2015/11/19 のログ
ヴィクトール > ふざけんな、屍がしゃべるのか!?
(彼に技に追いついているものの、剣裁きに意識を割く分、意志の魔法を働かせる余裕が無いのも事実だ。勝敗がつく時はどちらかが死ぬ時とすら思うほど、この戦いは一手の過ちが勝敗を分けるといっても過言ではない)
そういう小細工についちゃ、そのうち兄貴に習うから心配しねぇでくたばれやぁっ!!
(大剣の切っ先に僅かな手応え、反撃を撃ち込んだところで僅かな余裕が生まれた。速い己とは何か? あんな上品なものではない、意識し、意思に変え纏う。男がイメージしたのは獣、ギュッと黒い魔力が四肢に圧縮されると、ギラついた目で睨む)
食い殺すっ!
(その言葉は自分に言い聞かせる為、四足の獣の様に低く構え、地面をける。再び双剣へ変化した剣で、獣が飛びかかるように剣を振りぬく。彼に痛手を与えた技ほどではないが速い袈裟斬り、横薙ぎ、膝蹴りと、滅茶苦茶に振り回す。黒い魔力を纏った四肢の動きは速く、乱暴だ)
オーギュスト > 「なんだ、お前屍の声が聞こえないのか?
随分殺してると思ったんだがなぁ!」
オーギュストは嗤う。
屍の声など腐るほど聞いてきた。
志半ばに散った者、皆殺しにした敵兵、戦禍に巻き込んだ民達。最近だと、魔族の国の村の若者達か。女子供を殺した日には、必ず屍の怨嗟を聞かされる。
そして、その悉くをオーギュストは嗤って受け入れた。
それは彼の覇道に必要なものだと、受け入れた。
だから分かる。
この怨嗟は、時に強者を飲み込み、地獄へと引きずり落とす。
過去、それで何人の王、覇者が歴史の闇に消えた事か。
「はっ、教育を疑うな!」
獣の如きしなやかさと、切っ先の鋭さ。
その恐るべき技量に、オーギュストは切り札を切る事に決めた。
「――平行の空なす無間回廊へ扉開かん、我は汝、汝は我なり!
次元分離!」
その詠唱が終わると。
オーギュストが二人に『増える』。
これが時魔法の第二段階。
自分の時間軸をずらす事により、二人の自分を生み出す外法『ミラー』。
二人に増えたオーギュスト。
一人が彼の剣を防ぎ、もう一人のオーギュストの刃がヴィクトールに迫る。
ヴィクトール > 殺したぜぇ! 魔族の女一人と、雑魚を少々なぁっ! 昔の女を引きずるみてぇな女々しいことはしねぇけどよぉぁっ!!
(殺すのも殺されるのも、互いに必要ですべきことだからやってきた。それに恨みを吐くなんてお門違いだと、彼と男の殺しの視点は違うのだろう。何かを背負って殺すの、欲望のままに殺すのでは)
そうかぃ! テメェみたいな奴がいるから兄貴が嫌気がさして辞めたのもよく分かるぜぇっ!!
(こうやって見下す奴がいるから嫌気が差したのだろうと、落ち着いていれば思えるのだろうけれど、そんな余裕はない。浮かぶばまま叫び、獣のように暴れていると、彼が二人となったのは目を見開いて驚いた)
やべっ……!
(意志が途絶える。それは速度を失うことだ、すぐに取り戻そうとしたが、迫る攻撃に鉄板仕込みのブーツの裏で剣をけるように受け止めるが、衝撃は足を突き抜け、膝がきしむ。無様に地面を転がり、すぐに体を立て直す。意識を切るな、繋げと再び四肢に闇を宿せば、低い姿勢で構える)
オーギュスト > 「なら覚えとくんだな!
どんなに割り切っても、どんなに強くなっても、どこまで行ってもなぁ!」
これで終わらせるとばかりに猛攻を仕掛ける。
この呪文は消耗が激しい。一気に決める。
二人のオーギュストはヴィクトールに嵐のように攻撃を仕掛ける。
二人だが、意識は一人。完全に息のあった連携攻撃で、ヴィクトールに猛攻を仕掛ける。
「最期の最期! 生きる為に足掻くもんなんだよ、人間ってのはな!」
大上段からの斬撃と、地を這うが如き一撃。
「その弱者の足掻きの恐ろしさを知らないお前は、まだまだガキって事だ!」
ヴィクトール > クソがっ……!!
(二人がかりの連携攻撃は、速度を強めたこの状態でもきつい。なにせ二つの剣を束ねてやっと受け止めきれるというのに、二つ同時にくるのだ。切り裂かれぬように剣で受け止めこそしても、双剣は力負けして刀背を男にぶつけていく。鈍痛が重なりあい、意識が弱りそうになる。まだだ、まだだと抗う心で食らいつき、金の目からは闘争心が消えない)
…っ!!
(同時の一撃、とっさに大剣にもどすとそれぞれの打点を刀身で結ぶように守るも、勢いに負けて剣脊が額にぶつかる。ぐらりと頭が揺れた瞬間、溺死しかけたときの幻覚が、自分の前にいるように見える。派手に地面を転がると、血反吐を吐きながら体を起こす)
ご高説ありがとうよ……てめぇのおかげで、相棒を強く出来るぜ。
(剣を前にかざす。口から血を垂らす男は黒い魔力を全て大剣に注いだ。浮かび上がる剣、靄が飛び散ると…そこにいたのは剣ではない。筋骨隆々の体に鳥の頭をした悪魔、まさにアンドラスの姿そのもの)
じゃあ食らってくれよ、弱者の足掻きをよ…?
(剣を携える悪魔は、腰にかけた一振りを男に放る。なんてことはない、ただの片手剣。黒尽くめの男と悪魔の相棒、それぞれが片手剣を握りしめて彼に向かって歩く。意志の魔法は全て相棒に注がれた、後は互いの力でねじ伏せるとボロボロのくせに笑っていた)
オーギュスト > 「ふん、悪魔か」
魔族を見慣れた男にとっては驚くには値しない。
だが、その力には底が無いようにも見える。
「ったく、面倒事は尽きねぇなぁ!」
瞳にあるのは強烈な意思。まったく、ここまでして心が折れないのだからたいしたものだ。
とはいえ、こちらにも余裕は無い。
奇妙な2対2の戦場になりながらも、剣を構える。
「何が弱者だ、ここまで強ぇくせによぉ」
苦笑しながら再び二人での連携攻撃を繰り出す。
ヴィクトール > あぁ、アンドラスってんだ…溺死しそうになった時に殺しに来やがったイカレ野郎だ。
(本物の悪魔ではない。彼が死に瀕した時に見た幻覚を魔法全て注ぎ込んで形にしているだけだ。それなのに、イカレ野郎と言われた片割れは、何だか不機嫌そうである)
尽きねぇぜ、テメェが死ぬか俺が死ぬかしねぇとよ…まじ面倒くせぇよな? クソ楽しくて笑いが止まんねぇよ…!
(血を垂らしたまま首を傾け、血に滾った笑みを見せる。だらりとした手に握られた剣が地面をなぞり、相棒はのしのしと悠然と歩いていたりと、対極的だ)
よく言うぜ……ガキ呼ばわれするくせによ
(連携攻撃が迫ればこちらも、それぞれの彼に攻撃を仕掛ける。痛みに支配された体で、鋭い技を受けきり、避けきるほど余裕はない。脇腹や肩、太腿を切り裂かれる瞬間に、何度も彼の体を剣で貫こう反撃を繰り返す。悪魔も同じ動きで応戦し、肉を斬らせて骨を断つような捨て身気味の戦法で鬼気迫る反撃を初めるだろう)
オーギュスト > 「戦争でもないのに殺す趣味はねぇよ」
逆に言えば、戦争ならば女子供であろうと容赦なく殺す。
可能な限り合理的に、どんな卑怯な手でも使って殺す。
だが、これはガキとの喧嘩だ。殺すのはご法度である。
「強いガキも強い女も、いくらだっているさ。
まったく、ただの人間には肩身の狭い世界だよなぁ!」
応戦し戦うも、状況は極めて悪い。
この外法『ミラー』の欠点は、ダメージを食らうともう一人の自分も同じ場所に傷を負う事だ。
おかげでダメージは二倍。肉を切らせて骨を断つ戦法に出られれば、あっという間にこちらのダメージが跳ね上がる。
かといって一人に戻れば推しきられる。徐々に不利になっていくオーギュスト。
ヴィクトール > 戦争ならあれだろ、奴隷を騙して捨て駒にするんだろ? テメェらってよぉ…ホント、屑だよな…マジにな。そんなクズの為に兄貴が仕事してたってよ…ふざけんじゃねぇ。
(朦朧としながらじわじわと呟きながら浮かぶ殺意。男にとって兄は珍しく敬う存在。だからこそ、それを踏みにじった軍、そして属する目の前の彼が憎くなってきた。朦朧と呟くも、それを理性が理解しているかは定かでない)
まったくだ、だからテメェも強くなったんじゃねぇのか!?
(限定されたダメージ源となった、捨て身戦法がまさかの当てはまった攻撃になるとは思いもせず、あっという間においやっていた。再びの捨て身カウンターは確実に胴体を穿けそうなタイミング、しかし…穿けそうだと思っても、振り抜こうとした剣は寸止するだろう。殺すつもりでいたが、愉悦に憎しみが解けて、殺意が消えていた)
オーギュスト > 「おうそうだとも。
奴隷を騙して捨て駒にする?
民間人を殺して捕まえて奴隷商人に売り払う?
アンデッドに感染した街を生存者ごと焼き払う?
全部やったさ、戦争に勝つ為にな!」
クズと言われようが殺意を向けられようが、オーギュストは鼻で嗤うだけだ。
彼は勝利を使命とする軍人だ。その生き方に疑問を持つ事など、もうとっくの昔にやめた。
「俺には見たい世界と欲しいものがある。
その為に手段を選んでいられるかよ」
彼の攻撃をかろうじて跳ねのけ距離を取ると、大剣をどっかりと地に突き刺し、一息つく。
分身が薄くなり、やがて消える。魔力が尽きたようだ。
だが、殺意が消えた事も悟ったようで。
「なんだ、もう少しで勝てるんだぞ、もういいのか?」
ヴィクトール > ……だからメテオサジタリウスが去ったんだよ。
(兄の字、その昔に亡霊と呼ばれた遊撃偵察隊で色んな師団を渡り、戦争になれば流星群を思わせる魔法矢を放った射手。隕石降らしの人馬宮と呼ばれた兄が見切りをつけたのも、その言葉に納得がいった)
兄貴がテメェらをクソだっていったのがよくわかったぜ。
(こちらも最後の一撃を差し切らずに終われば、相棒を呼び戻す。剣を投げ渡すとアンドラスは剣に戻り、地面に突き刺さった)
相棒を強くしてもらったもらったからな、貸しに殺さないでやるよ、オッサン。
(地面に突き刺さった剣を逆手に引き抜き)
で、名前いえよ? それともまだやんのか?
(片手で口元の血を拭いながら、改めて名を問いかける)
オーギュスト > 「――メテオサジタリウス?」
聞いた事がある。
確か、伝説的な弓手だった男。
その弟だというのだろうか。
「――第七師団長、オーギュスト・ゴダンだ。
ったく、喧嘩で負けたのは久しぶりだな」
ゴキゴキと肩を鳴らす。
最近戦争の指揮ばかりしてなまったか。
気にしていないという風を装っていたが、心の中ではちょっと鍛えなおそうと決めていた。かなり悔しいらしい。
ヴィクトール > そうだ、特別遊撃偵察隊…スペクターだっけか? そこにいた朴念仁な奴だ。
(亡霊の名前がついた師団を渡り歩く偵察部隊、それこそ知るものでなければ知らない名をしれっとこの男は口にした。その言葉が兄から聞いた事実だと語るかのように)
……は、アンタがか。兄貴が言ってたぜ、やり口はクソだが強ぇから喧嘩売るんじゃねぇぞってな。
(その名前を聞けば酒の時に聞いた昔話が重なり、やっと理解した。にやりと楽しげに笑えば剣を収める)
オーギュストさんよ、そんでアンタの部下ってのはもっと強ぇのか?
(どうやらまだ戦うつもりなのか、ふらふらしながらもそんな問いかけを宣う)
オーギュスト > 「――そいつの名前を知ってるのは、将軍副官クラスあたりからのはずなんだがな。本物か」
あの部隊の事はオーギュストですらよく知らない。
引き抜こうかとも思ったが、存在すら噂でしか聞かない程度なのだ。
「あ、俺の部下か? 癖のある奴らばっかりだよ。まぁ、1対1なら俺より強い奴も何人か居るな」
タイマンじゃあ、相手にしたくない人間も多い。オーギュストの強さは戦場で発揮されるタイプのものだが、第七師団には個人戦特化の奴も居る。
そういう相手なら、こいつも満足できるだろうなぁとぼんやり考えながら
ヴィクトール > 嘘ついてどうすんだよ。
(ここで嘘をつくメリットはない。にやりと笑えば続く言葉になるほどと納得した様子を見せて)
いいねぇ、そいつら全員ぶっ倒したら……もっと強くなれそうだぜ。
(その軍勢の頭が入るというのに、不穏なことを呟いて低い声で笑い声を上げていた。本気なのかどうなのか)
俺はヴィクトールだ、苗字はねぇよ。さて……アンタ、見てぇもんと欲しいもんがあるつったけどよ? その道中には強い奴ぁいんのか?
(転がっていた木箱を引きずり、彼の傍までもってくると、そこへ腰を下ろしつつ、問いかける)
オーギュスト > 「ったく、物騒なガキだな本当によぉ」
やれやれと肩を竦める。
だが、その素朴さは嫌いにはなれないようだ。まぁ、個人戦特化の奴らだ、決闘で死んだならそれまでだろう。
「そりゃぁな……俺が見たいのは、生まれ持った血筋、金、力で生き方を決められない世界だ。
その為にゃ、魔族の国を潰して奴らを根こそぎにしなくちゃならん」
こちらも物騒な事を言っていると、将校が一人寄ってくる。
ヴィクトールにおびえながらも、彼は船の時間が近づいていると言い、馬を引いてくる。
オーギュストは無言で頷くと馬に跨る。
ヴィクトール > 面倒なのに顔覚えられちまったな? ご愁傷様だぜ。
(愉快そうに笑いかえす。野望の話を耳にしている最中、やってきた将校に睨みをきかせて剣の柄に手が伸びたりと、手負いのくせに気合は潰えぬようだ)
大層なことだぜ…兄貴は魔族も嫌わねぇから根こそぎ殺すところに手ぇかしたら、顔向け出来ねぇや。
(馬にまたがる彼を見上げ、こちらも立ち上がるとすっと指差し)
金はいらねぇ、代価はいい女だ。できりゃ手合わせして、ぶっ倒してから抱きてぇ。 卑怯じゃねぇ殺し合いの時に、力が欲しけりゃ貧民街のCollar lessに来い、兄貴に言えば俺が来てやる。
(要は強い奴と戦う時があれば、その代価で手を貸してやるということらしい。どうだと彼を見上げながら答えを待つ)
オーギュスト > 「そりゃ残念だな。来るアテがなけりゃ第七師団に来い、俺らは普通の魔物退治なんかも任務のうちだからな。」
それだけ言うと、面白そうに笑って彼を見る。
純粋な男だ。師団に引き入れたい程の腕だったが、こういう手合いはまた面倒でもある。諦めた方が良さそうだ。
「覚えとくぜ。じゃあな、ヴィクトール!」
それだけ言うと馬を飛ばし、港へと向かった。
ご案内:「オリアーブ島・王国軍拠点」からオーギュストさんが去りました。<補足:大剣を持った将軍。黒髪を後ろで縛っている>
ヴィクトール > だったら兄貴を口説けよ、兄貴が首を縦に振らねぇうちは入れねぇよ。
(そういうと走り去る彼に軽く手を降って見送った。ふらっとしながらも足を踏み出すと、暗闇の世界を睨む)
さて、何処で休むか…
(傷の手当も必要だ、今夜の休める場所を求め、獣は一人ここを去っていった)
ご案内:「オリアーブ島・王国軍拠点」からヴィクトールさんが去りました。<補足:黒の短髪に金の瞳、黒色の戦装束に身の丈ほどあるクレイモア>