2015/11/23 のログ
ご案内:「軍本部」にルナルアさんが現れました。<補足:後頭部に結い上げられた白髪/碧眼/白色の肌/軍服>
ルナルア > 神龍が出た。
自身はそれを直接観測する事適わなかったものの、情報は嫌と言うほど耳に入って来る。
入って来た情報を全て総合すると、大陸よりも巨大な100くらいは首のあるドラゴンが炎と氷と雷を同時に吐き散らしながら王国への呪詛の叫びと共に世界を8度ほど滅ぼした、というような荒唐無稽極まりない内容になる。
あほか。

「まぁ、それだけのものという事でしょうが……、何もこのタイミングで出ずとも。」

軍本部の廊下を進みながら、男は愚痴を零した。
既に夜は遅い。
負傷兵への対応や、今後の作戦に関する合議、部隊運用の為に必要な事務仕事。
やらねばならぬ事が林立する。
なぜ、自分が最前線へとやって来た直後のタイミングなんだ、と。
愚痴も漏らしたくなる。

ルナルア > 愉快にも程があるのは、最前線に出たばかりの自分たちを王都にとんぼ返りさせようとする一派が思いのほか多い事である。
あの龍が本土を襲ったら、という事らしいのだが。

「そうなれば、もう我々などいてもいなくても同じでしょう。」

先日、執務室で同じような言葉を零した気がする。
苦笑しながら、廊下の窓を一瞥。
軍部施設の中庭が見える。他の部屋や棟など、未だ灯りのともる区画が多い。
無理もあるまい。

「―――まぁ、今帰るなど有り得ませんが。……今最前線から医療隊が減るなど……。」

眼を細めて、視線を進行方向へ。歩調が早まる。
戦死者は、最悪の人数。
負傷者の少なさこそが、それを物語る。
だがしかし、それ以上にその光景を遠巻きに見てしまったもの、或いは運良く直接見て生き残ってしまったものは、肉体以上に精神をやられている。
無理もない。すべての兵士が、不屈の闘志を秘めた将軍や騎士ではないのだ。そしてそれは、決して責められる事ではない。
それで、普通なのだ。普通で戦争や軍人ができるか、などと言う者もいそうであるが、そんなもの理想論である。
この軍部にいる自分の部隊員も、その大半が肉体よりも精神の治療の方に人員を割く事になった。

ルナルア > 正直、手が足りない。
精神、神経などへのケアは、未だ理解が進んでいるとは言えない。平時の気欝の病の類に関する議論であれば、この際もういい。
しかし、兵士に残るトラウマであったりとか、それからやって来る変調、結果的に陥る戦力低下を根性論でどうにかしようとする部隊や司令官、上層部には閉口せざるを得ない。
脳も神経も、肉体なのだ。その負傷は、四肢や臓腑への負傷と何ら変わらない。
だが、そこを理解して応急手当的にでも治療にあたれる者が少なすぎる。

「全軍の士気は高いとは言い難い……。一部の優秀な師団や部隊だけが意気軒高であったとしても、……いえ、いないよりいいのですが。」

あえて口に出しているのは、ストレスの発散なのかも知れない。
そんな風に自己分析しつつ、廊下の角を曲がった。

ルナルア > 慰問隊が必要だな、と。
角を曲がった先に尚も続く廊下を見つめ、そして進みながら考える
結局、従軍者の多くは男性だ。
彼らを癒すには、最も原始的な商売の力を借りるのが手っ取り早い。
とは言え、それに頼りすぎると、日常生活くらいは遅れても兵士としては使い物にならなくなる危険性もある。
まぁそこを鑑みたとしても、現状では慰問団は欲しいところであるのだが。
下がった兵の士気を一定以上に保つためには不可欠である。
正規軍もそうだし、傭兵連中も同じである。

「既に、嘆願は多く上がっているのでしょうけれどもね。……私の方からも、もう何枚か書類を上げましょうか。」

そうして廊下を進み、一枚の扉の前で立ち止まる。
さて一先ず、この向こうでこれから始まる、不毛かつ生産性のない会議でくだらない結果が出ないよう尽力せねばならない。
一度ため息をついたあと、扉を開けて中へと入って行った。

ご案内:「軍本部」からルナルアさんが去りました。<補足:後頭部に結い上げられた白髪/碧眼/白色の肌/軍服>