2015/12/29 のログ
ご案内:「“千年の女王の都”ティルヒア 城内」にタマモさんが現れました。<補足:名簿参照。>
タマモ > 少女の姿は城内の奥の奥、そこにある一室にあった。
入り口に佇む少女は、すっかりと荒れ果て原型もほぼ留めてない室内を眺めている。
少女が召喚されこの地に立った初めの場所。
今や復興の途中であるこの場所ではあるが、周辺にだけはなぜか人影がほぼ無い。
少女が張った人払いの結界、そう強いものではないが、これを抜けれるほどの力を持った連中もここにはそう居ないだろう。
「ふむ…ここもそう遠くないうちに、まったくの別物になるんじゃろうな?」
ぽつりと呟く。
以前は色んな者達が呼ばれた場所であろうが、この先はどんな部屋となるのか…少しは気になるところである。
タマモ > 今更こんな場所に来て何をする訳でもない。
これを見納めにしようと、気紛れでやってきたのだ。
少し前にある者と一緒にやってきて、色々と調べ回った。
己の地に戻る手段、まぁ、結局は何一つ見付からずじまいだったのだが。
ふむ…と一つ頷き、足元に気を付けながら歩む。
それでも、ぐるっと回るだけでも何分とかかる広さではない。
視線を部屋中に移し、ゆっくりとした歩調で部屋を進んでいく。
…そうかからずに、再び入り口前へと戻ってきて足を止めた。
「さすがに、まだ見せる訳にもゆかなかったしのぅ…では、少しばかり…」
あの時は2人だったから出来なかった事。
ゆっくりと目を閉じ…意識を集中する。
…少女の頭の中には、この部屋で起こった過去が鮮明に映り始める。
タマモ > 今の破壊された光景が映る。
それが破壊されていく途中の光景へと変わる。
更にそれが元あった姿へと戻っていき…それからしばらくは、何がある訳でない、その光景がただ映されるだけだった。
なるほど、自分が呼ばれてからは…大々的な事はしてなかったのか、そう思う。
しばらくして見える光景は、呼び出された己の姿。
そこから更に過去へと…後は延々と、何者かが呼び出される光景だ。
………正直、見て戻る為のヒントになるようなものが見受けられなかった。
そもそも魔法というものが細かく分かってないし、こんなごちゃごちゃした陣なんてよく分からない。
ちなみに…それを理解出来たとして、やはり普通に魔族等を召喚する為の魔法陣なのでやはりヒントにもならなかったのだが。
タマモ > 映し出された光景には、書物っぽいものも見えた。
だが、少女にその文字が読める訳もない。
読めたとしても、やはり同じ様な理由でヒントにはなかなかった。
そもそも、この地に来たのは転送の魔法と己の転移がよく分からない絡み合いで生み出された偶然だ。
普通に調べたところで結局のところは分かる訳がなかった。
もうしばらくすれば、ふぅ…と深く息をつき、目を開く。
「やれやれ、分かってはいたんじゃがのぅ…」
ふむぅ、と腕を組み唸る。
八つ当たり気味に近くに転がっている壁の破片やらの小石をげしっ、と蹴った。
蹴り飛ばされた小石はかつんっと小気味良い音を立て、跳ね返る。
………がつっ、額に当たった。
声にならぬ声を上げ、額を抑えて蹲る。痛かったらしい、涙目だ。
うん、緊張が続かないのはいつもの通りだった。
タマモ > さて、それが分かればもう用も無い。
未練も無い。
視線を巡らせ、張っていた人払いを解く。
これで入れるようにはなるだろうが…直接この場所に用事がある者も居ないだろう。
もう少しだけ、戻るまで、眺めている事は出来るか。
ぽんっと左手に唐傘を、右手は裾から扇子を取り出す。
いつものように肩にかけ、広げてと普段通りに。
タマモ > と、じっと見詰めていた瞳がすっと細められる。
次の瞬間…目に見えぬ何かが弾けた。
普通の者には見えぬ出来事、それは魔力を感じる事が出来る者だけが感じ取れる出来事。
その部屋に漂う魔力…それはこの地のどこにでも漂っているもの。
この地で魔力を使う為に必要な根源たるもの。
それがまるで無かったかのように全て掻き消えてしまう。
もっとも、それはまた再びこの地より溢れ出し漂い、元に戻るだろう。
だが、己が残した証拠となるものさえ、魔力を使い見る事は二度と出来ない。
…そう、自身以外には誰とて己の呼び出された過去を見えなくした。
それを確認すれば、細めていた瞳を戻す。
「うむ…物に出来たようじゃな。門出にはちょうど良いものじゃろう」
タマモ > あの採掘場でせっかく集めた膨大な魔力があった。
それは完全に魔力を掻き消す力と成り代わり、すべて消えた。
こうして身に付けたものが今使った魔力消失の能力だ。
くるりと振り返り、入り口へと体を向ける。
最後に手を一振り、別れの挨拶代わりに。
そうして、少女の姿はこのティルヒアの地より完全に消え去った。
ご案内:「“千年の女王の都”ティルヒア 城内」からタマモさんが去りました。<補足:名簿参照。>