2015/11/19 のログ
ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア2:月夜の湖岸」にアイさんが現れました。<補足:白い肌に黒髪の童女。>
アイ > 深い深い藍色の空と、そこに浮かぶやせ細った月。
広がる湖がそれを写しつつもゆらゆらと揺らす。
その湖岸には、季節にそぐわぬ薄着の童女が一人たたずむ。

「やれ、いたわしい事‥‥ばばめをも容易く潜らせてしまうとは、すっかり弱りよったね、白龍の」

ティルヒアの結界が弱まりつつある事は感じてはいたが、よもや神域とも言えるその塒の畔まで易々と入り込めてしまうとは。

 異なる神にすっかり居場所を譲ってしまったとはいえ、王都には旧き神の加護がなお所々に残され、過去には巨大な存在であったアイにとって、そこは入り込み辛い場所である。
 この千年都ティルヒアもまた、旧き神よりの命を受け草民を守護する大精霊、白き龍による結界によって永きに渡り護られて来たのであるが…

「穢れをうちこまれてしもうたのかえ…ほんに、いたわしい事やよ」

アイ > しかし胸を痛めた所で、ただこの動乱の行く末を見守る事意外に何か出来ることが有る訳もなく、
緩やかに寄せては返す柔らかな波を見つめるのみである。

 戯れに、その冷たい水の中へと脚を入れてみるも、どうやらアイにはそれ以上進む事は叶わぬようで、
仕方なく波打ち際にそってゆっくりと歩いてみる。
人の子であるならば砂の上に小さな足跡でも残っていくのだろうが、そこは妖しの悲しさか、自身が通った足跡が遺る事も無かった。

アイ > 足を止め、湖面を眺める。
月は変わらず瞼を閉じたかのように細く、星々の輝きもずいぶんと頼りない。
冬の訪れもそう遠くない時節、虫や蛙たちの賑やかな歌声も聞こえては来ない。

 湖面に反射する月星の光が、辛うじてその先に湖が静かに広がっている事を知らせている。
深くため息を吐き出した後にトンと足場を蹴れば、幼い娘の姿をした古妖も闇に溶け込むように姿が見えなくなった。

ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア2:月夜の湖岸」からアイさんが去りました。<補足:白い肌に黒髪の童女。>