2015/11/26 のログ
魔王アスタルテ > (イケてないとよく言われるお爺さんの謝罪を見て、
アスタルテは無邪気ににこりと笑った。
それより、お茶会を楽しんじゃおうよ!
トップに次ぐ地位。
ナンバーツーよりかは、そちらの方が適切かもしれない。
暗に自分も大変だと仄めかすエレノアに、ロータスもまた察するものが多かった。
ロータスは、ティーカップに口をつける)
『やはり、件の神龍が暴れた事による魔族の犠牲も大きくてな……。
魔族救援部隊の総司令であり、同胞である我としては心が痛む。
その申し出ありがたい、エレノア。
だが貴様も、大変な身であろう……』
(効率的で頭が良い。ロータスはそういった面でもまた、四天王としてアスタルテに信頼されている。
そしてロータスは、エレノアの申し出に対しても紳士的に返すのであった。
だが実際、頼れる時に頼れるエレノアはありがたい。
エレノアもまた、魔王ハスターの有能なる右腕だ。
プライベートを聞かれると、ロータスは一度頷く)
『そうだな。
最近、一人バンドを初めてな。
この触手の多さから、一人で同時にあらゆる楽器を演奏を出来るわけだ。
だが悲しきかな……配下には、あまり上達していないと言われてしまってな……。
貴様は、最近の様子はどうだ?』
(こちらでは、クールな会話が繰り広げられていた)
(兄貴分。まさしくブルートを表している言葉である。
ブルートは、ドルフに親しみを込めていた。
暗くなりがちなドルフに、積極的に絡んでいくのだ。
ドルフから冥軍艦隊の様子を聞く)
『ほとんどの艦艇が沈没で泊地もボロボロ……。
まぁなんだ。吹っ飛んだ予算は戻りはしねぇが……、
せっかく魔王様方は、楽しく賭け事に興じているんだ。
俺達も盛り上がって、楽しんでいこうじゃねぇか!』
(ドルフの背中を軽く叩いてみせる。
不死の軍団だから、まあ命の心配は無用だろう。
そしてまた、ブルートはローストビーフサンドを掴み、豪快に口に放り込む)
『ところで、最近の冥界の様子はどうよ?
俺ぁ、最近冥界に行ってなかったからよぉ。
また今度、プライベートでお邪魔させてもらうとするぜ』
(ブルートは、最後に冥界に行ったのはいつだったか、思い返しているところだった)
「後で、歌も歌っちゃおうよ~♪
オリアーブのケーキは、とってもおいしいからね。
特に、《千年の女王の都市》名産の生クリームはたまんなくてね。
それを使ったショートケーキが絶品なんだよ」
(アスタルテは、普段の子供のような仕草からは考えづらい程に、優雅な姿勢でティーカップに口をつけていた。
この幼女、食事マナーとかその辺りはかなり良い。
可愛い女の子が強い龍に変身するのは萌える。
それは、アスタルテにとっても大変同意だった。
だが、ハスターお爺さんの表情は笑っていないので、アスタルテも真剣に彼の話を聞いていた)
(ハスターお爺さんからの『無茶しないように』という言葉をとても嬉しい。
お爺さんから心配してもらえるのは、凄く心が温まる。
自分の事を大切に思ってくれているハスターお爺さんには、いつも感謝している。
そんな大切なハスターお爺さんに、アスタルテは孫の如く微笑んでみせる)
「ありがとう、ハスターお爺さん」
(アスタルテに、過信も慢心もない。
“神”の力は強大すぎる……。
それは、誰もが理解する事実。
何もなければ、出来れば相手にしたくない。
だけど、目の前で多くの同胞が無残に消されていく光景なんて見たくない。
そんな光景、我慢ならない。
アスタルテは魔王なんだ。
魔族や魔物達を率い、導く者なんだ。
だから、みんなをしっかり守っていかないといけない。アスタルテには、その使命がある。
例えそれが『憂鬱』の鎖に縛られるという形であっても、アスタルテは自らの信念は曲げない。
そんなアスタルテはやはり、『憂鬱』なのだ)
「だけど、あたしには魔王としてちゃんとやらなきゃいけない事があるからね」
(アスタルテの微笑みは、だんだん勇ましいものに変わっていく。
ここでお爺さんの『憂鬱』な表情は終わる)
「あははー♪ サタンの堂々たる風格は、まさしく魔王だからね。
そっかぁ、サタンは相変わらずって事だねー」
(サタンのあの風格にかなう魔王も、そうはいないだろう。
常時のアスタルテは、もはや外見の幼さにより風格を漂わせるという面では大きく不利。というか、アスタルテはむしろキュートなタイプ。
厳格さも、もはやサタンの右に出るものはどれ程いるか……。
分かりやすく魔王らしいと言えば、まさしくサタンだ)
「どうやら、サタンは第七師団の野営地に乗りこんだようだね。
さすがに、火山が出来る程サタンも本気出さないよー。
結局、第七師団にあまり被害を出さずに帰ったようだからね。
間違いなくサタンにとっても、完全な余興だよ」
(直接は見てないので、詳しくは知らないといった様子。
だがこの話は、第七師団の間では噂になっているとか。
セレネル海でのクラーケンVS第七師団の艦隊の話を振られると、ロータスは咳き込む。
まあ、親しき関係であるエレノア及びこの場にいる全員に対して隠す話でもないので、ロータスも正直に話すが)
『あの魔物は、我の指示により配下のクラーケンがやったものでな。
別けあって、第七師団の艦隊に攻撃させてもった。
第七師団と海軍は中々に強力であり、さらにフォンローク家のオルヴァの介入もあり、クラーケンは撃退されてしまったがな』
(クラーケンを撃退したのだから、かなりの艦隊であったのは間違いない。
尚、クラーケンは今療養も終わって元気だ)
「あははー♪ そうだね~。
また皆で集まりたいなぁ。
『怠惰』のフェゴールちゃんなんて、一世紀間眠っていて、起きたのはつい最近なんだよね。
中々、みんなで集まる機会ってなかったよね」
魔王ハスター > 『…そうね。』
冥界の者は、生死の概念がない。だが、彼等や、彼等が護るべき者にはある。
大罪の魔王連合は協力関係だし、こうして組織以上の信頼関係もあって繋がっている。
故に、彼女はワントーン音程を下げて、物憂げに呟き心が痛むとの事に同意するのだった。
『えぇ、けれど。私に時間はいくらでもあるから。もしあなたが望むなら、
その無数の手が足りなくなったなら、何時でも連絡しなさいな。』
やはりやんわりと彼は大丈夫だと答えるのだ。であれば、彼女もそれぎりで話を切る。
二人はメル友…よりこの世界風に言うのでれば、通信魔法で文をやり取りする関係でもある。
ただ、内容はお察しの通り堅いのだが、途切れることがなく、一日三回往復する辺り、
二人とも多分楽しんでるのだろう。
彼のプライベートについて、ふむと一声入れて紅茶を飲み、ことりと小さな音を立てて向き直る。
『成程。それはそれは。…是非、見て見たいわ。
私、キーボードとかピアノとか、鍵盤ものなら出来るからアドバイス出来るかもしれないし。
少し、新鮮だものね。何よりも。』
興味津々そうだが、相変わらず無表情。顔ではなく言葉で告げるタイプである。
故に、メイドさんのメール…というか、文通の通信魔法に、顔文字めいたものはない。
因みに貴族風のたしなみとして、彼女に鍵盤楽器はお手の物である。
ギターとかは出来ない。
『私は…そうね。』
何か面白い話をと考える。暫し頭を捻るけれど、
毎日が享楽続きの冥界だ、面白い話は沢山あるけれど、その中で何を選ぶかというとまた難しいし、思い浮かんでも来ない。
そんな思考を巡らせると、返って何も思いつかない。
『御歌でもやり始めたかしら。後は、艦隊戦のオペレーター?…うーん、他には、
そろそろ冬だし、スケートでもやろうかしら、なんてね。ああ…私のことはノアで良いわ。言わなかったかしら。』
一通り思いついたものを上げた。ついでに自身のニックネームを述べつつ。
陽気にカッコいい兄貴分が高揚させてくれる御陰か、幾分か元気づいた様子で。
『はい、その…ありがとうございますっ!盛り上がる、と言いますと…しかし。
ううん、どのような、感じでしょうか。』
と、まぁこっちはこっちで完全に弟分なのである。
お陰様で、生き返った当初より、これでも大分明るくなっていると思う。
何せ壮絶な死を遂げた男だ。この大人のなりで、自分に自信が持てない系。
向こうから話しかけてくれて、次々と話題を提供してくれるのだから、
ドルフにとってはとても嬉しいわけで。
『ん…冥界、ですか。そうですね、暫く見ませんでしたし…。
変わりませんよ、あそこは相変わらず。とても、平和です。』
秘匿された、この世にあるあの世の様な、永遠の命を持つ者が過ごす場所が冥界。
だから、生死もなければ変化もない。それが幸せかどうかは兎も角、
だが、勿論観光する者はいる。入れる魔族は限られているが、当然ながら四天王は歓迎されている。
『!…来てくれるんですか?!楽しみに、待ってます、から!』
目に見えて凄く嬉しそうな表情である。そりゃあもう、憧れの兄貴分が来てくれるんだから。
誘わずとも気を回して色々と言ってくれる彼は、ドルフの目からはとても頼りになるのだ。
さて、彼が前に来てくれた時も、ただとても楽しかった事だけは覚えている。
確かお酒でも飲んだのだろうか、…兎も角、それくらい曖昧な記憶になってしまうくらいの昔だったのだろう。
「おおーいいねー。おじさん今日この日の為に一曲めっちゃ練習してきちゃった♪」
おっさんは、歌がとても上手い。ただし、選曲のセンスは壊滅している。キャピキャピしている。
「ほうほうー、成程ねぇ。あほうのドラゴンがティルヒアを焼き尽くす前に、
生クリーム工場一個貰って行きましょうか。んまいわぁ、これ。」
口に広がる乳製品のコク深い味わい。良い牛乳を使っているのだろう。
彼女の貴族めいたテーブルマナーはおっさんも良く知っている。
何よりこの茶会の主催者は他でもない、彼女だ。赤絨毯、悪魔像、テーブルクロス。
これらが全て彼女によって発案された物なら、その優雅な御嬢様めいた紅茶の時間は、
彼女がただの幼女ではないと言う事を強く示している一時だと思いながら、
おっさんも割と上品に食事をするのだった。
彼女におっさんは、おっさんとしてではなく、お爺さんとして言葉を言った。
彼女の返事は―――、
「ああ…そうだったな。」
予想通りだった。
予想通り過ぎるから、爺は笑っているのか、悲しんでいるのか、自分ですら分からない複雑な表情になっていた。
いつもイヤらしくニヤけていた目元も、口元も消えていた。諦念なのか、羨望なのか。
彼女は一生懸命だ。魔王である、魔王としてあることに只管真っ直ぐ、闇を纏って紫色の光の様に向かっていく。
生と死を愚弄する自分にはない、今を生きて真っ直ぐ向かっていく、その勇ましさ。
狂う龍神に魔族と言う仲間を守ろうとする彼女は。
進む光は決して他の力では曲がらない。どんな壁があろうと貫くだろう。その明るさが薄れるまで。
だから。
「折れないでくれよ。」
爺には、激励するしかない。
勿論裏方で力は貸すだろう。だが、それ以上の事はしない。
おっさんが手を貸せばいくらだって卑怯な事は出来る。だが、そんなんじゃ意味がない。
彼女の同胞が消された後、それを全て魔術で生き返らせるなんて事を、彼女は望んではいないだろう。
彼女がやらなければならない、それが、きつく苦しい『憂鬱』な鎖となって彼女を締め上げている。
複雑な感情だ。戦場に子供を送り出すなら、きっとこんな気持ちなんだろう。
あのバケモノは別物だと、あれはどんな魔王ですら、例え他の神であってすら、凌駕するのだと。
爺も神性を持つけれど…それでもあれは相当なものだと思っている。
いつものようにニヤけて、親指を立てて。勇ましくあれと。
若い世代の希望の背を押した。
「あー…お爺さん泣きそうだわ。」
おっさんは、偶にだが、とても真面目になる。
だが、基本的にはおふざけ万歳だった。反動はでかいらしい。ニヤけながら熱くなった目頭を抑えている。
「んー、サタンきゅんはね。…ま、カッコいいってか。
お爺さんもあんな風になりたいねぇ。なぁんてね。」
不老不死で完全なる不死者のおっさんとしては、皆若く見えてしまう。
あんなにシリアスな話をした後で、しかも若さあふれる魔王を前にしているのだから、一層若さへの羨望が沸いてくる。
威風堂々でありながら、紳士的でイケてるヤクザ。おっさんは勝てない。
生真面目で真面で厳格で、正しく為政者の王としては彼をおいてほかはないだろう。
おっさん?おっさんは最下位クラスだ。『怠惰』とかと良い勝負するんじゃないだろうか。
魔王っぽくない魔王最下位争いで。アスタルテはといえば、どうだろう。そもそも大罪って魔王っぽくない魔王が多いから、
サタンが一強だと思うおっさんであった。
「ほうほうー。やることなすことおっそろしいなぁ。
ああんなおこりんぼサタンきゅんが降ってきちゃうだなんて、おじさんだったらちびってるわ。」
持成されておきながら、彼の事をからかう言葉を言うのはと言えば、(あくまでもおっさん視点で)それ程仲が良いからだろう。
事実、おっさんが何をしてもサタンが『憤怒』することはない。ただ、鉄拳制裁(ツッコミ)は…まぁ、それは。
「んー、成程ねぇ。ってぇことは、腕ブンまわしたくらいかね。」
戦闘を余興として楽しむあの魔王の事だ。手軽に自身の強さを示せるその手段を取ったんだろうとおっさんは推察した。
あの魔王にとっては余興であっても、振るった腕が何でも壊してく光景ってまじやばちょーこえーと思うおっさんであった。
『んん…そう、成程。クラーケン。随分大きな魔物を使ったのね。あら残念、流石はゴロツキ師団。』
当然だが、第七師団なんて魔族や魔王の間では嫌われている。理由は、きっと各々良く知っているだろう。
『それにしても、フォンローク…ねぇ。』
冥軍もその家計の女の艦隊と戦った。結果は、悪かった。否、最悪だった。
どれくらい悪かったかと言えば、何でも楽しむおっさんに少し不愉快な顔をさせるくらいだ。
第七師団にフォンロークと、厄介な連中も増えたものだとボヤきながら、ケーキに手を付けるメイドさん。
「んー、そーだねー、っつーか、何気に皆で集まった事ってあった?
ほぉら、ベルフェたんとか絶対欠席多いってー。予定とかスケジュールとか立てたいねぇ。」
尚おっさんは出席率ナンバーワンである。イベントジャンキーだから。
はてと思い返してみるが、沢山集まった事はあったが、全員で集まった事は果たしてあったかと思う。
ベルフェゴールが一世紀眠っていたなら、この一世紀はまず全員で集まった事はなかったのだろうが。
ご案内:「オリアーブ島南部 煉獄の宮殿」から魔王ハスターさんが去りました。<補足:イカした紺色の袴を着たおっさん。>
ご案内:「オリアーブ島南部 煉獄の宮殿」から魔王アスタルテさんが去りました。<補足:外見10歳、身長130cm。黒いワンピースを着て、悪魔の翼を生やす魔王。四天王を引き連れている。>
ご案内:「オリアーブ島西岸 王国軍港湾基地」にオーギュストさんが現れました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
オーギュスト > 本日も港湾基地で執務中。
戦況は順調。
各部隊に補給の徹底と拠点構築を命令しながら、来るべき決戦に備える事が出来ている。
補給線を整備し、物量で押せば王国軍が主導権を握れる。
そろそろティルヒア軍から離脱を考える者も現れ始める頃合か。
「あいつに頼んどきゃ良かったか」
ティルヒア内部に噂でも流して、離反を促すという手もあった。
もっとも、あの神竜の出現後では、どれ程効果があるか考え物だが。
オーギュスト > 頻繁に小競り合いは起こるが、大規模な反攻作戦は行われていないようだ。
オーギュストもたまに前線に出ては、適当に斬って帰ってくる。
こちらの港湾要塞を攻めようとする部隊も無く、オーギュストは大過ない日々を過ごしている。
「――もうちっと準備が必要か」
各部隊の状況を見ながら呟く。
もっとも、時間が欲しいのは相手も同じ。一長一短か。
ご案内:「オリアーブ島西岸 王国軍港湾基地」にサリファス・ドーさんが現れました。<補足:黒いコート。兵士服。赤髪ツンツン頭。包帯>
サリファス・ドー > 「がーーーーーー。……痛ぇよ、まじ痒い。」
オーギュストの元へ包帯巻の男が喚く。
葉巻を咥え、部下に支えられながらヨロヨロと歩く。
火傷は軽症ですんだものの、矢傷が深くオリアーブ島内で治療することになった。
治癒魔法も効きが悪いので非魔法治療しないといけない為、こんなだ。
「やべえよ……。俺の性欲が溢れるぜ。昨日、夢精とかしちゃったし。
将軍、お久しぶりです…へへっ。」
照れているのか、鼻を掻く
オーギュスト > 入ってきたのは包帯だらけの男。
そういえば定時の連絡が途絶えていたか。
情報は第九師団経由でも仕入れていたし、何せあの神竜騒動でまったくこいつに注意を払っていなかった。
「なんだ、生きてたのか」
そっけなく言うと、つらそうなので椅子をすすめてやる。
注意は払っていなかったが、こいつのもたらす情報は貴重だ。
聞く価値は十分にある。
サリファス・ドー > 「ちぇー、そっけない。やっぱりクビですかい?。
将軍はこいつが欲しいのかと思って、ング=ラネク山まで行ったてのによ」
葉巻を燻らせ、へへっと笑ってから椅子にどかっと座る。
懐に収めていたこぶし大の魔術鉱石を投げ渡す。
「女王の都は、酷い有様だったぜ。よく士気が維持できる。
ング=ラネク山は宝の山だぜ…ほい少ないが坑道図だ」
部下に報告書と手書きの坑道図を渡せ見せる。
ティルヒアの首都、千年の女王の都と呼ばれそうに無い惨状が広がっていた。
流麗な水路は所々荒れ、木舟は壊れて打ち上がっていて臭い。
王国の貧民街とどっちがましか迷う。
ニ三歩も歩けば魔族いる。
ティルヒアでは健常者ほど魔族と断定してもいいぐらい。
だそうだ。
オーギュスト > 「あ、クビ?
馬鹿言え、クビになんざしてやるわけねぇだろうが」
使える奴は死ぬまで使い倒す。第七師団の鉄則である。
こぶし大の魔術鉱石を手に取り、眺める。
「純度も大きさも申し分ねぇな。ティルヒアの資金源はこれか。
――まぁ、どいつも狙ってんだろうがな」
王国軍が速やかに反撃を行えたのも、半分はこいつのおかげだ。
戦後、ング=ラネク山の支配権を誰が握るか。その競争に遅れない為だろう。
オーギュストも勿論狙っているが、今はそれよりも別の事だ。
「ング=ラネクの警備はやはり厳重なようだな。
攻めるとすれば都の方だろう。
――やっぱ、裏には魔族がいるか?」
サリファス・ドー > 「女王の都でチラッとティルヒア殿をお見かけしたら
高位魔族が5、6人で脇を固めてたぜ。
裏っつーか表立っていたよ。隠れる気が見られないなぁアリャ。」
女王の都の惨状を思い出し、天を仰ぐ。
葉巻の紫煙をはきだしながらさらに
「……あと街中にもいるぜ、ごっそりとなぁ。まったく、高位魔族、魔王ってやつかな。
それのオンパレードしてた時は生きた心地がしなかったぜ。」
手を振って部下に灰皿を取り出させる。
なかなか難儀な城攻めになりそうだと言う。
葉巻をつきつけ、真剣な表情をすると
「――俺ならきったねえ水路を狙う」
オーギュスト > 「だろうな。
まぁ、分かってた事だ」
溜息をつきつつオーギュストは認める。
大方そんなところだろうと思った。
「んな奴らは相手にしてられん。
魔族のお遊びに付き合ってられる程俺達に余裕はねぇ」
地図を見て考える。
ティルヒア攻囲戦、さて、どう戦うか。
水路を提案してきたサリファスにオーギュストは首を振って応える
「ダメだ、相手にグスタフの爺さんが居る。
あいつ相手に地形利用の攻め手は通用しねぇ」
サリファス・ドー > 「水路は街中にはりめぐされてた、城にだって貫通しているだろよ。
その水路を通って侵入しようって寸法だぜ、警備は城門付近が固いしな。」
巨大な城なら通る水路も多くあるだろう。
あの分厚い城門に攻城をしかけるよりは容易いといいなと思う。
「ふぁーーー。」と紫煙を燻らし思考にまどろむ。
「グスタフの爺さんか……雷神は老いて尚盛んってやつか。
いや、あの雷神なんだ、一番きっつい戦線に投入されるだろ。
街中の水路を監視させる余裕はないんじゃねーか?
……陽動作戦だぜ」
グスタフの話を出されれば、それを加味して策をだす。
水路侵入を押しているようだ。
オーギュスト > 「爺さんの担当箇所が、おそらく水路だからだよ」
地図に何個もの駒を置き解説する。
水路は町中に張り巡らされている。
つまり、だ。
相手は城内から、自由に水路を使い、街の至るところに出現しこちらを分断できる。
当たり前の事だが、相手の方が街の構造を把握している。
そしてグスタフは、こういう地形を利用した戦の専門家だ。
「あの爺さん相手に地形戦を挑めるわけねぇな」
サリファス・ドー > 「将軍はやっぱり城門正面から攻撃したいのか?。
……城門は正直やばい気がすんだよなー。」
包帯の上からボリボリ顎を掻く。
葉巻を燻らし灰皿へ、目を閉じて悩む。
「ハッ、するってえと水路を使えなくしたほうが良いか。
凍らせる、もしくは移動に使う木船の破壊ってところかなぁ。
煮詰まってきたぜ、将軍の腹はどうなんだい?」
連中の船に細工はダメだな…船乗りが船をチェックしない訳はないか
と思い頭を振る。
せめて魔族という不倶戴天の懸念がなくなれば楽なんだよなっと椅子にもたれる。
オーギュスト > 「俺の案は、まだ機密だ」
それだけ言って立ち上がると、天幕を後にする。
サリファスには養生するよう命じ。
「とっとと治せ。
この戦い、まだ続くぞ」
本音ならばとっとと終わらせたい、早く魔族戦線に戻りたいのだが。
もう一幕か二幕、あるだろう。
オーギュストは険しい顔をしながら港湾の方へ向かった
ご案内:「オリアーブ島西岸 王国軍港湾基地」からオーギュストさんが去りました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
サリファス・ドー > 「なんだ、機密かよ。」
にへらと笑い将軍を見送る。
葉巻の麻薬成分を吸い、痛覚を鈍らせる。
おら、いくぞと部下に声をかけると負傷者らしく運ばれ去っていった。
「おいいい。もそっと優しく持てよ。…いや持ってください。」
ご案内:「オリアーブ島西岸 王国軍港湾基地」からサリファス・ドーさんが去りました。<補足:黒いコート。兵士服。赤髪ツンツン頭。包帯>