2015/11/25 のログ
ご案内:「オリアーブの主戦場」にリーゼロッテさんが現れました。<補足:毛先の辺りに緩やかなウェーブが入った薄茶色のロングヘア、青い丸い瞳の童顔。幼児体型に、可愛らしい軍服。>
リーゼロッテ > 視線の向こうでは戦いが始まっている。
あれよあれよというまに隊長に仕立てられ、こうして戦場に降り立ったわけだが…当の少女は暗い雰囲気のまま体育座りで殺し合いを眺めていた。
いきなりこんな小娘に2000の兵員を与えられても、かっこ良く指示を飛ばして切り込んで行ったりなど出来るはずもない。
気遣いも出来て優しい参謀の男が近づいてくると、そろそろ出ましょうかと声を掛けられる。
「いかなきゃダメ…だよね、うん」
自分が戦わねば、あの子達の居場所がなくなってしまう。
こうして血を垂らして死んでいく人達を見ていると、怖くて仕方なかった。
逃げ出したい、振るえる両手を胸元に押し当てて、呼吸を整える。
「いこっか、私は危ないところをガンガン援護するから…参謀さんは、みんなの指示お願いね?」
おまかせをと頷く彼に安堵の笑みを浮かべると、少女は立ち上がった。
リーゼロッテ > 「皆さん、いきますよ? えっと…私は色々危なそうなところを援護してまわるので……」
言いかけた言葉が途絶えると、参謀が訝しげに少女の顔を覗きこむ。
なんでもないよと作り笑いをして、両手を振ると、集まった兵士達に向き直る。
「なんでもないです、皆さんは参謀さんの指示にちゃんと従ってくださいね? 死んじゃダメですからね!」
なんとも締りのない激励である。
肩透かしを食らったような心地の兵士達からは、不完全燃焼な声が聞こえてきた。
参謀がため息とともに、声を張り上げ、仲間たちを鼓舞する言葉をかける。
その様子に目を輝かせ、おぉ…とかいいながら拍手している小娘は、どうしてここに収まったのかと思わされるだろう。
「じゃあ…今日は一人で戦ってきます。また誰かに頼っちゃったら、お仕事じゃないですからね」
いざ殺すとなった時に動きが止まり、仲間が助けてくれた。
毎度こんなではダメだと、自分の踏ん切りをつけるため、敢えて一人で遊撃を行うことに決めたのだ。
大丈夫、戦えるはずと銃を手にすれば、可愛らしい衣装を揺らしながら戦場へ走っていく。
敵に向かって放つ魔法は、岩を削りだしたかのような弾丸。
銃口から広がる魔法陣、同時に放たれる岩が敵にぶつかると即死こそしないが蹌踉めき、味方に斬り殺される。
「ひっ……」
血飛沫に押し殺した悲鳴が溢れ、血の沼に足を突っ込んだのを実感していく。
リーゼロッテ > どこかの貴族の道楽か何かで、少女が戦場に放り込まれたわけではない。
血に慄くところへ王国軍の兵士が襲いかかると、あれだけ怯えていたのにもかかわらず、さも当たり前のごとく銃を突き出し、フォーク状の銃剣で剣を受け止めた。
「くっ……」
重たい、学校での手合わせで使われた模擬剣とは段違いの衝撃。
力ではどうあっても一兵卒にも及ばないが、力の流れを横へと受け流すとそのまま銃を引きつつ、前のめりになった兵士に足を引っ掛ける。
顔から派手に転がる兵士、振り返りながら銃口を突きつけるも…魔法が放てない。
(「今ここで撃ったら…撃ったら」)
間違いなく死ぬであろう、その未来が過ると引き金に掛けた指が震えてしまう。
兵士は転ばされたことに怒り心頭、ぶっ殺してやると言いたげに、少女の胸元目掛けて剣を突き出す。
「いやぁっ!!」
訓練と同じく、選んだのは岩の散弾を吐き出す魔法。
ただし魔法の威力を軽減する術がかかっていない状態で放てば、それは完全な凶器。
プレートメイルを拉げ、貫いた岩が内蔵を潰し、血反吐を吐かせていく。
もがき苦しみ、痙攣して動かなくなる敵兵。
返り血に塗れた少女は膝から崩れ落ち、カタカタと震えていた。
リーゼロッテ > とうとう人を殺してしまった。
覚悟していたとはいえ、誰かのすべてを終わらせてしまった事がとても恐ろしい。
震えたまま、血まみれの屍を見つめると、現実が冷たく背筋に広がり、心を黒く塗りつぶしていく。
あそこに敵がいるぞと、王国兵達が近付くのが見える。
倒さないと、自分もこうされてしまう。
殺されるだけだろうか、敵国は女を道具としか思っていないと聞かされた。
きっと、殺される前にひどい目にあうんだろう。
ゆっくりと思考がめぐるも、ゆらりと少女は立ち上がる。
「……今度は、苦しまないように」
古い言葉を紡ぐと、銃に緑色の光が宿る。
狙いを合わせ、引き金を引くと、銃口に広がる魔法陣から一斉に薔薇蔦の鎖が放たれていく。
刺を食い込ませ、強引に兵士達の動きを止めていくと再度言葉を紡いだ。
茶色の光が銃に宿ると、銃口を空へ向ける。
「ごめんね…?」
トリガーを引き絞り、再び魔法陣。
今度は岩の弾丸だが、まるで吸い寄せられるように敵兵に迫っていく。
全て頭部、一瞬で死ねるポイントだけを綺麗に撃ちぬくと、ふらふらと戦場の奥へと進んでいった。
リーゼロッテ > この日、少女は隊長の任を授かっただけの実力を戦場で披露する。
沢山の王国兵を殺し、沢山のティルヒア兵を救った。
だが、彼女の心には沢山の傷跡が残る。
悪夢にうなされ、嘔吐し、疲れ果てて幻覚を見たりと…心がすれていくまでにはもう暫し時間がいるようだ。
ご案内:「オリアーブの主戦場」からリーゼロッテさんが去りました。<補足:毛先の辺りに緩やかなウェーブが入った薄茶色のロングヘア、青い丸い瞳の童顔。幼児体型に、可愛らしい軍服。>
ご案内:「オリアーブの主戦場」にリーゼロッテさんが現れました。<補足:毛先の辺りに緩やかなウェーブが入った薄茶色のロングヘア、青い丸い瞳の童顔。幼児体型に、可愛らしい軍服。>
リーゼロッテ > 空気も染み入るほど寒くなってきた季節だというのに、人は戦いに飽きもしないらしい。
初めての人殺しの後、食べ物もろくに受け付けず、悪夢で度々目を冷ましても、戦いは終わらなかった。
少しだけ休めたとはいえ、本領発揮出来るほどのレベルではなく、参謀の男には後方からの援護に徹するよう厳命されてしまうほど。
王国軍との戦闘、側面からの奇襲を仕掛け、陣形を崩そうと戦っているが、自分は前にはいない。
魔力の弾丸ぐらいしかまだ使えない部隊の仲間たちが前線で命の奪い合いを繰り広げ、少女は後ろから緑色の魔法弾を放つ。
薔薇蔦の鎖、竹槍や草で出来たトラバサミの罠、傷ついた仲間に治癒の弾を放ち、前線を支えているのだが…心はモヤモヤと曇ってしまう。
(「私、ちゃんと役に立ってるかな…?」)
部隊長なんだから、かっこ良く指示を出して、前線を切り開いて、みんなを引っ張らないといけないと思い込んでしまう。
こういう裏方も大切とはわかっているものの、殺し合いになれない少女は、浮かぬ表情で魔法を放ち続けていた。
ご案内:「オリアーブの主戦場」にクライブさんが現れました。<補足:短く刈った黒髪/細く鋭い目つき/筋肉質な身体/薄汚れたブレストアーマー>
クライブ > 戦が始まりティルヒアにと雇われ幾つかの戦場を渡り次にと送られた場所で与えられたのは後方の護衛という退屈な仕事。
前線で戦う兵士達、果敢にもいくつもの戦術で王国軍に挑んでいく姿を見送れば、万が一の奇襲に備えるが
「よう、嬢ちゃ…いや、隊長さん。浮かねぇ顔してるな。何か心配事でもあんのか?」
陣地内を歩き回る最中に浮かない顔の少女。確かこの部隊だったなと思い出しながら問題でも起きたのかと声をかけていく。
リーゼロッテ > 援護魔法の連続だけでも、実際の戦況は変わっていた。
一射目で避けさせ、二射目で当てていく魔法弾の連続攻撃に、足元から来るトラップにも気を配らないといけないのだ。
敵の連携は崩れ、混乱し、整った動きを続ける仲間たちがどんどん押し込んでいく。
参謀が、暫く休んで体力の温存をと判断を下すと、少女は素直に頷いた。
「ぁ、えっと…心配事というか」
準備されていた折りたたみ椅子にぽふっと座ったところで、掛かる声にびくっと背筋を伸ばす。
振り返った先には自軍の中でも見覚えがない男性の姿、確か傭兵の増員がいたとか、参謀が話していたのを思い出しつつ、困ったように笑いながら視線をそらす。
「ちゃんと、役に立ってるかなって…不安だったのが出ちゃったみたいですね」
でも大丈夫です!と空元気に笑顔を作ってみせる。
人を騙せるほど演技も嘘も得意ではないので、無理しているという雰囲気が感じられるだろう。
クライブ > びくっと驚いたように背筋を伸ばす姿に戦場にいるにもかかわらずに新兵のような反応を見せる姿につい笑みを浮かべる。
そうしてこちらを見れば困ったような笑いを打影手視線を逸らす姿に傭兵だから当然かとあまり気にはせず馴れ馴れしく近づく。
「心配じゃなくてそっちか。その反応からすると戦場に慣れてねぇか。心配すんな、嬢ちゃ…隊長さんは役に立ってるよ。
良い支援じゃねぇか。王国軍は崩れて敗走になってるぜ。味方の勢いを見てみろよ」
少女の援護で連携を崩され、味方が押し込んでいく光景を遠目に見て大丈夫だと告げ。
どう見ても言葉とは裏腹に無理をしているのは男にはわかってしまう。
「どう見ても大丈夫には見えぇねよ。殺し慣れしてねぇからきついんじゃねぇか?」
リーゼロッテ > 実際、戦場においては新兵と何ら変わりない。
魔術学校での新しい技術で、優秀な生徒だったからと魔法銃の先駆者として放り込まれているのだから。
無遠慮に近づかれると、男慣れしていない少女は何か気に障ることでもしただろうかと勘違いし、オロオロと慌ててしまう。
「あ、えっと……」
言葉を考えているうちに、心配してのことだと分かれば緊張が溶けていき、安堵の息を零す。
遠目に改めて見てみると、勢いは衰えること無く、崩れた王国軍をどんどん押し返していく味方の勇猛ぶりが目に入る。
よかったですと呟きながら浮かべるほほ笑みは、心底安心したもの。
「……はい、昨日初めてでした」
ストンと見ぬかれた事実に、言葉に詰まるも素直に白状してしまう。
頑張って作っていた笑顔も曇っていき、視線は地面へと落ちていく。
「帰ってから、ご飯を戻しちゃいましたし、寝ても悪い夢を見て起きちゃって…今日は援護だけでって参謀さんに言われちゃいました」
明らかに慣れていない。
敵を殺すことに罪悪感が拭えず、罪の意識に心が蝕まれていく。
何でこんなことをしないといけないのだろう、そう思う度に浮かぶのは天秤に掛けられた教会の人達の顔。
肩に預けたライフルの柄をぎゅっと握りしめる。
クライブ > 自分の行った事で味方が勢い付く味方の様子に安心したような笑みを浮かべる姿。
先ほどとは違い無理をしていないように見える表情を見れば少しは自信が持てたかと見て。
「昨日って…おい。嬢ちゃんは文字通りに新兵かよ。それで隊長とかな…」
まさかの予想外すぎる少女の言葉に流石に何を考えてるんだとティルヒア軍の人事についてあきれ果ててしまう。
浮かんでいた笑顔が曇り視線が落ちればどうしたもんかと天を仰ぎ。
「新兵によくある症状だな。誰かに相談したか?人に言うだけでも結構マシになるもんだぞ。
その参謀には感謝だな。今の状態で前線に出てりゃよくて戦死。最悪はとっ掴まって憂さ晴らしの玩具にされてんぞ」
少女の状態はもう忘れそうな昔に経験がある。
恐らくは部隊を持つのも初めてだろうと若さから見て取り、それで戦争に参加をして殺しまでしてこの状態は仕方ないと上手い慰めも浮かばず。
ライフルを強く握りしめる姿に払われたらそれはそれと手を伸ばして頭を撫でようとして。
「どうしてもきついなら部署移動でも頼んでみろ。だがな…どうしても戦う理由があるならそれの為に他を犠牲にする覚悟を持つしかねぇな」
うまい慰めも浮かばずに少女を見下ろしてそう告げる
リーゼロッテ > 「魔法銃っていうんですけど…魔導機械とは違うんです。魔法を短縮して、連続して使っていく新しい魔法なんですけど…学校の戦闘成績が一番良かったからって」
新しい技術を放り込んででも勝利を掴みにいく。
貪欲言えば聞こえばいいが、無理矢理過ぎる作戦だ。
こうして戦果を上げてしまっている分、失敗と下げてもらうことも叶わないだろう。
ずんと暗くなった表情で地面を見つめていると、問いかける言葉に顔を上げる。
「いえ…だってこんなの、甘えだって言われちゃいそうで」
皆は命がけで戦う覚悟があるのに、自分だけがまだ迷っている。
それすらも罪悪感で、曇ったままに浮かべる苦笑いがやっとだった。
「……そうなる前に死んじゃえたらいいのかなって、寝るときに少し、思っちゃいました」
乱暴の限りを尽くされ、全てを踏みにじられる。
この体まで汚されたら、自分に何が残るのだろう。
虚ろになった自分だけは想像できて、そうなりたくないと願えば、悲壮的な言葉を自然と口にしてしまう。
「ダメです、私がここで戦わないと…困っちゃう人たちがいますから。それ以外を犠牲にしなきゃいけないのもわかってます、わかってますけど…」
薄茶の髪を撫でられながら、語る声は徐々にくすんでいく。
手入れの行き届いた猫毛気味の細い髪は、柔らかく絹のように手の中で流れるだろう。
撫でられてホッとしてしまったのか、じわじわと青い目に雫が浮かぶと、ポタポタと頬を伝って可愛らしい衣装へと堕ちていく。
クライブ > 「そんなもんがあるのか。俺は剣と簡単魔法しか使えねぇからな」
新しい魔法をうまく使えた事を羨むべきか、そのせいで最前線という不幸に同情すべきかと流石に困ってしまい頬を掻き
そこまでしなければ戦いに勝ちにいけないティルヒアの懐具合の危険さ。不謹慎だがより面白い戦いが出来そうだと無自覚に口元に笑みが浮かぶ。少女が見上げればその笑みが見えるかもしれず
「甘えでもいいじゃねぇか。俺はむしろな、後ろでその魔法を多くに教える方が向いてると思うぜ?」
覚悟はあるだろうが迷いもある様子の少女を見下ろし。
浮かぶ笑みも罪悪感が浮かんでいるのが見て取れて
「慰めにならねぇことだけどな。死んでたって関係ねぇって奴もいるぜ。どう思うなら何が何でも生きるって考える方がいいぞ」
いくつもの戦場を渡りある意味見慣れた光景を思い出せば少女の願いもかなう事は薄そうだと…ある意味残酷な事をつい口にして
「気持ちは人一倍って訳か。だどな、もう少し気楽に考えろ、そうじゃねぇと気持ちに押しつぶされて早死にするぞ。犠牲にする覚悟があるなら後は終わった後の気持ちの整理だな」
本当に戦場にいるのが似合わない少女の柔らかい髪を剣ダコが出来たごつごつとした手で出来る限り優しく撫で
「あー…泣くなよな。俺が泣かしたと思われてここの兵士に殺されちまうよ。
愚痴でも泣き言でもあるなら聞いてやる、それでも随分と気分が軽くなるぜ」
ついには泣き出した少女を見下ろし、この場では撫でるしかできずにそう小さく告げて
リーゼロッテ > 「はい、魔法の複雑さを省いてもっと使いやすくって作られたんです。私も…最初は森林調査員の護身術程度に学科を選んだんですけど、こうなるなんて思いもしなかったです」
皮肉なことと、少女も困ったように笑う。
ただ、その後に見せた戦を求めた笑みの理由には気づけず、何か変なことを言っただろうかと、自分の言葉に笑ったのだと勘違いすると、キョトンとしながら彼を見上げていた。
「ふふっ、私も訓練の時に皆に教えてる時間が一番好きなんです」
教えている時は血も流れず、気兼ねなく聞いてくる兵士達に柔らかに手解きするのはとても楽しいらしい。
嬉しそうに笑っていたが、死体でも構わないという現実には、眼の光を失った自分の屍が犯されるのを想像し、さっと頬に青が掛かって体を震わせた。
「はぃ……もっと、慣れたりして…潰されないように、がんばり…ます」
涙混じりの声で、しゃくりあげながら頷く。
戦う男の手は自分とは全く違うものの、気遣ってくれる優しさはどんな手でも変わらない。
だから、こんなにも涙が溢れてしまう。
「大丈夫です…参謀さんに、指示が下手とかたくさん叱られた時とか…直ぐ泣いちゃうの、みられてますから」
どうやら泣き虫なのは既に知られているようだ、もしかすると兵士達の奮闘も、感情豊かな彼女に感化されたのかも…しれない。
ふいに彼を見上げると、涙でぐしゃぐしゃになった丸い青がじぃっと見つめて。
「じゃあ…もっと撫でてください。 参謀さんは奥さんに申し訳ないって、叱っても…優しくしてくれないんです」
クライブ > 「そういう魔法がもっと増えてくれりゃ俺も大助かりなんだけどな。大本はそういうのを希望してたって訳か。その方が確かに似合ってるよな」
少女の言葉に戦場よりもそちらの方が似合うと普通に納得してしまう。
自らが笑みを浮かべた事に気も付かずに見上げる少女のきょとんとした表情を不思議そうに見下ろして。
「それが今じゃこんな場所か…」
教えている時間が好きと嬉しそうに笑う姿に気が紛れたかと安堵するが、さすがに言った事が不味かったと青くなった姿に若干の後悔を見せる。
「それがいいな。けどな、心を殺してまで慣れる必要はねぇぞ。
そうなったら最終的には狂っちまう奴が多いからな」
頷く少女を見て無理をしてまではと告げ、そんな末路になるなというように言葉を付け加える。
殺し合いや騙しあいには慣れても泣いた女の子の相手は専門外なのでどうにも困った雰囲気を滲ませてしまい。
「それはそれで問題しかねぇだろ。あんま泣いてる所を見せると部下に舐められるぞ?」
それはそれで問題だと思わずにため息が零してしまい。
もしかすれば隊長というよりも兵士皆の妹や娘扱いされているんじゃないかと奮闘している前線を見てしまう。
「どうかしたか…?ま、そんぐらいなら別に構わねぇよ。優しくねぇ……俺が言う事でもねぇが警戒心薄くねぇか?」
じっと見られたことに不思議そうにするが言われたとおりに優しくぎこちなく撫で続け。
ほとんど顔を合わしていない相手に対しての警戒心の薄さについポツリと口にする。
そんな姿を見せてると喰いたくなっちまうぞと
リーゼロッテ > 「そうなんですか…?」
まさに戦士といった風貌の彼が魔法銃を欲する。
なんでだろうかと思いつつ、何となく無骨な大砲の様な魔法銃を持った彼の姿が思い浮かびつつ…表情が緩む。
視線に視線で返された答えには、多分自分の勘違いだろうと思えば、なんでもないですと笑みで頭を振った。
「…仕方ないです、頑張らないと…ぇ、あ…はい、じゃあ無理しないぐらいで、頑張り、ます…!」
戦場に放り込まれた以上頑張らないとと気合を入れなおそうと思ったのだが、注意の言葉に昨晩のことが思い浮かぶ。
心を閉ざして殺し続けた夜、あの冷えきって無感情なままになったら元も子もないと思えて、素直に頷いた。
「ぅ、そ、それも参謀さんに言われたんですけど…最近はもうそれでいいって」
困っているのが見えると、申し訳ない気分になるものの、まだ涙は落ち着きそうにない。
寧ろ、参謀はそれ自体を武器にしているのだろう。
爪弾きにされた兵士達という割には結束が良い、拠り所をうしなった戦士にとっては、ちょうどいい理由なのかもしれない。
それぐらいならと撫で続けられば、ポタポタと滴った涙も次第に落ち着いて安らいだ表情に変わっていく。
「……そ、そう、ですか?」
ただガサツなだけの男性なら、少女もここまで心を赦さなかっただろう。
ぎこちないなりに優しい手付きに、無意識にいい人だと思っているのは間違いない。
不意にかかる男としての囁きに、ぶぁっと頬を赤らめ、耳まで真っ赤にするも否定はなく、青い目をそらして大人しくなでられるがままだ。
クライブ > 「俺は剣を振うしかできねぇんだよ。だからな、そういうのでお手軽に離れたのを攻撃できる手段があるなら大助かりって訳だ」
あくまで剣の間合いでしか戦えず離れた相手には無力だと告げ、何か面白い事でも言ったのか?と表情が緩んだ少女を見る。
視線の問いかけに首を振り何でもないと返されればそれ以上は追及もしないで。
「その息だ。契約が切れるまでは無理できねぇように見張っててやるから安心していいぞ」
放っておけば確実に無理しそうな雰囲気、おそらくは先日にしているだろうと当たりをつけ、冗談を交えながら本来の仕事の合間に見張ってやると笑って
「言われて今はそれでいいってか…それでいいのか参謀よ…」
他よりも結束のいい兵士たちを纏めている元が解れば参謀のやり手の手段に思わず関心をしてしまい。
これはいいように使われそうだとそれを楽しみにと考える。
少女に言われるままに撫で続けて涙も落ち着き、雰囲気も変わればそっと手を放し。
「俺はよそ者の傭兵だぞ。部隊員なら兎も角普通は怖くねぇか?」
なんとなく年の若い少女に戦場でおかしくなって欲しくはないと出来る限り優しくしてはいるが、その慣れない行為に無ずかゆくなって仕方がなく。
呟きが聞こえたとは思わずに急に赤くなってしなった少女に熱が出たかと額に手を当てていく