2015/11/30 のログ
シド > 「戦争のことより後を考えたほうが良い。ティルヒアは平常心を失ってる。暴政の後に民はついてこない。
 沈没する船にいつまでも乗っておくのを勧めないな。
 ――頭がいい参謀なら、多分もう…逃げることを考えているだろうな。」

この国から、この戦場から。戦地では決して味わえぬ柔らかな女肌を擽りながら周囲を見渡す。
喧騒が近づいても血の臭いは少ない。分断した部隊は確かに敵陣を割り、腰が思い本隊が動き出すのに撤退を始めているのだろう。
そろそろ潮時……なれど未だ腰を下ろして敵兵と語らうのは、 刺そうかのような咆哮と。敵とは思えぬ相貌を向けているから。
それこそ、鎧も脱いだ今なら討ち取ることも可能とばかり葡萄色の眸は眼前の蒼眸からを覗き込む。

「私の本当の武器もな。こんな女っけのない剣じゃなく、薔薇の鞭なんだ。凄い偶然だな。
 ……仲間が気になるかい。」

視線を向けた隙にと耳朶に唇を寄せる。ちり、と揺れる銀細工の飾りを慣らしながら頬に唇を添えて。
心配された掌は委細問題ないことを証明するよう背筋を抱きしめようとしていた。

リーゼロッテ > 「……ぁぅ」

逃げの話をされると、変な声が出てしまう。
何でそこまで見ぬいてくるのだろうと、思慮深いタイプではない少女としては、彼の言葉に内心驚いていた。

「参謀さんが…既に、いざというときの場所、見つけてくれてるらしいです。そこなら、私にも害はないだろうって」

彼の予想はあたっていたようだ、内緒ですからね と言いたげに、じぃっと迫力のない目で見つめる。
どうやら戦いは終息していっているらしい、他の皆も大丈夫だろうかとそっぽ向いた瞬間…耳元の口吻にピンと背筋が伸びた。

「き、気になりますよ…! ひゃっ…!?」

耳朶へ、頬へと唇をあてられると、こそばゆさにビクッとするも、何より唐突のキスに顔を真赤にしていた。
更に背中まで抱きしめられると、真っ赤なまま腕の中で慌てふためく。

「ぁ、あの…な、何を…っ?」

やっぱり悪い人で乱暴しようというのだろうか? そう思うと不安もこみ上げて、少し潤んだ瞳が恥じらいと不安を真面目て見つめる。

シド > 「図星か?変な声を出して。ま、良かったよ。安心した。そういう気配りできる人間が側にいて。
 それもこれも君の優しさと人徳のおかげなんだろうな。
 ――私と違ってな。」

抵抗少ない矮躯を思うがまま抱き寄せてその温もりを味わう。性欲……というより興味に近い。
微かに燃えてる銀髪を頬に擦り付けるほど懐に抱き寄せて思う様柔らかな感触を味わう。

「なにって。戦場で敵に掴まったらされることは決まってるだろう?
 ――それとも私じゃ嫌かい?」

距離を離して見つめ直す。乱暴する男――というには幾分か眸を弧に泳がせる悪戯染みた微笑みを見せて。
葡萄色は容赦なく恥じらう紅潮を覗き込む。

治癒された長い指先が目元から唇まで、造詣を確かめるように艶めかしく撫でていく。

「君、可愛いね。名前は? ――私は、シドという。」

リーゼロッテ > 「えっと…ありがとうございます」

一応敵に当たる自分を、何故かほめてくれる彼にキョトンとしたまま見上げていた。
自分と違って、そういう彼は自分に優しくしてくれる。
何が違うのだろうかと、考える余裕はなくなった。
少女とて、抱きしめられて擦り寄せられては恥ずかしいからで。
顔を赤くしながらも突き放すことはない、無駄な部分はないにしても、細くて柔らかな子供っぽい体つき。
胸も未発達に房というより丘になるかという程度のもの。
むにゅりとした感触と共に、少し押しこむと、丸っこい骨の感触が届くのが細さ故の難点かもしれない。

「い、いや…それは…そう、ですけど…。別に嫌とかそういうのじゃなくて…」

捕まったら乱暴されて、ひどい目に合わされる可能性だってある事を忘れていた。
初夜は過ぎ去ったとはいえ、まだ身持ちは堅いつもり。
遠慮無く見つめる意地悪な視線に一層赤を強めながら、恥ずかしそうに視線をそらして落としていく。

「っ……ぁ、リーゼロッテ…です」

可愛いと言われれば、ビクリと震える。
なでられる指にくすぐったさと、裏に隠れた意図ぐらいそれとなく感じてしまう。
ゆっくりと吐息を零して、ちらりと味方が居た方角を見やる。
このまま帰れなくなるのは辛くて寂しい、一瞬それが憂いとなって顔に出てしまう。

シド > 「真面目な子だな……適当に聞き流せばいいのに。」

少女が思慮に勤しむ間に未熟ながらも柔らかな肢体を、まだ火傷痕が残る体躯で受け止める。
寒くなる体躯に人肌の温もりが欲しかったし、あわよくばつまみ食いにでも走ろうとした算段だ。
傷つけられて治してもらった掌でその身持ちが硬い体躯を思う様撫で回し、熱孕む吐息にて告げられた名前を
その顔中にキスとして降り注ぐこと暫く。本当に持ち帰ろうとした最中に見えた蒼眸の憂いに躊躇いが生まれた。

「リーゼロッテか。今日は手を治して貰ったし、これくらいにしよう。次は戦場で逢うか別の場所か分からないが
 ……その時は頂くからな。」

細顎掴みて強引に唇を重ねる。端から中央まで貪るように重ねてから腕を離して開放して立ち上がる。

「さ、帰りな。のんびりしてると置いてかれるぞ。」

リーゼロッテ > 聞き流せと言われても、色々と真に受けてしまう少女からすれば難しいことで。
悪戯に抱きつかれたことぐらいはあるが、ここまで体を撫で回される抱擁はそうそうない。
キスを重ねられ、逃げ出したほどに恥ずかしいものの、助けられた恩もあって振り払えず、腕の中で戸惑うばかり。

「…うぅ、そんな簡単にあげま――」

やっぱり自分をどうにかしてしまおうとしていたと分かれば、真っ赤な顔のまま、拗ねたように言葉を紡ぐも、重なった唇が赦さない。
ぴくっと体が跳ねて、驚きのまま捕まり、何度も重ね合わされる強引な口吻が離れると、ふらりとして。

「……し、シドさんは強引すぎますっ! ぜ、絶対上げませんっ」

怒った子猫のように髪を揺らして怒ってみせるも、面白いぐらいに迫力がない。
本人も激怒というよりは、恥じらいを誤魔化すのに声を張り上げただけなのだから当たり前かもしれないが。
意識が戻った兵士に、何事かと視線で問われるも、なんでもないですといいたげに引っ張り。

「こ、今度は……こんな場所じゃなくて、普通の場所で」

会えればいいなと、願いを込めて。
お別れに手を振ると、銃を手に戻っていく。
様子を見ていた兵士につっつき、からかわれながらもティルヒアの軍勢へ帰っていくだろう。

シド > 馬蹄が鳴る方へと響く。薔薇蔓の鎖に絡みて転倒した愛馬は奇跡的に無傷と、突入の際に別れた麾下の2人と共に戻ってくる。
それを捉えて名残惜しくも漸く相手にと背筋を向ける。そして振りかかる言葉には肩越しから振り返りて……
敵兵には見せぬ恥じらい怒る少女への柔らかな微笑みを浮かべた。

「よく強引と言われるよ。が、悪い気はしなかっただろう。また逢おう。それまでお互いが息災なことを祈る。」

途中、背筋から少女の黄色い声と仲間のからかう声を聞きながら、茜色に染まる銀髪を靡かせながら自軍へと帰りゆく。
戻れば勝手な行動への叱咤と、そして敵軍を撤退させた功労への激励が送られるに。
真顔を浮かべながらも頭に思うのは心優しき少女のことばかりで。

ご案内:「オリアーブの主戦場」からリーゼロッテさんが去りました。<補足:毛先の辺りに緩やかなウェーブが入った薄茶色のロングヘア、青い丸い瞳の童顔。幼児体型に、可愛らしい軍服。>
ご案内:「オリアーブの主戦場」からシドさんが去りました。<補足:分厚い漆黒の全身鎧。兜の隙間から銀髪が覗いている。>
ご案内:「オリアーブの主戦場」にオーギュストさんが現れました。<補足:大剣を持った将軍。陣頭で指揮を執りながら戦っている>
オーギュスト > オーギュストは動こうとしなかった。
他の貴族の私兵、王国軍の一部は戦況が有利になった事を敏感に察し、果敢に攻勢をかけている。
また強欲な連中は、戦後のオリアーブ島の利権の為、ここで戦功を稼ぐ腹だろう。

オーギュストと第七師団はどちらでもない。
彼は港湾基地を要塞化した後は、ここ、オリアーブの主戦場での野戦築城を命じ、後方集積基地と港湾への補給路の整備ばかりをしていた。
彼の勘が、未だ時期ではないと告げているのか。それとも……

「各地では勝勢のようですが、本当に宜しいので?」

参謀の疑問の声に、手を振って応える。
参謀も心得たもので、それ以上は問わず、物資の点検作業に戻った。

オーギュストは動かない。
何かを待っているのか、見極めているのか。
第七師団はオリアーブ島の一角に要塞のような陣営を構築しながら、じっと戦況を伺っている。

オーギュスト > たまにあるティルヒア軍の強行偵察も軽くいなし、相手にしない。
そもそも第七師団は短期戦には強いがそれ以後はからっきしなのだ。
無理をする必要は無い。再びの好機が来るまで、無駄な戦闘は他の軍に任せておけばいい。

「――気がかりなのは」

魔族の存在。
もしも魔族達がこの動乱の裏に居るなら、戦後の混乱を見越して既に策動を始めているだろう。
オーギュストはその動きも探っていた。
特に、あの魔導鉱石。魔族が真っ先に狙いそうなのはあれだ。

ご案内:「オリアーブの主戦場」にイーゴリさんが現れました。<補足:狼姿>
イーゴリ > 平原を体躯に合わせて確りと作られた四肢で駆け足に進んでくる狼が一匹。
駆け足は次第に弱まり、軈て構築されつつある陣営より数十メートル程離れた距離で止まった。
暫しの間、足を止めた場所でくるくると足踏みをしていたが、落ち着いたのかぺたりと後ろ足を落として所謂お座りの状態へ。
然し、その場で寛ぐ訳でもない獣。赤色の瞳は陣営をじい、と監視でもするかの様に見据えている。

オーギュスト > 「うん……?」

何処からか、視線を感じる。
さて、この視線は何か……殺気は無い。敵の斥候か?
にしては、視線を感じるのがおかしい。
まるで観察ではなく、値踏みされているような……?

陣営からひょいと顔を出し、あたりを見回す。
しかし、人の姿は見えない。
居るのは……

「……獣?」

イーゴリ > 躾の行き届いた猟犬の如くその場に鎮座する獣。
頭は極力動かさず、瞳だけが右に左に、上に下に、と何かを探すような動きを見せる。
――ふと、陣営から顔を出す人間の動きを察知して赤眼がすぐさま其方へと視線を移した。

「………。」

吼えもせず、唸りもせず、二つの赤が男を見据える。
時折、音を拾って耳がぴくりと震え。

オーギュスト > 視線の元はあれのようだ。
さて、何の用か……

「か、閣下?」

門衛の言葉に耳を貸さず、ふらりと外に出る。
純粋に興味だけだが、その獣に近づき。
数メートルの地点まで近づく。

イーゴリ > 人間よりも優れた聴覚を持つ狼が音を拾う事の出来る範囲は開けた所であれば凡そ15km超。
陣営から数十メートル程しか離れていないこの場では、何らかの力で阻害されていない限りは十二分に聞こえるだろう。
詰まり、顔を出した男の事を門衛が『閣下』と呼んだのも確りと聴覚は捉えている。
数メートル、間を空けて止まる男の姿を検分でもするように、狼の瞳が上から下へと動く。
――知能のある者の仕草だ。

オーギュスト > じっとこちらを観察する獣。
いや、獣ではないか。まるで知性を持つ生き物だ。
ただ、観察し、こちらを見定めている。

「……何か用か」

こちらも臆せずそうたずね