロボロでね。…ああ、そうそう。良かったら今度、どう?
艦隊のオペレーター、やってるのだけれど。少し南海で遊んでみないかしら。』

更にさらに御誘いである。割合二人は何でも結構一緒に遊ぶ。
スポーツしかり、演習然り、音楽しかり。…なのだが、何故にか普通の友人でしかない。

「おじさんも楽しみだなぁ。『強欲』のヤツや『愚痴』のヤツは元気してるのかねぇ。
ベルフェたんは最近起きたから良いとしても。」

おっさんは、『憂鬱』や『憤怒』の他にも気にかけている魔王はいる様で、ふと溢した。

「そうだね。…んー、次はどうしようか。」

ナチュラルにアスタルテの無邪気な様を撫でやりながら、色々な場所を思い浮かべる。
皆で楽しめる場所。といえば。然しみんなが集まった時点でどこでも楽しめそうな気がして。
だが、最近『煽動』が行方不明だという物だが、あれは大丈夫なんだろうか。

「灼熱火山でバーベキューとかどうだろう。ベルたんにんまい牛肉とか持って来てもらってさ。
おじさんはお酒―――って飲めないんだよねぇ。」

またハードな場所をチョイスしたもので。
『暴食』であるかの魔王に食べ物で右に出る者はないが、
『酔狂』たる魔王のおっさんに酔たる酒で右に出る者もそういまい。おっさんは、美酒を好む。
だが、如何せん酒が飲めない魔王も居るので困る。

真剣に見つめ合う眼差し。
彼女は、魔王の王たる、大都会の主として。
おっさんは、彼女を親として、愛情持って育てた義理の父として。
嘘偽りはない、言葉を使うよりも心を読むよりも明らかなやりとり。

「あんなに堅い子だが、良い子なんだ。…ありがとう。宜しく頼むよ。」

紡いだ言葉はと言えば、自分の娘を紹介するかのような、短い言葉。
元々、必要なことだけを話すなら、聡明な魔王同士の間に多くの言葉は不要だ。
一抹の切なさが泡のように消えれば、彼女の確信的な答えを聞いて、顔が緩んだ。
彼女の下なら安心だと、おっさんは思った。
自分の下に置いておくより、沢山の経験が出来るだろう。
冥界という変化のない永遠の世界より、急進的に発展を遂げる魔界へと。
会えなくなるわけでもなく。永遠の別れでもない。
何より信頼し合う彼女にだからこそ、安心して任せられるし、
自分が真剣になって言葉を交わすタイミングで、彼女も真剣になってくれる。
良くも悪くも鬼の彼女は進化をした。自分の知らない彼女だが、より強くなった彼女を持て余すことにもなろう。
アスタルテになら、その魔王級の強さを生かすことが出来るし、言った言葉はきっと守ってくれる。
お互い相違ない。カリスマも信頼も、持ち合わせているからこその魔王で。
彼女と彼女の意思を汲んで、おっさんは姪を快く引き渡す事になるだろうか。それが分かるのはまだ先の話だが。
おっさんは彼女が魔王軍に行く事を予感していたし、或いは望んでいたのかもしれない。