2015/11/28 のログ
スヴェン > 所々、炎の燃え上がる中を部下数名と轡を並べて進みながら、撃ち漏らした兵士や残った物資等がないか見まわる
指揮官の利用していたであろう大きな天幕の前に馬を止めれば、部下を天幕の前に残し、自分は中へと入っていって
「…補給品のリスト…に、地図…は、使えそうだな」
机の上を漁り、利用できそうな資料などを探しては懐へしまっていく…めぼしい物にあらかた目を通し、
用事がなくなればその天幕にもたいまつを放り込めば、少し離れた地点に部下に集まるよう指示を出し
スヴェン > 燃える集積所から少し離れた地点で部下を再集結させる
人数に欠員が無いことを確かめ、次の目標を話しあい、確定させれば敵が来るよりも素早く次の目標に向けて進発するのだった
ご案内:「オリアーブの主戦場」からスヴェンさんが去りました。<補足:コート/シャツ/ズボン/ブーツ/ククリ>
ご案内:「オリアーブの主戦場」にサロメさんが現れました。<補足:氷の魔剣を携えた、灰髪金眼の女魔法剣士。第七師団副官>
サロメ > 「怪我人は応急処置後、駐屯地へ!敵軍は撤退した。哨戒を行った後に野営地の設営に入れ!」
勝敗の決した戦場
オリアーブの主戦場、その一角にて勝利をあげたサロメが第七師団先遣隊の指揮をとっている
現状、王国軍が優勢に攻めているといったところだろうか
自身の部下達が騎馬を駆り、周辺の哨戒にあたってゆく
「(このエリアに野営地をもてれば色々な局面でも有利になる…よし、今回の勝利は大きいな)」
喜び勇んで将軍へと報告にいきたいところだが今は我慢である
設営が終わればこのポイントは何が何でも防衛したい
そのための兵士を湾岸基地のほうへ要請する必要もある
勝利したからと言って暇になるわけではないのだ
サロメ > 湾岸基地のほうへと伝令を飛ばし、野営地設営の指示をこなしてゆく
ある程度の指示を出せばあとは優秀な部下がその指揮を取り始める
副将は休んでください、と言われるもそういう性格でもなかった
「いや、私も哨戒に出るとしよう。引き続き設営の指揮を頼む」
そう言うと馬に跨がり、駆けていく
敵が撤退したとはいえ此処は主戦場
念をいれすぎるということもないだろう
本来なら2、3人で哨戒任務を行いたいところだが、
設営には人足も割かれる
いち早く建造するというのも大事なところなのだ
サロメ > 森に面した荒れ地を駆けていく
打ち捨てられた、兵士の遺体や、壊れた武器
戦場に出ればいつも見る光景
15の時から、数えれば既に8年
王国に仕える騎士として戦場にも幾度となく出たものの
未だにこの光景に慣れることはない
第七師団の将軍副官、所謂副将としての立場として抜擢された身、
立場上、このような光景への感傷などは奥底にしまい続けてきたが…
「(周りに部下がいないと…そういった感情も漏れそうになるな……)」
僅かに目を細める
が、感傷と同時に早く戦乱を終わらせなければという強い意思も湧いてくる
ご案内:「オリアーブの主戦場」にマリーさんが現れました。<補足:雷光を操るバウンティハンター>
マリー > んーっと伸びをしつつ、司令部に足を運ぶ。
今回は、雇われでこの戦場で戦っていた……賞金首が見つからない時のバウンティハンターは、正直傭兵と大差ない。
「お疲れ、副官さん。取り敢えずこれは勝ち戦、でいいんだよね?」
ボクは用兵とかよくわかんないけど。などと続けながら、少々疲れた様子で話しかける。
一旦休憩のために下がったが、ついさっきまで前線近くで戦闘をしていたのである。実際疲れていた。
サロメ > 哨戒から戻れば、見慣れない人物の顔
「貴女は…傭兵か?
うちの師団の人間ではないな」
馬から降りつつ、見慣れない人物を観察して
自分の部下もともかく、師団全体で見ても見慣れない風貌なのを確認する
「そうだな、勝利を拾うことができた。
ここを足掛かりにすれば各方面のエリアの制圧に繋がる」
急ピッチで設営されている野営地
動員されている兵士の数も大層なものである
マリー > 「ま、傭兵って事になるのかな、今日の所は。ボクはバウンティハンターのマリー……ここの隊長に一度見捨てられた身だよ」
ちょっと嫌味を混ぜて自己紹介。
ここの隊長……オーギュストには貸しがある。ついでに言えば、その「貸し」の約束を結ぶ際、自分は魔族に連れ去られかけていたところを見捨てられていた。
割とマジでぶん殴りたい。
「取り敢えず、全部終わったらでいいから、お代と……あー、アイツ、ここの隊長への貸しって、やっぱり本人に請求した方がいいかな?」
適当に腰掛けつつ、軽いビジネストーク。まあ、極端にビジネスしたいと言うよりは、単なる世間話の延長、と言った所ではある。
「でもまあ、大変そうだね。ボクは自分だけ守れればいいけど、副官さんともなると責任あるし、これだけの人数を背負うってのは重かったりしない?」
サロメ > 「成程な、金目当ての賞金稼ぎか」
馬を部下に預け、再びそちらへと向き直る
「…なるほどな、あの山村でのグール発生事件に関与した者か」
報告書は一つ残らず目を通している
故にそのことに触れられれば、頭の片隅の記憶と記録が読み出された
「あの時のオーギュスト将軍に大きなミスはない。
賞金稼ぎならば自分の身を自分で守るものだという判断だろう。
……報酬についてはもう少し場を考えていただけるとありがたい。
今後の戦争に参加するのならばその活躍も加味させてもらうが」
戦場まっただ中の野営地である、進軍に必要な物資以外の余計なものなどありはしないのだ
とりあえず副将の立場としてはそうしめくくる
「自身の心象はどうあれ、戦場で副将が弱音を吐くわけにも行かないだろう。
叩き焼き締められる鋼と同じ、かかる重圧はそのまま自身の肯定に繋がる、大変なことばかりではないさ」
マリー > 「ボクの本命はそこじゃあないんだけど……ま、それでいいかな」
肩を竦める。
マリーにとっての最大の目標は「家族の捜索」であり、その道具として名声を欲している。
金も当然必需品であるがために欲しいものではあるのだが……金目当て、と言われるとどうなんだろう、と言った所ではある。
が、賞金稼ぎなんて呼んで時の如く、大体は金稼ぎメインだ。別に、それこそパートナーのような秘密を言い合う仲でも無し。わざわざ訂正する必要もないだろう。
「ああ、ボクだってわかってるよ。アイツにとってアレは最適行動だ。ぶっちゃけボク切り捨てても全く痛くも痒くもないもんね、師団にとっちゃあさ。
でもまあそこはほら、ボクの感情と、本人が口にした言葉は別ってね。ま、報酬の方はホントに、区切りが付いたらでいいよ。今後も出るかって言うのは不透明だしさ」
うーん、ちょっと話の振り方がマズかったかな?などと考えつつ言葉を返す。
実際「生きて帰って来ればなんかやる」と言っていたのはオーギュスト自身だ。それに関しては物を受け取る権利は自分にあるだろうが……報酬と絡めたのはちとマズかったかもしれない。この辺の感覚は軍人と賞金稼ぎでどうしても違いが発生するので、ある意味では仕方なくもあるのだが。
「立派だね。アンタみたいな上司がいるんなら、兵士もやる気が出ると思うよ。実際、今の話聞いて、ボクちょっと次もやろうかなって気になったしさ」
自分の責務に忠実で、芯が強い。そう言う姿勢は純粋に格好いいなと思う。
上から下まで、どこが腐っていても一切不思議じゃないこの国において、こういう人は貴重だろう。兵士も、それがわかっていればありがたみが分かるだろうし、やる気も出るはずだ。
……締め付けすぎで反感かってそうな気もするけど。偏見だろうか?
サロメ > 「それ以前に危険を察知し、近づかない、逃げる…と言った選択もあったはず。
我々のように王国を守る職務に殉ずる者と、君たちとは違うのだからな」
火中に飛び込むならば自己責任である
将軍に切り捨てられたことを恨み言のように言うのは筋違いだろうと言いたいらしい
無論感情的な部分はわからないことはないのだが、それを通すことができない立場もある
「皆が私に命を預けてくれるからこそ成り立つものでもある。
命を賭け、敵の懐であるこの戦場まで着いて来てくれた者達こそが真に立派で勇敢な者だよ。
マリー殿と言ったな、戦力は少しでも多いほうがありがたいのが現状だ。
だが衝突はいつ起こるかもわからない。十分に気をつけてくれ。
私もオーギュスト将軍と同じく、君の安否を気にして采配をする余裕は恐らくないからな」
実際に寄せ集めの戦闘集団である第七師団は無秩序な面が多い
その中において副官であるサロメの率いる部隊は文字通りの異色である
「申し遅れたな、第七師団将軍副官を務めるサロメ=D=アクアリアだ。
野営地には傭兵用のテントも設営している、よければ休む場所はそれを使ってくれ」
マリー > 「あちゃ、それは耳が痛いね……ま、あそこに突っ込んだのは感情からだよ。
ほっとけなかったんだ、魔族に潰される村が、さ……その上でやられたんなら自業自得ってのも言い返せないや」
でもなんかやるって言いだしたのはここの隊長なんだから、それは貰うけどね。と続ける。
しっかりしてるなあ、と思う反面、多分冗談通じないタイプなんだろうなあ、とも思う。この調子だと私生活もしっかりしていそうだ。自分のパートナーとは大違いである。
「ふーん……なんだか、もーちょっと無秩序ここに極まれり、みたいな師団を想像してたけど、イメージ変わったなあ。副官さんがしっかりしすぎなのかもしれないけど。
采配に関しては了解、その代わりボクも「マズい」って思ったら自分の判断で退くよ。逆にボクは、ボクを捨ててしまうわけにはいかないからね」
マリーには、家族を見つけ出すという至上命題がある。
賞金稼ぎはあくまで手段。そこで命を落とすわけにはいかない。
あの村の時だって、勝算はあったのだ……その場に集った魔族が、規格外だったわけだが。
「サロメ、だね。ボクは言った通り、マリー。苗字は……ボク、元々の生まれはちょっと下の方で、苗字ってないんだよね。だから、区別する時は「雷光のマリー」とかで呼んでよ。テントの方も、おっけ」
サロメ > 「……村は酷い状態だったらしいな。
その時私はタナールのほうに出向いていた故、事後処理にしか関わっていないが…。
感情的になるのは仕方のないことかもしれないが、それだと長生きできないぞ」
バウンティハンターという仕事は危険の察知能力が最も必要なはずだ
勝てない相手とは戦わない、危険は避ける、そういう者達だ
そんななかでこの少女の言葉は意外であると同時に、向いていないのではないかという心配も沸き立つ
「いや、それなりに無秩序な集団であることは確かだよ。皆が好き放題したほうが戦果が上がることもよくある。
かといって締める人間がいなければ分解してしまうのでは意味がない。
私と私の直衛の部隊は文字通りそういう立場にあるのさ」
あの将軍がまだ若輩であるサロメを副将に仕立てたのはそれなりの理由があるのだった
意見が衝突することが多いものの、それが良い効果を生む場面は今までも多かった
「そうしてくれると助かる。
勝てない戦いに挑むのは勇猛とはいえないからな。
しかしそうか…あの山村の……」
吸血姫を捕らえ、高位魔族との邂逅
その魔族のうち一人は先日交戦し、その場では勝利したが逃走を許した
「…あのレベルの魔族が人里に平然と降りてくるようになったのだな…」
ぽつりとそう零す
魔王の野営地への襲来といい、こんな人同士の小競り合いはやはり長く続けているべきではない
マリー > 「ひどかったよ。大人も子供も、みんなみんな死肉喰らいのグールにされちゃってた。
向いてない、って言ったら、そうだと思うよ。ボクはそもそもドジでおっちょこちょいだったしね。でもまあ、戦闘には一応適性があったし……そこまでする理由がある、って言ったら納得してくれる?」
肩を竦めて笑う。
正直、こういう冷静な判断が肝となる仕事は、姉の方が向いているだろう。
だが、マリーはその姉を、そして母親を見つけ出さなければならない。
足だけじゃ限度がある……だから声を、名声を届ける。
そのための手段が、バウンティハンターとしての活動だった。
「なーるほど。ゆるみがちなネジをしっかり締め直すスパナが君たちなんだね。
色々嫌がられそうだけど、必要な部隊ってのもわかるよ」
実際、単発でパーティを組む時でさえ、熟練のバウンティハンターほど連携と統制を重視する。
それは、単に無秩序な個が揃っただけの集団は、いざと言う時脆いという事を経験上知っているからだろう。
いくら爆発力があっても、やはり平時からそれでは要らぬリスクを背負う事になる。
それを抑え込むのが、このサロメと、その直轄の仕事なのだろう。
「……まあ、情報としては通ってるだろうけど、一応言っておくね。
ボクの切り札『天雷一鳴』……つまりは自然雷。それを受けて死なない奴と、そもそもまさに雷速の攻撃を防ぐ奴がいた。
後、これは知ってるかな?ロザリア=Ⅳ=キルフリート……アイツ、加護を阻害する空間を広げようとしてたよ。
このままだと、人間側は……かなりマズい。駒のパワーで負けてるのに、盤面作りでも後れを取ってる。こういう事言うのは難だけど、そこら辺を組み直すの、王国師団の仕事だよね?」
棘を感じさせてしまうかもしれないが、やはり「盤面作り」は相応の立場にある人たちの仕事だ。
バウンティハンターなど、所詮どこまで行っても、大局を見るならば「駒」でしかないのだから。
サロメ > 「で、あれば私が口を挟むことではないな」
彼女の信念の欠片をその表情に見れば、こちらも笑みを返して
「口喧しさはあるだろうが結果を出せば納得する程度の余裕は皆持っているからな。
特にやり難さがあるわけでもないさ」
戦場に生きる者達の集団であればこそ、結果というものが武器になる
事実サロメが副将に着任した時はなぜあんな小娘が、と騒ぐものもいたらしいが、
今では誰ひとり異を唱えるものがいない、実力で勝ち取った信頼と椅子なのである
「……?
待ってくれ、それはもしや富裕層に張られている意図が不透明な結界魔術のことを言っているのか?
魔族の仕業だと宛をつけてはいたが、君はあれが何なのかと知っているのか?」
顔色が変わる
当然のことだ、富裕層の路地裏に敷かれた魔術式
あれがなんらかの結界であることは予測できたがその効力までは王国の魔術師ですら理解ができなかった
なぜならそもそも町自体には王国軍は退魔結界を張っていない
アイオーンの加護そのものを知らない王都の人間は"何を阻害するためのもの"なのかが理解できなかったのだ
マリー > 「実力を見せれば皆認める。そこんところはボクらの世界と一緒だね。
いくら御大層な後ろ盾があっても、死んだらお終いさ」
寧ろ、自分自身が前に出るバウンティハンターにとって、それは更にシビアな問題と言えた。
失敗は、ニアイコールで死。ならば実力が最優先になるのは当然であろう。
「……え?
アレはここら辺をまだ守護してる神様の加護を阻害する結界、だよ?
そもそもあいつら、よく言ってるじゃないか。『加護で力が削がれる』『加護が無ければもっと色々できるのに』とか……バウンティハンターの間じゃ、一部で有名なネタだよ。まだ神様の加護が残ってて、それが魔族の力を阻害してる。それがあるからまだなんとかなってる、って。
で、その結界がボクが張るのを邪魔した結界と同じなら……それは、加護を阻害する結界。つまり『魔族が十全に力を発揮する空間をつくるための結界』だよ」
常に魔族と向き合って戦ってきた、最前線を生きるバウンティハンターだからこそ仕入れられた知識。そして、バウンティハンターらしからぬ感情で動く姿勢。
それらが噛み合い、重要な情報をマリーは手にしていた。
……悲しいかな、それの重要性を本人が理解していなかったのだが。
サロメ > 「…そうか、そういうことだったのか。
魔王クラスの魔族が王都に侵入しても直接手を出さず回りくどいやり方をしているのは…」
にわかには信じ難い話だった
しかし、それを前提として考えるならば余りにも辻褄があうのだ
王城の人間に成りすまして師団への予算を削減する手をとったり、
あんなものは本来魔王という存在が王城へ入り込んだならば取る必要のない絡め手だ
その強大な力で王城を制圧するほうがはるかに簡単で早いではないか
つまり、それができない理由は……
「…神の加護、と言ったな。それはヤルダバオートのことなのか?」
これは大きな情報だ、多くの者には開示せず、話を進めなければならない
神聖都市ヤルダバオート、その教会へ確認をとる必要もある
マリー > 「御免、そこまではわっかんない……ボク、神様にそんなに詳しくないからさ」
言いながら、うーん、と過去に戦ってきた魔族たちの言葉を必死に思い返す。
聞き流していた単語に、神様っぽい名前があっただろうか。ええと、ええと……
「……アイオーン?」
ぽん、とそんな言葉が出てきていた。
誰が言っていたか。ロザリアだったか。
記憶は曖昧だが、確かにこう言っていたはずだ。
『アイオーンの加護』と。
そんな神様いたっけなあ、と疑問には思うが、取り敢えずこういう時に勝手な判断で情報を渋るのは大体悪手だ。
なので、正否は問わず口にしておく。細かい判断は……目の前の騎士や、もっと偉い人たちがするだろう。
サロメ > 「アイオーン……?聞かない名前だな…」
この国の神の名といえばヤルダバオートだ
今、この王国に生きている人間ならば誰もがそちらを口にする
直衛の騎士達に聞き覚えがあるかと振ってみるが、一様に首を傾げる
「…突拍子もない話…というわけではないが、にわかに信じるわけにもいかないな…。
しかし、王都の富裕層にある結界魔術がそういう類のものという可能性があるならば、対応を急がなければ」
部下に命じてひとまず湾岸基地にいる者に連絡を取らせる
あとは王都まで、はやくとも情報が届くのに3日はかかるだろうか…それが最速だろう
「しかし、その話が本当ならば…魔族は加護の下で力を抑えられて尚、あれだけの強大な存在なのだな…。
タナール砦から先…魔族の国の魔物の強さが一線を画する理由としても十分なものか…」
顎に手をあて、深刻な表情のサロメ
それもそのはず。本来将軍オーギュストの掲げる最終目的が魔族の絶滅である第七師団は、対魔族の専門部隊なのだ
この情報の真偽が今後に大きく影響することは間違いない
マリー > 「うん、ボクもアイオーンなんて神様聞いたことない。でも、あいつ等『アイオーンの加護』って口にしてた記憶があるんだよ。
……正直そこまでは意識してなかったから、確実とは言えないけどね」
うーん、と更に思い出そうと首を捻って考えるが、もやもやとして記憶の靄は晴れてくれそうにない。
正直、バウンティハンターの中で噂になってるくらいだから、師団クラスなら把握している物だと思い込んでいたのだ。
どうやら本当に、最前線でやり合っていて初めて手に入るような情報だったらしい。
そこまで重要度を認識していなかったが故に……記憶も、曖昧なのだった。
「ボクらバウンティハンターの一部が、魔族から聞いて知った事だから、ある意味信憑性はありそうだし、逆に実は、魔族の中で流行りの言い訳なのかもしれない。
でも、結界を張るのを邪魔したのは事実だし、そう言う結界があるんなら……取り敢えずその結界は壊しといた方がいいよ」
深刻そうなサロメに、真面目な顔で告げる。
どうやら思ったより、自分の口にした情報は、重要なものだったようだ。
サロメ > 「…悪い言い方だが、バウンティハンター達の流す噂は信憑性に欠けるものが多い。少なくとも、王都では基本的に相手にされないのが現状だ」
所謂下民層の出自が多い者達だからだろう
貴族や王族達から見れば、そもそも信頼に足る言葉を話す連中ではないのだ
同時に、魔族の言葉に耳を貸さない者たちも多く、何よりも…
「…今後は口に出すのは控えたほうがいい。
ヤルダバオートを主神としたこの国で、別の神の名を出せば背信の徒と見る者も少なくはない」
私も他言はしない、と念を押す
もしその神、アイオーンの名がヤルダバオートの教において禁忌であったならば
彼女はすぐさまに異端者として処刑される可能性も否定はできない
マリー > 「ま、否定しないよ。ならず者の言ってることだ、往々にして盛ってる場合が多いのは事実だからね」
肩を竦める。
言われてみればそうだ、所謂下民層の噂話など、上の方で重視されるはずもない。
マリーは実際にそう言う話を聞き、そう言う結界を阻害した経験があるから信憑性を感じているが、信じられるネタかと言うとそうでもないだろう。
「……わかった、外じゃ言わない事にするよ。ボクも異端審問からの処刑、なんてオチは勘弁願いたいしね」
そもそも無神論者に近いマリーだが、神はそれを信じる人にとっては非常に大事なものだ。
ましてや今大々的に信じられているヤルダバオートに背くとなると、リスクが高すぎる。本当に「国の秩序を乱す」だのなんだの言われて処刑されかねない。
それは、マリーにとっても忌避するところであった。
サロメ > 「私自身半信半疑ではあるが…、これで王都を危険に晒すわけにもいかないからな」
今の王城には満足な退魔術士はいないだろうが、
例の結界の意図がそうであるなら急がないわけにはいかない
王都に今いる者達だけでも何とかやってもらわなければ
「あぁ、気をつけることだ。
他の者達も、今の話は他言無用だ、いいな?」
周囲にいた者達が一応に頷く
対魔族のスペシャリストとして、魔族の行動に疑問点を感じていたのは同じらしい
少なくとも、糸口を見つけた僅かな可能性に反対する者はいない
マリー > 「話したのがキミでよかったよ。うっかり口にしてたら危なかったね」
ふぅ、と息を吐く。
重要な情報であると共に、危険な情報であることを改めて認識したようだ。
「取り敢えず、結界とかの処理はそっちに任せるよ。ボクは所詮バウンティハンターだ、大局にかかわる身分じゃない。
……上手くやってね、副官さん」
なんとなくだが、サロメならばうまくやる……かはともかく、最善は尽くすであろうとは思った。
後はそう……自分が変に口を開かない様に気を付けるのが肝要だろう。
サロメ > 「そうだな…」
逆に、王都の人間と下民の者達の意識の差を痛感する
本来の正しい国の在り方としてはあってはならない状態なのだが…
「(それを払拭するには…マグメールという樹の根は腐りきってしまっている)」
しかし枝葉やそれに止まり休む鳥達がいる以上は樹を折ってしまうわけにもいかない
だからこそ今、自分はこの戦場に身をおいているのだ
「本来ならば立場の差異など……いや、何でもない。
次の衝突がいつ起こるかはわからない、体を休めておいてくれ」
マリー > 「うん、わかった……必要なら呼んでよ。副官さんからの依頼なら、優先する事にするよ」
ある種の秘密を共有した身だ、情も移る。
何より……この副官の指揮で戦うのは、やりやすいだろうな、などと思いもした。
「にしても……あーもう、軽い雑談のつもりが、おっもい話になっちゃったなあ」
サロメ > やがて、周辺の哨戒を終えた他の騎士達も戻ってくる
一先ず周辺に敵影はなし、ということで設営の作業が終わった者達も一息、と言ったところで皆休息に入るようだった
「あぁ、頼りにするよ。雷光のマリー」
ふっ笑ってその名を呼び、自身も帯剣を外し、わずかに伸びをする
「だが必要な時間だったよ。…さて、私もしばらく休息をとることにする。
兵糧は十分すぎるほどある、鋭気を養っておくんだ」
では、と軽く会釈をしてから踵を返し、
指揮官用なのか、会議ができそうなスペースもあるテントの中へと消えていった
ご案内:「オリアーブの主戦場」からサロメさんが去りました。<補足:氷の魔剣を携えた、灰髪金眼の女魔法剣士。第七師団副官>
マリー > 「さって、ボクも一休みするかな……」
ぐー、っと伸び。
そして、そのままテントへと向かう。
「(ま、深く考えるのはボクの仕事じゃない。サロメが上手くやってくれるさ)」
思った以上にややこしい状況みたいだが……取り敢えずサロメを信じて、自分は出来る事をしよう。
そう考えながら、テントにつけば横になるのだった。
ご案内:「オリアーブの主戦場」からマリーさんが去りました。<補足:雷光を操るバウンティハンター>