2015/12/21 のログ
タマモ > そうなのだ、ふと思い出したのだ。
今、この地には第七師団はすでに居ない。
己が王国側へと移り、ティルヒア側を離れた事を知るものは居ない。
そもそもこの取り決めを正確に知るのは団長のみ、詳細は副団長や団員さえも知らない事だ。
つまりは…この地に今居る者は、己をまだティルヒア側であると思っている者達だけだ。
この姿となれば、こういった芸当…赤子の手を捻るより容易い。
意識を集中させるでもなく、この都全体へと広がっていく波長。
それは語る言葉を人々の頭の中へと鮮明な声となり響いていった。
『妾はティルヒアよりこの地に呼ばれた者、名はタマモじゃ。
妾の姿、この国にて見た者達も居よう?
そして…この今の妾の姿も、見た者達は居るじゃろう』
その言葉と共に、まずは人型であった己の姿。
ついで、今の真実の姿を映し出していく。
『白き龍はこの地を護る、黒き龍は死したティルヒアの者達を蘇らせ、化け物達と共にこの地を襲わせておる真の敵じゃ。
多くは語らぬ。
そのままお主等はお互いに戦うべきであれ、道を見誤る事をするでない。
ティルヒアを想うのであれば、その様な世迷言に惑わされる事は無いとは思うがのぅ?』
真実であろう言葉は紡ぐも、その正体がティルヒアとは語らない。
正体を知る必要はないという判断、ただ、敵か味方の判断だけは正さねばならない。
白き龍を護らせる折鶴はそのままに、己は魔術鉱石を身に纏わせたまま、その場に留まる。
どうやら、城外は己の知ったる者が動いてるように感じる。
後は人間自身に任せよう、残り戦うも、危険を避け逃げるも自由だ。
タマモ > とはいえ、やはり背後に見える上空の戦いに参加は…出来ないだろう。
いや、出来たとしても己が動くべきではないと思う。
なぜ?なんて言われても答えられない、なんとなく、そう思ったからだから。
『今だにお主を信じ、留まり祈り続ける者達も居るじゃろう。
己の力により、この地を護る為に戦い続ける者も居るじゃろう。
力無き為に今は身を引くも、お主の勝利を願う者も居るじゃろう。
その想いをまったく感じぬ程に落魄れてしもうたか?
お主がどれ程の穢れを受けたからは知らぬが、己の国は己の力で護るが良い。
それが出来ぬなら…妾が掠め取ってしまうぞ?
………馬鹿者が、さっさと目を覚まし、よく周りを見詰める事じゃ』
無駄に暴れ回れば、再び負の感情の増加によって衝動が抑えられ切れなくなる。
上空の白き龍へと思念を飛ばし、己はその場で動かず居座る事にした。
本当に動くべき何かが起きるその時を待つように、目を閉じて…
今、この城内へと侵入する化け物達は、その城内から都へと出る事が出来なくなる。
それは己が張った結界の力、外からは容易く入れど、出る事は出来ない。
僅かずつではあれ、この城内に入り、彷徨い、この場に着く化け物達も居よう。
己はその者達だけを相手をする事に専念する事にした。
タマモ > …さて、どうなる事か?
この広い空間に佇む一匹の妖狐は、目を閉じたまま考える。
本当に己の甘さには何も言えぬ。
幼き頃から人の宿へと留まり続け、人や妖と共に生き続けたなりの果て。
だが、それも悪くは無いと思ってしまうのが不思議だ。
この果てに何が待っているのか…それを己が見る事が出来るのか?
それは分からないが、出来る事ならば見てみようと思う。
納得のいく正しいと思われる答えは…まだ見付からない。
ご案内:「“千年の女王の都”ティルヒア」からタマモさんが去りました。<補足:名簿参照。>
ご案内:「ティルヒア城の尖塔」に魔王アスタルテさんが現れました。<補足:外見10歳、身長130cm。黒いワンピースを着て、悪魔の翼を生やす魔王。>
魔王アスタルテ > 【時は少し遡る】
(魔王アスタルテは、ティルヒア城の尖塔の上で、一本で翼を広げて佇んでいる。
そして空を仰ぎ、ティルヒアとヤルダバオートの化身、両者の“頂上対決”を見届けていた。
アスタルテは、何があろうと上空の戦いを最後まで見届けるとそう決めている。
アスタルテにはそうする“理由”があった。
城には不思議な結界が張られている。
それは混沌なる化物を逃さない類の結界だ。
そして先程、都全体に広がる波長を感じた。
偽りを告げるナルラに対し、
その波長をとばした者、アスタルテが親愛するタマモは真実を語っていた。
そして城に結界が張られているという事は、彼女もこのティルヒア城の内部にいるのだろう。
アスタルテもよく知る人型の後に映し出された狐の姿こそ、タマモの真の姿なのだろう。
どんな事を想い、そしてどんな事を感じてタマモが真実を告げたのか。
都にいる、特にティルヒア側の兵士民衆はタマモの言葉で出来る限り真実を伝えようとする動きもあった)
「タマモちゃん、本当に君のお陰で……最後にティルヒアが報われるのかもしれないね」
(上空の決戦を見上げるアスタルテはどこか嬉しそうに、僅かに笑った。
かつての“強敵(とも)”の真の姿が、不当な汚名を被ったままだったら、あまりにも不憫だ。
あまりにも哀れだ……。
だけどタマモが偽りを正し、都で戦う者達を導いたのだ)
魔王アスタルテ > (《真なる神》アイオーンは既に消えた。
だが《混沌の子》ヤルダバオートが国を覆うとも、アイオーンは加護を残している。
我々魔族にとって、どこまでも忌々しい存在だよね……アイオーン)
「そのアイオーンに生み出されて、オリアーブ島の土地神となった偉大なる精霊ティルヒア。
《混沌の子》に自らの国が穢されて尚、よくここまで耐え抜いたものだね」
(“強敵(とも)”であると同時に、領民を守り抜こうとしたその強い志は、アスタルテも敬意を称している。
魔族を守り抜こうとするアスタルテの志に、それは近しいものとも感じられた。
結果としてはまあ、ヤルダバオートによりその身を穢されたわけではあるが。
やがて黄昏の時刻を迎える。
上空ではまだ両者戦い続けている。
予想はしていたが、やはり混沌なるヤルダバオートが優勢だ。
このまま続いて決着がつけば、正直なところ……王都だけではなく、遥か遠くの魔族の国も危うい。
原初の魔王たるアスタルテはヤルダバオートの事もよく知っている。
《混沌の子》が、自ら生み出した魔族にさえ情けをかけない事も)
(ティルヒアは追い詰められていた。既にティルヒアは消えかかっている。
戦いの最中、ヤルダバオートの化身はアスタルテに目を向けていた)
「ティルヒアがやられれば……今度はあたしが君を止めなければいけなくなるのかな?
混沌なるヤルダバオート!」
(アスタルテも真っすぐ、ヤルダバオートの化身を睨む。
その右手に禍々しき闇が収束し、やがてその闇は邪悪な大鎌に変わる。
例え“純粋なる魔王”であろうとも、あんな混沌とした存在に対抗出来るかなんて分からない。
“あいつ”は、あのティルヒアをあそこまで追い詰めた本物の化け物なのだから。
いや、それ以前に化身と言えど、ヤルダバオートは真なる神アイオーンと対になっているとさえ言える《混沌の子》。
だけど、我が愛する同胞たる魔族にまで危害を加えるつもりなら……、
それだけじゃない……マグメールやオリアーブで出会ったアスタルテの大切な人達を滅ぼそうとするのならば、
アスタルテは、ヤルダバオートの化身が相手でも、退く事はできない。
ヤルダバオートの化身はしばらくアスタルテを目を向けた後、再び視線をティルヒアに戻していた。
やっぱりあたしは……同胞たる魔族のため、心から大切に思っている者のために無茶をしてしまうよ。
だけど、危険を承知でアスタルテはこの都に残ったんだよ
覚悟なら、とっくに済ませているよ!)
魔王アスタルテ > (──そんな時、世界が止まる。
天が光る。光が降り注ぐ。
大いなる光……。天の門が開かれる。
邪悪なる原初の魔王アスタルテは、自身とは相反するその光に目を見開く。
なんて忌々しき光……。
まるで、アスタルテの強大なる暗黒の力が蝕まれていくようだ)
「永遠の神……アイオーン。
国を捨て消え去った創造の神が、また姿を現すなんてね」
(あんなものが直接出てきたのだ。
原初の魔王たるアスタルテにしてみれば、奇跡などではなく、悪夢に他ならない。
さすがのアスタルテも、珍しく額から汗を滲ませる。
強烈な光が溢れれば、それは無数の光の矛となり降り注ぐ。
光が貫くは闇の者……つまり都で暴れる化物や魔族。
そして上空のヤルダバオートの化身にも無数の光が突き刺さる。
アスタルテの元にも、一閃の光は降り注いだ)
(アスタルテは大鎌を構え、そして頭上の何もない空間を斬る。
すると、斬られた空間が大きく裂けて、邪悪なる暗黒に繋がる大穴を空ける。
そうする事で、アスタルテに降り注ぐはずだった光は暗黒に飲み込まれた。
だがその暗黒は早速聖なる光に蝕まれようとしていた)
「っ……!? なんて強大な力なの……。
さすがは、アイオーンだね……」
(幸い、アスタルテに降り注いだ光はほんの一閃に過ぎない。
つまりは、アイオーンの力の極々一部分に過ぎないという事だ。
だがそのたった一閃であったとしても、例え並の魔王クラスであっても耐え抜けるとは思えない。
聖なる光はだんだん、アスタルテの暗黒に飲み込まれていく。
アスタルテは生まれながらにして“純粋なる魔王”。
並の魔王クラスとは、わけが違う)
「はぁ……はぁ…………」
(その後息を整えながら、アスタルテは城の尖塔から光が降り注いでいく都を見おろす)
「これじゃあ、この都にまだ残る魔族達は助かりっこないね……」
(アスタルテがやるような芸当は、他の魔族ではとても出来ない。
故に、都にいる同胞たる魔族はあの光の矛を防げる術などない。
都にある消滅していく同胞の命を感じ取る。
アスタルテは悲しげに、小さく呟いた)
「ごめん……ね……」
(アスタルテでは、都にいる魔族まで助けられない……その謝罪である。
憂鬱なる魔王。
アスタルテが持つ優しさ、慈愛、そして自らが持つ“純粋なる魔王”の使命により時折憂鬱な一面を見せる。
そんな魔王は、きっと永遠に憂鬱だ)
(同時に、魔王軍の者達を全員撤退させるに留まらず、出来る限り多くの魔族を安全圏に逃したアスタルテの判断が改めて正解だという事も同時に証明されたわけでもある。
アスタルテが配下に下した指示は、多くの魔族を救ったのだ)
魔王アスタルテ > (創造の神による強烈な光により、ヤルダバオートの化身すらも粒子になって消えようとしていた。
そして白き龍は、黒き龍を食い破り見事逆転してみせた。
こうして、ヤルダバオートの化身の一体が消え去った。
光は都を覆い、闇は消えたのだ。
神なる龍は、口を開く。
それは、ティルヒアによる贖罪の言葉。
そして、神龍の形態とは言え、ティルヒア自身からの降伏宣言。
それによりこれでついに、王国軍、ティルヒア軍、そして魔族に多大な犠牲を出したティルヒア動乱は幕を閉じたのだ)
(ティルヒアは正気に戻っている。
そんな神なる龍は、アスタルテにも目を向ける。
アスタルテは城の尖塔の上よりティルヒアを見上げつつ、
神なる龍に念話を送る)
『神なる龍ティルヒア。ヤルダバオートの化身を相手にしてあの奮戦ぶり、見事だったよ。
君はヤルダバオートがオリアーブを侵し続けても守り抜き、そして民を導いた。
神代より時を共にしたこのアスタルテ、魔族を従え導きし使命を持つ魔王としてそんな君に敬意を称すよ。
だけど、現在のマグメール王国は既にヤルダバオートに穢されている。
我々魔族も、いずれかは王国、そして君が守ってきたこのオリアーブにも侵攻するよ。
かつて、遥か神話の時代にはお互い色々あったね。
神聖な輝きを取り戻した君を見ていると、それが昨日のようにも思えるよ。
あたしはね……君の事がたまらなく憎かった!
同胞たる魔族達が君により多く殺されて……その中には、かつてのあたしの大切な“重臣”や“友”も含まれている……。
神代には《神殺し》なんて呼称されていたあたしは、神なる龍である君もこの手で殺してやりたいと思った!
だけど恨まれる理由があるのは、あたし達魔族も同じだね……。あたしも散々、人間やミレー族、そして挙句の果てには君の同胞たる“神”をも葬ってきたのだからね。
そんな憎き君とも、もうお別れだね……。
共に神代より歩んできた者がまた一人いなくなってしまうのは、寂しくも思えるよ……。
そして、最後にこの地に加護を残す君を、やはり忌々しく思うよ。
それでもあたしは、同じ時代を共に生きた“強敵(とも)”の最期が安らかであるようにと、そう願う』
(その後、神なる龍ティルヒアが魔王アスタルテに返す念話、それはいかなるものだったのか、この二人にしか分からない事だ。
アスタルテは僅かに瞳から滴を零し優しく微笑みながら、消えていくティルヒアを見届けた)
ご案内:「ティルヒア城の尖塔」から魔王アスタルテさんが去りました。<補足:外見10歳、身長130cm。黒いワンピースを着て、悪魔の翼を生やす魔王。>
ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア」にアシュトンさんが現れました。<補足:フード付ロングコート、フル装備>
アシュトン > いやぁ……まさか、来たら来たで、すぐ終わるとはなぁ。
運がいいのか悪いのか。
(かつては誰かしら住んでおり、今はだれも住んでいない、戦によって半壊した家屋。
その天井から周囲を眺めながら、呟く男が一人。
終結する直前位にはやってきていたのだが、結局と戦いそのものには参加することは無かった。
フードを被り、フィルター付きのスカーフで鼻と口元を覆い、さらにゴーグルを付けた姿から表情は計り知れないのだが。
なんとも釈然としないような、微妙な声であった)
問題は、現れた謎の化け物も消えてしまった、という事だな。
あれの身体の一部を持ち帰るのも仕事の内だったんだがな……少し、目減りしてしまいそうだ。
(ため息、一つとこぼす。
龍の事ではなく、黒い龍が現れてから発生した、人も魔も襲っていた化け物の事だ)
アシュトン > ま、最後のアレは中々見応えのある光景だったがな。
神々しいという表現が、なるほど似合っている。
結末の話を伝えれば、少しは金になるか……?
いや、無理か。
(あれだけ大々的に発生したのだ。
多くのモノが目にしている、情報が伝わるのも早いだろう。
正直、売るのは厳しいかなと、言わざるを得ない)
とりあえず、クラウディアへの土産話位にはなる、か。
(元気にしているだろうか、などと考えながら口に巻いた布を少し引っ張って隙間を作り。
砂糖菓子を放り込めば、口に含んだ)
アシュトン > とりあず、折角来たんだから小銭稼ぎ位はしておかないとな。
街の損壊報告に、残党の探索、後はチョイチョイと廃屋から金品を頂いてって所か。
(砂糖の塊を、シャクシャクとかみつぶす。
物凄く甘いのだが、ちょっとした補給には丁度がいい。
日持ちもするし。
眼下では兵士達が、死体の回収作業を行っている。
気候の関係で、早々腐りはしないはずだが。
疫病にもつながる為、早いに越した事はないのだろう)
死人の対処も随分大変だったんだろうな。
(敵だけではなく、味方の死体まで復活して襲い掛かってくる始末だ。
士気は当然ながら、どん底まで下がる。
終結の光が無ければ、更にズブズブ泥沼の戦いになっていたのは、容易に想像が出来た)
アシュトン > さ、てと。
(体を大きく伸ばした後に、腕を回して身をほぐし)
お仕事始めるとしますか。
(勢いをつけて屋根を駆けると、その縁に足掛け大きく蹴り出して。
大きな跳躍に隣の屋根へと着地すれば、まずは城の方角にへと、向かっていった)
ご案内:「◇“千年の女王の都”ティルヒア」からアシュトンさんが去りました。<補足:フード付ロングコート、フル装備>